ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
OP「TAKE ME HIGHER」
ED「Fly Away」
疾風がセダン基地にいるその頃、ベルギガ王国のサントロン基地では疾風の義理の姉であるバルクホルンの他ハルトマン。ミーナたち『カールスラント組』がいた。そしてその基地の中でミーナは書類仕事をしていた
「ふ~‥‥あと少しで終わりそうね」
肩を叩きそう言うミーナ。すると
「ミーナ中佐失礼します」
とそこへ眼鏡をかけた銀髪の女性が入って来た
「あら、ハイデマリー少佐。おかえりなさい」
「はい。ただいまセダンから戻りました」
彼女の名はハイデマリー・W・シュナウファー。ナイトウィッチ最強と言われるウィッチであり、現在ではサントロン基地にいるミーナ中佐直属の部下になっている。今彼女は、書類を506基地のあるセダンへ届け今帰って来たところなのだ。
「お疲れのようですね中佐」
「ええ、501の時に比べて書類とかは減ったけど。やっぱりしんどいね・・・・」
「お疲れ様です。そう言えばバルクホルン大尉とハルトマン中尉の姿が見えませんが?」
「ああ、トゥルーデとエーリカなら、クリスさんのお見舞いに行っているわ」
「クリスさんといいますとバルクホルン大尉の妹の?」
「ええ・・・・・・ところでセダン基地に何か変わった様子はあった?」」
と、ミーナがそう言うとハイデマリー少佐は少し考えるそぶりを見せ
「・・・・・そう言えばセダンに新しく配属されたウィッチが2人いました」
「新人かしら?どんな人なの?」
「はい。一人はカールスラントの軍人で黒軍服に襟に白い文字でSSと書かれた金髪の女性ともう一人は扶桑の人らしいんですけどまるで少年みたいな短い髪型でした」
「白いss文字の服をした金髪の子とに少年みたいな髪型のウィッチ・・・・・もしかして」
ミーナは心当たりがあるのかそう呟き、そして
「ハイデマリー少佐。もしかしてその少年みたいな髪型のウィッチってもしかして黒い服に黒いコートを着て背中に扶桑刀を下げていなかった?」
「え?はい・・・・そうですが。ミーナ中佐はその人たちのことをしているのですか?」
「ええ、間違いないわ。エミリアさんに疾風さんよ」
「エミリアさんと疾風さんって・・・・・あのエミリアさんと疾風さんですか?突如現れた謎のウィッチの?」
「ええ、それとハイデマリー少佐。疾風さんは男よ」
「え!?お、男の人なんですか?どう見ても女性にしか見えなかったんですが・・・・・」
「ふふ。確かに初めて疾風さんにあった人でしたらそう言うでしょうね。でも彼は正真正銘の男の人よ」
「そ、そうなんですか・・・・
と少し笑って言うミーナにハイデマリーは疾風が男だったと聞き驚いていた。するとミーナは
「でも、旅をしていたエミリアさんはともかく、なんでエイラさんやアイちゃんと一緒にペテルブルグの502にいるはずの彼がなぜセダンの506に・・・・」
「グリュンネ少佐曰く。特別任務で一時的に配属になったそうです・・・・・」
「特別任務?なんの?」
「そこまでは教えてくれませんでした・・・・・・すみません」
「いえ、あなたが謝る必要はありません。それにしてもセダンに疾風さんが・・・・・トゥルーデが訊いたら喜びそうね」
「え?バルクホルン大尉が?なぜですか?」
「ええ、彼はバルクホルン大尉の可愛い弟なのよ」
「え!?弟!?」
「ハクショォン!!」
「大丈夫、トゥルーデ?」
「ああ、大丈夫だ。恐らくだれか私の噂をしていたな・・・・・・」
一方バルクホルンとハルトマンはクリスの見舞いを終えて病院を出ていた頃であり、今現在。サントロンの近くの街で休憩をしていた
「それにしてもクリス元気でよかったね」
「ああ、本当にあいつが元気でよかったよ。私としては嬉しいことこの上ないな」
嬉しそうっというか完全にニヤニヤした表情でそういうバルクホルン。するとエーリカは
「そう言えば疾風やアイも今頃どうしているんだろうね?」
「そうだな・・・・あの二人は今502にいるらしいが・・・・・少し心配だ」
「ん?何が?もしかしてエイラと疾風の夫婦関係のこと?」
「いや、違う。別にエイラはいいんだ。一応、義理の妹になる奴だし、私もそれなりに認めているしな。私が心配しているのはクルピンスキーのことだ」
「伯爵が?」
「ああ、あいつがアイに・・・・いやそれ以前に弟に手を出したら、機関銃で粉々にしてライン川にばら撒いて魚のえさにしてやる・・・・・」
少し怖い表情でそう言うとハルトマンは笑って
「それなら大丈夫だよ。もしそんなことしようとすれば、エイラや先生がとっくにやっているって」
「・・・・・・・それもそうだな」
ハルトマンの言葉に納得した顔をするバルクホルンにハルトマンは
「・・・・で、トゥルーデ。疾風とアイには会いに行かないの?」
「そうだな・・・・・だが、ただ会いたいって理由だけで会うのもな・・・・向こうも忙しいと思うし」
「本音を言えば?」
「会いたい」
「やっぱり・・・・で、会ったらどうするの?」
と、そう訊くとバルクホルンはピタッと止まり
「そうだな・・・・・・元気にしているか聞いたり…‥あとできれば」
「できれば?」
「・・・・・・・・ハグしたりとかかな?」
「ハグね~」
と、そう言いハルトマンはバルクホルンをジト目で見る
「な、なんだハルトマン。じろじろと私を見て・・・・」
「なんかトゥルーデってお堅い感じだからさ、怖がるんじゃない?」
「怖がるって、私はいつも自然体だぞ!?」
「だって、トゥルーデでってさ、いかにも軍人!て感じの雰囲気だし、なんていうか鋼鉄って感じだよ」
「こ、鋼鉄!?」
その言葉に一瞬驚き固まるバルクホルンだったが・・・・・・
「鋼鉄!?かっこいいじゃないか!何が問題なんだ?」
「問題大ありだろ?誰が鉄にハグされたいんだよ。緊張と威圧しかないじゃん。せめてシャーリーやミーナのように年上のお姉さんて感じにしなよ」
「だが、ハルトマン。私はこう見えて巷ではお姉ちゃんって呼ばれているんだぞ?どうだ?」
「何どや顔で言ってるんだよ?そんな顔しても鉄は鉄だよ」
「くっ・・・ハルトマン」
ハルトマンにバッサリと斬られて悔しそうな顔をするとハルトマンが
「まあ、トゥルーデをからかうのはここまでにして・・・・・多分トゥルーデが普通に会いに行っても二人は喜ぶと思うよ。だから大丈夫だよトゥルーデ」
「ハルトマン・・・・・」
と、そんな会話をしていた。そして二人がトラックに着くと・・・・
「あれ?トゥルーデあれを見てよ」
「ん?どうした?」
「ほら、あそこの車・・・」
「ん?」
ハルトマンの指さす方にバルクホルンはそこを見ると、そこには一般の自動車が止まっておりその車の中には小さな子供が乗っていた。しかもその自動車が止まっていたのはすぐ坂道になっているところであった
「・・・・危ないな。あんなところに子供を乗せたまま乗せるなんて親はどうしているんだ?」
バルクホルンがそう言う中その車の中では・・・・
「お父さんまだかな・・・・・早く戻ってこないかな・・・・・」
退屈そうな表情をして車をゆする。すると、サイドブレーキをしていなかったのか車がゆっくりと動き出す
「あ、動いた!?お父さん!!止めて!!止めて!!」
子供が驚く中、車はどんどん坂を下りていき子供は助けを求めて叫びだす。それを見た二人は
「トゥルーデ!?確かあの坂の先って!?」
「ああ。曲がり角になっていて、その先は崖だ!!車を止めるぞ!!」
「うん!!」
と、そう言い二人は車を追いかけ
「あ、ジム!?誰かその車を止めてください!!!」
と、そこへ父親が戻ってきて現場を見ると慌て、二人に遅れて追いかけ始める。バルクホルンとハルトマンは急いで車のもとへ走るのだが、車はどんどん速度を上げて、坂を下る。このままだとガードレールを突き破って崖に落ちてしまう。
「トゥルーデ!?」
「ああ、わかっている!!」
2人もあせって追いかけるのだが、なかなか距離が縮まらない。すると、二人の目の前にある林から突如女性が飛び出て、車の方へと走り出し何かを念じるような仕草をする。すると急に車の速度が若干遅くなる。そして彼女はその隙を逃さずすぐさま車にたどり着きドアを開けて車のブレーキを踏み車を止める。曲がり角まで圧数メートル。あともう少し遅ければ大事故になっていただろ。そしてその女性はサイドブレーキをかけ、車を完全に止めると車の中に乗っていた少年を抱える。少年は気絶していたが外傷はなかった
「ジム!ジム!?」
と、そこへバルクホルンたちが追いつき父親が子供の所へ駆けつけると女性は子供をその父親に渡す。
「ジム!?大丈夫かジム!!」
「・・・・あっ!お父さん!!」
父親が揺り起こしてそう言うと子供は目を覚まし、安心したのか泣いて父親に泣きつく。それを見たハルとマンは
「良かったねトゥルーデ・・・・・・ン?トゥルーデ?」
バルクホルンにそう呼びかけるがバルクホルンは先ほどの女性を見ていた。そして父親は
「本当にありがとうございます。なんとお礼の申しようも・・・・」
と、そう言うのだが女性は、軽く頭を下げた後、その場を離れる。するとそれを見たバルクホルンは彼女を追いかける。
「あ、ちょっと待ってよトゥルーデ!?」
と、ハルトマンもバルクホルンを追いかけ、そして人気のないところに着くと、彼女はピタッと止まり
「・・・・・・・私に何か用ですか?」
と振り向いてバルクホルンにそう訊くとバルクホルンは
「お前・・・・・何者だ?」
「・・・・・・・何がですか?」
「とぼけるな。さっき車に追いつく前に何か念じていただろ?あれはウィッチによる固有魔法の類ではない!もう一度訊く貴様は何者だ?」
バルクホルンは警戒した目でそう訊くと、女性は少し寂しそうな笑みをこぼし
「ウィッチでもない人間が念力を使う時点でもはや人間でないことはわかりますでしょバルクホルン大尉・・・・・・」
「お前・・・・・やはりネウロイか?」
バルクホルンは先ほど彼女が車に念力を使ったことに気付き、更にジブリールやアイなどのネウロイが人間の姿に変えることを知っているため。彼女が人間でないことを見抜いたのだ。そして彼女はバルクホルンの言葉に静かに頷く
「そうです・・・・私は人間の姿をしていますが、ネウロイです」
「・・・・ネウロイがなぜ人間を助けた?」
「私は地球が好きです。したがってこの星に生息する人間たちも好ましい。助けるのは当然です・・・・・」
「ちょっと待って、じゃあ、君って穏健派と呼ばれるネウロイなの?」
ハルトマンがそう訊くと彼女は首を横に振り
「今の私は穏健派でも過激派でも革新派に所属する軍属ではない。今の私はこの地球に住む一人の人間として生きています。したがって今大戦に参加する気も、ましては人間に危害を加える気もありません」
と、無表情でそういう彼女にバルクホルンは頷き
「その言葉信じよう・・・・人間を代表してありがとうと言わせてもらう」
と、そう言う。以前の彼女であったなら、その言葉を信じず疑って拘束とかするか銃を向けるのだが、今の彼女はアイとの出会いで少しネウロイに心を開いているのだ。そして彼女は
「私は、この近く湖の別荘でひっそりと静かに暮らしている・・・・・・また会うこともないでしょう」
と、そう言いその場を後にするのであった。そしてバルクホルンはその場を後にする彼女の背をじっと見続けるのであった。するとハルトマンは
「珍しいね。いつものトゥルーデだったら、すぐに捕まえるのに」
「危害は加えないって言ったんだ・・・・・その言葉を信じようハルトマン」
「変わったね~トゥルーデも」
「うるさい。ほら、さっさと基地に戻るぞ」
「ほ~い」
そう言い、二人もトラックを止めてある場所へと戻るのであった。そしてその止めてある場所では先ほどの騒動の野次馬達が見ていた。その野次馬達の中に一人の女性がじっと見ていた
「(バルクホルンとハルトマンを始末するつもりが・・・・・・ふふ・・・あいつが出た。このサントロンに・・・・これはいい。使える・・・・これは十分利用できるわね・・・・)」
と不気味な笑みをし、そしてその人混みに紛れて消えるのであった