ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第175話「セダンの迷探偵たち」

疾風とアイザックがアルゴと接触した数分後、基地の廊下で基地の医務員のドーセ先生とその看護士が歩いていた

 

「ドーセ先生。疾風大尉のけがの様子は・・・・」

 

「今のところは回復はしているが、正直言って驚いている。生きているのが不思議なくらいの重傷を負っていたはずなのに、今では杖を使って歩いている。正直言って何度もレントゲンを取り直したり、カルテを見返したりしたよ。彼は本当に人間なのか疑ってしまう」

 

「あはは・・・・確かにそれは私も思います。整備の人たちも彼のことを『ミラクルマン』とか『ウルヴァリン』とか言っていましたから・・・・・」

 

「確かに、あれじゃあウルヴァリンと呼ばれてもおかしくはないな」

 

看護師の言葉にドーセ先生は苦笑してそう言う。因みに彼女たちの話すウルヴァリンとは映画のヒーローのあれではなく、動物のラーテルのことである。

そして二人は廊下を歩き角を曲がろうとすると・・・・・

 

「じゃっ、じゃじゃじゃ~~ん!!名探偵アイザック・ホームズの誕生!!」

 

と、角から突如、探偵の着てそうなコートと帽子をかぶったアイザックが現れる、その姿に二人は少し引いた表情になり驚く

 

「バ、バーガンデール少尉。なんだねその恰好は?」

 

「やあ、やあ、ドーセ先生に看護師さん。こんばんわこの格好何に見える?」

 

「・・・・・・探偵かな?」

 

「正解。今はある調査をしてね。その雰囲気作りだよ」

 

「調査?」

 

「そっ!実はキーラの・・・・・・おっと、これ以上は言えないな~楽しみにしておいてね~♪」

 

一人ですらすらとしゃべりそしてさっと去っていくアイザックに二人は何が何だかわからないという表情をしていたのであった。

 

そして談話室でも・・・・・

 

「・・・・で、なんじゃその恰好はバーガンデール少尉?」

 

「あれ二回目?見ててすぐにはわからないかな?」

 

「遊んでいることならすぐにわかる」

 

「辛辣だねヴィスコンティ大尉。僕はいつも真剣だよ?」」

 

「なら、そのふざけた服を脱いでから言え」

 

談話室ではアイザックの探偵姿にハインリーケとアドリアーナが怪訝そうな顔でそう言う

 

「ところで隊長は?」

 

「記念日のことでド・ゴール将軍から呼び出しを受けて胃を痛めていたよ」

 

「ああ…それはお気の毒に。でも困ったな・・・相談したかったのに・・・・・あと・・・」

 

とアイザックは困った顔をするがすぐにソファーのところを見るとそこにはカメラを持ったメガネの少女がいた

 

「姫さん?その人だれ?」

 

「ああ、こやつは・・・」

 

とアイザックが言いハインリーケはため息をつくと少女が

 

「あ、初めまして!私『ル・タン』紙の記者でクローディアです!」

 

「記者?」

 

「はい!今日はグリュンネ隊長の許可をもらって基地にいるんですが私今回はぜひある人の独占取材をしたいんです!!」

 

「へ~で、誰を?」

 

「それはもうあの疾風大尉ですよ!突如現れたウィザードで世界的にも大人気のエースでしかも愛妻家!その人の日常を追うコラム!名付けて『黒の剣士の日常!!』どうですか!!」

 

「あ…え…といいんじゃないかな?でも大尉は今はいないよ?」

 

ぐいぐい言うクローディアにアイザックは苦笑して言うとクローディアは少し残念そうな表情をし

 

「そうですか・・・・じゃあ、何か手伝います。見ればその恰好、何かの調査しているみたいですし画になります!あ、あとでインタビューを受けてさえもらえればの話ですが・・・・・」

 

「ほんと?なら助手をやってよ。楽しそうだし」

 

「いいですよ!何をすればいいんですか?」

 

「え?そうだな・・・・・じゃあ紅茶入れてきて?」

 

「はい!!」

 

アイザックに言われクローディアは紅茶を淹れるためすかさず部屋を出るのであった。そしてそれを見たハインリーケTアドリアーナは

 

「「(これ、全然考えていないな・・・・)」」

 

とアイザックの行動をそう評価すると・・・・

 

「さて・・・姫様?」

 

「なんじゃ?」

 

アイザックはハインリーケのそばにより、

 

「姫様がキーラの内通者と関わっているってことないよね?」

 

「ぶふっ!」

 

その言葉にハインリーケは吹き出し

 

「何を阿保なことを言っておる!紅茶をこぼしたではないか!」

 

「よかった。いやだって姫様の魔導針って便利だし連絡を取るのに検閲とか引っかからないし」

 

「どう考えておるかは知らぬがそう万能ではない。そもそもどういう了見でそのようなことを言い出したのじゃ!?」

 

「実は・・・・・」

 

ハインリーケに聞かれアイザックが説明しようとしたとき

 

「そう!実は爆破事件もとい例の諜報員キーラの仲間の内通者が特定したのだよ。そしてその内通者は今もどこかである方法を使いキーラとその仲間に連絡を取っているのだよ」

 

アイザックの言葉を遮り、いつからかいたのか、ちょび髭の男性が目をつむりうつむいたまま座っていた

 

「うわっ!?誰じゃおぬしは!!」

 

「わはしかね?私は名探偵、眠りの・・・・・・」

 

「疾風さん。何をしているの?」

 

男性がそう言う中、アイザックは男の座るソファーの後ろにしゃがみ赤い蝶ネクタイでしゃべる疾風に気づきそう訊くと

 

「あれ?バレちゃった?」

 

「いやいや、バレバレだぞ大尉?」

 

「いや?コナンがばれないならここに隠れてもバレないかな~って」

 

「いや、意味が分かんないんだけど?コナンてだれ?」

 

「それよりもじゃ!疾風大尉!いつからそこにいたのじゃ!それにこの男は誰じゃ!どっから連れてきたんじゃ!!」

 

「いや、ついさっきだよ。それにこの人は整備士だよ。ほらつなぎを着ているからわかるでしょ?」

 

「そんなものは見て分かる!妾が言いたいのはどこから連れてきたのじゃ!」

 

「いや~格納庫で寝ているところを見つけてな。似ていたものでつい・・・・」

 

「疾風さん。最終的にどこからか訴えられますよ?」

 

疾風の言葉にアイザックがそう突っ込むと、ハインリーケは

 

「ともかく!内通者を特定したといっておったが誰なんじゃ!」

 

「「それは秘密です!!」」

 

「な、なんじゃと!?なぜじゃ!」

 

「まあまあ、落ち着けよ姫さん。何か理由があるんだろ二人とも?」

 

「ああ、あくまで特定しただけ怪しい人物を特定しただけで、もし間違えたら内通者はさらに警戒して尻尾を出さなく可能性がある」

 

「そのため、少しまどろっこしいが確信と証拠が出るまで、捕らえるのを少し待ってほしいんだ。もちろんハインリーケにも協力してほしい」

 

「う、うぬ・・・・少し納得はいかぬが疾風が言うのであれば仕方あるまい」

 

ハインリーケは軽いため息をつくと・・・・・

 

「お待たせしました~♪」

 

そこへ紅茶を淹れに行ったクローディアが戻ってくる。するとクローディアは疾風を見て

 

「あっ!あなたが疾風大尉ですね!噂はかねて聞いています!私新聞社のものなんですが是非、取材をお願いできますか!!」

 

「えっ…えっと。ごめん。取材は後にしてもらえないかな?今はちょっと取り込んでて・・・・」

 

「構いませんよ!・・・・・て、あれ?皆さん無言で私をジーとみてどうしたんですか?」

 

クローディアはハインリーケたちがじっと見ているのに気づき首をかしげると

 

「よもや・・・・こやつではあるまいな?」

 

「いや、それはないと思うぞ?ハインリーケ。確かに突然来た人間は怪しいと相場は決まっているが、いくら何でも来るタイミングが遅すぎるしな」

 

「うむ・・・・なら、基地内の連中をきつく尋問して」

 

「拷問でもする気?それ以前にそんなことしたら本末転倒だよ姫様?」

 

「と、いうより、姫さん張り切りすぎだろ?」

 

アイザックとアドリアーナがそう言うとハインリーケは

 

「仕方なかろう。妾とて指をくわえてただ待っているだけでは気持ちが落ち着かん」

 

「ま、それはそうだな・・・・・まあ、明日のうちに犯人は行動を起こすからな。今日は静かに待とう」

 

「え?疾風さん。内通者の通信手段。わかったの?」

 

「ああ。一つ盲点だった方法があった。電話も無線機を使わない。古典的なやり方がな・・・・・」

 

疾風はそう言うと、クローディアは

 

「あ・・・・あの…皆さん。何を話しているのですか?」

 

会話の内容がわからず、クローディアは首をかしげるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の基地の広場のベンチで看護師が座っていた。そしてその看護士は一羽のハトを抱きかかえると足に筒状のカプセルを巻く

 

「・・・・これでよし」

 

そう独り言をつぶやくと・・・・・

 

「なるほど、伝書鳩とは確かに疾風さんの言った通り古典的なやり方だね」

 

「っ!?」

 

看護師は驚いて振り向くとそこにはアイザックがいた

 

「ヴァ、ヴァーガンデール少尉!?なぜここに!?」

 

「それは俺のセリフだよ看護師さん。それともキーラの内通者といえばいいかな?」

 

「は、疾風大尉も・・・・・」

 

看護師が驚き、逃げ出そうとするが左右そして背後をハインリーケたちに囲まれる。疾風は

 

「俺だって、リハビリをしながら歩いていたわけじゃない。それに君はよくここでハトにえさを与えていたのをよく目撃していた。一見すれば普通のことだろうけど、そこに盲点があった。そう・・・ハトを使った通信手段。つまり伝書鳩を使って仲間に連絡をしていた」

 

「そしてあの事件…格納庫を派手に爆破したのはガリア諜報部のキーラを引き入れるため、そして隊長と同じ権限を持つキーラから一介の看護師では手に入らない部外秘の情報を入手し、それを王党派の過激派に流していた・・・・・間違いないかな?」

 

アイザックはそう訊くと看護師は目を背け暗い表情で

 

「・・・・・もう何も言う必要はありません。ガリアわが喜び・・・・そしてハイルナチス」

 

「もしかして・・・・君も疾風さんと同じ世界の・・・・?」

 

アイザックは訊くと彼女はゆっくりと頷き、袖をまくると、その腕にはかつての殺人鬼であり疾風と同じ世界のナチスの軍人レイナーレと同じナチスのハーケンクロイツと笑う棺桶ラフィンコフィンのタトゥーが彫られていた。するとアイザックは

 

「一つ訊いてもいい?君って基地爆破の時に怪我をした黒田さんの看病を必死でしていたのと、そしてディジョンに現れたネウロイの戦いで大怪我をした疾風さんに「とどめを刺そうとすればできたのにそれをしないで必死に看病をして治療の手伝いをしていたよね?自分で爆破して、ネウロイを手引きしたのに。あれって嫌疑を逃れるため?それとも・・・・・」

 

そう言いアイザックは一呼吸入れると

 

「・・・・それとも本当は誰も傷つけたくなくて悪かったと思ったの?」

 

そう訊くが、彼女は無言のままだった。そしてアドリアーナに連行され、すれ違う時

 

「(本当は平和に生きたかった・・・・誰も傷つけたくなかった・・・・・)」

 

消えてしまうような小声でそう言うのであった

 

「・・・・・・そっか」

 

そう言うとハインリーケがポンッとアイザックの肩をたたき

 

「よくやったバーガンデール少尉。誰も傷つけるつもりはなかった妾もそう信じたいものじゃ。妾たちができることはここまでじゃ、あとは黒田たちを信じて待とう」

 

「うん・・・・そうだね。それにしても疾風さん。すごい推理だったね?」

 

と、アイザックはそう言い振り向くと疾風はベンチに座り苦しそうに俯き息を切らしていた

 

「は、疾風、どうしたんじゃ!?」

 

ハインリーケとアイザックは慌てて駆け寄ると、疾風は青い顔をして

 

「疾風さん大丈夫?死相が出ているけど?」

 

「だ・・・・大丈夫だよ。少し無理したみたいだ・・・・・」

 

「じゃから無理に歩くなといったであろう!ほら、妾につかまれ部屋まで運ぶぞ」

 

「あ、僕、車椅子持ってくる!」

 

そう言いアイザックは車椅子を取りに行きハインリーケはアイザックが戻るまで彼のそばにいるのであった。そして疾風は

 

「(エミリア・・・・黒田。後は頼むぞ・・・・)」

 

と、キーラを追う4人にことを考えるのであった

 

 


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