ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第170話「踊る大捜査inパリ」

疾風が目を覚ましたのと同時刻、ジェニファーたちを追いかけていた黒田とエミリアたちは

 

「はぁ・・・・ひどい目にあった」

 

「結構、走ったわね。ボルトも顔負けの走りっぷりだったわ」

 

「誰のせいだと思っているんだ!ジープ取りにまた走らなきゃいけないのに!それにボルトって誰だよ!」

 

街角で息を切らしながら、サムはエミリアにそう言う。

 

「大体もとはといえばカーラ。お前がカフェのウェイターに飴玉とコーラを飲ませて泡吹かせたうえ、とどめにエミリアが激辛の水を飲ませたのが原因なんだぞ!ウェイター白目向いて気絶してたぞ!!」

 

「だって、あのウェイター。私がリベリアンだからって態度が最悪だったし~」

 

「だって上から目線で相手がセレブじゃないことを知っててバカにしてたし~」

 

と、肩を組んでそう言う二人

 

「子供か・・・・・ったくデブランク大尉も探さなくちゃいけないのに・…はぁ・・・・セーヌ川で死体となっては・・・・げふっ!」

 

サムがそう言いかけたとき黒田が彼女のわき腹をエルボーする

 

「冗談になっていないから!」

 

「そうだ!ジェニファーはまだ生きているって!」

 

黒田とカーラが猛抗議するとサムはわき腹を抑えて

 

「お前ら、本当に信頼しているんだな、悪かったからもう目立つような真似はするな」

 

そういうとエミリアも

 

「そうね・・・・そろそろおふざけはここまでにしないとね・・・・・黒田。カーラ。ちょっと顔を向けずに横のベンチ見てみなさい」

 

エミリアがそう言うと黒田たちが横目で見るとベンチにコートを着た男性が新聞を読みながら座っていた

 

「コートの下に銃を隠していやがるな。私服刑事・・・・・もしくは公安か諜報員だな」

 

「正解よ刑事さん。それにあちらこちら諜報員の連中がうろついているのを目撃したけど。あの素振りじゃキーラにもバレバレね・・・・恐らく焦っているのかまたは監視に慣れてない連中まで借り出したのか・・・・まあ両方でしょうね」

 

「エミリアさん詳しいんですね」

 

「こう見えて私。SS空軍に入る前はそれと似た職業をしていたからね。まあ、なんにせよ。こんなに同じ獲物を狙う連中がうろついているんだ階級や名前は口にしない方がいいわね」

 

「そうだな。それは俺も同感だ」

 

「じゃあ私達はなんて呼べばいいの?映画のスパイみたいにコードネーム?」

 

「いや、そこはカーラでいいだろ?、こっちも邦佳って呼ぶから」

 

「俺はサムだな、親しい連中はそう呼ぶ」

 

「私も愛称のミリアでいいわ」 

 

「よろしく、サム、ミリア」

 

「それでこれからどうしましょ?」

 

「それなら問題ないわ。ちょっとついて来て」

 

「ついて来いって・・・・どこに?」

 

「モンマルトルの映画館よ」

 

「映画っ!?映画観ていいの!?」

 

「まあ、用事が終わるまでならいいかしら。でも長居はしないからポップコーンは買えないわよ」

 

「用事?映画館に行ってどうするつもりだミリア?」

 

「知り合いの情報屋がそこにいるのよ。で、そこで・・・・・」

 

「キーラの情報を知るってわけか・・・・」

 

「ご名答・・・・・さて、車に戻るわよ。カーラあなた確か欧州の地理に詳しかったわよね?モンマルトルまでの道案内お願いできる?」

 

「任せとけ!このカーラさんに任せておいて!」

 

「カフェの件のあとじゃ心配だな・・・・」

 

そう言いながら4人はジープを置いてきた方へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこがノートルダム大聖堂。そして目の前にあるのがルーブル美術館だ」

 

「本当に何でも知っているな?」

 

「何でも聞いてくれよ」

 

車で目的地に向かう中、カーラはガリアの有名な建物を紹介する。すると黒田が

 

「あ、あれって何だろう?何かの工事かな?」

 

黒田が指さした場所には大型のクレーンが何かを引っ張り出そうとしているのが見えた

 

「違う、違う。あれは工事じゃないよ。不発弾の処理だな」

 

「不発弾?」

 

「ああ、『ネウロイ殲滅のためなら首都を火の海にすることも辞せず』そんな判断で軍が作戦を展開した名残だよ」

 

「愚かな作戦ね。それで失敗に終わったら復興するの大変なのは目に見えるのに」

 

カーラの言葉に運転をするエミリアはため息交じりにそう言うとサムが

 

「お前本当に難しいこと知っているんだな。てっきり立ち位置的にA部隊の邦佳と同じだと思っていたよ」

 

「それって馬鹿枠ってことかよ!?」

 

「ひどいカーラ!それどういう意味!」

 

「本当に酷いのは寒だからな!」

 

「悪かった。悪かったって・・・・・で、ミリア。これから会う情報屋・・・・信用していいのか?」

 

「問題ないわ。まあ癖の強い奴だけど、連合もナチも信用したほどの情報屋。奴の情報に間違いはないわ」

 

「連合?ナチ?どういうことだ?」

 

サムは首をかしげると黒田は何か気付いたのか

 

「その人ってもしかして疾風さんやミリアと同じ世界の・・・・・」

 

「ま、そんなところね。ほら、ついたわよ」

 

そう言いエミリアは車を止め、目的地である映画館へ着く4人は中へ入り

 

「映画○○のF列で大人二人に子供二枚頼むわ」

 

「かしこまりました」

 

そう言い店員はチケットを4人に渡す

 

「さ、行くわよ。たぶん待っていると思うから」

 

「せっかく見るならあっちの方がよかったな~」

 

「仕事だから文句言わない。全部終わったら好きなだけ見ればいいじゃない」

 

ため息をついてそう言うエミリア。そしてエミリアたちは買ったチケットの映画が上映される部屋に入るとそこには数人しかいなかった

 

「お客さん。あんまりいないね・・・・」

 

「そのようね・・・・・・おっといたわ」

 

そう言いエミリアがF列の前にいるフードをかぶった人物を見てにっと笑い。そしてF列の席に座る、コートの人物が軽く振り向き

 

「久しぶりだなミーちゃん」

 

「誰がミーちゃんじゃい。久しぶりねアルゴ。こっちの世界でも元気してた?」

 

「まあそれなりに暮らしている。まあそれにしても驚いたよ。まさかこんなところであんたに会えるとはな」

 

「それはこっちのセリフだ。情報屋『鼠のアルゴ』あんたもこの世界に飛ばされていたなんてね?どうやってきた?」

 

「さあな。あの大戦後、戦後処理の情報集めをして交差点で信号が変わるのを待ちながらボーとしてたら、なぜかここに来ていた。ミーちゃんはどうだ?」

 

「だからミーちゃんはよしなよ。私も戦後ドイツ連邦のテストパイロットしていたんだけど、離陸時に事故を起こしてそのまま地面に激突。大きな閃光と爆音がしたと思ったらなぜかここに来てたわ・・・・・あ、あと疾風もこっちにいるわよ」

 

「ほ~疾坊もか。俺っちだけだと思っていたが?ニャハハ!世間は狭いもんだ・・・・・で、情報が欲しいんだよな?」

 

「ええ、クリス・キーラについての情報・・・・持っている?」

 

「オネーサンを誰だと思っているんだ。ちゃんと持ってるよ・・・・で、あんたの隣にいるのはウィッチって呼ばれる子。一人は506A部隊の黒田邦佳。そんでもって金髪の子がB部隊のカーラ・ルクシック。そしてコートを着ているアメリカ・・・・・いやリベリオンの刑事サマンサ・スペードかな?」

 

「え~何で分かったの?」

 

「チチチッ!オネーサンを甘く見ないでほしいな。俺っちはプロの情報屋。大体のことは知っているさ。さて、肝心のキーラの情報だったな?高くつくよ」

 

「かまわないわ。請求はセダン基地に送って」

 

「相変わらずだね~まあいいや。ミーちゃんや疾坊には向こうの世界ではお得意さんだし、借りもたくさんあるからね~今回はサービスして無料にしてあげるよ」

 

「・・・・・で、奴の動きはアルゴ?」

 

「奴とそれと同行しているジェニファー・デブランクはまだパリを出てないよ。警察、軍、そして諜報員が合同で網を張って奴らをとらえようと必死さ。特に諜報部の連中は面子潰されてかなり御熱心に捜査の指揮を執っているゾ」

 

「まあ、そりゃそうでしょうね。身内に恥をかかされたんだから」

 

「でだ、現在主要道路は閉鎖されて鉄道も全駅も奴らが見張っている。普通なら脱出は不可能だが・・・・・」

 

「乗客が多く乗り込む鉄道なら見落とされる可能性がある」

 

「正解だミーちゃん。俺っちの情報が正しければ二人はノール駅周辺にいる。あそこは人が多いいカラナ。それともう一つ耳寄り情報が・・・・二つあるけどどっちがいい?」

 

「両方だ。できれば重要なのを最優先に」

 

「じゃあ、その重要情報から教えよう。まず一つ。キーラと吊るんでいる王党派のテロリストたち、近々その駅周辺でテロをする可能性がある。気をつけな」

 

「それは大体予想がついていたわ。連中のことよ。捜査の網に穴開けるためそういうことをするに決まっているからね・・・・・で、もう一つの情報は?」

 

「もう一つは嬉しい情報だ。疾坊、目を覚ましたらしいぞ」

 

「っ!?本当か?」

 

「ああ、基地にいる整備兵連中の話ではな。ただ怪我が酷くてしばらく出撃は禁止らしい」

 

「でしょうね・・・・・それにしても目が覚めて本当によかったわ」

 

「ああ、あとこれ」

 

と、アルゴは一枚の紙を渡す

 

「何これ?」

 

「グリュンネ少佐からの伝令。過激派ネウロイの刺客に気をつけろとさ」

 

「なんであんたがそんなものを………て、まさか疾風にか?」

 

「さぁ?クライアントの情報は秘密ってね。それは教えられないよ」

 

「・・・・・まあ、いいわ。肝に銘じとく。情報ありがとうアルゴ」

 

「またのお越しをお待ちしてるゾ。ミーちゃん」

 

「だから、ミーちゃんと呼ぶな。行くよ黒田、カーラ、サム」

 

そう言いエミリアは席を立つ

 

「ちょ、ちょっと!映画、今いいところだったのにー!」

 

映画をだった楽しく見ていた黒田が涙目でそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ノール駅近くのカフェ

 

「逃走したことが発覚する前にパリを脱出するべきでしたね」

 

「我らはチェス盤上の駒、上の命令通りに動くだけさ。」

 

カフェの席でキーラがコーヒーを飲みながらそう言う。

 

「今の電話はその上の方ですか?」

 

「君が知る必要はない。ただ、10分後、祭りを始める。」

 

「え?」

 

「季節外れのパリの花火祭さ」

 

そう言いにやっと笑いながらコーヒーを飲むキーラ。そしてジェニファーはそばにあった時計塔の時刻を見るのであった・・・・・

 


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