ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「色は匂えど散りぬるを」


ED「鋼鉄ノ鳥」




投稿遅くなってすみませんでした!


第153話「Dating in parisパート2」

疾風たちが謎の少女に出会ったちょうど同じ時刻、ベルリンのネウロイの巣の中、その巣の支配者である人型ネウロイジブリールは椅子に座り、優雅に紅茶を飲んでのほほんとしていた

 

「まったく。平和なのはいいのですが、この頃こちらにちょっかいを出すものが少なくなって退屈になりましたわね・・・・」

 

と、つぶやき紅茶を飲みながら本を読んでいた。その時

 

「っ!?」

 

急に彼女の目の前から無数のビームナイフが飛んでくるジブリールはネウロイシールドで防ぎ、

 

「そこですね!」

 

そう言い持っていた本を投げるが・・・・・

 

「残念でしたね中将、わたくしはここですよ?」

 

「っ!?」

 

背後から声がし、振り向くとそこにはジブリールと同じ年ぐらいの女性型ネウロイが立っていた

 

「カールスラントを征服してから、あなたはここに引きこもっていたと聞いていましたがやはりホントのようですね。少し腕が鈍りましたか?」

 

紅い目を光らせそう言うとジブリールはくすっと笑い

 

「これはこれは、誰かと思えば、ネウロイ軍参謀総長でありネウロイ四天王が筆頭のサクヤ大将閣下ではありませんか。本日はなぜこのような辺境な所に?わたくしはちゃんと職務を果たしていますよ?」

 

「そのことで来たのではありません中将。別の件で来たのです」

 

「別の件?」

 

「とぼけても無駄です。私がここに来た目的は決まっております。あの人を迎えに来たのですよ。本星から戻るように言われているのにあの方は・・・・・・・で、ジブリール。あなたのことですからあの方が今どこかにいるかお分かりですわよね?」

 

「ええ、あの方なら、ガリアの方へ遊びに行きましたわ」

 

「ガリア?ああ、あの穏健派が形だけ征服していたあの国ですか・・・・始めから過激派を送っていれば人間たちに奪い返されなかったのに」

 

「そうとも言いきれませんわよ。例え過激派が占領してもあの連中が人間を見くびる限りヴェネチアのように奪い返されていたでしょうね」

 

「あら?同じ過激派なのにあなたは穏健派みたいなことを言うわねジブリール?昔のあなたならそんな発言はしなかったのに」

 

「人間をじっくり観察してからはいつものように強行に動くことを控えるようになっただけですわ。恐らく元帥閣下もヴェネチアでの一件で人間のことに少し興味を示したみたいですから」

 

「それでガリアに?」

 

「ええ、ですがそれだけではありませんわね。恐らく彼に会いに行ったのでしょう・・・・・・」

 

「彼?」

 

ジブリールの言葉に咲夜と呼ばれた人型ネウロイは首をかしげるのであった。

 

同じ時刻、セダン基地の談話室ではアイザックとアドリアーナ、そして黒田がソファーに腰を掛けてトランプをしていた。そして黒田とアイザックは時計をちらっと見て

 

「大尉と疾風さん、今頃パリで楽しんでいるかな~?」

 

「そうだね。もうそろそろパリについてデートを楽しんでいる頃だね・・・・・あ、またババひいちゃった」

 

「黒田はすぐに顔に出るからな。まあそれはともかく。あの時の嬉しそうな顔をしていた姫さんは初めて見たな」

 

「確かに。恋する乙女って言う感じだったね。もしかしたらホテルでゴールインとかするかも・・・・」

 

「いやいや。さすがにないだろ、姫さんあれでも初心なんだから、もし本人が訊いたら顔を赤くして『こ、このたわけがっ///!!』とか言うに決まっているだろ?まあできて手を繋ぐぐらいだな」

 

「そうだよアイザック君。それに疾風さんには婚約者さんがいるんだからね!」

 

「そう言えばそうだったね。でも姫様のことだから、絶対に火事場泥棒とか寝取るとかしそうだよね?」

 

「姫さんに限ってそんなことはしないと思うけどな・・・・・・でもあの姫さん一度狙ったものは逃がさないタイプだしな。寝取るのは無理でも『愛人ならよかろう!』とか言うかもしれないな」

 

上司に対して散々なことを言う二人に黒田は

 

「たぶん……大丈夫だと思いますよ?」

 

「なぜ、そう言えるの黒田さん」

 

「昔じっちゃんが言っていたんだけど。ああいう性格の人って強引そうに見えて結構奥の手の人が多いって」

 

「へ~そうなんだ」

 

「ま、とにかく。二人が楽しくデートしていることを祈ろうじゃないか」

 

「疾風さんの婚約者さんが知ったら、絶対にどっかの映画みたいな修羅場になっちゃうと思いますけど?聖杯ならぬ正妻戦争になりそう・・・・あ、またババひいちゃった・・・・」

 

 

 

 

 

パリ

 

「「はっくしょん!」」

 

「あら?どうかしたのかしら二人とも?」

 

「「いや、別に・・・・・」」

 

一方その頃疾風とハインリーケはパリのシャンゼリゼ通りで先ほどチンピラから助けた少女レミリアと一緒に歩いていた。そして疾風は

 

「えっと・・・確かレミリアちゃんだったけ?君は一人みたいだけど。なぜあそこにいたんだ?」

 

そう訊く疾風にレミリアは

 

「私はとある企業家の娘なんだけどね。この街のことを良く知らないから観光に来たのよ」

 

「一人でか?」

 

「ええ、外を出かけたいと言っても誰も相手にしてくれないし、外へ出してくれないからこっそり抜けだしたのよ。夕暮れまでには帰るつもりだけどね」

 

「そ、そうなのか・・・・・それよりお主、何ゆえ大人口調なのじゃ?」

 

そう、俺もハインリーケも思ったことなのだがその子は10歳くらいの少女なのに言葉はその年に似合わない大人口調、まるでくろの組織の薬を飲んで縮んだ女科学者のような雰囲気を漂わせていた。

ハインリーケがそう訊くと彼女はクスリと笑い

 

「親に人の上に立つ者は常に礼儀正しく、そして威厳のある口調を話すように教育されたからね。不愉快だったかしら?」

 

「い、いや。ただお主の歳でその口調だったものじゃから少し驚いての・・・・」

 

「ふふ、それを言うなら、お姉さんの口調もそうじゃないかしら?」

 

「ん?わらわの口調が変?わらわはいたって普通に話しておるぞ?のお疾風大尉?」

 

「え?・・・・・・ああ」

 

俺は返答に悩む。ここは言うべきか・・・・いや、下手なことは言えない。なんというかハインリーケの口調はなんというか年寄…ゲフンゲフン個性的な口調だ

 

「え……と。コホン。まあそれは置いといて」

 

誤魔化した‥‥と、二人の目がそう言っているが俺は気にせず

 

「レミリアちゃんはこれからどうするんだ?」

 

「そうね・・・・・できればこの街を案内してほしいのだけれど。お願いできるかしら?」

 

「う~ん・・・・そうだな。俺は別にかまわないけど、ハインリーケはどう?」

 

「そうじゃの・・・・わらわは別にかまわぬぞ。それに子供一人で歩かせるのも危ないからの」

 

「そう、ではお願いするわ」

 

そう言い、俺とハインリーケはレミリアを連れておパリの観光地を歩くことになった。パリの凱旋門はもちろん、ノートルダム大聖堂やエッフェル塔など様々な名所を歩き回る。そして、それを見た人たちは

 

「あの三人、親子かしら?」

 

「楽しそうですわね」

 

「羨ましい。私もあんないい男に出会えないかな~」

 

と、三人を見てそう言う。確かに二人の間に少し幼い少女、一見すれば親子に見間違えられてもおかしくない。そしてパリの名所という名所を歩き回った三人は、近くの喫茶店により休憩をしていた

 

「どうじゃ、二人ともパリでの感想は?」

 

「ああ、楽しかったよ。ありがとなハインリーケ」

 

「私もとても楽しかったわ」

 

「そうか。それはよかった」

 

二人の言葉にハインリーケは嬉しそうに微笑む。すると疾風の胸ポケットから何かが落ちる

 

「あら?何か落ちたわよお兄さん?」

 

そう言いレミリアは疾風の落とした物を拾う。それは一枚の写真だった。その写真に写っていたのは疾風とエイラ、そしてアイの三人が写っており、疾風がセダンへ行く直前にとったものだった

 

「この子は・・・・・・」

 

レミリアがアイの姿を見せ目を細めるとハインリーケもその写真を見る

 

「疾風・・・・・もしかしてその写真に写っているのはもしや・・・」

 

ハインリーケはそう訊くと俺は頷き

 

「ああ、俺の婚約者と娘・・・・かな?」

 

「ほう・・・・その二人が前にお主が言っておったアイとエイラじゃな?」

 

「ああ、俺にとって大切な家族だよ・・・・・」

 

 

俺はここガリアから離れたオラーシャのペテルブルグにいる大切な家族のことを思う。二人と別れてから早、数日、あれから二人のことを忘れた日など一度もない。愛する二人に会うまでは死ぬわけにいかない。例え五体の一部を失っても、たとえ何らかの原因で元の世界に戻ろうともおれは絶対にエイラたちのもとに帰る。そう二人に約束したんだ。

 

「一つ訊いてもいいかしら?」

 

レミリアが俺をじっと見ながら俺に話し抱える。そして

 

「そのアイていうこのことを心の底から愛しているの?変なことを訊くかもしれないけど、もしその子があなたのホントの子じゃなくても?たとえ人間とは違う物であっても?」

 

「・・・・・・」

 

俺はレミリアの言ったことに凝視する。この子、アイがネウロイだって言うことを知っているのか?俺は彼女の目を見る。彼女の目はアイ同様赤い瞳なのだがその色は優しい太陽を表すような愛の瞳の色とは違い、すべてを焼きつくすような業火の色、そしてどこか悲しげな色だった。彼女の問いに俺の答えは一つであった

 

「たとえほんとの子じゃなくても、人じゃなくてもアイはアイだ。俺にとって大切な娘だ・・・・たとえ世界を敵に回してもあの子を守る。そう決めたんだ」

 

「「・・・・・・」」

 

俺の言葉にハインリーケとレミリアはしばらく黙るとハインリーケは

 

「そうか・・・・・なら、そのアイと言う子は幸せ者じゃな。そしてエイラという者も・・・・・」

 

と、そう静かに言う中、レミリアは二人に聞こえないほどの声で

 

「・・・・・・・なるほど・・・・ジブリールが認めるだけの人間ではあるわね」

 

「え?」

 

「いや、なんでもないわ。なるほど、あなたがその子を愛していることは良くわかったわ。ごめんなさいね変な質問押して。私ぐらいの年頃になると、どうしても好奇心を抑えきれなくてね」

 

と、申し訳なさそうに言う彼女、そして彼女は椅子から立ち上がり

 

「さて、私はそろそろ帰るわ。あまり遅いと心配かけちゃうから。ヴィトゲンシュタインさん、疾風さん。今日は街の案内をしてくれてありがとうございました」

 

礼儀正しく頭を下げる彼女に

 

「いや、別にいいよ。俺も楽しかったし」

 

「わらわもじゃ。それより一人で帰る気か?何ならわらわの乗って来たリムジンで家まで送るが?」

 

「いえ、気持ちは嬉しいわ・・・・でも」

 

そう言いレミリアはちらっと後ろを見ると・・・・・

 

「お嬢様。お迎えに参りました」

 

いついたのか、レミリアの背後にメイド服を着た銀髪のボブカットをした少女が立っていた

 

「い、いつの間に・・・・・」

 

ハインリーケが驚く中、レミリアは

 

「出迎えありがとうサクヤ。では二人とも今日はありがとう楽しかったわ・・・・」

 

「お嬢様がお世話になりました」

 

そう言いレミリアはメイドさんに連れられて俺とハインリーケのもとを去ったのであった。そして俺とハインリーケもセダンの基地へと帰るのであった

 

基地

 

「今日はありがとなハインリーケ。おかげでいい気分展開になったよ」

 

「礼はよい。おぬしが元気になってないよりじゃ。じゃが、あまり無理なことはするでないぞ?まだお主の顔色はあまりよくないのじゃからな」

 

「ああ、わかってるよ・・・・・ああ、そうだ。これ」

 

そう言い疾風は胸ポケットから紙袋を出す

 

「大尉。これは?」

 

「ああ、さっきの服屋で勝ったんだよ。今日のお礼だよ開けてみてくれ」

 

「ふむ・・・・」

 

そう言いハインリーケは紙袋を開けるとその中身はバラの髪飾りであった

 

 

「これを・・・・・わらわにか///」

 

「ああ、今日はありがと」

 

疾風は不敵の笑みでそう言いお礼を言うと彼女の顔は赤く染まる。すると、

 

「あ、疾風大尉丁度良かった」

 

「ああ、整備長さん」

 

そこへ基地の整備ようがやって来た

 

「君のユニットのことなんだがな。少しわからないところがあってなちょっと教えてほしいんだよ」

 

「ああ、わかったすぐに行くよ。じゃあハインリーケまた」

 

そう言い疾風は整備長とともにその場を後にし、残されたハインリーケは疾風に渡された髪飾りを見て顔を赤く染めそして微笑み

 

「まったく、お主と言うやつは・・・・・諦めかけていたのに。今ので、また惚れ直してしもうたではないか////」

 

そう言いハインリーケはもらった髪飾りをぎょっと優しく握りしめるのであった

 

 

 

 

 

 

ベルリン

 

「おかえりなさいませ元帥閣下。楽しかったですか?」

 

ベルリンの巣の中、先ほどのメイドに連れられた少女レミリアがジブリールと話をしていた

 

「ええ、それなりにね。それとあの男にも会ったわよ」

 

「そうですか・・・・・で、会った感想は?」

 

「そうね。まああんたが認めるだけの男ではあったわ。あの男なら同族を虐待するようなことはしないでしょうね」

 

「ふふ。そうですか」

 

レミリアの言葉にジブリールは微笑むとジブリールは

 

「で、元帥閣下。で、どうですか?自らの目でこの星を見た感想は?」

 

「フフッ…ますます欲しくなったわ。できれば傷つけずに手に入れたいものね・・・・・・」

 

「人間の料理に興味をお持ちになりましたか?」

 

「ええ、栄養は取れないけど。味覚はある。あんなにいいものを作る文明を根絶やしにするのは正直もったいないわね」

 

「では穏健派の考えを採用すると?」

 

「いいえ、それはまずないわ。まあ、考えてもいいけど、もしそうなら多数の過激派が黙っていないわ。もし、人間との講和を考えるのであれば過激派を納得させるほどの大敗北をしなければならないけど、無論私たちは降参する気もましてや敗北する気もないわ」

 

「それは私も同意見ですわ」

 

「ジブリール。あなたに命令を伝えるわ」

 

「なんでしょう閣下?」

 

「あなたは引き続きここを収めなさい。そして・・・・・言いたいことわかるわね?」

 

「ええ、もちろん」

 

「なら、いいわ。・・・・・・・ああ、それとあの疾風と言う男と会ってわかったのだけれど、我が最大の敵はあの男かもしれないわね」

 

「ええ、そうでしょう「ただ・・・・」ただ?」

 

そう言うとレミリアは目を細めるそして彼女の瞳が赤く光り

 

「彼、そう長くは生きられないわよ」

 

「それはどう言うことでしょうか。閣下?」

 

「彼の気配から死神みたいなのを感じ取ったのよ。まあ気のせいかもしれないけど、彼の様子を観察したくなったわ・・・・・サクヤ」

 

「はい。なんでしょう閣下?」

 

「私はもうしばらくここに滞在するわ。あなたは先に本星に戻りなさい。過激派連中が勝手なことをしないように見張るのよ」

 

「はい。かしこまりました元帥閣下・・・・・・・・・いえ皇帝陛下

 

そう言うとサクヤと呼ばれた少女は消えるとレミリアは

 

「さて・・・・疾風村正。異世界から迷い込んだイレギュラーであるあなたがこの世界でどう動くのか私に見せてみなさい」

 

赤く光る瞳と狂気の笑みでレミリアはそうにやりと笑うのであった

 

 


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