ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「Fly Away」
「・・・・退屈だな」
502に着任になって2日目、俺は今、502の自室の椅子に座りながら、そうポツリとつぶやく。の並行世界から戻り俺たちは無事、502基地につくことが出来た。だが不思議なことにあの世界で一週間いた俺たちだったのだが、こちらの世界ではあの落雷からたったの3時間しか経っていなかったって言うことだ。本当にあの雷といい不思議なことがよく起きるもんだ・・・・・まあ、それはさておき今、朝なのだがいつもより早く起きたので暇を持て余していた。因みにアイはエイラたちの部屋で寝ている、
「・・・・・部屋で閉じこもっても仕方ないし、いつものように素振りでもするか・・・・」
と、そう言い、俺はコートオブミッドナイトを手に取り部屋を出るのであった。そして外に出て、いつものように刀の素振りをする。もうこれは日課といってもいいくらいだ。今思えば幼い頃から剣とか握っていたな。そんな昔のことを振り返っていると
「朝早くから、鍛錬とは異世界の扶桑人も熱心だね~」
と、背後から声が思振り向くとそこには
「ああ、おはようございますアウロラさん。と、言うよりお久しぶりですね」
と、スコップを担ぎもう片方にウォッカを持って立っていたアウロラさんがいた。するとアウロラさんがふっと笑い
「ああ、最後に会ったのは春あたりだったからかれこれ5か月くらいたつか・・・・・それよりも疾風、昨日は来るのが遅くてみんな心配していたんだぞ?それに駅で待っていた私や二パたちや502の皆もお前たちのことを心配していたのだぞ?」
「うっ・・・・それはすみません・・・・」
流石に並行世界へ行ってきました。なんていっても信じてはもらえなさそうだしな。すると
「まあ、それはいいんだ。それよりも疾風・・・・」
とそう言うとアウロラさんは俺の肩によりかかりそしてウォッカを一杯飲んで
「サーニャやアイから話は聞いたぞ?お前、妹に婚約指輪を渡したらしいな?」
「え、ええ・・・まあ///」
俺は顔を赤くして頬を掻きながらアウロラさんはにやにやしながらそう言い
「そうか~そうか!そうか!お前やイッルはついにそこまで行ったか~姉としてこれほど嬉しいことはないなアハハハっ!!」
「ちょっ!アウロラさん痛いですよ・・・・」
と、バンバンと俺の肩を叩くアウロラさんに俺は苦笑する。もしかして少し酔っているのかな?するとアウロラさんは
「さて…そう言えば私はまだ仕事が残っていたんだっけな。じゃあ、私はもう行くぞ。イッルやアイを大切にな義弟君」
とそう言い嬉しそうに笑いながらアウロラさんが去って行った。まるで嵐みたいな人だな・・・・そんなことを思いながら俺はまた素振りをし始める。そして素振りを千回ぐらいした後はしばらく基地の周辺を散歩し部屋に戻る最中、廊下を歩いていると・・・・
「やあ、疾風君」
と、廊下の角を曲がろうとしたとき、偶然クルピンスキーに会う
「ああ、クルピンスキー。おはよう」
「ああ、おはよう、もしかして朝稽古の帰りかい?」
「まあ、そんなところですよ・・・・・・で、クルピンスキー。お前何を持っているんだ?」
「何って、疾風君は花束を見たことはないのかい?」
「いや、花束くらいは見たことがあるよ。俺が言っているのはそんなものもってどこに行くんだと訊いているんだよ」
そう、クルピンスキーが手に持っていたのはバラの花束であった。俺に聞かれてクルピンスキーはふふっと笑い
「どこって決まっているじゃないか。エイラ君やサーニャちゃんたちの部屋に行ってモーニングコールをしに行くだけさ、そしてこの花束はアイちゃんにプレゼントしに行くのさ。やっぱり可愛い女の子にはきれいなバラが似合うからね。何なら君も彼女と娘さんを起こしに行くかい?」
「同行させてもらう」
と、不適の笑みでそう言うクルピンスキーに俺はきりっとした顔で彼女に同行する。しばらく歩くとクルピンスキーはふっと何かを思い出したかのよう立ち止まり俺の顔をじっと見る
「ふむ・・・・」
「どうしたんだよクルピンスキー?俺の顔に何かついているのか?」
「ねえ、疾風君?君って本当に男?」
「はぁ?いきなり何言っているんですか?」
いきなりの言葉に俺は目を丸くしてそう言うとクルピンスキーが
「いや~疾風君って、男性って言う割には華奢な体だし、顔も女性みたいだし何より背が小さいからどう見たって女性にしか見えないな~もしかして男装しているとか?」
「背が小さいのは余計だ。それに俺は正真正銘の男だよ」
「ふ~ん、じゃあ、これは何かな?」
「ん?」
クルピンスキーはそう言いポケットから一枚の写真を取り出す。その写真に写っていたのは前の仮装大会で俺が渋々着たあのメイド姿の写真だ
「なあぁぁー///!!!」
俺はその写真を見るや否や顔を真っ赤にして絶叫した。
「く、クルピンスキー。そ、その写真をどこで!?」
「これ?前にフラウに貰ったんだよ~」
「おのれ~ハルトマン・・・・・」
俺が頭を抱えているとクルピンスキーが俺に近づき、そして俺に足をかけてバランスを崩させる。
「うわぁ!?」
俺が転びそうになった時クルピンスキーは俺の腕を掴んで壁に彼の体を押し当てた。俗に言う、壁ドンの男女逆バージョン状態だった。そしてクルピンスキーは顔を近づけ俺の耳元で
「ふふ・・・・やっぱり疾風君は黒服姿よりもこの写真に写っているメイド姿とかが一番似合うね~男性にはもったいない可愛さだよ・・・・・ねえ、疾風君。この写真に写っている仮装じゃなくて本当に僕の専属メイドにならないかい?エイラ君やアイちゃんも一緒でいいからさ」
と妖艶な笑みで俺の耳元でささやく。
「冗談じゃない。お、俺はメイド服着る趣味はないしさっきも言った通り俺は男だぞ!?」
「ふ~ん。本当にそうかな?」
と、そう言いクルピンスキーはそう言い俺の胸に手を伸ばそうとしたその時、俺とクルピンスキーの顔の間にナイフが飛んできて、壁に突き刺さる
「「っ!?」」
その一瞬の出来事に俺とクルピンスキーは目を丸くしその投げられた方へ顔を向ける。すると・・・・
「ク~ル~ピ~ン~ス~キーーーー!!!私の彼に何してんだよオマエ!!!」
「偽伯爵さま?こんなところで人様の彼氏に何をしているのかしら?」
と、そこには使い魔を発動させキツネの耳や尻尾を出しているエイラとロスマンさんがいた。なんというか二人とも目が笑っていないそれどころか後ろでゴゴゴゴゴ・・・・・というような文字が見えるんだが・・・
「や、やあ、二人ともお、おはよう・・・・いったいどうしたのかな?」
と、クルピンスキーが冷や汗をかきながらそう言うとエイラが
「なんか目が覚めてアイの頭撫で出たら、急に未来予知でお前が疾風に変な事をしているのが見えてな。で様子を見に来たら曹長に偶然あってな・・・・」
「で、ユーティライネン中尉の話を聞いて、一緒に疾風さんの部屋へ向かおうとしたら途中の廊下であなたが疾風さんを押し倒しているのが見えてね・・・・で、何か言い訳があるかしら伯爵さん?」
「あ、いや…その・・・・あ、エイラ君。アイちゃんは今・・・」
「アイなら今、菅野の部屋に行っているよ。なんでも本を借りに行くとか」
「そ、そうなんだ~あ、あはは「クルピンスキー?」・・・な、なんでしょ先生?」
「言い訳がないなら。覚悟はいいですね。ユーティライネン中尉?この偽伯爵をお借りしていいですか?」
「どうぞナンダナ。私も疾風と話がしたいし・・・・」
この時疾風とクルピンスキーはこう思った「これはやられる」っと
「さ、行くわよ!」
「ノーーーーーーー!!!」
と、そう言いロスマンさんはクルピンスキーを引き釣りだしクルピンスキーは悲鳴を上げる。そして残ったのは俺とエイラだけであった。そしてエイラはゆっくりと俺に近づき、そして顔をあげる
「疾風・・・・・・」
「は、はい!・・・・な、なんでしょうかエイラさん?」
と、俺はギクシャクしながら言うとエイラは俺の手を取りそして
「・・・・・・あいつに変な事されていないか?」
「・・・・・・え?」
「だから!あいつにキスとかそう言ういやらしいことはされていないのカ!?」
と、俺にそう言うと
「い、いや壁ドンとかされたけど。そう言うことはされていないよ」
「嘘じゃないナ?」
「当たり前だろ?エイラ。俺が嘘をつく人間に思えるか?」
俺がそう言いエイラはジーと俺の目を見る。そして
「そうか・・・・・・良かった・・・・」
と、ほっと胸を撫で下ろしエイラ。そして
「疾風、言っとくけどけど私はこう見えて少し嫉妬深いからナ。別に相手と仲良く接するのはいいんだ。だけどお前が別の女とイチャコラするのはなんていうか…少し寂しい」
と、エイラは顔を少し赤くし使い魔の尻尾を振りそう呟く。それを見た俺は
「ごめん。エイラ、寂しい思いをさせて」
「わかればいいんダ。じゃあ、疾風。私を心配させたお詫びに・・・・・」
「お詫びに?」
「頭を撫でてくれるカ?」
「?それだけでいいのか?」
「うん。それだけのことでも私は幸せだ。あ、ついで言えばそれが終わった後、手を繋いで歩かないか?」
「ああ、良いぜ」
「~♪」
と、そう言い俺は少しの間エイラの頼みに付き合うのであった。
一方アイは、菅野の部屋で菅野に本を読んでもらっていた。因みにアイにとってはこれが一つの楽しみでもあった
「どうだ?面白かったか?」
と、菅野は本を読み終えアイにそう言うと
「はい。とても面白かったです!特に浮遊城に捕らわれた主人公が二刀流を使ってモンスターを倒すところが」
「そうか。俺もそこが面白かったんだよ」
と、妹みたいに可愛がっているアイの笑顔に菅野も嬉しそうな笑みをこぼす。
「次はなんですか?」
「次か?そうだな・・・・・あ、そうだ。じゃあ、次は白銀の鎧を着た子豚と蝶の羽を付けた黒の姫が出てくる話なんてどうだ?」
「わぁ~とても面白そうです!!」
「そっか、じゃあ読むぞ」
と、菅野は食事の時間になるまでアイに本を読んであげるのであった
一方、クルピンスキーは森の中で、斧を手に持って木を切っていた。あの後ロスマンさんから懲罰として薪の材料である気を100本斬り倒し、それを薪にするように言われたのだ。そして首には『私は人の恋人に手を出そうとしました』と書かれていた
「はあ・・・はあ・・・・W狐女・・・・怖い」
と、そう呟き、木を切る。すると・・・・・
「・・・・・・ん?」
クルピンスキーは何かに気付き向こう側の少し広くなった場所を見る。するとそこには人が倒れていた
「なっ!?・・・ちょっと君大丈夫かい!?」
と、クルピンスキーは斧を投げ捨てその人に駆け寄る。その倒れている人は女性で金髪の長い髪にそして真っ黒な軍服を着て襟には白文字でSSと書かれていた。クルピンスキーが呼びかけながら揺らしていると・・・・
ギュ~
と、彼女の腹から音が鳴りそして・・・・
「・・・・・腹減った」
と、つぶやくのであった。それを見たクルピンスキーは放っておくわけにもいかず彼女を担ぎ基地に運ぶのであった