ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「~たった1つの想い~」

ED「あさきゆめみし」



第122話「映画と昼寝」

ガリアのとある映画館

 

「・・・・・・で、ディジョンで何か掴めたかエミリア?」

 

「全然よ・・・・・そっちは?」

 

「全然だ。ジャックザリッパーのザの字もねえよ」

 

と、まだ朝なのか客の少ない映画館の中で疾風とエイラは映画を見ながらそう話す。疾風とエミリアは暇な日を見て映画館とか喫茶で連絡を取り合っていた。え?なぜ電話でしないかって?それはセダン基地ではキーラ少佐が言うには基地内に内通者がいるため、情報が漏れないように情報規制のため電話や手紙での連絡ができないのだ。そのため二人はこうして秘かに会っているのだ。そして二人が調べていたのは殺人鬼ジャックザリッパーの情報だ。何せその殺人鬼に対しての情報が少なすぎて二人もまだ対策を立てようにも立てられない状態なのだ

 

「で、どうだ?セダンでの生活は?」

 

「まあまあだな。それなりに楽しんでいるよエミリア。そっちは?」

 

「こっちも同じね。カーラとコーラ談義したりunoをしたりね。そう言えば、カール大尉がお前のこと心配していたぞ?」

 

「マリアンが?」

 

「ええ、『あいつが難物のヴィトゲンシュタイン大尉にひどい事されていないか』とか心配していたみたいだぞ?」

 

「へ~大尉がね・・・・・別に俺はハインリーケ大尉には何もされてないぞ。むしろなぜか避けられている」

 

「そうか。まあ、お前が平気ならそれでいい。さて、映画の続きでも見ようか疾風」

 

「そうだな・・・・・・・」

 

因みに映画は悪党ブタが女性を攫い主人公である犬人が飛行機で追いかけるという子供向けの映画であった。するとエミリアはポップコーンを食べながら

 

「なんかあれね。この映画を見ているとジ〇リ映画の『ポルコ・ロッソ』のワンシーンを思い出すわね」

 

「ポルコロッソ?ああ、紅の豚か・・・・・確かにこの映画に俺たちがいるとまさにあのシーンに似ているな・・・・」

 

「ほんとよね・・・・ねえ、幸い客が少ないしちょっとそのシーン再現してみない?小声で?あんたポルコで」

 

「ああ、いいよ・・・・・・・コホン。・・・・・少佐か出世したなエミリア」

 

「バカが、なぜ戻って来た大尉?」

 

「行きたいところはどこでもいくさ」

 

「テロリスト共がお前を探しているぞ。つけられなかったか?」

 

「巻いてやったさ。あんな奴に捕まる俺じゃない」

 

「お前には敵国軍人であること、密出入国、そして成人して結婚もしてないのに妻と子供を持った狼だということで逮捕状が出される」

 

「ぷくく・・・・」

 

「くくく・・・・・バカ、笑ってる場合か?お前のストライカーユニットも没収すると言っている」

 

「ひでぇ映画じゃないか」

 

「なあ、疾風。ナチスルフトバッフェ(空軍)に入れよ。今なら私たちの力で何とかするわ。あんたの腕前ならきっとテロ側も歓迎する」

 

「ナチスやファシストのようなテロリストに成り下がるくらいなら殺されたほうがましさ」

 

「まったく、一匹オオカミはどこまでも一匹狼か・・・・・」

 

と二人がそんな茶番をしている中、映画はハッピーエンドのシーンになると

 

「いい映画じゃないの・・・・・・・あんたは気づいているけど、気をつけなさい。敵はネウロイだけじゃないわよ・・・・・・・あばよ戦友」

 

と、そう言いエミリアはいったん席を立ち、立ち去る。そそしてしばらくした後エミリアは二人分のポップコーンとジュースを持って戻ってきて席に戻ると

 

「終わったか?」

 

「ええ、あ~楽しかった。ホイ。追加のポップコーンとジュース。ポップコーンの味は塩でいいのよね?」

 

「ありがとなエミリア。お前はバターか?」

 

「私はどちらかというと醤油バター派だけどここは塩しかないから塩よ」

 

「そうか。ま、まだ映画が二本も続くみたいだし楽しもうか」

 

「そうね」

 

と、そう言い二人は映画を楽しみ、その後二人はそれぞれの基地へと戻るのであった

 

 

 

 

 

 

 

一方、セダン基地では・・・・・

 

「昨日もあの夢のせいで眠れんかったの・・・・・」

 

と、ハインリーケ大尉は目をこすりながら廊下を歩く。今朝見たあの夢で全然眠れなかった。

 

「全くあの疾風という男が来てから変な夢ばかり見おる・・・・・はぁ~」

 

と、ため息をついていると

 

「何ため息をついているんだい姫様?」

 

「ん?ああ、ヴィスコンティ大尉か」

 

とハインリーケが振り向くとそこにはアドリアーナがいた

 

「どうしたんだ姫様?そんな眠たそうな顔をして昨日は眠れなかったのか?」

 

「ああ、ちょっと変な夢を見てな・・・・・」

 

「変な夢?」

 

「ああ、いやなんでもない。それよりも疾風大尉はどうしたのじゃ?先ほどから姿が見えないが?」

 

「大尉なら、先ほどセダンの外れの映画館で映画を見るとか言って出て行ったよ。そう言えば大尉が映画を見に行ったって聞いた時の黒田の顔、見ものだったぞ『大尉だけ映画見るなんてずるい!!私も映画見たかった~!!』と、悔しそうに言っていた」

 

「その姿、目に浮かぶの・・・・・・で、大尉はいつ戻るのじゃ?」

 

「もう、そろそろ戻ると思うぞ?なんだ姫様。疾風大尉に気でもあるのかい?」

 

「た、戯け!そんなわけないじゃろう!!」

 

と、そう言うとハインリーケは顔を真っ赤にしてその場を立ち去るのであった。それを見たアドリアーナは

 

「やれやれ・・・・姫様も素直じゃないな」

 

と、軽いため息をしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、ヴィスコンティ大尉め。私があ奴に気がある?冗談にしても行っていいことと悪いことがあるじゃろうが!」

 

 

そう言いわらわはしばらく基地週内の庭を歩いている時、一本の大きな木が見えた。そしてその木の下では誰かが寝そべっている。わらわがそこへ行くとその人物はあの男、疾風であった。どうやら映画を見終わり、基地に戻った後、この木の下で昼寝をしておるみたいだな・・・・・まったく。帰ったら帰ったら出一言隊長か皆にただいまの一言ぐらい言ったらどうなのじゃこいつは・・・・・・そう思っておると、そ奴はわらわに気付いたのかうっすらと目を開けわらわの方を見ると

 

「・・・・・どうも大尉。散歩ですか?」

 

と、気楽に話しかける。なんじゃろう、こ奴を見ると先ほどの悪夢を思い出してしまう。まったくせっかくの気分転換の散歩で忘れかけておったのに・・・・・それにあんな夢を見たのはもとはと言えばこいつと出会ったせいじゃな・・・・・

 

「お主・・・・何をしておる?」

 

と、少し目を細めそう訊くのじゃが

 

「見ての通り木の下で涼みながら寝ているんですよ」

 

と、あくびをしながらそう答える。こやつ・・・それでも軍人か足るんどる

 

「お主、今の状況がわからぬのか?今はネウロイとの戦争中、いつ敵が襲撃してくるかもわからぬのじゃぞ?それな。今506はネウロイの他に爆破事件の内通者やら殺人鬼やらで大変な時にそなたはなぜそう、のんびりとしておるのじゃ?」

 

と、少しきつい言葉でそう言うのだが、疾風大尉は表情を一切変えず目をつむり

 

「今日はガリアで最高の季節温度に風速・・・・外で昼寝をするにはちょうどいい気候だ」

 

「・・・・・・・は?」

 

わらわはそ奴の言葉に一瞬言葉を失い。そしてそ奴はこうも言った

 

「そんないい季節に神経をピリピリさせすぎたら体がもたないし、いざっていう時に体調を崩す。こういういい天気は気分転換に寝っ転がるのもそう悪くはないよ。大尉も寝っ転がればわかるよ」

 

「・・・・・・・」

 

と、そう言い疾風は目をつむりまた寝てしまった。こ奴のお気楽なところはどこか黒田に似ておる。全く足るんどる・・・扶桑人は皆こういう奴ばかりなのか?わらわはそ奴を叩き起こそうと思ったのだが、あまりにも気持ちいい寝顔を見て手が止まってしまう

 

「・・・・・・・そんなに気持ち良いのかの?」

 

わらわは先程の言葉を思いだし、こ奴の隣にねっころがってみる。すると木の枝がカーテン代わりになっているのかちょうどいい日影ができそして激しくもそして弱くもないちょうどいい風がわらわにかかりそして何より日差しがちょうどよい暖かさだ。なるほど・・・・こ奴の言う通り、昼寝にはもってこいの気温じゃな・・・・・そう思いわらわはそっと目を閉じるのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ~」

 

しばらくして疾風が目を覚まし頭を少し掻く。すると疾風は何かの気配に気づいたのか横を見ると

 

「うわっ!?」

 

そこには先ほど声をかけたハインリーケ大尉がすやすやと眠っていた

 

「・・・・・まさか本当に眠ってしまうとは・・・・・たく風邪を引くぞ」

 

と、疾風はそう呟くとコートを脱いで彼女に掛ける。このまま去るって言う手もあるんだが、さすがに広い基地の中一人いさせるのは少し危ないかな?

 

「・・・・はぁ。仕方がないな・・・・・」

 

と、俺は木のすぐそばにある石垣に座りハインリーケ大尉が目覚めるまで待つことにしたのであった。その後は黒田やアイザックなどがやって来たりしていた。その時、アイザックがハインリーケ大尉の顔に落書きをしようとしたのを防いだり黒田の奴に『なんで映画、誘ってくれなかったんですか!!』と、すごい剣幕で俺に言い寄ってたっけ・・・・・あいつ、よっぽどの映画好きなんだな。今度また見に来るときは一言誘ってみるか・・・・そんなこんな考えていると空はもう赤く染まって日も沈み始めていた。すると・・・・

 

「くしゅん!」

 

と、くしゃみが聞こえ振り向くとハインリーケ大尉が目を覚ますのであった。そして俺は彼女に

 

「おはよう。よく眠れたかな大尉?」

 

と、そう言うのだがなぜか大尉は顔を真っ赤にして立ち上がり腰につけてある拳銃に手をかける。やばい。撃たれる。なんか怒らすようなことしたか俺?そう思い俺は慌てて石垣を降りると大尉の顔は静かに拳銃を離し、そして・・・・

 

「今夜のデザート・・・・・」

 

「へ?」

 

「今夜のデザート。わらわの半分やる。これで相子じゃ良いな大尉?」

 

大尉は顔を赤くしそっぽを向いてそう言う

 

「え?あ、ああ・・・・」

 

と俺は大尉のいきなりの言葉にただ頷くしかなかった。

 

 

 

ハインリーケ視点

 

「くしゅん!」

 

急にくしゃみが出て目を覚ました。いかん。わらわは寝てしまったのか?そう思い起き上がると何やらわらわの上にコートが被せられていた。そう言えば寝ている時わずかに暖かく感じたのだがもしかしてこれのおかげか?

 

「これは・・・・・」

 

わらわがコートを掴むとそのコートはあ奴の着ていたあの漆黒のコートじゃった。すると人の気配がし、わらわは気配のする石垣の方を見ると疾風大尉が石垣の上に胡坐をかいていた。そしてあ奴はわらわが起きたのに気づいたのか童の方へ振り向き

 

「おはよう・・・・よく眠れたかな大尉?」

 

と、不適の笑みでそう言う。その時わらわは気づいた。こ奴はわらわが寝ている時にずっとそばにいたのだとそしてわらわの寝顔を見ていたと。そう思った瞬間わらわの顔がなぜか熱くなり、無意識に腰に下げていた拳銃を手にしてしまう。それを見たあ奴は目を丸くし慌てて石垣を降りる。いかん。冷静になれ私・・・・何をそう焦っておるのだ・・・・よく考えろ。いつもうっかり外で昼寝をしたとき、起きたらヴィスコンティ大尉かバーガンデール少尉に顔とか悪戯書きされていたが、今回はそれはない。きっとあ奴がそうさせぬようにわらわを守ったのじゃ、なら、貸しはすぐに返さぬといけぬ。さて、どう帰すべきか悩んでいるとすぐに解決方法が浮かんだ

 

「今夜のデザート・・・・・」

 

「へ?」

 

「今夜のデザート。わらわの半分やる。それで相子じゃ良いな大尉?」

 

と、わらわはそっぽを浮いてそう言う。別に例とか感謝とかそう言う感情はない。ただ借りを返すだけじゃ・・・・・返すだけなのじゃが、なんじゃろう、この気持ちは。あ奴に会ってからこのようなもやもやした感情が来る時がある。そしてわらわと大尉は基地に向かうのであった。そしてわらわは

 

「・・・・・今日はありがとな「。おかげで少し気分転換ができた・・・・」

 

と、小声で奴に礼を言った。こ奴のおかげで寝不足も回復したしおかげで頭がすっきりしいい気分転換になったからな・・・・

 

「え?何か言いました大尉?」

 

と、疾風大尉は首をかしげる

 

「何でもない!ほら、さっさと基地の中に入らぬと夕食に遅れるぞ」

 

「あ、ああ!!」

 

そう言いわらわは走り出すと疾風大尉もわらわの後を追うのであった。それにしても先ほど感じたあのもやもやとした感情は一体何だったのじゃろうか・・・・・そのことがわらわにとって一番の疑問であった・・・・

 

 





次回もお楽しみに!!

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