ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「大丈夫疾風さん?何なら車椅子持ってこようか?」
「ああ、大丈夫だ。一人で歩ける。杖だけで大丈夫だよ」
B部隊がディジョンに戻ってから数時間後、仮眠をとった疾風は夜空でも見ようかと、杖を取り格納庫へと向かった。その途中、アイザックに出会い今一緒に格納庫へと向かっていたのだ
「大尉。でもあまり無理に歩かないで。ドーセ先生に言われているでしょ?『あんまり無理にリハビリするとかえって悪化して、飛ぶどころか足に障害が残って満足に歩けなくなる』って」
「わかっている。でもな夜空を見るのが俺の小さな楽しみなんだよ。特に格納庫から見た星空なんて結構いいぞ?」
「ふ~ん・・・・・」
アイザックはそう言う中、杖を突いて歩いている疾風が少しよろめくと心配そうに体を支える
「いや、大丈夫だってアイザック」
「僕がしたいからしているだけだよ。いやかな?」
「いや、いやじゃないよ」
「じゃあ、いいでしょ?モロボシ君?」
「誰がモロボシ君だ。アイザック」
「ごめん。何となく言ってみたかったんだよ」
「そうか・・・・・」
アイザックの言葉に疾風は上の空で聞いていた。するとアイザックは疾風の表情を見て
「黒田さんやジェニファーたちのことが心配?」
「ああ、俺が眠っている間にジェニファーがキーラとともに行方不明。そしてそれを追う黒田やエミリア。なのに俺は何もすることがないなんて少し自分の非力さを感じるよ」
「それは僕も同じだよ。なにもできないなんて僕でも堪えるよ」
と、二人はため息をつきながら格納庫へとたどり着き、星空を見ていた
「奇麗な星だな・・・・・・スオムス以来かなこんな星空を見るの」
「疾風さん。スオムスに?」
「ああ、501がガリアを解放した後、俺はしばらくエイラと一緒にスオムスに住んでいたからな・・・・・」
遠目で何か懐かしむ表情をする疾風にアイザックは
「二人に会いたい?」
「ああ・・・・でも中途半端に戻ればエイラに怒られるからな。今はこのガリアの事件を早く終わらせたい・・・・・そう言えば銭形さん。いつ戻るんだろ?」
「銭形さん?・・・・・・・・・・・ああ、思い出した。扶桑の刑事さんだよね?前にジャックザリッパーに怪我させられて入院中の?すっかり忘れていたよ」
「ああ、この事件解決後に今度は扶桑に行かなきゃいけないからな・・・・・」
「いいじゃん。疾風さんの故郷でしょ?」
「ちょっと違うな。俺は日本人であって扶桑人じゃないからな。それに俺は扶桑に行ったこともないし」
「そっか。確か疾風さんは異世界の人だったんだよね?」
「ああ、そう言えばこの世界に来てからもう一年以上たつのか・・・・なんかこの世界の暮らしにもすっかり慣れたな・・・・・・」
「そうなんだ」
と、二人は星空を見ていると疾風が・・・・
「さてと・・・・・・・」
「疾風さん?」
そう言うと背中に差してある刀を手に取りあるところを見る。そこは格納庫の入り口で陰になっているところだ
「そこにいるんだろアルゴ?」
「アルゴ?」
疾風の言葉にアイザックは首をかしげると
「チチチッ!残念。おねーさんはここにいました~」
「「っ!?」」
急に背後、しかも疾風の耳元で誰かがささやく。その声に二人は驚いて振り向くと、そこにはフードをかぶりネズミのような髭のペイントした女性がいた
「き、君は誰!!」
いきなり現れた女性にアイザックは驚くと疾風は手で制し
「大丈夫だアイザック。俺の古い知り合いだ・・・・・久しぶりだなアルゴ。4年ぶりか?」
「そうだね~オレッチが疾坊に最後にあったのは、疾坊が欧州に派遣されたばかりのことだから・・・・・疾坊が13,4ぐらいの時だったかな?目の傷はどうだ?まだ痛むか?」
「いいや。おかげさまでもう痛まないさ。ただ、片方の目と比べて少しぼやけるがね。まさかお前もこの世界に飛ばされていたなんて思わなかったよアルゴ」
「そのセリフ、ミーちゃんにも言われたぞ。それよりも疾坊も変わったな~」
「服装がか?」
「いいや、顔の表情さ。昔は抜身の刀みたいにギラギラの目をした子供だったけど、今はなんか丸くなっているね~妻と子供ができて柔和になったか?」
「それ、エミリアから聞いたのか?まあ否定はしないよこの世界に来てからいろいろと目が覚めるようなことが多かったからな」
「そっか。幸せそうで何よりだ」
疾風の言葉にアルゴはニシシッと笑うとアイザックは
「あ、あの・・・・疾風さん。この人は?」
「ああ、こいつの名はアルゴ。俺の世界の人間でぼったくりの情報屋だ」
「ぼったくりとは心外な。オレッチは命を懸けて手に入れた情報を、その命を懸けた分だけの金額で売りさばいているだけだよ。まあ、それで敵とかそういう連中に恨みを買って追われたりと大変なんだけどな?」
「大した情報屋だぜ・・・・・・で、ここに来たってことはグリュンネ少佐の依頼の件か?」
「正解さ。大変だったが何とか怪しい奴は特定したぜ」
「そうか・・・・・で、情報額は?」
「疾坊にはいろいろと世話になっているしな。今回は半額でいいぞ?後で請求書を送るからな」
「ああ、すまないな」
「あ、あの・・・・・アルゴさんは少佐に何を頼まれたの?」
アイザックがそう訊くと疾風が答えた
「実はセダン基地内に潜伏するキーラの内通者を探していたんだよ」
「内通者・・・・前にジーナ中佐が報告していた爆薬のタイマーを作動させたキーラの協力者のこと?」
「ああ、俺がキングジョーダーク・・・・・ロボット型ネウロイと戦う前、少佐やジーナ中佐とともにその内通者のことを調べていたんだ。で、キーラに怪しまれないように操作の依頼をアルゴに依頼していたっというわけだ」
「その口ぶりだと疾風さんはそのアルゴさんと結構前に会っていたってこと?」
「ああ、ジャックザリッパー事件の時、ジャックザリッパーを探っている時に偶然な・・・・」
疾風はセダンに来たばかりのころ最初の事件であるジャックザリッパー言レイナーレを調べていたころ気分転換に街中を歩いて、路地裏でガラの悪い連中に絡まれている人を助けたのが始まりであった。そしてその後、彼女と交流していたのであった
「・・・・・・で、アルゴ。その怪しい人物って誰だ?」
「あくまで特定しただけだ。決定的な証拠はない。特に外部から情報を流した方法がつかめていない。すまないがオレッチが探れるのはここまでだ。この先は疾坊で調査してくれ」
「わかった。すまないな」
「いいさ。オレッチと疾坊の仲だ。これからもオレッチの情報を買ってくれよ」
「ああ。またなアルゴ」
そう言うとアルゴは去っていった。そして格納庫に残された二人は・・・・・
「さてと・・・・・・・アイザック。俺たちのすることわかっているよな?」
「うん。もちろん。面白いじゃないか。ちょうどやることがなくて暇していたしね。そうと決まればちょっと着替えてくる」
「着替えるって何に?」
「捜査にぴったりの服装だよ!」
そう言いうとアイザックはすかさず格納庫を後にして走り去っていく。それを見た疾風はふっとため息をつき
「さてと・・・・・俺も捜査するか」
そう言い一瞬、真剣な表情をると、疾風は胸ポケットから赤いゴーグルを取り出し・・・・
「デュワッ!!」
とゴーグルを目にかざすが、何も起きず、静寂だけであった。そして疾風は
「はぁ・・・・・やっぱりこのネタ知っている人がいないと寂しいな・・・・・」
ため息をつき、そう言うと疾風は赤いゴーグルをポケットにしまうと
「さて、まじめに捜査するかな」
そう言うと疾風は杖を突きながら格納庫を後にするのであった