二次創作/デジモンアドベンチャー03 変わりゆく時代の中で 作:島鳥 烏
その先からアルファモンの世界を滅ぼした究極の悪なるデジモン、アンラモンがこちらの世界へと降り立った。
清浄なる光輪を背に、神秘のローブで身を包んだスプンタモンとは対照的に不浄なる光輪を背に、邪悪な鎧を纏うアンラモンは、その鎧の両肩と胸にある邪龍の口から病魔、瘴気、厄災を放出し、世界を死に至らしめ、そして死したデータを全て取り込んでいく。
それは誰も止められない。誰もアンラモンの許に近づく事すら出来ない。唯一対となる力を持ったスプンタモンを除いては。
だが、それでもアンラモンは止められない。対となる力を持っていてもアンラモンは既にデジタルワールドを一つ食らいつくしていた。アンラモンにスプンタモンは太刀打ちできなかった。
けれどまだ終わりではない。オメガモンが未来を見通すオメガインフォースの力を以てしても見通せない未来があった。それはアルファモンとオメガモンの力をスプンタモンに亮と言うものだった。
オメガモンですら見通せない未来の可能性に掛けてアルファモンとオメガモンはスプンタモンに取り込まれる事を選ぶ。そしてアルファとオメガ。相いれる事のない正義はスプンタモンの中に宿る無数の正しき心を持ったデジモン達によって結びつき、一つになる。
その時、スプンタモンは究極体をも超えた超越体へと更なる進化を遂げる。
そして現れたのは始まりにして終わり。アルファにしてオメガ。データを構成する0と1に干渉する神の力を持ったヤハウェモンだった。
その力は常軌を逸しており、認識範囲下のデータをその意思一つで消し去り、そしてその認識はデジタルワールド全域へと及ぶと言う終焉のΩによってアンラモンの支配する怒り、憎しみ、悲しみ、絶望、そして孤独を消し去り、アンラモンになる前のアライブモンへの姿へと戻す。
そして認識範囲下にあるあらゆるデータを過ぎ去った状態へと復元するαへの回帰にて死したデジモン達を全て蘇らせる。それは次元の壁が破壊された事によってアルファモンの世界をも認識範囲に捉える事でアンラモンに食いつくされた世界をも復元した。
そしてヤハウェモンから解放されたアルファモンは復元する自分の故郷と仲間達を目の当たりにして、自分の行いは正しかったのか間違っていたのかを自身に問いかける。だが、その答えは出ない。
そしてアルファモン同様に解放されたアグモンは太一と共にパートナーを失ってしまった亮を前に後悔する。
結局自分は守ってやる処か全てを託す事しか出来ず、そしてその悲しみを背負わせてしまったんだと。
だが、それは防げたかもしれない。もっと人間とデジモンが分かり敢えていたら少なくともダークヴァンデモンの思惑は未然に防ぐ事が出来た筈だと。
そして太一は決意する。自分が本当にやらなければならない事を。人間とデジモンがもっと分かり合える世界を作る事を。