ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「鋼鉄ノ鳥」
新年号令和になって初の投稿です!!
模擬空戦から数時間後の夕方、バルクホルンたちは役目を終え今ベルギガのサン・トロン基地に戻ることになった。そして疾風の姉バルクホルンは
「いいな疾風。身体は大事にしろよ。それと手紙もちゃんと書くんだぞ」
「わかっているよ義姉さん」
別れを惜しむかのようにバルクホルンは疾風にいろいろと言っていた。だがそれは疾風を心配してのことだというのに疾風は知っていたため笑顔で答える。するとバルクホルンは急に疾風を抱きしめ
「いいな疾風。お前は一人じゃない・・・・・私やエイラやみんながいる。苦しい時はいつでも頼れ。それとあんまり無茶はするな・・・・・・いいな?」
「ああ、・・・・・ありがとう義姉さん」
姉の優しさに振れ疾風は笑顔でそう返すと、バルクホルンも笑顔になる。一方ハルトマンもエミリアと別れの言葉を掛けていた
「じゃ、ミリア。また会おうね」
「ええ、それじゃあねフラウ。あ、それと部屋のかたずけはちゃんとしなさいよ。仮にも医者の卵なんだからね」
「わかっているよ~」
そう言いうと
「「行くぞハルトマン!」
「わかったよ。じゃあまたどこかで会おうね。疾風、ミリア」
と、そう言い、ハルトマンとバルクホルンはトラックに乗りサントロン基地へと帰るのであった。
それから数時間後、506のA部隊セダン基地の浴場では
「あ・・・あのいいんですか?」
「何がじゃ、デブランク大尉?」
「あの、私たちB部隊がセダンの浴場に入って?」
「構わぬじゃろ。B部隊とはいえ、同じ仲間じゃ。何を気にする必要があろう」
バルクホルンたちを見送った後、506のAとB部隊のウィッチたちは今、大浴場で模擬戦での汗を流していた。そして同じ大浴場の湯槽にい使っていたジェニファーやアドリアーナそしてアイザックの言葉にハインリーケは照れ隠しなのかそう言う。すると黒田が
「それにしてもバルクホルン大尉たちも一緒に入ればよかったですね」
「確かに、だけど大尉たちは『いつまでもサントロンを空にできないからな』って言っていたし、あまり無理強いもできないしね」
「そうね~」
黒田の言葉にカーラやエミリアがそう言うとマリアンは
「そう言えば疾風はどうした?ジーナ隊長はグリュンネ少佐は書類の仕事があると言って隊長室にいるのは知っているとして?」
「ああ、疾風なら、ハンガーで紫電改の整備をしているよ。あいつ暇なときは剣の素振りをするか、自分の愛機の整備と化したりするからね。後、家族サービスとかも」
と、そこへエミリアがやってくる
「ああ、エミリアさん。模擬戦、おつかれ・・・・・・・て、エミリアさんそのお腹の傷どうしたんですか!?」
「ひどい傷じゃの」
「これ映画とかで見たことあります!確か銃創てやつですよね?」
「傷?・・・・・ああ、これか」
エミリアの姿を見て皆が驚きエミリアは首をかしげる。そしてジェニファーの言葉にエミリアは自分の腹を見ると、そこには大きな銃創がついていた。エミリアは湯槽につかり
「これはね。疾風と初めて戦った時あいつにつけられた傷さ」
「疾風にだと!?」
「ええ、前に言ったわよね?私と疾風のいた世界では人間同士の戦争だったとそして私と疾風は敵同士だということも」
「ああ、そのようなこと言っておったの。もしかしてその時に」
「ええ、思えばこの傷をつけられた時からあいつとの戦いが始まったんだよね~まあ聞いた話によると疾風も私との戦闘の後に左目に重傷を負ったしたらしいんだけどね」
「ひ、左目にですか!?」
「あ、それ知ってます。大尉の左目の上のあたりに髪で隠れているけど確か銃創があるんですよね?」
「よく知っているわね黒田?」
「はい。前にちらっと見ました。あの傷ってやっぱり疾風さんやエミリアさんの世界での?」
「ええ、まあそのことについて詳しく知りたいのなら、第三章の第47話「時には昔の話を2」を読めばわかるわよ」
「エミリアさん。誰に言っているんですか?」
「ん?ただの独り言よ。まあその戦いの後から、私とあいつは互いの腕を認め合ったライバルとなりこの世界に飛ばされるまで何度も死合いをしたわ。今思えば懐かしいわね」
どこか懐かしむように言うエミリアにジェニファーは
「あ、あの・・・・エミリアさん。エミリアさんは疾風さんを恨んでいないんですか?」
「はぁ?なぜ恨む必要があるのよ?」
「だって、その傷は疾風さんがエミリアさんを撃って怪我をさせたんでしょ?」
そう言うとエミリアは少しため息をつき
「それは戦争だから仕方がないわよ。あなたたちは人同士の戦争を良く知らないかもしれないけど、人間の戦争て言うのはね常に互いの信念と信念のぶつかり合い。確かに残虐なことは多いけど違う信念のもと戦って死んでもそれは百も承知。軍人が軍人を恨む道理なんてないわよ。ただ信念のもとに戦った相手に敬意を表するだけだわ」
「「「・・・・・・・」」」
エミリアの言葉に皆は黙る。そして
「疾風さんもそんな気持ちで戦っていたのかな?」
「さあね。それは本人じゃないとわからないわ。人殺しなんてしたくもないしやりたくもない。ただ、祖国や家族を守るためにその平和を踏みにじる敵や脅威を殺し排除するのが私たち軍人よ。そしてそれが戦争というものなのよ・・・・」
どこか悲しげに言うエミリアに皆は何も言えないでいた。するとエミリアは
「ごめん。暗い話をしてしまったわね。少し話題を変えましょうか?」
「そ、そうだな」
「な、なんの話がいいかな?」
と、みんなは速くこの暗い雰囲気を打開すべく別の話題を考えるのであった。するとエミリアはマリアンとハインリーケの方を見てにやっと笑い
「そうね・・・・そうだ。マリアンとハインリーケ」
「「なんだ?」」
「君たち二人は疾風のどこが好きなのかな?」
「「なっ!?」」
にやけているエミリアの質問にハインリーケとマリアンは顔を赤く染め驚く
「あ、それ私も知りた~い!」
「僕も興味あるね」
「な、、貴様らは・・・・」
「それよりもエミリア。お前なんという質問を!!」
「え~いいじゃない。女子会を始めるにはまずは恋バナからってね」
「そうそう、それに姫さんとマリアンが疾風大尉に好意を持っているのみんな知っているし」
「うう///」
「はぁ・・・・何という事じゃ」
エミリアとカーラの言葉にマリアンは顔を赤くし、ハインリーケはため息をついてしまう
「で、実際のところはどうなんだ姫さん?」
アドリアーナがそう訊くとハインリーケは観念したのか、話始める
「まあ…その。好きか嫌いかと訊かれれば好きな方じゃ」
「あ~やっぱり、で、どんなところが好きになったの?」
「その・・・まあ、優しい所じゃの。誰にでも優しく接し、いざとなれば頼りになる奴じゃな。初めて夜間哨戒に言った時は助けてくれたしの。正直言って悪いとは思うておらん///」
「へ~で、カール大尉の方は?」
「大体ヴィトゲンシュタインと同意見だ。それにあいつ普段は結構気を使ってくれたり、優しいし・・・・・」
「まるでシンデレラに出てくる王子様みたいなんでしょ?」
「そうそう!・・・・・て、カーラ・ルクシック!変な事言うな!」
「違うの?」
「いや・・・・別に違くはないのだが・・・・・///」
もじもじしながら言う二人にみんなは温かい目を向けていた。するとハインリーケは
「じゃが、エミリア大尉。聞いた話ではあ奴には婚約者がおるはずじゃったな?」
「私も本や新聞で知った。確か501のエイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉だっけか?そいつとの仲はどうだ?」
「わらわも知りたい」
と、二人がそう言うとエミリアは
「そうね・・・・・強いて言えば。結構むず痒い感じかしらね」
「むず痒いですか?」
「ええ、ジェニファー。あの二人の仲は結構いい。むしろ、いや、まさにオシドリ夫婦といったところね。けどあの二人奥の手だから肝心のところまでいかないし。かと思えばブラックコーヒーを2倍濃いやつを飲まないほどの甘いムードになったり。とにかく一進一退というか、まあさっきも言った通り、すごくむず痒く見えるわ。ただ互いに愛し合っていることだけは他人から見てもわかるわ」
と、エミリアはそう言うと
「そうか・・・・そう言うことか」
エミリアの言葉にハインリーケは静かにそう言いマリアンも無言のままであったが二人の表情はどこか悲しげなそして寂しさの入り混じった顔であった。
「聞いて後悔した?」
エミリアが申し訳なさそうに言うと二人は首を横に振り
「いいや・・・・・逆じゃ」
「ああ、少しだけ心の整理がついた・・・・」
そう言い。二人は風呂から出ると黒田が
「あれ?マリアンさんとヴィトゲンシュタイン大尉もう上がるんですか?」
「ああ、少しのぼせてしまったようじゃ。おぬしもそうであろ。カール大尉?」
「ああ、そうだなちょっと外に出て涼しい風にでもあたってくる」
「わらわも同行しよう。そうじゃお主コーヒーでも飲むか?」
「すまないな姫さん」
そう言い二人は出てってしまうのであった。それを見たアドリアーナとジェニファーは
「やれやれ。二人とも素直じゃないな」
「そうですね・・・・・マリアン大丈夫かしら」
と、そう呟くのであった。
一方、疾風の方はというと・・・・
「大尉。もうそのくらいでいいですよ」
「ああ。そうか。ご苦労さん」
ハンガーで整備士たちの手伝いをしていた。そして最後の部品の入った木箱を運び終わり肩を叩くと、セダン基地の整備班長が
「いえ、良いんですよ。それよりもすみませんね整備の部品運ぶの手伝ってもらって」
「お礼なんていいですよ。ただ俺がしたいようにしているだけだし。何より重い備品運びは筋トレにもなるからな」
「ははは!そうかい。それよりも大尉。君は確か婚約者と娘さんがいるらしいな?」
「ああ、そうだよ」
「手紙は書いているのかい?」
「いつも書いて送っているんだがな、この基地にいる諜報員どもがいちいち検閲と言いながら手紙の内容をチェックしているんだよ」
「たまりませんな・・・・」
「ああ、たまらないよ・・・・近代国家にあるまじき行為だ」
「あはは!近代国家ね~確かに人の手紙を覗き見るのは確かにおかしいな」
「だろ?」
「で、返事は帰ってきたのか?」
「ああ」
「内容は?」
「まあ・・・・ご想像に任せるよ・・・・・・うっ」
と、そう言うと疾風は少しよろける
「おい、大丈夫か大尉?それによく見ると顔色も悪いし、体でも悪いのか?」
「ああ大丈夫だ。ちょっと立ち眩みを起こしただけだ。じゃあ、俺はこれで」
「ああ、ご苦労様です大尉」
そう言うと疾風はハンガーを後にし、自分の部屋に着くと
「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・」
急によろけ始めベットに倒れこむ、その瞬間、体中から大量の汗が流れる。そしてその顔色はやつれた感じになっていた。そして疾風は
「(くそ・・・・どうなっているんだ・・・・体がだるい・・・身体が思うように動かない・・・・)」
額の汗をぬぐい疾風は自分の体に異変に考えていた。そうあのレイナーレの戦いから疾風は自分の体の不調に気付いていた
「(レイナーレの戦いの後から体の調子がおかしい・・・・・脈も速くなっている・・・・一体どうなっているんだ)」
そう思い悩んでいると・・・・どこからか気配を感じる。すると彼の傍に狼耳をした和服姿をした女性が立っていた
「(340号・・・・・・いや、地球での呼び名に従ってウルトラセ・・・・)」
「何をしているんだ宗近」
「(ちっ、なんじゃノリの悪い奴じゃの。というよりよくわかったな)」
「声で分かった。まあ人間の姿の慣れるのは驚いたがな」
そう、疾風の傍に現れたのは疾風の使い魔であるニホンオオカミの宗近であった
「(元の姿でお主の前に現れてまたお主にワンコ呼ばわりされるのは嫌じゃからな。よって人の姿となり幻影としてお前のもとに現れた)」
「で、何しに来たんだ?」
「(おっと、話がそれたの。コホン。実はお主の相棒として警告しに来たのじゃ)」
「警告?」
「(そうじゃ。おぬしは体は過去の侵略者、つまり過激派ネウロイとの多くの戦いで心身ともに深刻なダメージを受けておる。飛ぶだけでは問題はないが、これ以上ウィザードとして戦うのは非常に危険じゃ。村正。遂にお主も空から降りる時が来たのじゃ)」
宗近がそう警告すると村正は
「しかし、宗近。この世界を狙う過激派ネウロイは後を絶たない。俺が今戦線を離脱すればこの世界はどうなる。いやそれだけじゃない。俺が降りて残されたエイラたちもみんなもどうなってしまうんだ。彼女だけを戦わせるわけにはいかない」
「(村正。気持ちは十分わかる。だが今は自分のことを考えるべきじゃ。ウィザードとして戦うことは死につながる。本来体の弱いお主の体は例えて言うなら、ボロボロでつぎはぎ状態の小型な車に無理やりフェラーリのエンジンを乗っけたうえ、その後ろにジェットエンジンを載せてアフターバナーを点火して戦っているような物じゃ。このままではお主の体は限界を超える。飛べなくなるだけじゃすまないことになるのじゃぞ?)」
「俺は死ぬことになるのか?」
「(そうならないためにもお主は空を降りなければならない。おぬしは普通の人間とは違いひ弱な体なのだ)」
「しかし宗近。俺は今空を下りることができない。いやな予感がする。このガリアにとてつもなく恐ろしい事が起きそうなんだ。このまま放っておくことはできない」
そう力強くそう言うと宗近は
「(そうか・・・・・なら村正。一つだけお主に忠告する。戦ってこれ以上のエネルギーを消耗してはならぬ。愛する家族のもとへ帰ることもできなくなるぞ。ストライカーユニットを履いて戦ってはいかん!!)」
そう言った瞬間、彼女の姿は消えるのであった。そして疾風は
「(空を下りる・・・・・・か・・・・)」
深刻な顔でそう呟くのであった