ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「~たった1つの想い~」

ED「あさきゆめみし」


第124話「黒の剣士と黒き姫(中編)」

「まったくヴィスコンティ大尉の奴め!愛想が無い?勝手にふるまう?ふざけるんじゃない!疾風大尉へのくどい助言は絶~っ対にわらわへの嫌味じゃな#!」

 

と、眉間にしわを寄せてそう言うハインリーケ大尉。今俺とハインリーケは真っ暗な夜空の中夜間哨戒のため飛んでいた。今夜は新月だが幸いにも星の明かりで周りが見えないわけではなかった。

 

「そうか?俺には親切なアドバイスだったと思うぞ?」

 

「あ奴が親切なら、わらわは真夜中に日焼けして見せるわ!」

 

「まあまあ落ち着けって大尉。それよりも雪焼けなら聞いたことがあるけど真夜中の日焼けか・・・・・ちょっと見てみたいな」

 

と、そう呑気に言う俺を見てハインリッヒは軽くため息をつく

 

「(こ奴は本当に調子の狂う男じゃな。まるで黒田と同じじゃな・・・・・)まあいい。それよりも大尉。異常は?」

 

「目視確認の所、怪しい飛行物体は視認できない。ハインリーケ大尉。そっちの魔導針ではどうだ?」

 

「ふむ。今のところ異常はない。と言うよりも大尉はこの新月の中、見えるのか?」

 

「ああ、さっきもいったろ夜間哨戒の経験はあるって。それに新月と言えども真っ暗なわけではない星の光で少しは見えるからな」

 

と、辺りを警戒しながらそう言う疾風にハインリーケは

 

「(こやつ・・・・こんな状態でも冷静じゃな。てっきり黒田のようにうろたえると思っておったが・・・・・)」

 

と、そう思っているとハインリーケは不意に疾風の履いている紫電改を見る。

その紫電改はいろんなところに傷がついていて彼がどれだけの修羅場をくぐったのかよくわかる。だが、彼女が目にしたのはユニットについている傷ではなくその国籍マークであった。そのマークは先ほど夢で見た。あの赤い丸の印であった。そしてハインリーケはその印を見たあともう一度疾風の顔を見る。そしてまた今朝見た夢のことを思い出す

 

「・・・・・・あ奴、もしかしたら・・・・」

 

 

「ん?どうかしたんですか大尉?」

 

と、その視線に気付いたのか疾風はハインリーケの方を向きそう訊くと

 

「ああ、いやなんでもない。ただ……」

 

「ただ・・・・・・」

 

「ただ?」

 

と、首をかしげる疾風にハインリーケは一瞬、言葉が詰まる。今朝自分が見た夢のことを話すべきか悩んでいたのだが、彼女は意を決して『人を殺したことがあるのか?』と、言いかけたのだが、すぐにその言葉を飲み込んだ。いくら何でも不謹慎だと思ったからだ。

 

「いいや、なんでもない。ただ大尉。この度の任務、隊長にいらぬ気を使われたがわらわにそうした配慮は不要ぞ。わらわは戦闘隊長の役目を重荷に感じてはおらぬ。粗利は合わぬが昼の時はヴィスコンティ大尉に任せておるしの」

 

「そうか・・・・・それにしても奇麗な星空だ」

 

「そうか?わらわにはいつもと同じに見えるのじゃが?」

 

「確かにそう見えるが、今日は新月。月が無いから尚更奇麗に輝いて見える。この星空、エイラやアイも見ているのかな・・・・・・」

 

と、どこか寂しそうな笑みをこぼす疾風にハインリーケは

 

「エイラ?アイ?誰じゃそ奴らは?」

 

と首をかしげると

 

「ああ、エイラとアイはそうだな・・・・・俺のかけがえのない大切な家族・・・・・・」

 

と、そう言いかけた時、急に疾風の視界から赤い線。彼の固有魔法である弾道予測線が表示されるそしてその線はハインリーケをすっぽりと埋める形であった。

 

「っ!?大尉、危ない!!」

 

「え?きゃぁ!?」

 

疾風は急いでハインリーケの腕をつかみグイッと引っ張る。そして急に引っ張られたハインリーケは目を丸くし

 

「何をするんじゃ大尉!?」

 

そう怒鳴った次の瞬間。先ほどまで彼女がいた場所から赤いビームが通り過ぎる

 

「な、なんじゃ!?」

 

「ハインリーケ!ネウロイだ!!11時の方角距離2500メートル先!!」

 

「何!?」

 

疾風にそう言われハインリーケは疾風の言った方角を見るとそこには一体のネウロイがいた。そのネウロイの姿は疾風の世界のナチスドイツの珍兵器ハインケル・レルヒェ に似た個体であった。

 

「なぜあそこに、それ以前になぜわらわの魔導針が反応しなかったのじゃ!?」

 

「恐らくレーダーに反応しないステルス型のネウロイなんだろ?それよりも本部に連絡を・・・・」

 

「その必要はない大尉!たかが一機だ。報告など事後報告でよい!!あんな奴一人で楽勝じゃ!」

 

と、そう言いハインリーケは20ミリ機関砲のコッキングレバーを引きそのネウロイに全速力で向かうのであった。

 

「大尉!?たく、あの馬鹿が!!」

 

と、そう言い疾風も彼女についていくのであった。そしてハインリーケはそのネウロイに向かって銃撃をするがネウロイはものすごい速さでハインリーケの弾丸を避ける

 

「くそ・・・ちょこまかと、動くな!!」

 

と、ハインリーケはそう言い機関砲を放つ。するとハインリーケの目の前にいたネウロイがパッっと消えたのだ。

 

「なっ!?消えたじゃと!?」

 

と、いきなり姿が消え驚く

 

「どこへ消えた?まさか下か!?」

 

下を見るがそこには何もない。すると、彼女の後ろから先ほどのネウロイが姿を現した。それを見たハインリーケはそのネウロイに機関砲を撃つが急にその機関砲の銃撃が病み、その代わりに銃身が真っ赤になる

 

「っ!?くそ、ジャムったか!」

 

弾丸が詰まったことに彼女は焦る。そして先ほどのネウロイは反撃とばかりにビームを放とうとし、ハインリーケを消し飛ばそうとした。だがそのビームがハインリーケに向かって発射されることはなかった。なぜなら、ネウロイがビームを放とうとしたその瞬間頭上から機銃段が降り注ぎそのネウロイを弾き飛ばす。そして

 

「大丈夫か!ハインリーケ大尉!」

 

「は、疾風大尉。す、すまん助かった」

 

と、そこへ疾風が飛んでくる。そうあの時ネウロイが弾き飛んだのは疾風が頭上から機銃照射したからだ。すると先ほどのネウロイは先ほどのお返しとばかりに二人にビームを放ち二人はシールドを張りつつそのネウロイを攻撃する。するとさっきのネウロイはまたも姿を消す。

 

「なっ!?また消えた!ええいどうなっておるのじゃ!」

 

「落ち着け。奴は消えたんじゃない、消えたんじゃない。恐らく当たりの景色と同化する光学迷彩の能力を持ったネウロイだ」

 

「光学迷彩?」

 

「ああ、やつの能力はステルスだけじゃない。奴はなにかの電波みたいなもので辺りと同化して、そして相手の隙を狙い攻撃するんだ」

 

疾風は先ほどのネウロイの能力が光学迷彩で辺りと同化して攻撃するタイプだと見抜いた。なぜそれがわかったのかというと先ほどネウロイが消えて攻撃し始めた時疾風の固有魔法である弾道予測の予測線が。撃った場所を示していたのとその場所を目を凝らしてみると

 

「なるほど・・・・・厄介じゃの・・・・・・・じゃが面白い。そう言う相手ほど戦いがいがあるという者じゃ」

 

「大尉。まさかまた奴が現れた基地に報告せずにまた攻撃を仕掛けるつもりですか?」

 

「当たり前じゃ」

 

「銃が使えないのにか?」

 

「うっ・・・・・・」

 

疾風の指摘にハインリーケは自分の機関砲が弾詰まりで使えないことを思い出す。

 

「ここはいったん。基地に連絡したほうがいいんじゃないか?」

 

「う、うむ・・・・仕方がないの・・・・・」

 

と疾風の言葉にハインリーケは渋々頷き、疾風はインカムで基地に連絡を連絡しようとするがノイズ音しか聞こえない。

 

「通信ができない・・・・・・・」

 

「故障か?まったくそう言うものは事前に確認して準備せぬか。それでもお主はトップエースか?」

 

ため息をつきハインリーケは自分のインカムを取るが、彼女のインカムもノイズ音しか聞こえない。

 

「わらわも通信ができぬ・・・・・・・まさか」

 

「ああ、通信機は見た所異常はない。恐らく通信妨害(ジャミング)だな。少し厄介なことになった・・・・・・・・ん!?」

 

と、そう言いかけた時、疾風は何かに気が付く。

 

「ん?どうした大尉?」

 

「ハインリーケ!。あそこに民間機がいるぞ!?」

 

「なに!?」

 

ハインリーケが辺りを見回すと、確かに疾風のの言う通り、向こうの空に一機の民間機が飛んでいた

 

「なぜ、あんなところに!?フライトプランの提出はあったのか!?」

 

「それはわからないが、今はまだあのネウロイが潜んでいる可能性がある!」

 

「ああ、そうじゃな!!」

 

と、そう言いハインリーケはインカムを取り

 

「民間機、応答せよ!繰り返す民間機応答せよ!!」

 

と呼びかけるが電波妨害のため応答がない。すると先ほどまで姿を消していたネウロイが姿を現し、二人に攻撃を仕掛ける

 

「このタイミングで!?」

 

ハインリーケはいきなりの攻撃に驚くと、そのネウロイはハインリーケにビームではなく何かのタールみたいな黒いな物体をハインリーケに向けて発射する。そしてその物体はハインリーケのの目の前で破裂し彼女のストライカーユニットに張り付くそして・・・・・

 

ボォン!!

 

「っ!?」

 

その瞬間、物質が爆発し、ストライカーユニットの片方が止まり、彼女はバランスを崩し、落下する。そしてその隙を逃さずネウロイはハインリーケに向かってビームを放つ・・・・

 

「しまった!」

 

ハインリーケが自分の最後を覚悟したその瞬間、彼女の前に人影が割り込み、そして赤い鮮血が舞う。それは彼女を庇って腕に怪我を負う疾風の姿であった そしてその腕は真っ赤な血が流れていた

 

「疾風大尉!!」

 

「だ、大丈夫だ。掴まれハインリーケ!!」

 

と、そう言い疾風は彼女に手を差し伸べると彼女は疾風の手を取る。疾風はハインリーケを庇うように抱きしめるとそのまま、暗い森へと落下するのであった

 


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