実は、龍田と那智は、主人公の友達だった?!
という驚きの過去話。
なお、龍田はやや主人公に依存。(頭部の二対のアンテナが少し天龍に似ているとの事で。)
もちろん、龍田と那智の裸とか過去に見ていたりもします、この主人公(ゲス野郎)。
「ふむふむ、つまり龍田達は逃亡生活が嫌になって、普通の艦娘としてもう一度頑張ろうと思って遠いフィリピン泊地まで来た、と?」
ドローンから送られてくる映像の人物は誰あろう、件の『血濡れの薙刀姫・龍田』である。そしてその後ろに『殺人拳・那智』もいる。
《そうなのよぉ!それがこんな事になっちゃって。ゲシュちゃん、なんとかこっちに合流できないかしらぁ~?!》
ゲシュちゃんなどと呼ばれていることから、玄一郎と龍田、那智は非常に仲が良いというのか、ぶっちゃけ知り合いだったりする。
その付き合いは長く、扶桑姉妹達と別れてすぐ辺りからなので、かれこれやはり五年ほどになる。
最初に彼女達と出会ったのは、ゲシュペンストがムサシとの戦闘から受けた損傷をやっと修復出来た頃である。
この世界の情報を得るために廃校となっていたワタヌシ島の学校へと向かおうと潜水艦娘達のアジトとなっていた洞窟から出た時に、浜辺に流れ着いていた彼女達を助けたのがきっかけであった。
彼女達は大破状態というには酷すぎるほどの傷を負い、なんとかしないとすぐに死んでしまうような状態であり、玄一郎は彼女達を洞窟に運び込んで手当て……というか高速修復剤をかけてやった、というわけである。
とはいえ、彼女達の状態は酷すぎた。
命は取り留めたものの、意識が戻るまでに数日かかり、その間、玄一郎も彼女達から離れず世話と介抱をして過ごした。
正直なところ、艦娘だったからまだ助かったと言わざるを得ず、意識がこのまま戻らなかったらどうしようか?とさえ思ったほどで、彼女達が意識を取り戻した時には、玄一郎は思わず助かってくれてありがとう、などと言ったほどである。
彼女達は最初は機械であるゲシュペンストの姿を警戒してはいたものの、話をしているうちに打ち解け、龍田はゲシュペンストの頭部両側のアンテナが天龍と似ているとかなんとか言って『ゲシュちゃん』と呼ぶようになり、那智はゲシュペンストと呼びにくかったのか『ゲシの字』と呼ぶまでになったのである。
打ち解けていくにつれ、彼女達も自分達の素性を話してくれたが、彼女達は暗殺部隊に所属していた艦娘であり、話によると父や姉妹達を人質に取られ、人殺しを強要されていた艦娘なのだと行った。
はて?と玄一郎は思い、艦娘に父親は居るのか?と聞けば、彼女達は、父親と慕う科学者が居るのだ、と言った。
その科学者の名は『造田・毘庵(ゾウダ・ビアン)』と言い、霊力機関の生みの親にして、艦娘研究の第一人者なのだと言う。
彼女達はこの造田博士と共に生活していた時の事を涙を流しつつ話してくれた。
左派政権が打倒された、今でも造田博士と姉妹達は解放されておらず、自分達は罪人にされてしまった、と龍田と那智は言う。
彼女達が白鳥財閥に雇われたのも、全ては造田博士と姉妹達の収監されている居場所を探るためであり、また、造田博士の研究結果を奪い、それによって富を得ている白鳥財閥をついでに内部から情報を流して壊滅させる為、でもあったらしい。
なお、この『造田・毘庵』こそ、元祖スパロボ世界のボスであり、天才科学者にして発明家、DC総統、ビアン・ゾルダークその人であったのだが、その奇妙な日本名のせいでゲシュペンストそうとは気づかなかった。
また、そんな話を聞いて彼女達を放っておける玄一郎ではなかった。
〔霊力機関、というものはわからないが科学者であるならば、一度話を聞くのが良いかも知れない〕
ゲシュペンストもそう言い、玄一郎と彼女達は共に造田博士と彼女達の姉妹を助ける為の旅へと出たわけである。
その結果として、江ノ島基地とルソン島の基地が壊滅したりしたが、まぁ、それはまた別の話である。
ダイジェストで言えば。
結果、江ノ島基地は壊滅。ルソン基地も壊滅。
最初、造田博士は江ノ島基地に捕らえられていたが、その後ルソン島における極秘実験任務のために身柄を送られていた。
しかし、江ノ島基地は女衒基地となっており、扶桑姉妹が何故かそこにおり、貞操の危機に陥っていたため、怒り、我を忘れたゲシュペンスト(=玄一郎)が暴走し、やってしまった。光学兵器や大量破壊兵器無しで、拳や蹴りで、ぶち壊しまくりつつ、提督を追い詰め、もう少しで提督をぶち殺す一歩手前まで行った。
半殺しで済んだのは、龍田や那智、扶桑姉妹のおかげであろう。
ルソン基地でようやく造田博士は救出されたわけだが、ゲシュペンストや龍田、那智が救出したわけではなく、三人が到着する前に龍田の姉艦『隻眼の斬殺鬼・天龍』と『影忍、川内』にとっくに救出され、捕らえられていた那智の妹艦である羽黒や川内の妹艦神通、那珂も救出されていたわけである。
ここでも、やはりゲシュペンストはやらかしてしまっている。
ルソン基地で行われていた未完成の『結魂システム』によって精神を崩壊させた比叡他の艦娘達の為に、怒り狂い、しかも扶桑姉妹もよりによってまた何故かそこの被検体にされそうになっていたためにさらにヒートアップして怒り狂ったゲシュペンストによって跡形もなく壊滅させてしまったのである。
『黒い破壊神』の異名がゲシュペンストについたのは、この頃であったが、扶桑姉妹がブラック鎮守府などに居た場合のスタンピード率は半端なく、また、扶桑姉妹によってでしか、その怒りは止められないという有り様だったのであるが、それはまた余談であろう。
そうしてその後、造田博士と姉妹達は『艦娘擁護派』にして北の英雄と呼ばれる、北方基地の『水瀬大徹』の元に保護された事がわかり、龍田と那智も北方基地へと向かうとの事で、ゲシュペンストと別れたはずなのだが……。
しかし、北方へ向かった彼女達はその後、内閣軍視局の艦隊に追われれ逃げ回る羽目になったようで、北方基地にたどり着けず、さりとてほとぼりは冷まさねばならぬという事で、そのまま大陸へ逃れ、様々な場所を転々とし、逃げ回ることに疲れてフィリピンでドロップ艦を装って着任し、そのまま数年間、普通に働いていたらしい。
「……俺はお前たちが無事に北方基地に行ったと思ってたが、大変だったんだなぁ」
しみじみと言う玄一郎だったが、しかし『内閣軍視局、と聞いて内心冷や汗タラーリ。
《仕方無いじゃないぃ~っ。まさか『淀み鴉』の艦隊に追われるなんて思って無かったものぉ~っ!というかこんな時にまで来るなんてっ、ホントに忌々しいっ!!」
「『淀み鴉』?」
《軍視局の艦隊のリーダー、大淀の事だ。不意打ちで三式弾を撃ち込んで撃破したが、ヤツはしぶとい。まだ生きているだろうな》
那智はさらっとそう言ったが、あっちゃぁ、と玄一郎は思った。ようするに、玄一郎が助けた大淀は、龍田達にとっては不倶戴天の敵であったらしい。
「『淀み鴉』ねぇ。ふーむ、確かに生きてるな。今居る拠点に彼女達もいるからなぁ」
隠しても仕方あるまい、とあっさりとバラす。
《ゲシの字。まさか奴らを助けたのか?》
「沈みかけてたからな。うむ、とはいえ、まぁ、いつものことだ。お前らも助けてみせる。とは言え……」
《とは言え、なによぉ?裏切ったのぉ?まさか浮気ぃ?》
龍田はヒンヤリと物理的に冷ややかで恐ろしげなオーラを出しつつ言った。並みの人間ならそれだけで震え上がり、人間だった頃の玄一郎だったならば、大淀の事は言えないだろう。おそらくチビる。絶対チビる。
しかしパーソナルトルーパー、ロボットの身体だから大丈夫。さすがだゲシュペンスト、何ともないぞ?多分。すんげー怖いけど。
「いや、浮気てお前……。俺はロボットだぞ?うん、性別もう無いしな?つーか、それより今深刻な状況になりつつある。レーダーに艦娘を乗せた大型輸送艦らしき物が台湾方面からこっちに来てるのを感知した。日本海軍が押っ取り刀で重い腰を上げたらしいな、こりゃ。到着予定時刻はだいたい昼、だなこりゃ」
《……それは確かにヤバい。艦娘の数は?》
冷ややかなオーラを放つ龍田を退かせ、那智がドローンのカメラの前までやってきた。深刻そうな表情で顔を青くしているが、艦隊が来るよりも他の何かがあるような、そんな焦った顔だった。
「ドローンを飛ばしてみないとわからん。反応からして10や20ではきかんな。最低でも40はいると見るべきだろうな、こりゃ」
《……深海棲艦を力任せに殲滅するつもりなのだろうが、しかしそれは不味い。ゲシの字、良く聞け。今回のこの騒ぎの原因は、研究施設で作られた、生物兵器、それも艦娘に寄生して脳を乗っ取り、怪物にしてしまうような奴だ。艦娘の大量投入はそれの拡散の原因になる。その輸送艦を止めろ!!》
「なんだって?!」
《寄生虫の弱点は高速修復剤だ。後、海水や塩に弱い。故に、このフィリピンの泊地からは拡散していないが……。艦娘の大量投入は、世界中の艦娘の脅威になりかねない!初期段階ならばまだ修復剤で治せる。しかし怪物化してしまったら、もう助けられん。殺してやる以外に方法は無い。試したが、縞傘製薬の修復剤は奴らには効かん。とっくに仕組まれてたんだ!縞傘の連中はこの寄生虫を艦娘に取り付かせ、拡散しようとしているんだ!》
「……マジでバイオハザードかよ?!」
玄一郎の嫌な予感が当たった瞬間であった。
《バイオハザード?生物災害、確かにそうだな。ただ、細菌によるものでは無く、空気感染が無い。それに寄生虫は見えるからな。本物の高速修復剤を持っていれば奴らは寄り付かない》
「……縞傘製薬とやらの目的はわからんが、つまり、造田博士のレシピ通りの高速修復剤なら、ちゃんと効くんだな?」
《そうだが、ここには縞傘のしかないんだ。お前が私達に持たせてくれたもの以外はな。あと三つしかない。あの明石に使ったが、完全に寄生虫を排出するまでは外に出せん。お前はいくつ持っている?あれば分けてほしい》
「無限に作り出せるさ。エネルギーが許す限りな。ほら、横須賀の造田博士のラボにレシピがあったろ?あれを造田博士の助手の人と解析して作り出せるようになったんだ。……とりあえず、今から輸送艦の方に行って事情説明、場合によってはエンジンぶち壊してでも止める。いや、お前等に次のドローン飛ばして高速修復剤をデリバリーしてやるのが先か」
《ああ、頼む。私達の危機もあるが、寄生虫を外に出すわけには行かない。お前のメガキャノンで施設毎焼き払ってもらうつもりだったが、高速修復剤が無限に作れるなら、もっと穏便な方法で解決出きるはずだ。とにかく輸送艦の件を早く解決してくれ》
「とりあえず、通信の為にドローンはステルス解いて置いていく。そいつにも一応、アームガンがある。なんかあったらそれで援護するからな?」
玄一郎は回線を開いたままで、厨房から外へ出た。
バイオゥ・ハズァードゥ……。某ゲームの始まりのあのやたら発音の良い声が。
まぁ、寄生虫が出てくる辺り、あれ的ですが。
しかし。
龍田の改二おぱーい、大きいよね。うん。大好きだ。怖いけどな?