ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「private wing 」

ed「シルシ」


第112話「涙雨」

「・・・・14年前?」

 

「そうです。ここでの記録では私たちが地球にやって来たのは6年前の1939年と言われていますがそれよりも以前にやってきているのです」

 

と、そう言うとレインは空を見上げ語り始める

 

「今から14年前、一人の我が同胞が宇宙観測の任務中に宇宙船の事故によりこの地球に不時着したことがあった。だが、当時のこの地球の大気汚染が予想値よりもはるかに高かったため彼女は深刻な病に侵されてしまった、体力の消耗も激しく隠していた宇宙船をも引き上げる力を失ってしまい彼女は不時着地点から近かったカールスラントのとある廃墟でやむを得ず人間としてしばらく暮していた・・・・・だけど」

 

と、そう言うとレインの顔はどこかしかめるような仕草をすると・・・

 

「だけど、彼女が人間ではないと知った一部に人間たちが恐怖のあまり彼女を殺害してしまったのよ!!」

 

「「っ!?」」

 

レインの言葉に疾風は驚き特にアイは目を見開き信じられないと言いたいくらいに驚く。その言葉は疾風の無線から502基地のウィッチたちにもその言葉に驚いていた。そしてレインの言葉は続く

 

「無断で地球に入り込んだ私たちにも確かに非がある。だが、命を奪われるほどの何を彼女はしたというのよ・・・・」

 

と、悲しみの入り混じった声でそういうレイン

 

「・・・・じゃあ、お前たちが地球を襲撃した理由は地球人に殺された仲間の仇討ちか?」

 

「それは半分正解だ。だが我々は最初は地球侵略という過激な思想はなかったが。ヤプールらを筆頭とする過激派、主戦派の連中らがその事件を口実に新たな領土を取るため攻めたのだ。話がそれたな。・・・・疾風大尉、この問題はこの世界の人間と我々ネウロイとの問題だ。異世界の住人であるあなたには関係のないこと、だから・・・・・」

 

「わかった。君が武力ではなく話し合いで解決しようというのなら俺は干渉しないし手は出さない」

 

と、そう言うとアイも

 

「私もですレインさん。私もネウロイと人間が仲良く共存して暮らせるなら協力します。だって私もネウロイですがこうやってお父さんやお母さんたち、人間の人と仲良く一緒にいるんですから」

 

と、そう言うとレインは頷き

 

「なら、約束だ・・・・・」

 

と、レインは自分の腕の先に五本指の手を生成し、その手を前へ差し出し握手を求める。そして疾風とアイは彼女に近づき握手をしようとしたが・・・・・

 

ダァーン!!

 

「ぐっ!!」

 

「「っ!?」」

 

といきなり銃声がなり彼女の腕が少し欠け彼女は腕を抑えうずくまる。

 

「レインさん!」

 

アイがレインに近づき疾風は銃声のなった方を見るとそこにはオラーシャ兵らしき人物が震えながら銃を構えていた。どうやら森の中を歩いている中、偶然ここの現場を見て恐怖のあまり撃ってしまったのだろう。そしてオラーシャ兵はそのまま走り逃げてしまった

 

「待てっ!!」

 

と、疾風は逃げたオラーシャ兵を追いかけるのだった

 

「レインさん。大丈夫ですか!?」

 

アイはレインにそう言うがレインは

 

「みなさい。あなたの両親と慕っている人はい奴かもしれない。だが、やはり人間たちは自分とは異なるものをすぐに敵と決めつけ攻撃してしまうのよ。あなたも気をつけなさい。人間たちはあなたがネウロイだと知れば手のひらを返すようにあなたに銃を向けるかもしれないわ。」

 

と、どこか憎しみを含めた言葉を言いそして立ち去ってしまう。アイはその様子をただ見ているしかなかったのであった

 

 

 

 

その後502基地の談話室では先ほどのレインの会話について話されていた

 

「まさか信じられません14年前にそんなことがあったなんて・・・」

 

「でも、そんな事件本当にあったのかよ?」

 

と、下原と菅野がそう言うとロスマンが

 

「私の教え子の一人に諜報に長けた子がいてね。その子に訊いてみたんだけど確かに14年前、カールスラント北部にある廃墟で一人の若い女性が住んでいたらしくその女性はとある少女と暮らしていたらしいんだけどその廃墟に地域住民が押し寄せてきて同行していた憲兵が発砲したみたいよ」

 

と、ロスマンが持っていた資料を見てそう言うと

 

「それが事実ならあまりにも悲劇的だね・・・・」

 

「そうね・・・・」

 

と、そう言う中

 

「でも、何となくわかる気がするんです」

 

「何がジョゼちゃん?」

 

「だって、いきなり人じゃない全く違う者が現れたらだれだって怖いと思うんです」

 

「確かにそうだけど・・・・・」

 

と、ジョゼの言葉に二パとひかりがそう思うとラル少佐はため息をつき

 

「人間は美しい花を作る手を持ちながら、いったんその手に剣を握ると、どんな残酷な行為をするっていうことか・・・・・・」

 

「え?」

 

「昔、ガランド少将に言われた言葉だ。そして少将はこうも言った『たとえ自分たちとは違うものがいても相手を信頼し勇気をもって話し合うことが大切だ』といっていたな・・・・・・」

 

「その言葉なら私もイスパニア内戦の時に聞きました」

 

「そう言えば僕も初めて会った時にそんな話聞いたっけな・・・・」

 

と、カールスラント組はそう言う中、するとひかりが

 

「・・・・あれ?そう言えばアイちゃんの姿が見えないんですけど?」

 

と、言うと疾風が

 

「アイは・・・・・部屋に一人閉じこもっている。多分さっきのことがショックだったんだろう・・・・」

 

「私たちやサーニャや姉ちゃんがドア越しから呼びかけても返事しなくてナ・・・・心配だ」

 

とエイラが心配そうに言う中、疾風は

 

「俺、もう一度アイのところに行ってくる」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

一方、アイは部屋の中でベットの上に座り物思いに耽っていた。その顔は苦悩や悲しみに入り混じった顔でアウロラに貰った熊のぬいぐるみをぐっと抱きしめていた。

 

「私は・・・どうすれば・・・・」

 

アイが考える中するとノックの音が聞こえる

 

「アイ、いるのか?入るぞ」

 

そう言葉の後ドアが開きそこから疾風が入る

 

「・・・・・お父さん?」

 

「となり座ってもいいか?」

 

と、そう言うとアイは頷き疾風はアイの隣に座る。

 

「どうしたんだいアイ?そんなに暗い顔をして?エイラやみんなが心配していたぞ?」

 

と疾風がそう訊くとアイは無言のままだった

 

「・・・・もしかしてさっきのネウロイのことか?」

 

と、疾風が訊くとアイは無言で頷きそして

 

「お父さん。私わからないんです。人間という者を・・・・お父さんやお母さんたちみたいにいい人もいればさっきのⅤ2のクリューゲさんさんみたいな悪い人もいる。私はこんなに怖いと思ったことはないんです。そして私はいずれ人間の人たちのことに絶望し不信感を抱くかもしれません」

 

と、そう言うと疾風は

 

「・・・それでいいんだよアイ」

 

「え?」

 

「アイ。お前が人間が好きになろうとするなら、人間のことをもっと知らなければいけない。人の強さも弱さも美しさもそして醜さもな・・・・・その両方を知らなければお前は本当の意味で人間を愛することはできない」

 

「お父さん・・・・・」

 

「俺はあの世界の戦争でそんな人間の両方の姿を見て生きてきた。そして多くの人の美しい面やそして醜い面なんかもな。だから俺は同じ人間としてそう言うことが一番よく知っているのかもしれない・・・・・」

 

そう、疾風はあの戦争でいろんな人物と会った。自分の私利私欲の為に動くもの、また家族や国の為に戦う者、平和を望み人を愛するもの、そして人殺しを楽しむもの。そんな人たちを疾風は15年間見続けてきたのだ。そして疾風は一呼吸入れると

 

「・・・・だからアイ」

 

と、そう言うと疾風はアイの頭に手を乗せ

 

「優しさを失わないでくれ 弱い者をいたわり、互いに助け合い、 どこの国の・・・・いやどの世界の人達とも友達 になろうとする気持ちを失わないでくれ。 例えその気持ちが何百回裏切られようと。それが父さんの変わらない願いだよ」

 

そう言い疾風はアイの頭を撫でる。そしてアイは

 

「・・・・・・うん」

 

と、笑顔を見せてそう答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、レインは怪我をして腕を抑えながら森の中を歩いていた。そしてレインは

 

「少しでも人間を信用とした私がバカだったわ。こんな野蛮な連中にまともな話し合いなどできるか!」

 

と、そう言うと

 

「人間が憎いか?」

 

「っ!?」

 

急に後ろから声がし、レインは後ろを振り向くとそこには白い白衣を着た金髪の少女がいた。レインはその少女を見た瞬間、怪我をしていない片手をその少女に向けビームを溜める。するとその少女は

 

「いきなり見知らぬ相手に光線を放とうというのかレイン准尉?それこそあの劣等な人類と同じだぞ?」

 

「っ!?・・・・・・貴様なぜ私の名を・・・・何者だ?」

 

「フフッ、安心しろ敵ではないわ。俺は貴様の味方だ」

 

「なんですって?どういう意味だ?」

 

「人間が憎いのであろう?。俺はあなたに協力しようって言っているのよ」

 

と、そう言いその少女は白衣のポケットから何かのカプセルを出すとレインに向けて投げる。レインはそのカプセルを受け取る

 

「これはなんだ?」

 

「ふふ、このカプセルには戦闘型ネウロイが格納されている。しかもそのネウロイは使い手の憎しみと悲しさが大きければ大きいほど強くなる。これを使えばで人間たちを滅亡させ、貴様の復讐も達成することができるぞ」

 

と、くくっと笑う少女にレインは

 

「・・・・・・貴様、人間ではないな・・・・何者だ?」

 

レインが警戒してそう言うとその少女は二っと笑い

 

「そうね・・・・・人間を憎む怨念の集合体とでも言っておこうか」

 

そう言うとその少女はまるで煙のように消えるのであった。そしてレインは

 

「怨念の集合体・・・・・・・まさか」

 

と、そう言い彼女はその少女からもらったカプセルをみる。そしてふっと笑うと

 

「ふっ・・・・・面白い」

 

と、そう言いそのカプセルを放りなげる。そしてそれと同時にそのカプセルからまるで百足のような骸骨のような異形な形のネウロイが現れそして不気味な咆哮を上げるのであった。そして先ほどまで蒼空だった空は一瞬にして曇り始めそしてまるで空が泣いているかのように雨が降り始めるのであった


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