ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
op「INNOCENCE」
ED「Fly Away」
エミリアが502に義勇兵として着任して翌日、俺は部屋で小説を読んでいた。本の題名は「黒の剣士」そう、俺のことを書いた本であった。著者は扶桑皇国のとある新聞記者が俺のことを知っている人物とかに取材しまとめたのがこの本だ。内容はまあ、まあ面白く、記録としては正確に書かれているのだが、人物描写がかなり脚色されている。ていうかかなり尾ひれがついている。
「はぁ・・・・」
俺が内容を見てため息をついていると
「何読んでいるんだよ?」
と、いつの間にいたのか菅野が俺の後ろにいた。因みに彼女は俺と同じ読書家なので意外と話があったりと仲がいい、いわゆる読書友達だ。因みに菅野と俺はエイラと同じ同い年である
「ああ、菅野か。この本だよ」
「ああ、その本なら俺も呼んだぜ。おめえについて書かれているんだよな?・・・・・・なあ『俺が二本の刀を抜けば立っていられる奴はいない!』ってあれ本当におめえが言ったのか?」
「いやいや、そんなこと一言も言ってないよ。という以前にこの本に書かれていることはほとんど間違っているよ」
「やっぱりか・・・・お前にしては似合わないしなこの本に書かれている台詞。それになんかこの本に出てくるおめえ、まるで別人のように書かれているから変だと思ったぜ。あ、それと」
と、菅野は一冊の本を出し俺に渡す。それはフランス語の本であった
「ほら、前に読みたがっていた本、貸しに来てやったぞ確かこれだったけか?」
「ああ、ありがとな菅野」
「いいってことよ。そよりも疾風。おめえエイラとアイはどうしたんだよ一緒じゃないのかよ?」
「ああ、アイはサーシャさんの所に行って遊んでいるよ。それとエイラなら、サーニャと一緒に湖を散歩しに行ったよ。なんか最近サーニャニウムが不足しているとか言っていたぞ」
「サーニャニウム?なんだそれ?」
と、菅野が首をかしげていると
「あ、疾風さん。それに菅野さんも」
と、そこへ雁渕と下原が入ってくる
「やあ、雁淵。下原さん」
「菅野さんと何をしているんですか?」
「何って読書だよ。結構面白いぞこの本。・・・・ん?下原さんその手に持っているのは?」
「なんかいい匂いがするな」
「はい。実はクッキーを焼いたんです。よかったら食べますか?」
と、下原が持っているお皿には大量のクッキーがあった。それを見た雁渕と菅野は物欲しそうな顔をし俺は
「そうだな。せっかくだしいただこうかな。あ、じゃあ、お茶を入れるから座ってくれよ」
と、そう言い俺はお茶を入れる。そして4人はお茶を飲みながらクッキーを食べる。すると雁渕が
「そう言えば疾風さんって別世界の扶桑出身でしたよね?確か日本だったけ?」
「ああ、そうだけど?」
「日本のどこ出身なんですか?」
「え?俺は熊本の熊本市生まれだけど」
「熊本!?私と同じ九州だ!私、九州の長崎の佐世保出身なんです!」
「へ~長崎か・・・・下原さんや菅野は?」
「私は広島の尾道です」
「俺は宮城の角田町だよ」
「へ~そうか・・・・・・」
雁渕たちの言葉に俺は生まれ故郷の熊本を思い出す。幼い頃は華琳義母さんのレンジャー級の修行とかやったがたまに義母さんに息抜きと言われ熊本城や海水浴とかいったけな・・・・・義母さん。今頃どうしているのだろうか・・・・そんなことを考えるとふっとあることに気付く。そう言えば・・・・俺は壁に掛けられているカレンダーを見る。するとカレンダーには
『1945年8月6日』
と書かれていた。確かこの日って・・・・・・
「どうかしたんですか疾風さん?カレンダーを見て?」
と、雁渕が首をかしげると
「あ、いやなんでもないよ。それよりもこのクッキー美味しいな」
「はい。まだたくさんありますのでどうぞ」
と、その後、クッキーの匂いに誘われエイラたちも来て俺たちはクッキーとお茶を楽しむのであった
疾風が菅野と一緒に読書をしている頃、カールスラント技術省では先月の501のヴェネチア戦の教訓に強大な力を持つネウロイに対抗するため過去に「ジェットストライカー」を開発したウルスラ・ハルトマンと物理学者ハンナ・クリューゲをメインスタッフとしてとある軍事工場で恐るべき兵器が完成されようとしていた。それは対ネウロイ用長距離弾道破壊兵器「Ⅴ2ロケット1号」であった。そしてこれを見たカールスラントの将軍たちはⅤ2を見て
「これさえあれば東部前線の戦局を打開できる」
と、カールスラント軍の将軍ハインリッヒ・グデーリアンは嬉しそうな顔をしていた。そしてグデーリアン将軍はウルスラやハンナの方へ顔を向け
「・・・・で、二人ともこのⅤ2ロケットはいつ発射実験をするのかね?」
とそう訊くとウルスラが
「予定では82時間後の午前11時02分に行う予定です・・・・」
「場所はどこかね?」
「はい、予定場所は502統合戦闘航空団基地ということになっています」
お茶会の後、俺は昨日ここの義勇兵となったエミリアと廊下を歩いていた。
「は~下原のクッキーは美味しかったわね~」
「確かにな・・・・・」
とエミリアがそう言うが俺はどこか上の空のような感じだった。エミリアはそれに気づき
「疾風、どうしたんだ?」
「あ、いや。なんでもないよ。ただ、今日はあの日なんだなって・・・・」
「あの日?・・・・・・もしかして原爆の日か?」
と、エミリアがそう言うと俺は頷く
「そうか・・・・そう言えば1945年8月6日、私たちの世界では第二次大戦中、人類初の核爆弾が落とされ多くの犠牲者が出た日か・・・・」
「ああ、人間の歴史の中、絶対に忘れちゃいけない日だよ・・・・」
そう、俺があの時カレンダーを見て感じたのは俺たちの世界で起きた悲劇のあの原爆投下の日だ。
「確かにあの悲劇は絶対に忘れてはいけないわね・・・・それで疾風それだけじゃなそれだけじゃないのでしょ?」
「ああ、おれが心配なのはこの世界でも核兵器が作られてしまうのではっということだ。この世界は俺たちの世界のようにはしちゃいけない・・・・・あんな悲劇な事が起きるのは・・・・・」
「私たちの世界で十分っか・・・・確かにそうね」
と、俺とエミリアが話しながら歩きそして談話室につくと人だかりができていた。
「ん?なんだろう?」
「さあ?」
と、俺たち二人はその集まりの所へ行くと
「ああ、疾風」
「あ、お父さん」
と、エイラとアイが俺に気付き声をかける。この時のエイラの顔は何やら艶艶していた。どうやら無事、サーニャと二人っきりになれたみたいだな。
「やあ、エイラ。アイ。何集まっているんだ?」
「ああ、なんでもカールスラント技術省から試作兵器が実験として送られてくるらしいんだ」
「試作兵器?」
と俺はみんなの集まっているところを見るとそこには何やら設計図みたいなのが置いてあった。すると
「あ、あの・・・これって何ですか?」
雁渕が質問をするとラル少佐が
「最近カールスラント技術省が開発した対ネウロイ用のロケット弾らしい。なんでもヴェネチアのマルタ島に現れた悪魔型ネウロイのような強力なネウロイに対抗するべく作ったようだ。悪魔型のことはそいつと戦った501に所属していた疾風大尉たちが一番知っているだろう?」
と、その言葉を聞いて俺とエイラたちはあの時のことを思い出す。確かにマルタ島の戦いで現れた悪魔型は強敵で奥の手の二刀流で何とか倒せた。だがその時は俺も危うく命を落とすところだった。そのことを考えると確かに何かの対抗策が必要だ。するとエミリアはその設計図を見る
「対ネウロイ用長距離弾道破壊兵器「Ⅴ2ロケット1号」・・・・・使っている弾頭は・・・・・・・・っ!?」
とそう言った瞬間エミリアは目を丸くする。その様子に俺は変に思い俺も設計図を見るそしてエミリアの見ていた弾頭に使われている火薬を見た瞬間、俺も驚きを隠せなかった。そこに書かれていた火薬…いや薬品は「プルトニウム」と書かれていた。その瞬間、俺の顔は険しい顔になる。そんなことも気づかず、これから送られてくる新兵器の話をする
「最新型爆弾の数千倍の破壊力だってよ」
「しかもこれ実験用ですよね?」
「ああ、資料に書かれていることが本当なら、すさまじいものだな。予定では3日後にここで打ち上げるみたいだ」
「もし実験に成功すれば、どんな強大なネウロイでもこれで木っ端みじんに倒せるのか~でもこんなのより僕はぶどうジュースを送ってくれた方がいいね~」
「偽伯爵さんの言葉はともかく、確かにこれさえあればオラーシャ解放の道が一気に進みますね。それどころか一撃でネウロイの巣を破壊できます」
と、ロスマンさんたちがそう言う中、俺はただ黙っていた。エミリアに関しては呆れさの入り混じった顔をしアイはどことなく悲しそうな顔をしていた。すると二パが
「確かにそうだよね~それにもし強力な兵器があるって過激派のネウロイが知ればもう地球を攻撃しないかもしれないね。ねえイッル?」
「確かにナ。たとえ使わなくても超兵器があるというだけで、抑止力にもなるしナ。そうだろ疾風?」
と、エイラは疾風の顔を見るが
「・・・・・・・・・」
疾風は険しい顔でただ黙っていた。しかもその顔はどことなく悲しさと怒りが入り混じっていて手はこぶしを握り締めてわなわなと震えていた
「疾風さん?」
「疾風?どうしたんダ?」
と、サーニャやエイラがいつもとは違う疾風の表情に心配してそう言うと疾風は無言で後ろを振り向き部屋を出て行こうとする
「疾風大尉。どこへ行く?」
とラル少佐が呼び止め疾風は立ち止まり
「・・・・・・上層部に行ってⅤ2ロケットの発射実験の中止をお願いしに行きます」
「っ!?」
その言葉にみんなが驚き
「な、なにを言っているんですか疾風さん!実験を中止にするだなんて・・・」
「疾風君は反対なのかい?」
と、ロスマンさんとクルピンスキーがそう言うと
「ああ、それにロスマンさん。一つだけ聞きます・・・・・・地球を守るためならどんな手を使っても許されるのですか?」
「・・・・え?」
「どうなんですか答えてください!」
「そ、それは・・・・」
ロスマンは疾風のその言葉に戸惑いその問いに答えられなかった。するとラル少佐が
「大尉。確かにお前の言いたいことはわかる。しかしお前はマルタ島でも経験している通りにウィッチの攻撃では通用しない強力なネウロイが必ずまた現れる可能性がある。その時の対抗策に・・・・」
「超兵器が必要なのか?ラル少佐?」
「認めたくはないがそうだ・・・・・」
俺はラル少佐の言葉を聞き振り向くと真剣な目でこういった
「過激派ネウロイはその兵器に対抗してまた強力なネウロイを誕生させますよ!?いや、それ以前にこの星を狙う侵略者は超兵器に対抗しもっと強力な破壊兵器を作りますよ!それでもいいんですか?」
「は、疾風?」
いつもとは違う疾風の表情にみんなは、みんな違和感を覚える。するとラル少佐が
「それなら、我々はそれよりも強力な兵器をまた作ればいいだけの話じゃないのか大尉?」
「確かに、そうだと思いますよ?」
と、そう言い、みんなが頷くと、疾風は肩を落とし悲しい顔をし
「・・・・・・それは血を吐きながら続ける悲しいマラソンでしかないよ・・・・それにこの世界でも核兵器が使われるなんて俺は絶対に認めない」
「え?」
疾風の言葉にエイラがそう言うと疾風はそのまま無言で部屋を出て残されたみんなはただ唖然として立っていたのであった
「それは血を吐きながら続ける悲しいマラソン」これは地球を愛した宇宙恒星観測員の名セリフの一つです。因みに題名の元ネタは知っている人もいると思いますがウルトラセブンの第26話の「超兵器R1号」が元ネタです