ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

158 / 246
OP「色は匂えど散りぬるを」

ED「鋼鉄ノ鳥」


第151話「不調」

ガリアのとある病院

 

「わざわざ見舞いに来てくれてありがとなサム」

 

「別にかまわないよサチコ。まあお前が元気で何よりだよ。ホイ、これ差し入れ」

 

「ああ、すまない」

 

と、病室の中でジャックザリッパーに襲われ負傷し入院している扶桑の女刑事の銭形幸子がトレンチコートを着た金髪の女性と話していた

 

「でも災難だな幸子。殺人鬼に深手を負わされて本来の任務が先延ばしになるなんてな。きっとあんたの上司カンカンだぞ?」

 

「ああ、その件なら。問題ないよ。事情を話したらわかってくれた。まあ、私が怪我をしてもしなくても、疾風大尉の扶桑行きの任務は先延ばしになっていたさ」

 

「ん?サチコ。それはどういうことだ?」

 

「たぶん。お前が探しているヤマと関係あるかもしれないから話すけど、サム。今言うことは内密にしてくれよ」

 

サムと呼ばれた少女に銭形がそう言うと彼女は無言で頷き、銭形は疾風が話した殺人鬼レイナーレを影で動かしていた者のことを話す

 

「なるほどな・・・・・・じゃあ、マーティーを殺した奴も恐らく・・・・」

 

「マーティー?」

 

「いや、こっちの話だ。なるほど事情は分かった。だが、それだと軍の連中が納得しないんじゃないか?」

 

「ああ、それも問題ない。警視総監殿の話では、なんでも陸軍お偉いさんであるの樋口閣下に話したところ閣下は『客人が解決したいことがあるのならそちらを優先しなさい。私たちは気長に待っていよう』と、言ってくれたみたいでさ。船旅の時間を除いて3週間待ってくれるらしいぜ」

 

「三週間か・・・・その人、太っ腹だな」

 

「まあ、陸軍でも人徳や人道に篤い人と呼ばれているらしいからな。それよりも早く任務を終えて扶桑に帰りたいね」

 

「扶桑に帰ったらどうするんだ?また警察の仕事か?」

 

「まあ、それもあるけど、まず帰ったら家にいる息子を抱きしめたいわね」

 

「そっか・・・あんた少女に見えるけど。れっきとした成人女性だし一児の母だもんな。で、その息子は元気か?確か名前は・・・・」

 

「幸一よ。もう10歳になるから大きくなっているんでしょうね」

 

そう言い二人はしばらく話をすると

 

「さて、私はそろそろセダンに行くぞ。お前の話を聞いたら、ますますその疾風って言う男に会いたくなったしな。早く怪我、治せよサチコ」

 

「ああ、サムこそ頑張れな」

 

そう言いサムと呼ばれた少女は病室から出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セダン基地の森の中で疾風は日課である剣の素振りをしていた。だが・・・・

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

刀を杖代わりにして立ち、息を切らしてしていた。その額には訓練で流れる汗ではなく冷たい汗が流れていた

 

「はぁ・・・・いつも平気でやっていた素振りが、たった十振りでバテるなんて・・・それに変だないつも持っている刀ってこんなに重かったか?」

 

そう呟きながら疾風はそばにあった木に寄り添い腰を下ろす。木の葉が日影になり葉と葉の隙間から心地よい風が流れる。だが今の疾風にはその風の心地よさが感じられず、体が重くなり、だるくなる感覚が彼を襲っていた。

 

「(やっぱり、宗近の言う通り、俺の体に限界が来ているのか?)」

 

疾風は先日の夜に使い魔であるニホンオオカミの宗近に言われた警告を思い出す。

 

『一つだけお主に忠告する。戦ってこれ以上のエネルギーを消耗してはならぬ。愛する家族のもとへ帰ることはおろかお主の命を失うことになるぞ。ストライカーユニットを履いて戦ってはいかん!!)』

 

その言葉を思い出すが、しかし疾風は首を横に振り

 

「いや・・・まだだ・・・まだ空を下りるわけにはいかない」

 

そういい、再び立ち上がると疾風は汗をぬぐい基地へと戻る。そして廊下を歩く中でも疾風を襲う体の不調がどんどんひどくなっていった。やがて疾風はまともに廊下を歩くことができず壁によりかかって息を切らし始め、先ほど拭った汗がまた出てくる

 

「(くそ・・・・あたりの景色がぐるぐる回って見える・・・・・)」

 

疾風の視界はぼやけたり。見える風景がゆらりゆらりと回ったり歪んで見えていた。疾風が壁にもたれかかって汗を拭っていると

 

「おや?疾風じゃないか?」

 

「ヴィ、ヴィスコンティ大尉・・・・・・」

 

そこへ偶然アドリアーナがやって来たがアドリアーナは疾風の様子を見ると

 

「て、お前顔色悪いじゃないか?どこか具合でも悪いのか?」

 

「い・・・・いいや。大丈夫だ」

 

乾いた笑みでそういう疾風だがアドリアーナは

 

「疾風、じっとしていろ」

 

そう言うや否やアドリアーナはそっと手を疾風のおでこにかけると彼女は目を見開き

 

「お前、熱があるじゃないか!?すぐに医務室に行きなよ」

 

「い、いいよ。大丈夫。部屋で転がっていればよくなるよ」

 

「大丈夫なものか!今にも死にそうな顔をしているぞ!?すぐに医務室に行って診てもらえ!」

 

「そ・・・・そうだな・・・・それなら・・・・医務室に・・・・」

 

アドリアーナが心配そうにそう言ったその瞬間、疾風の視界が真っ暗なる。その瞬間疾風はバタリと倒れるのであった。

 

「お、おい!?疾風!どうしたんだ!しっかりしろ!!」

 

アドリアーナがそう叫ぶ中、疾風の意識はだんだん遠のいていくのであった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドーセ先生。疾風さんの容体は・・・・・・」

 

談話室でグリュンネ少佐はこの基地の医師であるドーセに疾風の容体を訊く。疾風が倒れた後アドリアーナはすぐにドーセ先生を呼び、そこへ駆けつけたハインリーケたちが疾風を医務室へ運び、ドーセ先生が疾風の容体を見て戻ってきたところだったのだ

 

「脈拍と血圧が平均値より高く、熱も40度以上超えている。だが風邪の類ではない。恐らく過労による疲労が原因だろう」

 

「過労?」

 

「ああ、しばらく休ませれば回復するだろう。じゃあ私は戻るから、何かあったら呼んでくれ」

 

そう言いドーセ先生は部屋を出るのであった

 

「大尉、思ったほど悪い病気じゃなくてよかったね」

 

「ええ、でも今よく思えば疾風大尉、この頃、働きすぎだったかもしれませんね」

 

「確かにの。思い返してみれば始末書の整理などの書類仕事をあ奴によく手伝ってもらってたからの」

 

「え!?大尉!始末書書かされるほどのことしたんですか?」

 

「違う黒田中尉!ほとんどおぬしらの始末書の処理じゃ!」

 

「とにかく、こちらも、もっと考慮するべきでしたね・・・・・」

 

グリュンネ少佐がそう言うとキーラが

 

「議論もいいが、疾風大尉のことで思い出したのだが、なぜ彼がまだここにいるのだ。彼の任務はジャックザリッパー・・・・いやレイナーレの討伐だ。だがターゲットであるレイナーレが自決した今彼がここに残る必要はないんじゃないかなグリュンネ少佐?」

 

「ええ、本当なら疾風大尉は扶桑行きの船に乗る予定だったんだけど。彼が『まだ殺人事件が完全に解決してない』と、そう言い残ると言ったのです」

 

「解決していない?どういう事じゃ?」

 

「あ、そう言えばレイナーレさん。死ぬ間際に『自分に暗殺仕事を依頼した人がいる』って言ってました!もしかして大尉、レイナーレさんに暗殺依頼をした悪い人を捕まえるために残るんじゃないですか?」

 

「あ、暗殺を依頼したものじゃと!?誰じゃ黒田中尉!?」

 

「えっと・・・・その人を言う前にレイナーレさん亡くなっちゃったんで、誰かは・・・・・」

 

「まさか、暗殺の黒幕がいたとは‥‥‥というより黒田中尉!なぜそんな大事なことを報告・・・・というより隊長。まさかこのことを知っていたんじゃ」

 

「ええ、知っていました。皆に言おうと思ったのですが、大尉に『無駄な心配をかけられないし、第一にこの事件は俺の問題だ。だから俺一人で解決する』と言われて口止めされていたんです」

 

「大尉・・・・水臭いことを・・・・」

 

「そんなに気を使わないでいいのに・・・・・」

 

アドリアーナやアイザックがそう言うとキーラは

 

「なるほど・・・・・あの殺人鬼を裏で操る人物か・・・・・・正義感の強い大尉が放っておけないのも頷ける。もしかしたらその人物がこの基地を爆破した者かもしれないな・・・・まあ、彼がここに残る理由はわかった。まあとにかく今は大尉の体が良くなることを祈るよ」

 

そう言うとキーラは部屋を出た。そしてハインリーケは

 

「・・・・あのたわけ者が」

 

小さくそう呟くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ここは・・・・・どこだ・・・・)」

 

疾風は暗い空間の中、そう呟く。すると彼の目の前に一筋の光が現れ、疾風はその光に向かうと、光ったところから一つの映像みたいな風景が流れた、そこは葬式場なのか黒い服を着た人たちの先頭に小さな男の子が喪服を着ながらただ茫然と立っていた

 

「これは・・・・・・姉さんが無くなった時の記憶か・・・・」

 

俺はその風景を見て思い出した。そうこの風景は俺がまだ子供のころ、そう、姉が亡くなった直後の風景だ

 

「可哀そうに・・・・・・両親に続いて姉も失うなんて・・・」

 

「村正君はこれからどうなるんでしょうか?君の内じゃ引き取れないのかね?」

 

「うちじゃ無理だ自分の生活で手がいっぱいだ。君は」

 

「私も無理だ。年頃の娘がいるからねぇ 」

 

「だったら、私が・・・・」

 

「桐ケ谷さん。確かにあんたは疾風家の親戚だけど君には彼と近い歳の女の子がいて世話が大変なんじゃないのかね?」

 

「ですが、このままだと、あの子が・・・・・」

 

桐ケ谷と呼ばれた女性は小さく俯く疾風の姿を見てそう言うと・・・・・・

 

「なら、私が引き取りましょうか?」

 

「「「っ!?」」」

 

と、そこへ黒い海軍軍服を着た金髪ツインドリルの女性がやってきてそう言う

 

「北郷さん!?なぜここに!?」

 

「なぜって、親友の葬式に行くのは当然でしょ?それと話は聞かせてもらったわ。圭子の弟私が引き取ってもいいわよ」

 

「だが、君は疾風家とは関係のない人間じゃないか!そんな赤の他人に・・・・・」

 

「だからと言って桐ケ谷さんを除いて何かと理由をつけて引き取ろうとしないあんたらよりはマシだと思うけどね?」

 

「うっ・・・」

 

そこに現れた義母さんの言葉に親戚連中は黙ってしまう。

 

「でも、いいんですか北郷さん?」

 

「ええ、かまわないわよ。桐ケ谷さんも大変なんでしょ?それに決めるのはこの子よ」

 

そう言うと母さんは幼い俺のの肩をポンっと叩き

 

「どう?僕。母親らしいことはできない不器用なお姉さんだけど一緒に住む?」

 

と、微笑んで言うと僕はただ黙っていた。義母さんは頭を少し掻き

 

「ん・・・・・まだ小さい子には難しい話かしら?まあいきなり姉を失ってこんな話をするのもおかしな話ね」

 

そう言い下がろうとした瞬間、誰かが彼女の袖をつかむ。振り向くとそこには袖をつかんでいる俺がいた

 

「・・・・いいの?こんな私でも?」

 

そう訊くと俺は頷く

 

「そう・・・なら来なさい。あなたには私の特別を教えてあげるわ」

 

そう言い俺は義母さんの養子になり、俺は北郷村正になるはずだったが

 

『あなたは私の養子とはいえ、あなたは圭子の弟・・・・そして親友である疾風家の者よ。だから苗字も疾風のままにしなさい』

 

そう言われ俺の苗字は疾風のままになった。まあその後俺は義母さんやそして母さんの知り合いの人たちににいろんなことも教えてもらった武術や文学や兵法などいろいろなことを教わり、そして俺は死んだ姉の遺志を継ぎ軍人の道を行くことになるんだっけな・・・・・俺は昔のことを思い出すとまた光が現れそして俺の体は光りに包まれるのであった

 

 

「ん・・・・・見慣れた天井だな・・・・」

 

光りに包まれた直後、俺の目がひっそりと空く。そして最初に見えたのは俺の瀬谷の天井であった

 

「そっか・・・・俺は確か倒れて・・・・・」

 

俺は頭をさすりながらさっきまでのことを思い出す。そう確か俺は体の不調で倒れたんだっけな・・・・そう思っていると何か人の気配を感じそこを見てみると、そこには・・・・

 

「どうやら起きたようじゃの疾風大尉。疲労で倒れるとは情けないの」

 

「は、ハインリーケ大尉」

 

そこにはハインリーケが椅子に座って俺を見ていた。俺は体を起こそうとすると彼女は俺の肩を掴み

 

「起きんでいい。寝ておれ大尉」

 

「ハインリーケ・・・・俺はどのくらい寝ていたんだ?」

 

「そうじゃの・・・・・5時間くらいじゃの。お主疲労で倒れたんじゃぞ覚えておらぬか?」

 

「疲労・・・・そっか疲労か」

 

「そうじゃ疲労で熱が出て倒れたのじゃお主は、さっきお主の熱を測ったのじゃが熱は引いたみたいじゃな」

 

「え?計ったってどうやって」

 

「それは・・・体温計でお主の体を・・・・・て、そんなことはどうでもいい!」

 

顔を真っ赤になってそう言うハインリーケ。え?俺が寝ている間に彼女は俺に何かしたのだろうか?

 

「とにかく!今のお主は働きすぎじゃ!少し仕事のことは忘れて少しの間、休暇を取れ。体が不調のままじゃと仕事をちゃんとこなせぬだろ?」

 

ハインリーケがそう言う。その顔はかなり心配している顔であった。それを見て俺は少し微笑み

 

「そうか・・・・・そうだな。じゃあお言葉に甘えて少し休むか・・・・・」

 

「うむ、たまには休まないとな・・・・・大尉、お主休暇中何かする予定はあるか?」

 

「ん?そうだな・・・・・特にないかな?」

 

「そうか・・・・・なあ大尉。お主パリの街は見たことはあるか?」

 

「え?いやないけど?」

 

そう言うとハインリーケは二っと笑い

 

「そうか・・・・なら、わらわがパリに連れてってやる。いろいろと案内するぞ?」

 

「・・・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーラの部屋

 

「ああ・・・・そうだ。今の疾風は体調が悪い計画ペダン作戦を実行するなら今が好機だ」

 

部屋の中キーラは無線機か何かで誰かと連絡を取っていた

 

「・・・ん?疾風大尉のこと?心配するなあいつのことは私に任せておけ同志よ。あいつは今かなり衰弱している仕留めるにはたやすいよ」

 

そう言い無線を切ると

 

「ふっ・・・・・」

 

誰もいない部屋の中、キーラはにやりと笑うのであった。

そして同時刻、ガリアのとある場所で一機の輸送機が飛んでいた

 

「大臣。もうすぐパリです」

 

「うむ・・・・」

 

その機体の中にはガリア政府共和派の政治家たちが乗っていた。すると・・・・・

 

「前方に正体不明機接近!?」

 

「なんだと!?ネウロイか!?」

 

「わ、わかりません。不明機!もうすぐ接敵します!」

 

機長がそう言うのと同時にその輸送機の周りに4つの宇宙船のような黒い物体が輸送機を包囲した

 

「な、なんなんだこれは!?」

 

「やはりネウロイか!すぐに離脱せぬか!」

 

「だ、ダメです!逃げようにも囲まれて離脱できません!」

 

「ええい!なら無線でウィッチらに助けを・・・・・」

 

政治家の一人がそう言いかけた瞬間、4つの宇宙線から赤い光線が放たれその攻撃を受けた輸送機は粉々に砕けるのであった。そして輸送機を破壊した謎の黒い宇宙船はそのまま誰にも発見されずひっそりと飛び去るのであった

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。