ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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op「鋼鉄ノ鳥」

ed「帰還」


第163話「鋼鉄の鳥、流星となり堕ちる」

ペテルブルグ、502基地

 

「・・・・あれ?」

 

「どうしたんのエイラ?」

 

「疾風の部屋にメモ帳が置いてあったんだよ。あいつが置き忘れたのかな?」

 

そう言うとエイラはメモ帳を開ける

 

「エイラ。ダメだよ勝手に見ちゃ」

 

「大丈夫だよ・・・・・というより、これ全部、扶桑語だから読めない・・・・」

 

「それは疾風さん。別世界の扶桑出身だから扶桑語で書かれているのは当たり前だと思うよ?」

 

とエイラの言葉にサーニャがそう言うと

 

「何読んでいるんだ?」

 

「あ、菅野さん」

 

と、そこへ菅野と二パがやって来た

 

「あれ?イッル。その手帳は?」

 

「ああ、疾風が置き忘れた物らしくて、中を見てみたんだけど扶桑語で読めなくてナ」

 

「どれ?俺にも見せてみろよ」

 

そう言い菅野はメモ帳をエイラからとり内容を見ると

 

「・・・・これ、日記だな」

 

「日記?」

 

「ああ、しかも少し、詩ぽいないようだけどな。特に最後の方」

 

「なんて書いてあるの?」

 

二パがそう訊くと菅野は疾風が書いた日記の最期の節を読むのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

一方ディジョンではヤプールの送り込んだロボット型ネウロイ『キングジョーダーク』からディジョン帰途を守るため、疾風はストライカーユニットを着用しようとする。しかしそこで疾風の使い魔であるニホンオオカミの宗近が警告をするが疾風はその警告を無視し、ユニットを装着。そしてキングジョーダークがいる空へと向かうのであった。

 

そして地上の基地では

 

「消火作業はどうなっているジェニファー!」

 

「今のところは順調に消しています隊長」

 

「外にいるネウロイは!?」

 

「今、疾風大尉が戦って防いでくれています!」

 

「ユニットの修理はどうなっている!」

 

「あと30分で終わります!」

 

マリアンの言葉に整備士がそう言う中、エミリアも

 

「くそ、私のヴィルガーもやられている。早く行かないとあいつ一人だけでは危ない。おい整備士、このことセダンにも伝えたか!」

 

「は、はい!先ほど伝えましたがここに来るまで急いでも35分かかるそうです」

 

「35分!?それじゃ遅い!!」

 

「エミリアさん!こっちの消火を手伝って」

 

「わかった!」

 

黒田の言葉にエミリアが向かおうといた時、

 

ブチッ!カラン!!

 

「っ!?」

 

突如エミリアが腰に差していた刀とベルトを結ぶ紐が切れ、エミリアの刀が床へと落下する。それを見たエミリアは刀とそして切れた紐を広り、そして切れた紐を見て何か不吉な予感をするのであった

 

 

 

一方、疾風は目の前に立ちはだかるキングジョーダークと対峙していた。しかし・・・・・

 

「うっ・・・・・」

 

急に疾風に視点が揺れ、焦点は定まらず体がふらつく。もはや疾風の体は飛んでいるだけでやっとの体であったのだ。そんな中、キングジョーダークは疾風に向けてビームを放つ

 

「っ!?」

 

疾風はふらつきながらもその光線を避けキングジョーダークに突進するがキングジョーダークは腕を交差させ、疾風を押しのけ疾風は押し飛ばされる。そして疾風はもう一度、キングジョーダークに突進し魔法力を込め、ホリエンタル・スクエア・を放つが

 

「(っ!?ホリエンタル・スクエアがきかない!?)」

 

疾風が驚く中、だが疾風が驚いたのは自分の技が効かなかっただけではない。疾風は先ほどキングジョーに斬りつけた自分の刀を見ると

 

「(・・・・・・刀の刃にヒビが割れている・・・・・)」

 

自分の愛刀の刃に僅かながらひびが入っていたのだ。キングジョーダークは急接近した疾風に向けて目からビームみたいなのを放とうとする

 

「っ!?」

 

疾風はそれを察知し、すぐにキングジョーから離れ、距離を置く。そしてキングジョーだーくがビームを発射しようとした時、疾風の固有魔法である『弾道予測』が発動し、彼の視界に予測線が表示される。しかし。疾風の視界に写った予測線はすぐに消えてしまう。驚いた疾風はもう一度、予測線を読もうとしたが今度は予測線が表示されなかった

 

「(固有魔法が・・・・・発動しない)」

 

固有魔法である弾道予測が発動しないことに疾風は戸惑いを隠せなかった。そしてキングジョーダークは疾風目掛けてビームを放つ、そして疾風はその攻撃をシールドでふさぐのだが、完全には防ぎきれず数発か、疾風の腕や頬を掠め、次第にはビームを防いでいたシールドもキングジョーのビームに耐えられなくなったのか粉々に砕かれる。そして疾風は息を切らしていた。

 

「(固有魔法も・・・・シールドも使えなくなってきている・・・・・俺の魔法力も体も限界に使づいているのか?)」

 

疾風は今の自分の現状に焦りを感じていた。そしてその戦闘の中、別の所で疾風の戦闘を見ている者がいた

 

そしてその様子を別の所から見ている者たちがいた。それは長身でメイド服を着た少女と小さな少女であった。そして少女は目を細め

 

「ジブリール・・・・・あれは・・・」

 

「はい元帥閣下。あの戦闘型ネウロイ。ただ(・・)のしかも我が同胞のネウロイではありませんね・・・・・恐らく」

 

「ええ、ペダン星の技術・・・・そして装甲もペダニウムが使われているわね。一体誰が・・・・・」

 

「ペダン星とは古い同盟関係で、技術交換や彼らの兵器を輸入しその技術力を生かしネウロイ化させるなどをする話はされてはいましたが、まだ実行したという報告はサクヤ閣下から聞いていませんね閣下」

 

「そう、じゃあなんでアレがいるのかしら?」

 

「恐らく誰かが独断で実行したのかと・・・・・・」

 

「そう・・・・・・それよりあなたその格好は?」

 

「このメイド服ですか?私のちょっとしたマイブームです。まあ理由としてはサクヤ大将閣下の影響ですが?」

 

「そう・・・・・・」

 

そう言うと小柄の少女がキングジョーダークを見るとジブリールが

 

「どうしますか元帥閣下?戦いに参加しあの男を殺しますか?」

 

「いいえジブリール。私はこのまま鑑賞させてもらうわ。あなたはベルリンに戻りなさい。後は一人で大丈夫わ」

 

「・・・・・御意、my、lord」

 

そう言うとジブリールは光りテレポートで消える。そして残された少女は

 

「さて、疾風村正、あなたは勝てるかしら?我が技術と最強の技術力を持つ星の技術が合わさったネウロイに…そして自分の死の運命に・・・・・・」

そう意味深いことを言う少女であった

 

 

 

 

「くそっ・・・・・・」

 

一方、キングジョーダークと戦っている疾風は満身創痍の状態でいた

 

「(目が霞んで、よく見えなくなってきた・・・・・拳銃の銃弾も使い果たした。エミリアやマリアンたちはまだ来ない。どうする・・・・・)」

 

視界がぼやけ、思うように体が動かない疾風、するとキングジョーダークが疾風に急接近し、疾風の頭を鷲掴みにする。そしてキングジョーダークは疾風のこめかみに向けて強烈なパンチをし放り投げる

 

「ぐわぁ!!!」

 

激しい痛みが疾風の頭に走り頭部から血が流れ疾風は激しい激痛に頭を抑え悶絶する。それを嘲笑うかのようにキングジョーダークは不気味な機械音を発し両腕を上げては下げる行動をとる。それを見た疾風は怪我した頭を押さえ

 

「(なんて馬鹿力なんだ・・・・・あいつにどこか弱点はないのか・・・・・)」

 

そう言い疾風はキングジョーダークに弱点がないかを探る。すると疾風はキングジョーダークのある所に気が付いた。そして疾風は刀を握ると

 

「行くぞ!!」

 

そう言うと疾風はキングジョーに接近する。遠距離の火器がない今の疾風が持っている獲物と言えば刀だけであった。そして疾風はキングジョーダークに突撃する仲キングジョーも疾風を近づけさせまいと目からビームを放つ。固有魔法が発動しない今の疾風は目線で敵のビームを避けるしかなく。所々ビームが自分の体を掠り血が流れる。しかし疾風はそんな痛みにも耐え、そして

 

「喰らえぇ!!」

 

そう言いキングジョーの頭部と胸に位置する部本の間にある関節部分に刀を差し込む。どれほどの強度な装甲を持っていてもそれを動かす関節部分は脆いと気づいた疾風はそこを狙ったのだ。関節部分に刀を突きさされたキングジョーダークは悲鳴に近い機械音とスパーク音を出す。が、その瞬間最後の力を振り絞るようにキングジョーダークは目から通常の赤ではなく紫色のビームを疾風に向けて放ち、至近距離でしかもキングジョーダークに突き刺している刀を持つ疾風はよけきれるはずもなくそのビームをもろに喰らい腹を貫通する

 

「ぐはぁ!・・・くっ・・・この!!」

 

疾風の口から大量の血がは触れ顔を歪ませるが、すぐに疾風は刀に力を籠め、思いっきり引っ張り破壊しようとするがキングジョーはそれを察知したのか、分離し、元の4つの小型ネウロイになるとそのままどこかへと逃げて行った。そしてそれと同時に先にユニットの修理が終わったのかマリアンとカーラ、そしてジェニファーの三人が駆け付ける。しかし

 

「うっ・・・・・ぐはぁっ・・・・」

 

体中から大量の血を流し、そして魔法力が尽きたのかユニットも停止して疾風はそのまま落下する

 

「疾風っ!」

 

それを見たマリアンは落下する疾風をキャッチする

 

「おい!しっかりしろ疾風!?疾風っ!!」

 

マリアンがそう叫ぶが彼は血を流し、うなされるだけでまともに言葉が出せなかった。

 

「マリアン!急いで疾風さんを基地に!!」

 

「ああ、わかっている!」

 

そう言いマリアンは疾風を背負い、そして両側にジェニファーとカーラが他のネウロイの襲撃がないか警戒しながら全速力で基地に向かう。三人は有りっ丈の速度を、全ての力を出して、速く、少しでも速く飛ぼうと死力を尽くす

そしてマリアンは飛びながら疾風の顔を見る。まるで糸の切れた人形のように動かなくなってしまっていた。呻き声も止まっている

 

「ぅっ、あっ・・・アっ・・・」

 

その時、疾風が再び僅かな声を出す。搾り出したかのような、か細い声を

 

「疾風、大丈夫か!?」

 

しかし既に、その声は疾風に届かない。

 

「くる、シい・・・・、寒い・・・・・・・・・」

 

疾風は只、苦痛の呻き声を漏らすだけだった。そしてマリアン達には分かった。疾風の体が、まるで氷のように段々と冷たくなって行く事に

 

「義母・・・・さん・・・・・姉さん・・・・・」

 

うわごとのように小さく呟く疾風。そして

 

「エイ・・・・ラ・・・・・・・ア・・・イ」

 

そう呟くと、これを最後に疾風は完全に意識を失った

 

「っ!?疾風!!」

 

それを聞いたマリアンは、先ほどよりもスピードを上げる

 

「死なせない!死なせるものかぁ!!私がおまえを絶対に助ける。おまえを死なせたりしない・・・絶対に!!絶対にお前を家族のもとに会わせる!だから死ぬな疾風!!」

 

マリアンを包む魔法力の輝きが、眩く強くなる。それにつれてストライカーの噴射も更に強くなる。そしてマリアンたちは駆け抜ける嵐の如く、ディジョン基地へ飛んで行った

 

 

一方、知らせを聞き緊急発進したセダン基地ではハインリーケを先頭に急いでディジョン基地へと飛んでいた。そしてハインリーケは空を見上げ

 

「(赤い・・・・・まるで血のように赤い空じゃ・・・・それにこの無数に飛んでいる流星の数は一体なんじゃ?いやな予感がする・・・・)」

 

 

 

同時刻、ペテルブルグ502基地では・・・・

 

ピキッ!!

 

「っ!?・・・・・これは?」

 

「エイラどうしたの?」

 

「サ、サーニャ・・・・・実はこれ」

 

何かが割れる音が思エイラは驚いてその音の正体を見てサーニャが心配そうに訊き、エイラはその割れた音の正体を出す

 

「これって・・・・ガラス玉でできたブレスレット?大きい方のガラス玉が割れているわ」

 

「うん・・・・・疾風が初めてプレゼントしてくれた物なんだけど・・・・・」

 

エイラはその割れたガラス玉に不吉な予感を感じていた。すると

 

「あ、流れ星・・・・・」

 

「え?」

 

外を見ると日が落ちる寸前の空、西の空の方に流れ星がたくさん流れていた。そしてその中で大きな流星があった。それを見たエイラは先ほど疾風の日記帳に書かれた詩、菅野が翻訳してくれた内容を思い出した

 

『西の空に宵の明星が輝くころ、大きな一つの光が空へと落ちてゆく』

 

「疾風・・・・・・・・無事なんだよナ?」

 

エイラは心配そうに遠いガリアにいる愛する人のことを想うのであった

 

 

 

 

 

 

「急げ!手術室に運ぶぞ!!」

 

「機材急いで運べ!!」

 

マリアンたちが基地に着いた時、疾風はすぐに衛生兵たちに医療室へと運ばれ、それを見るB部隊とエミリアと黒田

 

「疾風さん大丈夫かなエミリアさん?」

 

「大丈夫だ。あいつがそう簡単に死ぬはずがない・・・・死んでたまるもんか・・・・なあマリアン」

 

「あ・・・・・ああ」

 

エミリアと黒田は心配そうにそう言いマリアンも頷く。しかしマリアンは自分の体と手を見る軍服の背は疾風の血が大量についていた為に、手のひらにも真っ赤な血が付着していた

 

「(疾風の血・・・真っ赤だ。この夕焼け空よりも、ずっとずっと・・・・・)」

 

そう思うと彼女の目から一筋の涙が通り

 

「(さっき・・・、衛生兵の奴らに疾風を渡す時…………あの時……、あの時には、もう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・あいつ(疾風)の心臓は…………動いてなかった)」

 


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