ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
EⅮ「Starear」
「すまん菅野少尉もう一度だけ言ってくれるか?」
「あ?てめえ耳が悪いのか?俺と模擬戦しろって言ったんだよ」
喧嘩口調で彼女は言う
「ちょっと管野!」
ニパが注意するんだが菅野は止まらない
「ふん…こいつが大尉だろうがなんだろうが、信用できるわけねーよ。日本なんて国は知らねえ。ネウロイとの戦争中だってのに、そんな有りもしねえ国の軍人だとか名乗った怪しい奴を信用できる訳ねえだろ。だから俺と模擬戦しろよ。お前もウィッチ、いやウィザードなら、空で語れ」
まあ、確かに彼女の言い分は正しい、同じ国家の軍人でさえない人間を会ってすぐに信用しろというのは虫が良すぎる話だ。俺も最初はドイツ連邦の奴らが信用できなかった時だってあった。
そう思っていると、管野が闘争心たっぷりの目で俺を見ている。
こいつの目を見ると昔の俺に少しだけ似ている。俺も昔は荒れていたからな・・・・
「いいだろ少尉。なら本気を出せ。戦いはいつも真剣勝負だからな」
火花を散らし合い、一触即発の俺達の間に割って入ったのは、ロスマン曹長だった。
「着任早々にこんな事を起こすなんて…まぁいいです。とりあえず模擬戦を行うのであれば、書類を申請してからにしてくださいね」
「わかった。」
「了解・・・・首洗って待ってろよな!」
そう言い菅野は出て行ってしまった。
「まったく菅野さんは後で正座ね。疾風大尉初日でこんなことになってすみません」
戦闘隊長のサーシャさんが言う
「いいえ。いいんですよ。それに・・・・あーいう奴、嫌いじゃないんですよ。」
本当にあの菅野って子は昔の俺にそっくりだ。下原さんから聞いた話ではよくユニットを壊すことから「デストロイヤー」って呼ばれているらしい。そう言えば俺も訓練生の時はよく独学で無茶な飛行をして訓練機を壊してはよく周りから「デストロイヤー」って呼ばれたっけ。その時はよく逸見先生にどつかれたな・・・・・でもその無茶なやり方がのちに空戦での命綱になったんだっけ・・・・・
「そう言えば疾風さんの機体って何ですか?」
雁渕が聞く。
「ん?俺の愛機は『紫電三一型改』通称『紫電改』だ。」
「え!?紫電改!私と同じだ!」
「そう言えば501に紫電改を履いたウィッチがいたっていうけど、もしかして君か?大尉」
「そうですよ。クルピンスキーさん」
「へ~君があの噂の「レッドファイター」か。」
「あの・・・噂って・・・・」
俺はクルピンスキーに訊く
「何でも、単機でネウロイ2機同時に撃墜したり、ネウロイのビームを扶桑刀で斬って防いだり、ああ、あとはメイド服を着るのが趣味とか」
今最後に聞こえたのは何だ?
「最後の話、誰から聞いたんですかクルピンスキー中尉?」ゴゴゴゴゴゴ
「な!落ち着いてくれよ大尉。目が笑ってないぞ。は、ハルトマンから手紙で訊いたんだよ」
おのれ!!ハルトマンっ!!!
「俺はそんな趣味はありませんよ#」
「そう言えば大尉。私たちはガリアがどうやって解放されたのか知りません。教えてくれますか?」
サーシャさんがそう言う。しかし
「すまないサーシャさん・・・・さっきラル隊長に言ったとうり最重要機密なんで言えないだ。本当にすまない」
俺は頭を下げて謝った。
「いいえ、最重要機密なら仕方がありません。でもいつかは話してください」
「はい、いつか必ず話します。さて俺は機体の整備に行きますので」
「あの!」
「ん?なんだニパさん」
「疾風さん。501にいたんでしょ?イッルは元気?」
「エイラか・・・あいつはとても元気だここに向かう前も元気にサルミアッキ食べてた」
「そうか・・・・ありがとう疾風さん」
「いいえ、」
そう言い俺は格納庫に向かった。
格納庫
俺は格納庫で自分の愛機である紫電改に話しかけていた。俺はこいつを兵器や道具と見た覚えはない。むしろ自分の命を預け共に飛ぶ大事な相棒だ。それに話しかけると紫電改が喋りそうな感じがしたからだ。
「ここに飛ばされ早や半年か・・・・紫電改お前もこの世界に来ていろいろ世話をかけたな。また一緒に頑張ろうな」
俺は軽くエンジンの点検をし、その後自分の愛刀も手入れをしてその場を去った。
翌日
空に上がったら、身分階級なんて関係ない。戦闘機同士の戦闘、地上からの高角砲砲弾や、対空機銃の嵐によって死ぬ可能性のある場所だ。空とは時に残酷な世界であるが、パイロットのの命と誇りが賭けられるのだそれはウィッチ同士での空戦も同じである。
それ故、例え模擬であったとしても戦いは戦いだ。実戦ならば生か死のどちらだ。ウィッチはシールドを使えるとしても、ネウロイの攻撃を防ぎきれない場合がある。そしてそれは戦闘機パイロットも同じだ。機体が損傷して墜落しそうになった時、戦闘機から脱出しようとしてもできない場合もある。その事を理解しているからこそ、どちらも全力を尽くすのだ。むしろ手加減などしたら相手にも失礼である。
こういう模擬戦は久しぶりだ。
そして俺はラル少佐に模擬空戦の申請を終えた後、俺と管野は格納庫内にてユニットを履いて待機状態のまま、闘争心を募らせていた。
管野と俺の模擬空戦が行われるという事で、502のウィッチのメンバーは全員集まっている。 ユニットを装着して待機している俺と管野にラルが問いかける。
「準備はいいか二人とも」
「問題ない」
「あぁ」
俺と管野はユニットと訓練用のペイント弾が込められた機関銃を持っていた。人同士で殺し合いなどできる訳がない。なので、こうしたやり方以外にないのだった。
「(こいつのユニット・・・・孝美と同じ紫電改だ・・・・)」
管野は疾風が履いているユニットが親友のユニットと同じなのに気付く。
「おい、お前!なんで紫電改なんか履いている!まだ生産されたばかりだぞ」
「ん?あ、これはなこの世界のじゃなくてな、俺がこの世界に来るまでずっと戦ってきた機体なんだよ」
「また、異世界か!馬鹿馬鹿しい!!」
「どういわれようと、事実だからな」
「っけ!」
そう言うと管野はそっぽを向いた。
「始め!」
ラル隊長から模擬戦開始の合図が出る
「出撃!」
「管野一番、行くぜ!」
上昇した二人は互いに対戦相手となる互いの背中を狙おうとする。ウィッチは戦闘機と違ってホバリングできるが、死角が無い訳ではない。例えば背中、例えば下方、あるいは上方…。人の目が二つだけで、顔の前方にしかないことを考えると、死角を挙げれば山ほど出てくるだろう。目が向いていない方向が全て死角と成り得るのだから。だが、今回の模擬戦は死角なんて関係ない、純粋にストライカーユニットの性能差が顕著だった。
先手を取ったのは疾風だ。紫電改の高速性を活かして管野に背後から急接近し、銃撃を浴びせる。
「うぉっ!?」
当たる直前に管野は咄嗟に体を翻し、疾風が撃ったペイント弾を躱す。そしてその後菅野は疾風の後ろをとって銃撃する照準も疾風の頭をとらえている
「くらえ!」
そう言い菅野は撃つが、不思議なことに弾は疾風に当らない。まるで疾風を避けるように弾が横に避けている
「な!どうなってるんだ!」
地上から観戦しているウィッチ達は、青い空を舞台にひこうき雲を描く二人を見ながら思い思いに呟く。
「ナオちゃんの弾が当たってないね~」
「あれは・・・・機体を斜めに横滑りさせて避けているわね・・・・いい腕だわ」
「は、疾風さんのユニット速すぎないですか? 管野が置いてけぼりにされてるよ」
「私のチドリよりも速い…」
「・・・・やはりあの資料は本当だったのか・・・・」
「あの資料?ラル少佐。彼にユニットについて何か知っているんですか?」
「ああ、そうだサーシャ。奴の資料を見ているときにな。あいつの紫電改の最高時速は815キロ。それに501での試験飛行では940キロまで出たそうだ」
「815キロ!それに940って・・・・」
速度を聞いてニパが驚く。
「それに彼の国籍マークも扶桑と違い赤い丸。大尉は日の丸っと言ってましたっけ・・・・・彼が異世界人ていうのもあながち嘘ではなさそうですね・・・・」
そう言いロスマンが二人を見る。
そのころ上空では
(やはり、少尉は俺と同じ格闘戦派か・・・・しかもぶつかるくらいまで接近して攻撃してくる。まるで菅野直中佐みたいだな・・・・)
疾風と菅野はその後ぐるぐる回り巴戦をしていた。
(こいつ速すぎだろ!なかなか射程に入らない)
一方菅野は最初の攻撃を避けられ、その後の得意とする巴戦でも彼の背後に中々つけなかった。
しかし、ついに菅野が疾風の背後を取った。
「もらった!!」
そう言って引き金を引こうとした瞬間。
ヒュッ・・・・
突然疾風の姿が消えたのだ。
「な!消えた!?もしかして下か!急降下して消えたのか!!」
そう言い菅野は下を見るがいない
「どこに行ったんだ」
すると後ろから‥‥
「ここですよ少尉」
声を聴いて菅野は振り返る。するとそこには距離6メートルぐらい後ろに疾風が銃口を向けていた。疾風が消えたのは疾風の得意とする技の一つ「左捻り込み」の改良型で海軍秘伝の大戦技「燕返し」だった。
管野が疾風機が消えたように見えたのは速すぎてそう見えたのだった。
「菅野直枝少尉撃墜・・・・・」
何の感情のなく、ただ冷たい声が菅野の耳に入る。そして管野は体験したことのない感情が沸くのだった。
そう「恐怖」だ。まるで、血に飢えた狼に睨まれているような感じだった。人間としての本能が警報を鳴り響かせていた。こちらの挙動を一切見逃さない。そんなことを菅野はそう感じ取っていた。
そう、今の疾風の目はテロリスト軍のパイロットを恐怖に陥れ、871機撃墜した最強のパイロット「レッドファイター」の目になっていた。
「く、くそっ!」
管野はすぐに回避行動をとったがすぐに疾風見回り込まれる。そして疾風は管野に機銃を撃つ。ペイント弾が命中し、中の塗料が付着して服を真っ赤染める。
「うわっ!?」
魔眼の固有魔法を持つ下原の報告で、ロスマンが勝敗を宣言する。
「そこまでです。勝者、疾風大尉」
その宣言を聞いた疾風と管野達が地上に降りてくる。
先に降りてきた疾風の元にウィッチ達が集まる。
「すごいです、疾風さん。管野さんに勝つなんて」
「まあ、菅野少尉くらい強い奴はうちの部隊や敵の方にもうじゃうじゃいたからな。でも俺があの技を出したのは菅野が二人目だよ」
すると菅野がやってきた。
「”あの技”ってあの時消えた技か」
「ああ、あの技を使わなければ苦戦したからな。どうだ?少尉。これで少しは俺が何なのか理解してくれたか?」
いたずらな笑みを浮かべながら疾風は管野に問いかける。
仏頂面で管野は暫く黙り込んでいたが、ようようと口を開いて言葉を紡ぐ。
「…俺はおめえが気に食わねえ。色々と信じられねえ事もある。…でも、あんたの技量に関しては認めてやってもいいぜ」
「それは光栄だな」
疾風は管野に微笑する。管野は少し照れた様子でそっぽを向いた。
「次は負けねえからな。大尉」
「こちらこそ少尉。後、俺のことは疾風でいい」
「おれも菅野でいいぜ。疾風」
そう言い二人は握手する。
それを少し離れた所で眺めていたラルは呟く。
「やれやれ。ともかく、これで一件落着と言ったところか?」
「それを言うのはもう少し先になりそうですが・・・・」
そうサーシャが相槌を打った。
「そう言えば疾風さん。元の世界での撃墜数ってどのくらいですか?」
「それは私も気になります大尉。501では240機撃墜になっていますけど」
雁渕とロスマンが訊く。
「確か・・・・871機ですよ」
「「871機っ!!」」
撃墜数をを聞いて502メンバーは全員驚いた
「おれ、そんな奴に喧嘩売ってたのか・・・・・」
当然管野も驚いて冷や汗をかいていたのはまた別の
次回もお楽しみに。