ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「TAKE ME HIGHER」

ED「Angel Fly」

番外編も終わりここで本編を入れたいと思います


第137話「オブザーバー」

「ふむ・・・・・・」

 

基地の廊下でハインリーケはあたりをきょろきょろとまるで誰かを探すかのように歩いていた

 

「あ奴・・・・・どこに行ったのじゃ。部屋にはおらなんだし・・・・・」

 

と、ポツリとつぶやく

 

「まったくあ奴はまだ腕の怪我も癒えておらんのに・・・・」

 

と、ぶつぶつそう呟くと・・・・

 

「ハインリーケさん」

 

と、そこへグリュンネ少佐やってくる

 

「た、隊長?」

 

「どうかしたの?そんなにうろうろして?」

 

「別に大したことはないのじゃが、疾風大尉の姿が見当たらぬのでな」

 

「疾風大尉ですか?大尉なら病院に行ってますよ?」

 

「病院じゃと!?あ奴、怪我が悪化したのか!?」

 

グリュンネ少佐がそう言った瞬間ハインリーケはガシッとグリュンネ少佐の肩を掴み慌てた表情でそう言う中、グリュンネ少佐は首をかしげて

 

「?、違いますよ。疾風さんはお見舞いに行ったんですよ。ほら、疾風さんたちと一緒にいた、あの刑事さんの」

 

「刑事?・・・・・・・・・・・・・・ああ、そう言えばそんな奴おったの」

 

と、そう言う中グリュンネ少佐はふふっと笑い

 

「ハインリーケさん。疾風さんのことが心配なんですね」

 

「ま、まあ。短期配属とはいえ・・・・仲間じゃからな」

 

「そう、・・・・・・でハインリーケさんは彼のことどう思っているの?」

 

「そうって、さっきも言ったじゃろ仲間だと・・・・」

 

「そうじゃなくて異性としてどう見ているかということよ。彼のこと好きなんでしょ?」

 

「なっ///!?何を言っておるのじゃ隊長!!?わ、わらわは別にそんなんではない///!!いきなり何を言っておるのじゃ隊長は!?」

 

「あら、ごめんなさい。ガリア人て、つい人の恋愛感情に首を突っ込みたくなるのよ。特に仲間が異性に恋をしたって聞いたらなおさらね♪」

 

「じゃ、じゃから!わらわは疾風大尉に恋心など抱いておらぬわっ///!!」

 

と、ハインリーケは顔を真っ赤にしてグリュンネ少佐から逃げるように走り出してしまったのであった。それを見たグリュンネ少佐はくすくすと笑い

 

「あら、私ったら、少しからかいすぎたかしら?」

 

と、そう言うと

 

「そう言えば、今度の日曜日、B部隊と合同模擬戦をする予定だったわね。この前は散々だったけど、今度こそは仲良く模擬空戦ができるといいわね・・・・あ、そうだ。ディジョンのジーナ隊長と打ち合わせをしないと・・・・それとオブザーバーに来る二人も確か今日来るはずだったわよね」

 

と、何やら気合の入った様子でそういうグリュンネ少佐であった

 

 

 

 

 

 

ガリアのとある病院

 

「すまないな疾風大尉。見舞いに来てくれて」

 

「いいや、銭形さんも大した怪我じゃなくてよかったですよ」

 

今、俺は、ガリアのとある病院で銭形刑事のお見舞いに来ていた。すると銭形刑事は

 

「アハハ。確かにあの殺人鬼ジャックザリッパーに襲われてこの程度で済んだからまだ運が良かったわね。だけどしばらくはここで入院することになったのはちょっと悔しいけどね」

 

と笑って、そう言う。そう銭形刑事はレイナーレの殺人予告の前日に襲われて大怪我を負ったのだが幸い命に別状はなく今この病院で入院生活をしていたのだ。銭形さんによればジャックザリッパーに背中を斬られ、怪我を負い、もうダメだと思い死を覚悟したらしいんだが、

 

『あんたを殺すのはたやすいけど、あんたの暗殺は依頼には入っていないから半分にしとくわよ』

 

と、そう言い去っていたという。その後、銭形さんは背中の傷のせいで這って動くことができず、しばらくしてその通りを通った一般の人に見つけられ病院に運ばれたという

 

「ま、とにかく私の怪我が治るまで扶桑行きは少し延期になっちまったな。すまないな大尉」

 

「いえ、今は銭形さんの体が大事だし。それにこちらとしても都合がいいですよ」

 

「都合がいい?それはどういう意味だ?もうジャックザリッパーの事件は犯人の自決で解決したんだろ?」

 

「いや、まだ完全に解決していないんだ」

 

「ん?どういうことだ?」

 

銭形刑事の疑問に俺は事件について詳しく話す。

 

「なるほど・・・・・ジャックザリッパーに暗殺を依頼していた黒幕がいるというわけか・・・・・」

 

「ああ、そいつらを何とかしないとこの事件は完全には終われないよ。そいつが残っていれば必ず第二、第三のジャックザリッパーが誕生する。だから俺はまだ扶桑にはいけないよ」

 

「そうか・・・・・まあ当然のことだな。私も同じ立場だったら残っているよ。私も警察官だからな。犯人を野放しにすることはできないしね。そう言えば・・・・・」

 

「ん。どうかしたんですか銭形さん」

 

「リベリオンの警察に私の知り合いがいてな。近々セダンに来ると言うんだよ・・・・何でもプライベートというかこの事件と関係のある事情で来るんだと」

 

「へ~そうなんですか。で、その人の名前は?」

 

「ん~・・・・あいつとはニックネームで呼んでいたからな。私はサムって呼んでいるよ。まあ会えばわかるよ」

 

「そうですか・・・・」

 

と、その後、俺と刑事は軽い話をした後

 

「じゃあ、俺は基地に戻るよ」

 

「ああ、見舞いありがとな大尉。ところで大尉腕の怪我の方は大丈夫か?」

 

「まあ、茶わんや箸を持てるぐらいには回復していますよ」

 

「そうか・・・・それはよかったよ。なんかお前、元気なさそうだったからなもしかしたら怪我した腕が痛いのかと思ったよ」

 

「いえ、問題ないですよ。俺はいつだって元気だ、では刑事。お大事に」

 

と、そう言い病室を出るのであった。そして病院を出てバス停に向かう途中、何かの風景画を描いている人を見つける。俺は少し興味本位でその人の後ろに立ち絵を見ていると・・・・・

 

「・・・・絵に興味がおありかね?」

 

と、絵を描いている男性がそう訊く

 

「ああ、少しな。ところであなたはいつもここで風景画を描いているんですか?」

 

「いや、いつもここで描いているわけではない。ある時は公園だったり森の湖、ある時はこうした町の風景を描いているのだよ。まあ、たまに貴族や政府のお偉いさんに依頼されて肖像画を描いたりするのだがね。しかし絵というのはいい。今の世の中は戦争の最中だが、絵での世界は平和そのものだよ」

 

「政府のお偉いさんの肖像画か・・・・なあ、今の政府をどう思っているんだ?」

 

「ふむ。私はただ子供のころから好きだった絵を描ければそれでいいっと思っている。私のような変哲もないただの画家が政治なんかできないし、ましてや今の政治がどうなのか理解することもできないからな」

 

と、そう言うと男は俺のほうへ振り返る。その顔を見た瞬間、俺はぎょっとした顔になる

 

「・・・・・どうかしたのかね若者よ。私の顔に何かついているのかね?」

 

と、男は不思議そうに首をかしげると

 

「あ、いいえ・・・・その。あなたのお名前は?」

 

「ふむ?私かね?私の名はハインリッヒ・フォン・ヒトラー。ただの画家だよ。さて、私はそろそろ家に戻らねば孫たちが待っている。では、さらばだ扶桑の青年よ」

 

そう言うとその男は絵の道具をかたずけて去って言った。それを見た俺は

 

「はぁ~驚いた・・・・・まさか。アドルフ・ヒトラーに会うなんてな・・・・・」

 

そう俺が驚いたのは先ほど絵を描いていた男性があのナチス初代総統であるアドルフ・ヒトラーであったのだ。だが、この世界では子供のころの夢だった画家になっているみたいだ

 

「それにしても……画家になってもあのちょび髭は変わらないんだな・・・・」

 

俺は苦笑しながら、バス停に向かい、そしてバスに乗るのであった。

 

「遥かなる~蒼空遠く~画く真白き飛行雲~」

 

俺はバスの中でお気に入りの歌であり、航空自衛隊の歌である「蒼空遠く」を鼻歌交じりに小さな声で歌っていた。俺は一応、日本国海軍所属になっているが自衛隊に戻れば、航空自衛隊の所属になるはずだった。俺は小さい頃から飛行機が好きで暇なときはF2やらF15のプラモを作ったことがあった。もし空自だったらF15とかF2に乗れたかもしれなかったな。

そんなことを思いながら俺は懐から一通の手紙を出し読んだ。それはペテルブルグにいるアイからの手紙だったついでにイラスト付きで内容は『お父さん。頑張って』とか『早く会いたい』とか書かれていてイラストは俺とアイとエイラを描いたのであろうか実にかわいらしい絵であった。その絵と内容を見てつい笑みを浮かべてしまう。そして

 

「俺も早く会いたいよ・・・・・」

 

と、ポツリとつぶやくのであった。そしてバスは基地の近くのバス停につき、俺はそこで降りて基地へと戻ると、基地の滑走路に輸送トラックが止まていた

 

「あれは・・・・カールスラントのトラックだな・・・・物資の補給かなんかかな?」

 

首をかしげながら俺は基地の中へ入ると、ちょうど談話室のあたりに着くと、そこには黒田の他、アイザックやアドリアーナがドアの前で聞き耳を立てていた

 

「・・・・・何やっているの三人とも?」

 

「あ、大尉。戻ったんですか?」

 

「ああ、先ほどな。で、三人は何の会話を聞いているのかな?」

 

「やあ、疾風君。疾風君は今度おこなわれるB部隊の合同模擬空戦のことは知っているよね?」

 

「ああ、B部隊の親交をさらに深めるのと、最近暗いことばっかりだったから気分転換にだろ?ディジョンにいるエミリアが楽しそうに話してたよ」

 

そう、実は数日後、B部隊と合同模擬空戦をすることになった。これは以前失敗に終わった模擬空戦の仕切り直しと最近ジャックザリッパーや格納庫爆破事件などの暗い事件で少し元気の無くなった隊員の気持ちを切り替えるために気分転換や親睦も含め試合をすることになった。因みにB部隊にいるエミリアは『これでやっとあんたと決着がつけるわね!!』と、ものすごく張り切っていた。因みにキーラ少佐は『まあ、格納庫爆破事件やジャックザリッパーなど表沙汰にできない事件の目くらましくらいにはなるだろう」といい承知している

 

「で、なんでも隊長。その試合のオブザーバーとしてサントロン基地から来たウィッチと会話しているんですよ」

 

「ふ~ん・・・・・どれどれ?」

 

黒田の言葉に俺はみんなと同等ドアに耳を立てて会話を聞く。ドアの向こうに個超えた声はグリュンネ少佐とハインリーケ大尉・・・・いやこの前、上層部からの好意で少佐に昇進したんだっけか。まあい、その二人の声とは別の二人組の声が聞こえた。

 

「(あれ?この声って・・・・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前の506基地の談話室

 

「バルクホルン大尉。エーリカ・ハルトマン中尉。わざわざ遠いサントロンからきてもらって」

 

「あのガリア解放及びヴェネチア解放に貢献した名高いウィッチに来ていただけるなど光栄じゃ」

 

グリュンネ少佐とハインリーケの二人は笑顔で言う中、ハルトマンは苦笑いをし

 

「本当に大変だったよ。トゥルーデにいきなり首筋を引っ張られてさ~」

 

「お前は静かにしてろ、エーリカ#」

 

と、そう言うとハインリーケは

 

「ところで・・・・シュナウファー少佐は今回来ておらぬのか?」

 

「今回もお留守番だよ。基地にミーナ以外に誰もいないと困るでしょ?」

 

「ふむ、それはそうじゃな。しかし残念じゃの・・・・ゆっくりと話をしたかったのじゃが」

 

と、ハインリーケは残念そうに言う中、バルクホルンは

 

「それよりも・・・・・」

 

「「?」」

 

バルクホルンは立ち上がり、そしてドアの方へ行き開けると

 

「「「どわっ!?」」」

 

「「っ!?」」

 

バルクホルンがドアを開けた瞬間そこから黒田たちが雪崩倒れる。そしてバルクホルンは4人の中で黒いコートを着た少年をじっと見て

 

「こそこそ、盗み聞きをするとはな・・・・・あまり褒められた行動じゃないな。それでも軍人か・・・・・義弟よ」

 

「あ、あはは・・・・・・久しぶり義姉さん」

 

「ああ、久しぶりだな・・・・・・・それと!!」

 

と、疾風は苦笑しながら言った瞬間。バルクホルンは疾風の両頬を引っ張り

 

「まったくお前というやつは連絡の一つも出さないでこんな所で何をしている!!お姉ちゃんをそんなに心配させたいのか!!それにエイラとアイはどうしたんだ!!」

 

「いででで!!しょうがないだろ!?今回は特別任務で来たんだから!!それにアイとエイラはペテルブルグにいるよ!!」

 

と、そう言い疾風もバルクホルンの頬を引っ張り返し、今ここに姉弟喧嘩?のにらめっこが始まる。それを見た506メンバーは

 

「え?弟?それに姉って?」

 

「あの二人は姉弟なのか?」

 

「でも大尉とバルクホルン大尉って似てませんよね?国籍的に?」

 

「当たり前じゃろ・・・・ハルトマン中尉?」

 

「いや~これにはいろいろ訳ありでね~」

 

と、ハインリーケたちの質問にハルトマンは苦笑するのであった・・・・・・・・

 


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