ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
特別ED「GOOD MORNING!!」
今回はラル少佐とクルピンスキーが活躍?します
疾風たちがガリアの506基地でレイナーレと戦っている頃オラーシャの第506統合戦闘航空団「ブレイブウィッチーズ」のペテルブルグ基地では、疾風の恋人であり婚約者であるエイラとそのエイラと疾風の娘であるアイがいた。だが・・・・・
「アイの元気がないだと?」
隊長室でラル少佐がサーシャに訊くとサーシャが頷き
「はい。この頃アイちゃんは何か思いつめている表情もしているんです」
「そう言えば、今朝の食事もあまり食べていなかったな・・・・・・」
そう実は疾風がガリアへ行ってからアイはどこか元気がなかったのだ。そして今朝の朝食もどこか上の空で、あまり食事もせずみんな少し心配していたのだ。
「原因は・・・・・疾風大尉か」
「はい。恐らくは。もう、かれこれもう数日たっていますから。それにユーティライネン中尉もアイちゃんほどではないんですが彼のことを心配しているみたいです」
「そうか・・・・・アイの年齢を考えてもまだ、父親に甘えたい年ごろ。その父親が遠くに出張しに行って寂しいんだろうな・・・・・・まったくあの男は、なぜ手紙の一通もよこさないんだ・・・・」
ラル少佐はあきれ顔でため息をつく。
「・・・・・で、アイは今どうしている?」
「はい。今は二パさんやひかりさんたちと広間で遊んでいます・・・・・あの隊長。一つ提案があるのですが」
「なんだ?」
「ここはアイちゃんやユーティライネン中尉に休暇を取らせて疾風大尉に合わせてみればいかがでしょうか?このままだとアイちゃんがかわいそうで・・・・・・」
と、サーシャがそう提案する。サーシャ自身もアイのことは実の妹のように可愛がっているため、サーシャはそのアイが元気のない様子を見て放っておくことができなかったのだ。するとラル少佐は
「残念だが、それはできない」
「なっ!?」
「気持ちは私にもわかる。だが、今は過激派ネウロイの残党がこの基地にたびたび襲撃して来ているのは君も知っているだろ?今は一人でも人員が必要なのだ。かといってアイを一人でセダンに行かせるわけにはいかない。疾風大尉も危険だとわかって彼女をここに残したんだろう」
「それはそうですが・・・・・・」
「そう言うことだ大尉。すまないが承知してくれ」
「・・・・・・わかりました」
と、そう言いサーシャは少し悲しい顔をするとラル少佐の部屋から出ていく。そして残ったのはラル少佐だけになった
「ふぅ・・・・・・」
自分以外誰もいない部屋にラル少佐は深いため息をつき椅子に座ったままボーとしていると、窓の外にある木から一匹のリスが入り込み、ラル少佐の机の上にちょこんと座る
「む?」
ラル少佐は机の上にいるリスをじっと見て、そして急に当たりを警戒するようにきょろきょろと見回し誰もいないことを確認するとラル少佐はリスを捕まえて・・・・
「あら、かわいいでちゅね~♪私だって好きであんなことを言ってるわけじゃないんでちゅよ~。私だって本当は妹みたいなアイを・・・・・」
疲労からだろうか、いつもと違う声色と表情でリスに頬ずりをしているラル少佐。すると・・・・・
「隊長、失礼します・・・・」
「っ!?」
と、急にロスマン曹長が入ってきてラル少佐は正気に戻り手に持っていたリスを離す
「せ、先生・・・・今の聞いていたか?」
「何をですか?」
「いや・・・・何でもない。で何か用か?」
「あ、はい。先ほどアウロラ大尉が隊長に倉庫室で話があると・・・・・」
「私に?なんだ?」
とラル少佐は先ほどのことがあってか顔を少し赤らめ、いつもの無表情で部屋を出るのであったがそれを見たロスマンは意味を含めた笑みを見せるのであった。
数時間後、
「ほら、アイちゃん。次はアイちゃんの番だよ」
「えい!」
一方アイは基地の談話室で二パやひかりそして菅野と下原達と一緒にトランプのババ抜きをしていた
「二パお姉ちゃんの番だよ?」
「うん・・・・・えい!あ~ババだぁ!?」
「二パ。お前ついてないな~・・・て次は下原の出番だぞ」
「ああ、そうでしたわね」
と、楽しくしトランプしていてすぐそばのソファーではエイラとサーニャがその様子を見守っていた。するとサーニャが
「エイラ大丈夫?」
「ああ、大丈夫だサーニャ。疾風ならきっと大丈夫だよ。きっと手紙が来ないのは忙しいとかそう言うんだと思うからナ」
と、エイラは笑って親友であるサーニャにそう言うのだがその表情はアイと同様心配している感じがあった。するとサーニャはふっと何かを思いつき
「そうだ。エイラ。アイちゃんのことタロットで占ってくれいない?」
「え?アイを?」
「うん。お願い」
「わかった・・・・・」
と、そう言いエイラは胸ポケットからタロットカードを取り出し、そして何かを念じるように目をつぶり・・・・・
「とぉ!」
と、アイには聞こえない静かな声でそう言いカードをめくりそしてその内容を見る
「どう?エイラ?」
「うん。なんだか『アイの好きなものがこれからやってくる』って出ているゾ?」
「え?それって?」
エイラの言葉にサーニャが首をかしげた瞬間。
「アイ。いるか?」
「アウロラ伯母様?」
と、そこへアウロラ大尉がやってくるとアウロラがニコッと笑い
「アイ。お前にお客さんだ」
「お客?」
アイが首をかしげると何かの足音が聞こえ、何者かがバンッと扉を上げる。その部屋に入って来た正体は大きな熊の着ぐるみであった
「クマの着ぐるみ?」
「誰が入っているの?」
「あれ?あの熊。どこかで見覚えが・・・・・」
いきなり入って来た熊の着ぐるみに首をかしげる中、アイは目を見開きまるで花が咲いたような笑みを見せ
「ボコだぁーーーー!!!!」
と目をキラキラさせる。そう今彼女の目の前にいるのはアイが大切にしているクマのぬいぐるみボコであった。そしてアイは
「ボコォーーー!!!」
ボコの着ぐるみに抱き着く。その瞬間着ぐるみから『ぐふっ!』と声が聞こえたのだが。アイには聞こえてないのか・・・・・
「ボコボコボコ~!!ボコぼげほっ!げほっげほっげほっ、ボコォ~!!!」
「アイ。落ち着きなって・・・・・」
興奮して咽ながらボコに抱き着くアイにエイラが苦笑してなだめる中、ひかりが
「アウロラさん。あれって・・・・・・」
「ん?見てお通りアイのボコが大きくなって会いに来たのだが?」
「んなわけあるかよ」
「まあまあ菅野さん。アウロラ大尉。あの着ぐるみの中の人って誰ですか?」
「ん?アイには内緒だぞ。あの着ぐるみは少佐が着ているのさ」
「なっ!?隊長がっ!?」
「し~菅野さん声が大きいですよ。でもなんで隊長が?」
「サーシャそれは私が説明します」
と、そこへロスマン先生がやってくる。そしてロスマンさんはちらっとボコの方を見る。そしてそのボコの着ぐるみの中では・・・・・
「(どうやら。アイは喜んでくれたみたいだな。やはりアウロラ大尉の提案を受け入れてよかったな・・・)」
と苦笑していた。事は遡ること数時間前・・・・・
「着ぐるみ作戦だと?」
倉庫に呼ばれたラル少佐は倉庫に着くとそこにはアウロラ大尉が待っておりそしてそのそばには複数の着ぐるみがあった。
「そうだ。少佐。これ以外アイを元気つける以外他にない・・・・」
「それはわかったが、なんだその熊の着ぐるみは?」
「見てわからないか?この着ぐるみは、アイが大事にしているクマのぬいぐるみを着ぐるみ化させたものだ」
「ああ、確か、ボスだがザコだったか?」
「ボコだ。何変な名前を付けている少佐?」
「いいや、すまない大尉。それよりもこんな大きな着ぐるみいつの間に作ったんだ。しかもこんな複数?」
「昨日徹夜して作った。可愛い姪っ子のためだ。このぐらい朝飯前さ。さて準備もできてることだし早速やりましょうか?」
「はぁ~、とてもここが最前線だとは思えんな・・・・」
と、アウロラの言葉にラル少佐は軽いため息をつき、再びアウロラを見る
「で、この着ぐるみが何なのかはわかったが、これをやってアイが本当に喜ぶのか?」
「ノープログレムさ少佐。でだ。これを着る人なんだが…少佐はやる気がないみたいだしな~他の人を頼るか。そうだイッルなら喜んで引き受けそうだ・・・・・」
「・・・待て」
と、そう言い着ぐるみを持ったまま部屋を出ようとするアウロラにラル少佐は彼女の肩をがっしり掴み
「・・・・・・・・・誰が着ないと言った。アウロラ大尉」
「と、言うわけなのよ」
『へ~』
ロスマン先生やアウロラ大尉の説明にみんなは納得する。一方、アイはボコに抱き着き、そして一枚の紙を見せて
「見てみてボコ!ボコ描いたの!!」
と笑顔でそう言うと、一瞬、固まっていたボコ湖とラル少佐だが急にアイにギュッと抱き着く。それを見たみんなは
「(きっとあの着ぐるみの中で隊長(少佐)はものすごく緩み切っている笑顔になっている・・・・・みてみたいな~)」
と、そう思っていた。実際にラル少佐はアイに絵を見せられたのと可愛い笑顔を見て公表できないほどの緩み切った笑顔になっていた。どんな笑顔なのかは読者のご想像にお任せします。
「ボコ~♪」
アイが嬉しそうにボコに抱き着いている姿を見てみんなは微笑み
「アイちゃん。嬉しそうだね定ちゃん」
「ええ、そうねジョゼ」
と下原とジョゼがそう言いその隣のロスマンとサーシャも
「どうやらアウロラ大尉の立てた作戦は成功のようね」
「そうですね。ですがまさか隊長が、こんなことをするなんて意外ですね」
「エイラ。アイちゃん元気になってよかったね」
「うん。あ~今の元気な姿のアイ。疾風にも見せてやりたかったな・・・・・・」
とサーニャやエイラがそう言うとひかりがあたりを見渡し
「あれ?そう言えばクルピンスキーさんの姿がいませんよ?」
と、そう言う。確かに部屋のどこを見てもクルピンスキーの姿がどこに見いなかった
「そう言えばそうだね」
「またどっかで女口説いているかワイン飲んでるんだろ?」
ひかりと二パの言葉に菅野がそう言うと、談話室のドアがまた開き今度は猫の着ぐるみが現れる。それを見たみんなは
「あれってもしかして・・・・・・クルピンスキー中尉?」
「間違いなくクルピンスキーよ・・・・・」
猫の正体がクルピンスキーなのに皆気付く中、猫の着ぐるみを着たクルピンスキーは
「(ふふ・・・今までの汚名を返上する時が来た。ここはアイちゃんのためにも僕も一肌脱がないとね♪)」
とそう思う中、アイは猫を見ると
「あー!!ボコのライバルだっーー!!」
「「「「(え!?そうなの?」」」」
アイの言葉にエイラたちはおろかラル少佐やクルピンスキーたちも少し驚きアイはボコの後ろに隠れ
「あの猫さん街の不良なの。ボコ、怖いやっつけて!でもやられて!」
「(え?どういうことだ?)」
アイの意味不明の言葉にラルことボコは首をかしげて戸惑う。そんなことも知らずアイは
「ボコ頑張って!でも負けて!!」
「ア、アイ?」
アイの言葉にエイラたちも首を傾げる中、ラルは
「(とにかく。やっつければいいんだな・・・・・・中尉すまないが)」
「(問題ないですよ少佐。でも手加減してくださいね)」
と、アイに聞こえないほどの小声でコンタクトをして、ラルは軽く猫ことクルピンスキーの頬をポンっと叩く。これでアイが喜ぶのかと思ったのだが、二人はアイの様子を見ると・・・・・
「えっ・・・・?ボコ・・・・ちがう・・・」
「「っ!?」」
急に暗くなってしまい元気のない顔になっていた。それを見た二人は仰天し
「(な、なぜだ!?アイが急に元気をなくしただと!?)」
「(ぼ、僕たち何か間違えちゃったのか!?)」
と、アイの反応にうろたえる中、サーニャが
「アイちゃん。何が違うの?」
と、優しく言うとアイが
「うん。アウロラ伯母様がねボコはね血の気が多くて相手にかまわず喧嘩をするんだけど、弱いからいつもぼこぼこにされちゃう熊なの・・・・」
アイの説明にみんなアウロラ大尉を見て、エイラが
「ねーちゃん!アイのボコになんて変な設定を!?」
「あはは~いや~この方が少し現実味もあるし、受けるかな~って」
「いや、そんな設定だめですよアウロラさん!?」
エイラと二パの言葉にアウロラは「てへぺろ」という表情をしてそう言う。それを聞いたラル少佐は
「(なるほど・・・・まあ仕方がない。要は負ければいいのだな。中尉、早く私を・・・・)」
と、小声で言うのだがクルピンスキー猫は少し俯きそして小さく首を横に振り
「(え~少し嫌ですよ隊長を殴るなんて・・・・・・・後が怖いですし。サーシャちゃんや先生に何を言われるかわかりませんし・・・・)」
と、明らかに嫌そうな雰囲気を漂わせるとラルボコが
「(構わない。これもアイのためだ中尉。思いっきりやってくれ)」
「(でも~)}
とクルピンスキー猫はちらっとロスマン先生とサーシャを見ると・・・・
「(今回だけは大目に見ます。不本意だけどアイちゃんのためよ)」
「(私も今回事情が事情のため目をつむります)」
二人は手話でクルピンスキー猫に伝える。それを見たクルピンスキー猫は、はぁ~とため息をつき
「(仕方がない・・・・行きますよ隊長!)」
と、そう小声で言いクルピンスキー猫はラルボコに軽く殴りかかろうとするがラルボコはそれを避けてしまう
「あ、避けた・・・・・」
「ボコ・・・・」
「(あ、しまった・・・・・)」
とっさに避けてしまったラル少佐は落ち込むアイの姿を見て避けちゃいけないのを思い出し
「(すまない中尉。もう一度頼む)」
「(わ、わかりました)」
と再び、クルピンスキー猫はラルボコに何度も(軽く)殴りかかろうとするのだが、ラルボコは全部の攻撃を避けてしまう
「すごい回避能力・・・・・」
「エイラの未来予知みたい・・・・・」
と、そう言う中、アイは
「今日のボコ・・・・いつもと違う・・・・」
アイが不安げにそう言うと、アウロラが
「そうだアイ。今日のボコはいつもと違うなぜなら・・・・・」
と軽く息を吸い
「今日のボコはアイを守るために戦っているんだ。いつものようにボコられてしまったらあいつに私たちがひどい目にあわされてしまうではないか」
「あっ…そうか!?そう言うことだったんだ」
「そうだよ。見てごらんアイ。今日のボコは敵をやっつけるよ」
「っ!?」
アウロラの言葉にクルピンスキー猫の体が硬直し「え?何言っているの?」というような仕草をするとみんなは目線で
ロスマン「伯爵さま。これもアイのためよ」
サーシャ「夢を壊さないのもウィッチの務めですよ」
下原「アイちゃんのためですから・・・・」
ジョゼ「クルピンスキーさん。がんばです♪」
ひかり「頑張ってくださいねクルピンスキーさん。アイちゃんの夢を守るために」
二パ「お大事に・・・・・」
菅野「骨くらい拾ってやる」
サーニャ「zzz~」
と皆さんニコニコと笑いながらそう目線で伝える中、クルピンスキーは
「(お、お母さん。へ、ヘルプミー!!!)」
とエイラの方へ顔を向け助けを求めるが・・・・・・
「(アイのためだ・・・・・・ムリダナ(・×・)」
「(そ、そんなぁ~)
最後の頼みの綱が使えず、クルピンスキーは絶望の顔へと変わり、そして彼女の背後にいるラルボコの目がキランと光るのと同時にすさまじい音と悲鳴が聞こえるのであった
数時間後の夜中、ラル少佐はいつもの隊長室で書類仕事をしていた。するとそばで紅茶を淹れたロスマンが
「お疲れ様です隊長・・・・」
「ああ・・・・今日は少し疲れたな。でクルピンスキーはどうだ?」
「部屋で寝ています。どうやらすごく疲れていたみたいで死んだように眠っています」
ラル少佐はロスマンから紅茶を受け取り飲む
「そうか・・・・だが、アイが元気になって何よりだな」
「ふふ・・・」
「なんだ先生?」
「いえ・・・べつに?」
と、そう言うと窓から先ほどのリスがまた入ってきて、ロスマンさんはそっとそのリスを捕まえると・・・・
「甘いでちゅね~ラル隊長は~♪」
「ぶふっ!な・・・・ちょ///っ!?」
ロスマンが先ほどラルが隊長室でやったことを真似しながら言うとラル少佐は紅茶を吹きだし顔を真っ赤にして、てんぱるのであった・・・・
一方、アイはというとエイラと一緒にベットで横になっていた
「お母さん。今日はボコが来てくれたんだよ見てた?」
「ああ、見ていたぞ。よかったなアイ」
とエイラは愛娘であるアイの頭をそっと撫でながらそう言うとアイはあくびをして
「眠いのかアイ?」
「うん・・・・・」
「じゃあ、子守唄歌ってやるぞ」
「じゃあ、お母さんが良く歌っている歌がいい・・・・・」
「わかったぞ・・・・・あ~めが降っても気にしない~」
エイラはアイの頭を撫でながら子守唄を歌っているのだった。そしてエイラは
「(疾風・・・・・無事に帰ってきてくれよ・・・・)」
と、心の中で、最愛の人である疾風の無事を祈るのであった。因みになんだが、エイラはアイがボコと一緒にいる姿をカメラで撮ってあり、その写真を疾風のいるセダンへ手紙と一緒に送るのであった