ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「~たった1つの想い~」

ED「あさきゆめみし」



第121話「悪夢」

「ここは・・・・どこじゃ?」

 

わらわの名はハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン。カールスラント空軍大尉でここ506統合戦闘航空団A部隊の戦闘隊長じゃ。今私は自分の部屋のベットで寝ていたはずなんじゃが、今わらわがいるのは自分の部屋ではなく。狭い廊下であった。そしてその通路は少し揺れていた。たあだそれは地震ではないことはわかるこの揺れは恐らく

 

「・・・・・・もしかして船の中か?はて?いつの間にか船に乗ったのじゃ?」

 

わらわはそう首を傾げ廊下を歩く。と、廊下の向こうで水兵の格好をした扶桑人らしき人影を見た

 

「おい、お主ちょっと待て」

 

と、声をかけるのだが、水兵たちはわらわを無視して通り過ぎる

 

「なんじゃ、話しかけているのみ見向きもせぬとは無礼な・・・・それとも言葉が通じぬのか・・・・・」

 

と、わらわはため息をつく。すると今度はわらわの目の前にパイロットらしき男性と女性が話をしながらこちらに来るのが見えた。わらわはすかさず

 

「すまないお主たち。ここはどこなんじゃ?」

 

と、そう訊くが彼らはわらわの言葉を無視して素通りする。さすがにわらわも頭に来て

 

「おいちょっと待たぬか!」

 

と、そう言いわらわはその水兵の腕を掴むが、するりと通り抜けてしまう。

 

「なっ!?」

 

そのことにわらわは驚いた。だがパイロットたちは何事もなかったかのように通り過ぎる

 

「まさか、彼らは幽霊か?いや、この場合わらわが幽霊なのか・・・・・それともこれは夢なのか・・・・」

 

とにかく今はここがどこなのか知る必要がある。彼らと会話することができないのなら彼らを追いかければ何かわかるやもしれぬ。そう思いわらわはそのパイロットたちについていくのであった。そしてついた場所は甲板で払暁の空、地平線がうっすらと赤らんでいる。そしてその甲板には飛行機が並んでいた。

 

「空母じゃと?」

 

そう、わらわは今自分が乗っている船が空母だったことに気が付く。右舷前方に配置されている艦橋をを見ると士官らしき紺色の軍服を着た人たちが話をしているのが見えた。

そして、わらわが周りを見ると、そこにはいろんな軍艦があった。あの軍艦は確か扶桑のカゲロウ型駆逐艦とタカオ級重巡洋艦、そしてその奥には大型の空母が二隻いた。・・・・わわわは飛行甲板を歩くと整備士やら搭乗員やらが飛行機のチェックをしたりしておる。だが、そこにある飛行機の内先頭にある深緑の戦闘機は最近扶桑で配備されたと聞く零式戦闘機はわかるがその後ろにある攻撃機(流星改)爆撃機(彗星)は見たことが無かった。爆弾や魚雷を積んでいるから扶桑の新型の軍用機であることはわかるのだが見たこともないものであった。

そして何より、変わっているのが胴体に記してある国籍印じゃ、普通扶桑の国籍は赤い三日月のマークのはずじゃがこの機体は真っ赤な丸の形。そう前にセダンに届いた、あの疾風とかいう奴のユニットに記されている奴と同じものであった。

 

「一体どうなっておるのじゃ・・・・・」

 

夢だとわかっても奇怪すぎてわらわは頭を悩ませる。それにこれは一体いつのころなのか?そう思っていると艦橋にある黒板を見つけた。

 

「失礼……今日は、いつなんじゃ?」

 

相手に見えない聞こえないと分かっていても、一言断りを入れてしまう。わらわは、はぁ~とため息をつき黒板を見ると

 

「平成24年12月8日」

 

と、扶桑語で書かれていたが全く漢字がわからない。ただわかるのは今いる場所が12月8日の空母の上だということだ。そしてわらわは首をかしげていると、黒板の前に集まっていた搭乗員たちが一斉に飛行機に乗り出し零戦以下無数の飛行機が空母から発進した。するとユニットを履いていないのに急に体が浮きその飛行機の後を追うように流される。わらわは急に体が浮いたことに驚いたが夢だからと気にはしなかった。じゃが、今気になっているのはあの飛行隊がどこへ向かっているのかじゃ、そしてしばらく飛んでおると・・・・・

 

『ポートモレスビーはアジアを進出するナチスにとっては極めて重要な軍港だ。いわばアジアのジブラルタル及びアメリカの真珠湾みたいなものだ。これ以上の進出を防ぐにはここを叩かなければならない』

 

恐らく無線の声なのかそう言う声が聞こえた。ナチス、アメリカ。聞きなれない言葉だ。もしやネウロイの巣のコードネームか何かだろうか?そう思っていると

 

『敵艦隊を発見!戦艦9隻、空母2隻、重巡洋艦1隻、軽巡4隻、潜水艦7隻、いずれも停泊中のもよう!!」

 

その言葉を聞いてわらわは彼らの向かっている。方向を見るとそこには軍港が見えた。もしやあ奴ららはあの船を襲う気か?そしてわらわはその軍港に停泊する船を見ると

 

「あれはテルピッツにアドミラルシュペー!?」

 

そう、その軍港に停泊していたのは我がカールスラントの軍艦、戦艦テルピッツや巡洋戦艦アドミラルシュペーの他多数の軍艦が停泊していたのであったが、やはり先ほどの飛行機と同様、艦首にある国籍がカールスラントと違い鉤十字のマークじゃった。そして

 

『ポートモレスビーに敵艦隊を視認!!』

 

『よぉーし!信号弾を上げろ!!』

 

と、そう言うと攻撃機に搭乗しているパイロットが信号弾を上げる

 

『結城、艦隊に発進!『我、奇襲ニ成功スル!!トラ・トラ・トラ!!!』や!!』

 

という声とともに戦闘機隊は飛行場に向かい、爆撃機や攻撃機が軍港に泊まっている軍施設や軍艦に爆弾や魚雷を放ち攻撃し、墜とされた爆弾は軍艦や軍施設に命中し爆発し、魚雷は軍艦に命中し水柱が上がり爆炎が上がる。

 

『クソッ!ジャップめ!まさかこちらが攻撃する前に奇襲をするなんてな!!』

 

『撃てぇ撃てぇ!!撃ち落とせぇ!!ジャップを粉々にしろぉ!!!』

 

『ナチスをなめるな!!!』

 

と、軍港にいた兵士たちが対空砲や機銃に向かい発砲する。そしてそれに続き軍艦や施設から対空砲や機銃が撃ちあがりその飛行隊を撃ち落とそうとし、その機銃や砲火でまた一機また一機と飛行機が火に包まれ堕ちる。そして、飛行基地では無数の零戦が基地に泊まっている戦闘機や爆撃機に機銃掃射して破壊し、その上空ではメッサーシャルフ109が零戦と交戦しているのが見え多くの航空機が煙や炎を吐き出しながら飛び交い散っていき、ふわりふわりと落下傘が落ちていくのが見え、地上では爆弾で大きく空いた穴。そしてそこには血にまみれ倒れる兵士、中には身体がバラバラになっているのもあった。

 

「なんなんじゃ、これは・・・・・」

 

わらわはその地獄のような光景に青ざめた。なぜ、彼はなぜ殺し合っているのだ。敵は人ではなくネウロイのはずだ。なのになぜ人間同士殺し合っているのじゃ・・・・・その残虐な光景にわらわは目を背けたくなる

 

「もし、これが夢なら早く、覚めてほしい・・・・・」

 

そう思っていると・・・・・

 

「疾風機!!敵編隊に遭遇!敵飛行場上空より交戦中!!」

 

どこかで聞いた声が聞こえてきた。この声は・・・・・わらわはその声の方を向くと一機の零戦が無数にいるメッサーシャルフを相手に戦っていた。そしてその戦闘機は可憐な機動力で回避し、機銃照射しメッサーを撃ち落とす。自分より多い相手を瞬く間に撃ち落とすとはなんてすごい腕だ。すると零戦の中から

 

『こちら疾風!戦果!敵戦闘機3機撃墜!!』

 

「やはり、この声は・・・・」

 

わらわはその零戦の中を覗いた。そしてわらわはその中にいるパイロットの顔を見た。その顔は幼い顔だが、そいつはペテルブルグから助っ人としてやって来たあの男であった。

 

「あ奴は・・・・・・疾風大尉?」

 

と、わらわはそう呟いた瞬間。辺りは真っ白になる

 

「はっ!?」

 

その瞬間、わらわは飛び起き、あたりを見ると、そこはいつもの見慣れた部屋であった。そして体は汗を拭きだしていることに気が付く

 

「やはり・・・・・夢じゃったか」

 

と、わらわは汗をぬぐい服に着替える

 

「なんじゃったんじゃ・・・・・あの夢は」 

 

あれはただの夢には思えない。なんというか妙に現実味がありすぎる。・・・・・・あの風景が一体何なのだ?ネウロイではなく人同士が殺し合うあの様子。まったくもって理解できん・・・・・それ以前にあの夢に出てきた飛行機といい軍艦といいそれに記されていた国旗もわらわの知らない国の旗だ。それ以前にそして何よりあの男が出てきたことだ・・・・・・なぜあの男が出てきたのだ。なぜ疾風大尉があのような地獄に出ているのだ。彼に事はここに来る前、ガリアがネウロイの手から解放された時に調べたことがあった。

疾風村正、階級は大尉で年齢は15(1945年の時は16)出身は扶桑。原隊は不明で使用するストライカーユニットは扶桑の海軍で最近配備された『紫電』なのじゃがあやつの紫電の速度は後に記された記録では800・・・・もしくは900までだと記されていた。その速さは最早レシプロの速さではない。そして撃墜数はあのエース。エーリカ・ハルトマンを凌ぐという。だが、書かれていたのはそれだけで詳しい事情や情報は書いてなかった。

話をさっきの悪夢に戻そう。先ほども言ったがあの夢に出てきたのはただの夢ではない。もしかしたら・・・・・

 

「疾風大尉の記憶か?・・・・・・・」

 

と、そう呟くが、わらわはふっと笑い

 

「いや、そんなはずはないな・・・・・・あり得ぬ・・・・・」

 

と、そう言い窓の方を眺めるのであった

 


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