ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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内容を少し変えました





op「INNOCENCE」

ED「Fly Away」


第101話「最強にして最悪の兵器」

「・・・・・」

 

一方、別の場所、ベルギガのとある研究室でⅤ2ロケットの開発メンバーであり501統合戦闘航空団のエース。エーリカ・ハルトマンの双子の妹である。ウルスラ・ハルトマンはⅤ2ロケットの設計図を見ていた。

 

「(本当にこれでいのだろうか・・・・)」

 

と、ウルスラはそう疑念を感じる。確かにこれがあればウィッチで倒すのが難しいネウロイが現れても対処できる。しかし、このロケットに使われている物質のことを考えていると・・・・

 

「何、Ⅴ2の設計図とにらめっこをしているの?」

 

と、後ろから白衣を着た髪の長い女性が覗き込むように立っていた。彼女の名はハンナ・クリューゲ。物理学者でありウィッチの一人だ。

 

「・・・・ハンナさん。いえただ、これに使われているプルトニウムって言うのが気になって・・・・これって危険性はないのですか?」

 

と、そう言うとハンナは

 

「危険なものよ。私は原子とかそう言うのを研究していたけど、このプルトニウムの破壊力は今までの大型爆弾の数千倍の破壊力よ。そしてこの威力は人類の戦いの常識を一変にして変えるわ。もちろんいい方向にね。これさえあればどんな大型ネウロイやネウロイの巣も木っ端みじんよ」

 

「ですが、もしその兵器が悪い方に使われたら・・・・・」

 

「それはあなたには関係ないことよウルスラ。こう言う弾頭とかに使われる物質は私の分野。あなたは何も気にせずただこいつを大気圏まで飛ばし正確に命中せる強力なロケットエンジンを作ればいいのよ・・・・ところであなたは3日後の実験場に来るのかしら?」

 

「はい。ですがその日の前にロマーニャのヴェネチアに行って会わなければいけない人がいるので、来るのは実験の日の午後辺りだと思います」

 

「ヴェネチアで会わなければいけない人?誰よ?」

 

と、ハンナがそう言うと

 

「・・・・・・・私たちと同じとある科学者です」

 

と、そう言いウルスラは部屋を出るそして残ったハンナは

 

「これさえあればカールスラントも・・・・私はどんな手を使ってでも祖国を取り戻す・・・・たとえ悪魔に魂を売った血も涙もない人間として永久に歴史に名を刻まれようとも・・・・」

 

と、そう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで疾風さん。あそこまでⅤ2ロットに反対したんだろう・・・・」

 

と、ひかりがそう言うとサーシャが

 

「それにさっき疾風さんはⅤ2のことを核兵器っといっていましたが・・・・・・エミリア大尉は何か知っているのですか?」

 

とそう言うとみんなの視線がエミリアに向く。するとエミリアは軍帽を深くかぶり、そして静にこういう

 

「核兵器っているのは私たちの世界にあるプルトニウムやウランなんかの元素をもとに作られた人類史上最強にして最悪の兵器よ・・・・まさかこの世界にもプルトニウムがあったなんてね・・・・・」

 

と、少し悲しそうな顔をする

 

「人類史上最強で最悪の兵器?」

 

「ええ、ロスマン曹長。核兵器は人間が作りだした中では最強の兵器。だがそれと同時にいろんな悲劇を生みだした兵器でもあるのよ。特に疾風たち日本人はその核兵器に対しては非常に敏感なのよ」

 

「なんでだ?」

 

と、菅野が興味本位で質問する。するとエミリアは少し顔を背け

 

「・・・・・・・核兵器が最初に実戦で投下され被害を受けたのが日本。ここで言う扶桑だからよ。そして私たちのいた世界の70年前の1945年8月6日に日本の広島に8月9日長崎にその兵器が投下されて一般人や軍人合わせて広島で14万、長崎で7万以上の命や街が消し飛んだわ」

 

「「「っ!?」」」

 

エミリアの言葉に扶桑出身であるひかりや菅野、そして下原が驚く。特にひかりや下原が自分の住んでいる広島や長崎が今、自分たちのいる世界とは違う世界の同じ時刻で消し飛んだということが信じられなかった。すると下原が

 

「あ、あの・・・・冗談ですよねエミリアさん?」

 

「冗談でこんなこと言えるか。事実よ。疑うならこれが証拠よ」

 

と、そう言いエミリアは胸ポケットからスマホを取り出す

 

「あ、あの…エミリアさん。これって」

 

「ん?ああ、そう言えばまだこの時代にはなかったわね。これはスマートフォンといって電話にもなるしいろんな情報を検索できる優れもので21世紀の道具よ」

 

「こんな薄っぺらくて小さいものが電話ですって?」

 

と、ロスマンが興味津々で見る

 

「ええ、ただここには人工衛星が無いから衛星電話やインターネットはできないけど保存した資料や曲、映像なんかは見れるわ・・・・あったこれよ」

 

と、そう言いエミリアが見せたのは自分たちのいた世界の20世紀に起きた第二次世界大戦のことに書かれた資料で、特に1945年に起きた広島と長崎への原子爆弾の投下原爆投の映像資料をみんなに見せた。そしてエミリアが最後に見せたのは原爆を超える史上最大の水爆、ツァーリーボンバーの実験映像だった。一発の爆弾が投下され雲一つない青空が一瞬にして大きな閃光に包まれそして激しい轟音を発しそしてあたりは夕焼けのごとく赤く染まりそして立ち上るどす黒いキノコ雲が立ちあがるのであった。その映像を見てみんなは顔を青くしたり口を抑えたりしていた。

 

「これ・・・・本当にエミリアさんの世界で起きたことなんですか?」

 

「ええ・・・・で、その核のもとになる物質の一つであるプルトニウムがこのⅤ2ロケットに搭載されている。確かに強力なネウロイを倒すにはそのぐらいの威力が必要でしょうね。ただその兵器が誕生した機に世界各国もそのネウロイに対抗するため次々とⅤ2を凌ぐ核ロケットを作るでしょうね・・・・・そう、さっき疾風が言っていた『血を吐きながら続ける悲しいマラソン』って言うのが始まる。今思えば人間の戦争はまさに血を吐き続けて走るマラソン状態よ素手から石器、石器がダメになれば弓矢 、弓矢がダメになれば鉄器、鉄器がダメになれば銃器、銃器がダメになれば爆弾、爆弾がダメになれば今使用されようとしている核・・・・本当にキリがないわね・・・・人間は最終的に自分たちの作りだした兵器で滅びるかもしれないね」

 

「・・・・・・」

 

その言葉を聞いてみんな暗い顔をする。そしてエイラは後ろを振り向き、疾風のいる部屋へと向かうのであった。それを見たサーニャは追いかけようとするがアイに止められて

 

「今は行かせてあげて・・・・・」

 

と、そう言われサーニャは立ち止まる。そして残った502メンバーは

 

「まさか、Ⅴ2に搭載されているのがそんな恐ろしいものだったとはな・・・・・・」

 

と、ラルがそう言うと二パが 

 

「ラル隊長。Ⅴ2の発射実験って中止することはできないんですか?」

 

「私も同感です。もし疾風さんやエミリアさんの言うことが本当なら。これは中止するべきだと思います」 

 

「私もです!」

 

「俺も同感だ」

 

と下原やひかり、そして菅野もそう言う。そしてロスマンも

 

「私もひかりさんたちと同じ意見です隊長。確かにこのⅤ2の破壊力はすごいですがそれと同時になにか取返しのつかないことが起きるような気がします」

 

そう言うがラル少佐は

 

「これは上層部が決定したことだ。何より中止を進言するにも、もう時間がない・・・・残念ながら難しい話だ」

 

とラル少佐は無表情でそう言うがその顔はどこか悲しさと悔しさが入り混じっていた

 

「そんな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

疾風の部屋

 

「はぁ・・・・・・」

 

俺はベットに横になりため息をつく。Ⅴ2ロケット・・・・・第二次世界大戦で旧ナチスドイツが開発した長距離ロケット・・・・いや、弾道ミサイルだ。今思えばこの1940年代の時代は核爆弾やミサイルなんかの超兵器時代の幕開けでもある。そして戦後に起こった核ミサイル開発競争時代であった冷戦なんかもそれだ。エミリアから聞いた話だが第三次大戦でもⅤ2に核弾頭を乗せる計画はあったらしいが、条約違反なのとエミリアを含む将校や何より新ナチスの総統が「あまりにもやりすぎだ」っという声が多かったためその計画は無しになったらしい。そう思うとエミリアに感謝だな・・・・・

 

「まさかこの世界でも核兵器が・・・・」

 

俺は小さい頃核兵器の存在を初めて知った時は激しい嫌悪感を覚えた。何もかも焼き尽くし、死の灰をまき散らす兵器。もしかしたら人類は自身の作りだした兵器で自滅するのかと、正直俺は思った。だからこそ俺はこの世界にも核兵器が誕生することに激しいショックを受けた。だがいずれにせよ、次々と強力なネウロイが現れる中いずれは核が登場するのことはほんの少しだが予測していた。だが、まさかこんなに早く出てくるなんて。

 

「もし、核兵器が使われたらこの世界は・・・・・」

 

そんなことを考えていると

 

コンコン

 

と、ノックの音がして

 

「疾風。いるか?」

 

と、エイラの声が聞こえた

 

「エイラか?開いているぞ」

 

と、そう言うとエイラ入って来た。そしてエイラが真剣な目で

 

「話はエミリアから聞いたよ・・・・・お前たちがいた世界でのあの兵器のこと・・・・・」

 

「そうか・・・・・エミリアから聞いたのか・・・」

 

俺がそう言うとエイラは俺の隣に座る

 

「エイラ・・・・俺は怖いんだ・・・・核の登場でエイラのいるこの世界でも俺の世界のようになってしまうんじゃないかってね・・・・」

 

そう俺は怖かった。今、Ⅴ2が実戦に配備されればネウロイの巣を撃滅できるかもしれないが、もしもネウロイとの戦争が終結した時は、恐らく他の各国は新たな侵略者や戦争に備えⅤ2を凌ぐ超兵器を作るかもしれない。かつての冷戦のように・・・・いや、それだけではない。人類共通の敵がいなくなれば各国の欲にまみれたお偉いさんや他国の資源や領土を狙い戦争をおっぱじめる可能性がある。俺たちの世界の大戦のように・・・・・・

 

「俺は・・・・もうあの大戦での悲劇をこの世界の人々には味合わせたくない」

 

と、どこか沈んだ気持ちでそう言うと・・・・

 

「疾風・・・・・」

 

「っ!?」

 

いつの間にか俺の目からは涙が流れていた。目尻に溜まったその涙をエイラが手でぬぐってくれてそしてエイラの顔はまるで母親のような優しい笑みを浮かべたあと優しく俺を抱きしめてくれた

 

「疾風・・・・お前は誰よりも優しい奴ダナ・・・・なあ、疾風。なんでも一人で抱え込まないでくれ・・・・お前は一人なんかじゃないんダ。私やアイやサーニャ。みんながいる。だから一人で抱え込まないで私にもその苦しみや悲しみを背負わせてくれ・・・・・・もし疾風が核兵器の実験を中止しようとするなら協力する」

 

と、俺の頭を撫でそう言うエイラ。

 

「エイラ・・・・・アンガトな・・・」

 

「ふふっ・・・・ナンテコトナイッテ。」

 

と、二人はサーニャたちが心配してくるまでの間しばらく抱き合った態勢になっていたのであった。

 

 

 

 

 

 

ある場所の線路では一つの貨物列車がペテルブルグへと向かって行った。

 

「あともう少しでペテルブルグだな・・・・・それにしてもこの列車の荷台に積んでいるのなんだろうな?立ち入り禁止って書いてあるけど?」

 

「さあな。なんでもカールスラントが新たに開発した新型弾頭だとよ。なんでもすさまじい破壊力とか何とか。それと訊いた話では別の汽車の方ではなんかでっかいロケットエンジンをつんでいるとか・・・・・」

 

「へ~」

 

と、列車の中、汽車の乗務員たちはそう話す。そしてそのうちの一人がその弾頭の入ったそうこを見る。その倉庫は普通の倉庫と違い分厚い鉄で覆われそこには『危険、立ち入り禁止』と書かれていた。すると汽車が急に大きな影に包まれる

 

「ん?なんだ?」

 

と、汽車の運転手が上を見上げると、そこには大きな黒い物体があった。それを見た運転手や乗員は顔を青くしそして・・・・

 

「ネウ・・・・ロイ」

 

といった瞬間、汽車は赤い光に包まれ、そして気が付けばそこには無残にバラバラになった汽車の残骸があった。ただ不思議なことに汽車が積んでいたあの積み荷は無傷であったがその積み荷はふわっと吸い上げるかのように宙に浮きそして汽車を襲った大型ネウロイに吸収される。そしてその大型ネウロイは金切り声とともに動き出しさらに体中から灰色の霧みたいなのを吹きだして502のあるペテルブルグへと向かうのであった

 

 


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