ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「TAKE ME HIGHER」

ED「Angel Fly」



ストパンのスピンオフ作品ももうそろそろ始まるのでワクワクします。やっぱり面白い傑作作品は長く続くものです


第138話「姉の愛情(前編)」

「へ~お二人は姉弟だったんですね」

 

「ああ、義理だけどな」

 

あの後しばらく義姉さんとにらめっこが続いた後、俺たちは落ち着き今こうして椅子に座ってお茶を飲みながら話している

 

「・・・・で、疾風。お前はなんでここにいるんだ?妻や娘を残して一人でここに来るのはお前らしくないな。それにさっき特別任務といっていたがどんな任務だ?」

 

と、義姉さんは目を細めて俺に言う。やばい。あれは怒る寸前の義姉さんだ・・・・すると

 

「すまないがバルクホルン大尉。任務内容はガリア政府によって極秘でね。例え彼の姉だとしても教えすることはできないよ」

 

「・・・・・・貴様は誰だ?」

 

「申し遅れた。私はガリア諜報部のクリス・キーラ少佐だ。以後お見知りおきを501の英雄さん」

 

キーラ少佐が不適の笑みでそう言うが義姉さんは怪しむ目で見る。するとアイザックが

 

「妻と娘・・・・・・もしかし501の英雄でスオムスの無傷の撃墜王って呼ばれているエイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉と謎の少女アイちゃんのこと?」

 

「アイザック君知っているの?」

 

「それは‥…このベストセラーに書かれているからね~・・・・て、どうしたんだ姫様?」

 

「い、いいや・・・・・なんでもない」

 

「?」

 

アイザックはひょいッと懐から例の黒歴史の本を出してそう言う中、ハインリーケは驚いたようなショックを受けたような顔をしていたがすぐにいつものようにきりっとした顔に戻る。するとハルトマンがにししっといたずらな笑みで笑い

 

「まあ、疾風もトゥルーデのこと多めに見てよ。トゥルーデ、疾風のことかなり心配していたんだよ。知ってた?」

 

「なっ!?ハルトマン///!?」

 

「そうなんですか?」

 

「そだよ。しかもさトゥルーデたら、疾風が怪我したって聞いたら完全武装してユニットを履いて見舞いに行こうとしたんだよ♪」

 

「ちょっ!?それは言わない約束だろハルトマン!?」

 

「それは職権乱用じゃ・・・・・・」

 

グリュンネ少佐の言葉にハルトマンが答えその答えに義姉さんは顔を赤くしてそう言い、そしてアドリアーナが苦笑してそう言う。確かにアドリアーナが言ったように確かにそれはまずい。例えで言うなら消防士が消防服を着て消防車に乗りサイレンを鳴らしながら身内のお見舞いに行くようなものだ・・・・・・するとキーラ少佐は話題を変えたいのかコホンと咳ばらいをし

 

「さて、姉弟話はここまでにして、グリュンネ隊長。セダンのプレディ隊長とは?」

 

「もう連絡はついているわ。彼女の部隊もやる気満々らしいわよ」

 

「なるほどなるほど。では、模擬空戦は予定通り明日に?」

 

「はい。その通りです」

 

「それは結構だ。では私は別の用事があるためこれで失礼するよ・・・・・明日の模擬戦頑張ってくれ」

 

「あれ?キーラさん見ないんですか?」

 

「みたいのはやまやまだが、こう見えて私はいろいろと仕事があるんだよ黒田中尉。では・・・・」

 

と、そう言いキーラ少佐はふっと笑い部屋を出る。するとハルトマンが

 

「そう言えばさ疾風?」

 

「ん?何ハルトマン?」

 

「君がいるって言うことはミリアもいるの?数か月前に手紙で旅の途中502で疾風と再会したって書かれていたけど?」

 

「ああ、エミリアならディジョンのB部隊にいるよ。なんか模擬空戦だと言ってはしゃいでたよ」

 

「あはは~確か忍ミリア501にいた時ミーナに模擬空戦するの止められてたしね・・・・・・」

 

ハルトマンが苦笑して、そう言う。確かにエミリアはガチもんの模擬空戦になるとつい本気を出して手加減を忘れて相手を怪我させることが多かったため、ミーナさんあらあまり模擬空戦は控えるようにと注意されていたっけ。するとハルトマンが俺の顔を覗き込み、首を傾げ

 

「それより疾風さ・・・・・なんか元気なくない?」

 

「え?」

 

「なんかさ、思いつめたようなッていうかなんか暗いというか?なんか、冴えない顔色だし、どこか具合悪いの?」

 

「そう言えばそうだな・・・・・前にあった時に比べて、やつれたような・・・・・・ちゃんと食事は食べて、きちんと体を休ませているのか疾風?」

 

ハルトマンと義姉さんが心配してそう訊くと俺は笑って

 

「大丈夫だときっと二人の気のせいだよ・・・・・さて紫電改の整備しないとな」

 

と、そう言い部屋を出るのであった。それを見たバルクホルンは

 

「やはり、あいつの様子、いつもとおかしいな・・・・・・・」

 

「なぜわかるのトゥルーデ?」

 

「姉の勘だ。グリュンネ少佐。あいつの元気のない理由、何か知っているのか?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

バルクホルンの言葉にグリュンネ少佐は言葉に詰まる。あのことを話していいのだろうか、あの事件は表ざたにしないようにキーラは元居ガリア政府からも口止めされている。無論その話を聞いている502にも口外させないように口止め料が渡されている。そのためグリュンネ少佐は返答に困っていた。

すると黒田が

 

「おそらく、レイナーレさんの言っていたあの言葉だと思います」

 

「誰だそのレイナーレって?」

 

「ガリアでジャックザリッパーて呼ばれた殺人鬼で・・・・・・」

 

「こら黒田!それは内緒にしろとガリア政府から・・・・・」

 

「殺人鬼?どうことだ?弟に何があったんだ?教えてくれ頼む!」

 

「トゥルーデ落ち着いてって」

 

慌てるバルクホルンにハルトマンはなだめるとハインリーケが

 

「・・・・・隊長。ここは話すべきだ」

 

「ハインリーケさん・・・・・・・わかりましたわ。二人とも、今から話すことは他言無用でお願いします?」

 

と、そう言い二人は頷く。そしてグリュンネ少佐はジャックザリッパー事件のことを話し、そして犯人であるレイナーレが黒田を誘拐し、疾風と一騎打ちした際、疾風に敗北しそして自ら命を絶ち、息を引き取る直前、疾風に今まで相手を殺した罪は一生消えないとそう言い息を引き取った後、黒田を救出してから疾風の元気がなくなったことを話した。

 

「そっか・・・・・そんなことがあったんだ」

 

「・・・・・・・」

 

その話を聞いたハルトマンはそう言い、バルクホルンは深刻な表情をして黙っていた。そしてバルクホルンは無言でクルっと背を向け部屋を出ようとする

 

「どこに行くのじゃ大尉・・・・・」

 

と、そう訊くと

 

「……姉として…軍人としての務めを果たしに行くだけだ」

 

と、そう言い部屋を出るとハルトマンはあきれ顔で

 

「トゥルーデも素直じゃないね~」

 

とそう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

格納庫

 

俺は格納庫でいつものように愛機紫電改の整備をしていた。俺の紫電改は他のユニットと違い複雑な構造だから、俺がやんないといけない。そして紫電改の整備も終わり俺は汗をぬぐう。そしてよく風の通る涼しい場所である。格納庫の上の段に昇り窓から空を見ていた。そして窓から爽やかな風が入る。

 

干戈(かんか)交ゆる 幾星霜・・・・・」

 

と俺は歌を口ずさみながら空を見上げてそう言う。そう思う中、俺は別のことを考えていた。それは・・・・

 

「それにしても・・・・少し体がだるいな・・・・・」

 

そう、今の俺はなぜだか体がだるく感じる。熱は無いから風邪ではないし、疲れっといってもそんなものじゃない。体じゃなくもっと心に来るようなだるさだ・・・・・もしかしたら

 

「心の病気ってやつかな・・・・・」

 

俺はハルトマンたちに元気がないと言われたことを思い出す。確かに彼女の言う通りそうかもしれない。俺はふっと数日前のあの戦いで最後レイナーレに言われたことを思い出す

 

『やっぱりあんたの本性は人殺しよ・・・・・同じ人殺しが言うんだから間違いないわ。人を殺めたものは決してその身についた罪という血を拭い去ることは決してできない。死ぬまで人殺しのまんまその罪を背負い続けるのよ・・・・・』

 

「人殺しは最後まで人殺しか・・・・・・」

 

俺はぽつりとつぶやく。人殺し・・・・・俺はそれを否定するつもりはない。俺は向こうで空でもそして地上でもたくさんの敵兵を殺してきた。だが、戦闘が終わった後は心のどこかはち切れそうな痛みがいつも俺を襲い。俺はそれを押し殺しながらひたすら敵を撃ち落としてきた。

 

『国や大切なものを守るため血で汚れるそれが軍人』

 

当時の上官の言葉を口ずさみながら俺は自身の感情を殺して、戦ってきた。まだ世間の知らない。純粋なことしか知らない俺にとって人を殺すというのはそれなりに堪えた。その時、俺は初めて人を殺すという恐怖というものを知った。そして現在の俺は軍に入る前に言われた義母の言葉を改めて理解したのだ・・・・・

 

「一生消えることのない罪か・・・・・・」

 

俺がそう呟くとポケットから何かが落ちる。それに気づいた俺はその写真を拾い上げる。その写真はこの時代では当たり前の白黒ではなく。カラー写真。そう俺のいた世界の写真だ。そしてその写真に写っていたのは士官候補生の軍服を着たまだ幼い俺と、その隣にロシアの士官服を着た短い銀髪の少女が写っていた。

 

「・・・・・・・・・・アナスタシアさん」

 

俺はそう呟くのと同時に、俺の脳裏に何かの映像が浮かび上がる。それは激しい空中戦の中、一機の尾翼に白い百合のマークをしたロシアのLa-7戦闘機が写った。そしてその戦闘機が赤い炎に包まれ堕ちてゆく姿も・・・・・

 

「・・・・・」

 

俺はその風景を思い出し、ぐっとこぶしを握り締める。すると背後で何かの気配がした。俺は振り向くと

 

「ここにいたのか・・・・・・疾風」

 

「・・・・・・・・・・義姉さん?」

 

そこには義姉さんが立っていたのだった。

 




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