ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
OP「永遠に幼き紅い月」
EⅮ「鋼鉄ノ鳥」
1945年、ベルリン上空にある禍々しく大きい積乱雲がベルリンの街を覆いそして街の国境には街を囲む用意真っ黒な壁があった。
かつて帝政カールスラントの首都であったベルリンは今、ネウロイたちの占領下の一つとなっている。そして、そのベルリンを占領している過激派ネウロイの巣の指揮官は・・・・
「ふぅ・・・・やはり、人間の作り出す紅茶という飲み物はいいですわね・・・・」
ネウロイの巣である積乱雲の中、宙に浮いたテーブルと椅子の上に紅茶を飲みのほほんとする女性がいた。彼女こそがこのベルリンを占領するネウロイの指揮官であり、ネウロイ四天王の一人である、ジブリール中将である。そして彼女はしばらく紅茶を飲んでいると
「もうそろそろ、来ますわね・・・・・・・」
と、そうポツリとつぶやくと彼女の目の前に1つの光が現れ、その光が消えると
「まったく・・・・こんな遠いところに呼び出して一体何の用だジブリール」
と、一人の女性型ネウロイが彼女の前に現れる。するとジブリールはにこっと笑い
「お待ちしておりましたわ。エスデス中将」
「あ、お前もなジブリール中将・・・・・と、言うよりお前なぜ人の姿になっている?」
とエスデスと呼ばれた人型ネウロイがそう訊くとジブリールは
「人間の姿というのも案外楽しいってことに気付いたのよ中将」
「まあ、あんたの趣味は今に始まったことじゃないから気にせんが、それよりなんの用だ。私は忙しいのだ」
「そう言えばあなた、オラーシャの人類軍の精鋭部隊の一つ第503統合戦闘航空団「タイフーンウィッチーズ」という部隊と戦っているのですね」
「ええ。あ奴ら弱いからすぐに殲滅できると思っていたが、あそこの指揮官がなかなかの策士でな。少々手こずっている。まあ今現在現場は私の副官の一人がやっているから問題はないけどね」
「確かあなたの副官は二人おりましたわね。一人はオラーシャにいるとしてもう一人はどうかしたの?」
「知らん。あの無鉄砲は急にベルギガへ行くと抜かして戦線を離れたきり戻ってきておらん」
「そうですの・・・・・・」
「と、言うより早く要件を言えジブリール!」
「まあまあ落ち着きなさいな。紅茶でも飲みます?」
いらいらしながらそう言うエスデスに対しジブリールは紅茶を進めるとエスデスはジブリールから紅茶の入ったマグカップを取り
「人間の飲み物か・・・・・我らネウロイは主に金属しか食べん」
「確かに、我々は金属しか栄養はとれませんが、エスデス。人間体になれば味覚機能が起動し、人間の食べ物も食べれますよ。栄養はとれませんけど」
「私に人間の姿になれと言いたいのかジブリール?」
「ええ、そうよ。あなたも人間の食べ物に興味くらいはあるでしょ?それにこの紅茶だけでなく茶菓子も用意したのよ」
と、そう言いうとジブリールはテーブルの上にクッキーやスコーンを置くとエスデスは
「・・・・・・まあ、退屈しのぎにはなるな・・・・・」
と、そう言うと彼女の身体が光り、光が収まるとそこには白い軍服みたいなのを着た水色の長髪な女性の姿へと変化した。そしてジブリールに勧められた紅茶を飲む
「ふむ・・・・確かに不思議な味ね」
「でしょ?ブリタニアから取り寄せたいいのを使ったのよ。もちろん私が副職で稼いだお金でね」
「あなたが謹慎中に人間に扮してお菓子売りやらセールスマンに成りすまして活動していたとは聞いていたけど・・・・」
「どうする?エスデス?士道不覚悟として私を粛清する?それとも最高司令官であるレミリア元帥に報告するつもり?」
そういたずらっぽい笑みをするとエスデスは無言で紅茶のみスコーンを口にすると
「あなたの勝手な行動については、この紅茶とお菓子に免じて黙っといてあげるわ・・・・・・その代わり」
「その代わり?」
「たまにでいいこの紅茶の茶葉とお菓子、うちの基地に後れ」
「気に入ったのですね?」
「まあ、人間の食べ物にしては悪くはない」
と、そう言うと
「なら、あなたも共犯ねエスデス中将」
「「っ!?」」
急に誰かの声がすると二人の前に青みがかった銀髪をした10歳くらいの少女が現れる。すると二人は目を見開き
「「れ、レミリア元帥!?」」
慌てて敬礼すると彼女は手で制し
「敬礼はいい。それとそんなに緊張しなくてもいい。別にあんたたちを粛清しに来たんじゃないわ。なんだってあんたたちは我が軍団で一番信頼でき、最強を誇る戦士ですからね。そんな戦士を葬るなんて愚の骨頂よ」
「では本星から、こちらに来た目的は元帥閣下?」
「簡単よジブリール中将。あなたの持ってきた地球の食べ物を食べに来たのよ・・・・あら、このスコーンてお菓子美味しいね」
「良かったらお土産にどうぞ」
「ありがとう中将」
そう言いレミリア元帥は紅茶を飲むと
「それより、ヤプール大佐には惜しいことをしたわね」
「ええ、嫌われ者ではありましたが・・・・」
「彼女には我々にない才能がありました・・・・中二病で頭のおかしいマッドサイエンティストではありましたが」
「そうね・・・・一応、本星で二階級特進を具申しておいた。、しかし、戦場より楽と思ったのだが本星の仕事の方がまさに戦場ね。過激派上層部と穏健派そして革新派上層部の言い争いが絶えないわ。やれやれ元帥の仕事も楽ではない。ところでそのヤプールを倒したその地球人。確か疾風村正といたかしら?ジブリール君?」
「ええ、疾風村正。スオムス義勇軍所属で階級は大尉。我がネウロイと初めて接触した宮藤芳佳軍曹と並ぶ我がネウロイ軍重要人物としてレッドリストに乗っています」
「ミヤフジヨシカ・・・・・その名は聞いたことがあるわ。我がネウロイの最大の障害になるかもしれない人物と」
「私もだ。強いては一手死合うておきたいわね」
「それは無理ですね。彼女はヤプール戦で魔力という戦闘力を失って今は扶桑で隠居しているわ」
「そう。それは残念だ」
「話がそれたわね・・・・・ところで中将、その疾風という男、噂では我が同胞を養子にしていると聞いたが?」
「ああ、アースクリーンプログラム試作T1000型・・・・・アイのことですね。ええ、まるでほんとの親子みたいで微笑ましい限りですわ」
「アースクリーンプログラム・・・・確か穏健派連中が作りだした人口生命体のことだな?その男は自分と異なる生命を養子にして気持ち悪くはないのか?」
「人間もそこまで愚かではありません。確かに下劣な人間もいますが、疾風大尉とその妻エイラ中尉は例外です」
「ふ~んそうか・・・・・」
ジブリールの言葉にエスデスは興味ない表情を見せるがレミリア元帥は
「なるほど・・・大変興味深い話ね・・・・一度会ってみましょうか・・・その男に」
「「え!?」」
「ジブリール。その男は今どこにいる?」
「確かその男はガリアのセダンにいますわ」
「そう・・・・ならその男があなたの言った通りの男なのか試してみるわ。あなた達は今まで通り仕事に戻りなさい。後ジブリール。あんたの謹慎は今日で解くわ。後、あなたの師団は今まで通りあなたの好きに指揮しなさい。エスデスもあまり相手をなめないように敵と戦いなさい」
「「はっ!」」
そう言うとレミリア元帥は光りに包まれ消える。そして残された二人は
「また始まったわね元帥の悪い癖が・・・・」
「そのようですわね。興味のあることは自分自身の目で見て感じる。元帥らしいと言えば元帥らしいのですが・・・・」
「まったく我らが王には困ったものだ。それよりもジブリール」
「なんでしょうエスデス?」
「そう言え場お前知っているかヤプールについて?生きているという噂が絶えないが?」
「それはただの噂、まあ確かにあの怨念の塊のような彼女なら生きていても不思議ではありませんね。それがどうかしたのかしら?」
「いや、風の噂に聞いたが奴は以前にウィッチキラーなるものを作ったと聞いたが?」
「ええ、でもそれは疾風大尉によって倒されました」
「ああ、だが奴はそのウィッチキラーの後継生命体を作っていたらしい。いまはガリアのどこかで監禁されているらしいが?」
「それは‥…本当ですの?」
「ああ、確かな情報だ。それだけじゃないヤプール残党がガリア国内で身内殺しをしているらしい」
「やれやれ、指揮官がいなくなった瞬間、身内殺しをするなんて困ったことですわね」
「今までは彼女の副官であったメフィラスがやっていたらしいが彼女もヴェネツィア戦で戦死しているらしいしな。指揮官のいなくなったネウロイは最早ただの獣にすぎん」
「確かに。理性と知性を持つ者は我々のような人型で、しかもごく少数の仕官クラスしかいませんからね。後の物は命令で動く生物兵器みたいなものだけですからね。で、そのヤプール残党と人類軍が激突すると?」
「ああ、まあ極寒の地の担当である私には関係ないことだがな。お前も手は出さないんだろ?」
「ええ、ここはお手並み拝見ってところですわね」
「そうか‥‥では私はそろそろ戻るぞ。まだやることが多いからな。ジブリールお前は?」
「私は今まで通り中立を保ちますわ。まあ人間に扮しての副業はやめませんが」
「ほどほどにしろよ。じゃないと過激派上層部に消されるからな」
「あんな弱腰連中が私に勝てるとでも?」
「ふ、それもそうだな」
そう言いエスデスもジブリールの前から姿を消すのであった。そして残されたジブリールは紅茶を飲み
「さて、疾風大尉。ここはあなたの腕前、とくと拝見させていただきます・・・・・・・」
そう静かに言うのであった