ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「~たった1つの想い~」

ED「あさきゆめみし」


第125話「黒の剣士と黒き姫(後編)」

「二人の位置はつかめていないの?」

 

セダン基地では疾風やハインリーケの通信が途絶えたことにより、基地内ではグリュンネ少佐は通信兵に二人の安否を確認していた

 

「連絡が途絶えたのと同時にレーダーからもロストしたので正確な位置までは・・・・・ただ、公式ルートではないのですが、実は非公式にある空域を飛行していたガリア政府機からの情報でして、なんでもその空域にネウロイが現れたらしく、そしてその中そのネウロイと戦う疾風大尉とハインリーケ大尉らしき二人のウィッチを目撃したみたいです」

 

「なんですって!?で、二人はどうしたの!?」

 

「それが、いきなりのネウロイ襲撃で慌ててその空域を脱出したみたいなので、二人がどうなったとまでは・・・・・・・」

 

「そう・・・・・」

 

と、通信手の人にそう言われグリュンネ少佐は二人が無事なのかさらに心配してしまう。すると

 

「二人のことが心配なのかい名誉隊長殿?」

 

「キーラ少佐・・・・」

 

と、そこへガリア諜報部のキーラ少佐がやってくる。

 

「当たり前でしょ。大切な仲間なんだから」

 

「そうかね?まあ、ハインリーケ大尉はともかく疾風大尉を仲間と称するのは早いんじゃないのかねグリュンネ隊長?」

 

「・・・・・何が言いたいのかしら?」

 

「いやなに、実は疾風大尉があのジャックザリッパーで、それで夜間哨戒中にネウロイとの戦いでハインリーケを殺して自分はどこかへ逃亡したという可能性がある」

 

「なっ!?そんなことは絶対にありえません!」

 

「どうかな?それに疾風大尉は素性が不明な男だ。そうではないという可能性はないとは言えないよ少佐?」

 

「それでもです。例え素性が不明でも、大尉は私たちの仲間です。キーラ少佐」

 

と、にやりと笑い疾風を怪しむキーラにグリュンネ少佐はキッと睨んでそう言う。するとキーラ少佐は表情を変えず

 

「根拠なき信頼は愚かさの証ですよ少佐。ま、いずれにしてもネウロイと戦って死ぬようじゃ、たかが殺人鬼相手に戦ってもなんも役に立たない。二人が無事に戻るのを祈るよ」

 

と、そう言い彼女はその場を後にする。そして残されたグリュンネ少佐は

 

「二人とも、無事でいて・・・・」

 

グリュンネ少佐は二人が無事なことをただ祈るのであった

 

 

 

 

 

 

一方、森の中へ落ちたハインリーケたちは・・・・・

 

「・・・ん。ここは・・・」

 

と、ハインリーケは目を覚ましあたりを見ていると最初に視界に入ったのは自分の下に倒れている疾風の姿であった。

 

「(な、なんであ奴がわらわの下にいるのじゃ///!?)」

 

と顔を赤くし、焦ったが、すぐに先ほどのことを思い出す。そして最後に思い出したのネウロイのビームから文字通り体を張って守り、落下する自分を彼が庇うように抱きしめてくれたことを・・・・

 

「こやつ・・・・・わらわを庇って・・・・・」

 

と、そう言った瞬間、倒れていた疾風の目がうっすらと開き

 

「どうやら生きてるようだな大尉・・・・」

 

と、ハインリーケの傍にいる疾風がそう呟く。

 

「ああ、そのようじゃの・・・・・・・それよりも疾風。その腕、わらわを庇って怪我したのじゃな」

 

「大した傷じゃないよ。これくらい」

 

そう怪我をして腕を押さえて言うのだが、

 

「見栄を張るんじゃない。放っておいたら黴菌が入って怪我が悪化するじゃろ?」

 

と、そう言いハインリーケはポケットからハンカチを取りそのハンカチを破り、疾風の腕にその破った布を巻こうとするが、

 

「う、うむ・・・・これはどうやって結ぶのじゃ?」

 

と、包帯の巻き方になれてないのか、ハインリーケは首をかしげながら疾風の腕に包帯を巻く。そしてやっと巻き終えたのだがそれは結構不器用な巻き方であった。それを見たハインリーケは

 

「すまぬ・・・・・誰かに包帯を巻くのは初めてじゃから・・・・」

 

「いいや、気持ちだけでもありがたいよ。ありがと大尉」

 

気まずそうに言うハインリーケに疾風は不敵の笑みでそう言うと

 

「別に礼を言われるようなことはしておらん」

 

と、そう言い彼女はハインリーケは顔を少し赤くしそっっぽを向いてそしてしばらく黙っていると・・・・

 

「まずいの・・・・魔導針が効かぬな・・・・」

 

そう言うと疾風はハインリーケのユニットに付着している先ほどのネウロイが放った物質を見る

 

「もしかしてさっきの奴が放ったそれが原因か?」

 

「恐らくの・・・わらわの魔導針とストライカーの動きを阻害するチャフの類のようじゃが、柔らかい金属でえ来ているようで剥がすこともできぬ・・・・・・ステルスやお主の言った光学迷彩の能力を持った上に対ナイトウィッチ通信妨害に特化したネウロイと言う事か?面白い・・・」

 

ふっと笑うハインリーケに疾風は

 

「まさか、大尉。また一人で戦おうって言うのか?」

 

と、少しきつい言葉と目線でハインリーケにそう言うと。ハインリーケは

 

「そのつもりじゃ。だが、無謀に行くわけではない・・・・・・大尉。一つ頼みがある」

 

「なんだ?」

 

「わらわのユニットはこの通り飛べない。たとえ飛べたとしても這うような速度しか出ぬ。幸いお主のユニットは無傷じゃ。じゃから、お主はわらわを置いて基地に戻れ。わらわはここで囮となって時間を稼ぐ」

 

「二人してやられる必要はない。そう言うことか?」

 

「そうじゃ・・・・だからわらわを置いていけ」

 

と、暗い表情でそう言うが疾風は

 

「はぁ!だが断る!!」

 

「なっ、なんじゃと!?」

 

疾風のその言葉にハインリーケは目を見開き疾風は

 

「言っとくが俺の一番嫌いなことは仲間を置いて行くことだ。俺はあの日以来(・・・・・)自分が生きてる間は、仲間を絶対に死にさせやしない。そう誓ったんですよ大尉」

 

と、そう言い疾風はハインリーケの肩を支え抱き起すのであった。そして疾風はそのままハインリーケをおんぶする形で背中に乗せ飛び立つ。無論ハインリーケのユニットも一緒だ

 

「疾風大尉。大丈夫なのか?重くはないか?」

 

「大丈夫、大丈夫。こんなの軽い軽い」

 

「そうか・・・・すまぬな」

 

「いや。構わないよ。困った時はお互い様だろ?」

 

と、そう言うとハインリーケは

 

「・・・・・・大尉。一つお主に謝らなければならない」

 

「ん?何が?」

 

「何がって、今までお主のことを避けていたことじゃ。すまぬの・・・・・じゃが、あの時わらわは素性が一切不明なお主を見て、実はネウロイが人に化けてスパイでもしているのかと疑っておったのじゃ・・・・」

 

と、気まずそうにそう言うと疾風は

 

「あはははっ!!俺がスパイ?全然似合わないな。大尉、スパイって言うのはもっと勤勉な連中がすることですよ。俺のような奴じゃたとえ背伸びをしても無理だよ」

 

「ふふ・・・確かにの。もし、スパイであったのなら、お主はわらわを見捨てるはずじゃ。じゃが、お主は違う。お主はわらわを置いてゆくべきところで置いて行かなかった。そうした高貴な振舞いのできる男を今まで疑っていた自分が恥ずかしいよ」

 

「高貴な振舞いね・・・・・俺は別にそう言うつもりはないが?仲間や人助けするのがそんなに不思議なのか?」

 

と、そう訊くとハインリーケは顔を見上げ

 

「・・・・・わらわが幼き頃の話じゃ大尉。故郷の村に獣が現れ作物を荒らすという事件があった。まだ幼いわらわはたった一人でその事件を解決しようとした。それが高貴な行いだと信じておったからじゃ。」

 

そう言った瞬間ハインリーケの表情が曇り

 

「だが、その獣の正体はネウロイに故郷を奪われ何もかも失い、生きるために盗みを働くしかない野盗たちであった。それを知ったわらわは自分がいかに愚かであったことに気付かされたのじゃ。事件を解決し武功を示すのは己のために過ぎぬ。彼らのような弱きものを守ることこそが、本当の高貴なる行い。わらわたち貴族が背負うべき宿命だということを学んだのじゃ・・・・」

 

と、そう言うと疾風は

 

「すごいんだな・・・・・大尉は。幼き頃からそんな立派な思想を持つなんてな。俺とは大違いだ・・・・・大尉。さっき俺のことを素性不明って言っていたよな?」

 

「あ、ああ・・・・」

 

「信じられない話かもしれないが、実は俺、この世界の人間ではないんだ」

 

「なに?この世界ではないじゃと?」

 

「ああ、俺はいわゆる異世界人ってやつだ。そして俺のいた世界ではネウロイが存在しない世界。だがその代わり人間同士が殺し合う世界だった。そして俺の国、日本。ここで言う扶桑はドイツ。こっちで言うところのカールスラントと戦争をしていたよ」

 

「(やはり、あの夢はただの夢ではなかったのか・・・・・)」

 

この時ハインリーケは疾風の言った言葉で今まで見たあの夢は疾風のいた世界での出来事だということに気が付き確信した。

 

「大尉。お主もしかして、空母に乗っておらなんだ?そしてある港に停泊していた軍艦を攻撃しなかったか?」

 

「ええ。2012年、12月8日ポートモレスビー攻撃・・・・・当時俺は二航戦の空母飛龍に乗っていました。だけどなぜそれを?」

 

「夢で見た・・・・・夢で無数の戦闘機同士が激しい空中戦をしたりする夢を見たのじゃが、あれはお主の世界の出来事じゃったのか・・・・・じゃが、これで疾風大尉の謎が一つわかったの・・・・・大尉。お主は元の世界に戻りたいと思わないのか?」

 

「確かに戻りたいという気持ちがないわけがないが、今の俺にはこの世界で大切な人がいっぱいできた・・・・」

 

「それが先ほどお主の言って負ったエイラとアイなのじゃな?」

 

「ああ、そうだよ俺にとって大切な家族だ」

 

「ふふ、そうか」

 

と、ふっと笑う疾風にハインリーケも笑う。そして疾風は2時の方角をきっと睨む

 

「ん?どうしたのじゃ大尉?」

 

「・・・・・あそこにあのネウロイが潜んでいる」

 

「なんじゃと?なぜわかる?」

 

「姿が消えても相手の殺気ですぐにわかる・・・・・・さて、大尉。つかぬことを聞くが、あんた射撃の腕は上手い方か?」

 

「お主・・・・わらわを馬鹿にしておるのか?わらわもこう見えてナイトエースじゃ。射撃の腕はいい方だぞ。それがどうしたんじゃ?」

 

「俺が斬りこむから、ハインリーケ大尉は機銃で奴のコアを撃ち抜いてくれ」

 

「な、なんじゃと!?でも、飛んでくるビームをどうやって防ぐのじゃ貴様は?」

 

「俺の固有魔法は相手の弾道が表示されるいわゆる弾道予測だ。だからその予測線で敵の攻撃を斬って突っ込む」

 

「じゃが機銃はどうするのじゃ?」

 

「俺の三式機関銃がある。俺はこの通り片腕を負傷して持てない。けど刀を持つことはできる。だから少し賭けになるが、頼めるか大尉?」

 

と、そう言うとハインリーケは

 

「ふっ。わらわはこう見えて賭け事が好きな方じゃ。任せろ。一撃で奴を粉砕して見せる」

 

と笑ってそう言い俺も笑い

 

「OK。じゃあ、バックアップよろしく」

 

「任せろ」

 

そして、ハインリーケは残り数分しか飛べない自分のユニットを履き、疾風の三式機銃を持ち、俺はそのネウロイの方へ向くと。姿を消していたネウロイは疾風が自分の存在に気付いたことに気付き正体を現す。そしてそのネウロイは疾風に向かってビームを溜める。その瞬間疾風の固有魔法である弾道予測の予測線が疾風の視界に表示される。そしてネウロイは疾風に向かってビームを放つが疾風は背中に差している薩摩太刀を抜き、ネウロイのビームを斬り裂く。しかも疾風は背後にいるハインリーケに一発もビームが当たらないように斬り裂いて守っていた。

 

「(す、すごい・・・・・)」

 

疾風が神業とも言っていいほどにネウロイのビームを全ビームを斬り裂くその姿を見たハインリーケは思わず見惚れてしまう。そしてある程度疾風がネウロイのビームを斬り裂いた時、一瞬だけネウロイの動きが止まる。疾風はその動きを見逃さず

 

「今だ!ハインリーケ!!」

 

と、そう叫ぶと、同時にハインリーケは引き金を引き彼女の持つ三式機銃から13ミリ弾が発射される。そして放たれた無数の銃弾はそのネウロイに命中し、装甲をはがす。そして装甲がはがれ、その体内からコアがみえる

 

「コアじゃ!!」

 

と、ハインリーケは照準をネウロイのコアに合わせる。するとネウロイはそうは覚めまいと焦ってハインリーケにビームを放つがそのビームはすべて彼女の前に立つ疾風によって防がれる。そしてハインリーケは弾丸を発射し銃弾はネウロイのコアを貫き、ネウロイは粉々に白い破片となり砕け散ったのだった。

 

「やったか・・・・・」

 

とハインリーケはネウロイの撃墜を確かめてほっとするのと同時に彼女のストライカーが止まり、彼女は落下するのだが、疾風が急降下して彼女をキャッチする。

 

「無事か?」

 

「ああ、なんとかの・・・・・それよりも倒せたな。大尉」

 

「そのようだな・・・・さて、基地に戻ろうかハインリーケ大尉。今頃基地の皆が心配している」

 

「そうじゃな・・・・・」

 

と、二人は、特にハインリーケはさっきの戦いでユニットを失ったため今疾風におんぶされている状態で飛んでいる。すると東から太陽が昇り始めた。

 

「日が昇り始めたな」

 

「ああ、長い任務じゃったな・・・・・・その・・・・大尉?」

 

「ん?何ですか?」

 

疾風が振り向くとハインリーケは顔を赤くし少し顔を背け

 

「今日は・・・・・その・・・・世話になった。感謝する」

 

ハインリーケは恥ずかしさの入り混じった声でそう言うと疾風は

 

「別にかまわないですよ。仲間なんだしな」

 

と、不適の笑みでそう言うと、ハインリーケはさらに顔を赤くした。そして

 

「大尉。つまらぬことを聞くがお主、歳は幾つじゃ?」

 

「え?16だけど?」

 

「そうか、少し幼げだと思っとたがやはり年下じゃったか・・・・・・大尉。その・・・・・なんだ」

 

「?」

 

と、顔を赤くしもじもじするハインリーケに疾風は首をかしげるとハインリーケは

 

「年上は・・・・・・・嫌いか?」

 

「え?」

 

「いいや、なんでもない///!!それよりも急いで戻るぞ大尉!!」

 

ハインリーケの言葉に疑問を感じた疾風だったがハインリーケは顔を真っ赤にして誤魔化し疾風はなぜハインリーケが顔を赤くしているのか不思議に思いながら基地へと戻るのであった。

 

 

そして二人が夜間哨戒を終えて戻っている頃、オラーシャのペテルブルグにある502基地では

 

キュピィーン!!

 

「む!?」

 

疾風の恋人であり婚約者であるエイラが何かを感じた

 

「どうしたのエイラ?」

 

「お母さん?」

 

基地のテラスでタロット占いをしているエイラと一緒にいたサーニャとアイがエイラに訊くと

 

「なんか疾風の奴が何処かでフラグを立てた気がする」

 

「はい?」

 

「?」

 

サーニャとアイはエイラの言っている意味が分からず首をかしげる。一方、同じころサントロン基地では

 

ピキュリリィン!!

 

「むっ!?」

 

「どうしたのトゥルーデ?」

 

疾風の義姉であるバルクホルンが先ほどのエイラと同じく何かを感じ取りその様子を見たミーナがそう訊くと

 

「弟が、なんか妹候h・・・・いや、変なフラグを立てたような気がする・・・・・・」

 

「はい?」

 

バルクホルンの言葉にミーナは首をかしげるのであった。

 

 

 

 

 

 

一方、また別の場所では暗い部屋の中では、

 

「我らは敵地で、悪魔の歌をオーデル川でも口ずさむさ~」

 

歌を歌いながら軍用ナイフを研ぐ一つの影があった。

 

「我らが、進なら~悪魔とともにハハハハハハ!!」

 

とその時、ナイフを研ぐその顔は狂気的な笑みで今にも相手を殺さんとばかりの危険な目をしていた。そしてその影は壁に掛けてあるカレンダーを見て

 

「あともう少しで血祭が始まる。楽しみだ。ここでもまた人を殺せるんだあからね。しかもターゲットであるあいつの他にまさかあいつまでこの世界に来ていたとはこれも運命ってことかしらね?

 

と、そう言いカレンダーの傍に置いてある写真楯を見る。その写真には疾風の他にエミリアの写真があった。

 

「ふふ・・・・暗殺日が楽しみね・・・・・・・Heil Führe。そしてHeil Nazi」

 

とその影は片腕を上げてそう言うのであった

 

 




いろいろ茶番が長くてすみません。次回はやっとジャックザリッパーを登場させたいと思います。

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