ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「ええい、もっとスピードは出ないのか!!?」
「う~ん、でもこれ以上はスピードオーバーだよ。もう少しだからさ」
「……ふわぁ~」
A部隊B部隊の模擬戦が終わり、俺は朝早くにガリアからロンドンへと行き、今、義姉さんやハルトマンと一緒にドイツ…こっちで言うカールスラントのキューベルワーゲンに乗り、ある所へと向かっていた
「へ~ハルトマンって運転で来たんだ。しかも丁寧だな」
「疾風・・・・それどういう意味?」
俺の言葉にハルトマンはジト目で言う。そう実はこの車を動かしているのはハルトマンだった
「まあ、あのハルトマンのあの部屋を見ればそう言いたくもなるな」
「ハンドルを切るって言って本当に手刀で文字通りに切ったトゥルーデに言われたくない」
「あ~そう言えばそんなことあったな・・・・」
「疾風そのことは忘れてくれ・・・・・」
ハルトマンと俺の言葉に義姉さんは顔を赤くし恥ずかしそうに言う。
実は義姉さんは車の免許は一応持ってはいるのだが、いわゆるペーパードライバーであり。前にシャーリーの指導の下運転したらハンドルを切るって言われたときは固有魔法の力でハンドルを圧し折ったりと、結構危ない運転をして一回だけ警察にお世話になったことがあった。まあその時はケガ人はいなかったのだが・・・・・・
「そう言えば疾風も車の免許持ってたよね?」
「ああ。ついでにバイクと飛行機の免許も持ってるぞ。まあ車に関してはAT専用のやつだからマニュアル車が主流のこの時代の車の運転は今免許取るために練習中だな・・・・」
「AT?」
そう俺のいた時代ではオートマチック車が主流であり俺の車の免許もATのみ有効のやつで、今現在、マニュアル車の免許を取得中だった。
え?なんで16の俺が車の免許をだって?それは・・・・いろいろあって長くなるのでそこは聞かないでくれると助かる
「それよりも疾風。すまないな朝早くに」
「いや、大丈夫だよ。クリスちゃんのお見舞いだろ?」
「ああ、前にも言ったけどクリスもお前に会ってみたいって言っていたから…そう言えば疾風、お前朝食を取ってなかったろ?病院の売店でパンでも奢ってやろう」
「いや。大丈夫だよ。自分で買える」
「遠慮するな。それにたまにはお姉ちゃんらしい事させてくれ」
「(いや、十分すぎるほどしてもらってるけど・・・・・)じゃ、、お言葉に甘えようかな。それとクリスチャン元気だといいな」
「そうだな……それよりまだ着かないのかハルトマン!!?」
「あ、着いたよ!」
ハルトマンが指をさす。そこにはかなり大きな病棟があった。ロンドンの大学病院か何かなのだろうか。
「……えっと、駐車場はあそこだっけ」
バックで車を駐めるエーリカ。エンジンを切ったと同時に、義姉さんは車のドアを勢いよく開けて走りだした。
「先に行く!!」
「あ、ちょっと! ……もう、トゥルーデは本当に妹のことになると前が見えなくなるなぁ」
「まあ、大切な家族だからな。俺もアイが病院とかに入院したら、たぶんああなるな」
「あ、それ何となく想像できる・・・まあトゥルーデも疾風も似た者同士だしね。それよりも速く行こう」
「ああ、そうだな」
そう言い俺とハルトマンは病棟の中に入っていった。そして義姉さんが一番早くに病室に着くと
「クリスっ!!」
「お静かに! ここは病院ですよ!!」
「……すいません」
大きな音を立て扉を開け、まるで飛び込むように病室に入るバルクホルンさんだったけど、大きなドアの音と声量に、看護師に怒られる。
「はい到着~トゥルーデ、さすが足が速いねぇ」
「こら、ハルトマン廊下は走るな他の患者さんにぶつかったらどうするんだ」
そして後にハルトマン。そして少し後に疾風が到着する。すると
「その人の言う通りですよ。あなた方も、面会ならもっとお静かに!」
「すみませんお騒がせして・・・・」
俺は看護師さんに謝ると看護師さんは病室を出ていく
ふふっ、お姉ちゃんとハルトマンさんは相変わらずだね」
その病室のベッドには、宮藤にちょっと似た感じの幼い女の子が可愛く笑っていた。あの子がクリスちゃんか・・・・
「クリス・・・・・あれから何か体の異常はないか?」
「うん。大丈夫だよお姉ちゃん」
義姉さんが心配そうに言う中、クリスちゃんは笑って言う
「ハルトマン。以前何かあったのか?」
「まあ、いろいろあってね~」
二人が話す中、俺はハルトマンにそう訊くとハルトマンはそう返すとクリスちゃんは俺の方を見て
「もしかして・・・・お姉ちゃんが言っていた疾風村正さん?」
「ああ。初めましてかなクリスちゃん。君のことは姉さ・・・・バルクホルン大尉から聞いてるよ。よろしくね」
「よろしく。お兄ちゃん」
「お・・・お兄ちゃん?」
「うん。だってお姉ちゃんの義理の弟なんでしょ?だから私にとってもお兄ちゃんってことだよね?だからお兄ちゃんって呼んでも…いいかな?」
「あ・・・ああ。いいよ」
「ほんと!?」
俺が頷くとクリスちゃんは笑顔で返事する。その顔を見た俺は義姉さんを手招きし姉さんがこっちに来ると小声で
「姉さんが可愛がる理由・・・・・分かった。あれはアイと同じ天使だな」
「だろ?お前ならわかってくれると思ったよ・・・・」
俺と義姉さんは互いに頷きグッジョブポーズをする。いや、本当にあの子の笑顔はアイと同じだ。正直言って可愛いの一言しかない
「(この馬鹿姉弟は・・・・・)」
その様子を見てハルトマンはやれやれと言った表情をしてみていた
「さて、何か買ってこよう。普通のパンか何かでいいか?」
「俺も一緒に行こうか?」
「いいや、お前はここにいてくれ。この病院の勝手はわからないだろう。その間、クリスを頼む」
「あ、私も行くよ!」
そう言って、2人は去っていく。病室には、僕とクリスちゃんの2人だけが取り残された。
「えっと・・・・・お兄ちゃん」
「ん?どうしたんだクリスちゃん?」
「お兄ちゃんて・・・・・娘さんがいるんだよね?お姉ちゃんから聞いたんだけど」
「ああ。いるぞ。ほらこの子だ」
そう言い疾風は胸ポケットからアイの写真を出す
「可愛い・・・・・その子がそうなの?」
「ああ。アイって言うんだ。人見知りな子だけど。きっとクリスちゃんとも友達になれるよ」
「ほんと!?」
「ああ。本当さ。きっと仲良くなれう。お兄ちゃんが保証するよ」
「ほんと!?楽しみだな」
とクリスちゃんは嬉しそうに言うとクリスちゃん。姉さんとは対照的に愛と同じ無邪気な子だなと俺はこの時思ったが同時に姉さんが大切に思う理由もわかった。するとクリスちゃんは
「そう言えばお兄ちゃんて世界で初めてのウィザードなんでしょ?どんなストライカーを履いているの?」
「俺のストライカーは紫電改だな。まあ扶桑のユニットだと思ってくれればいいよ」
「そうなんだ……私も、お姉ちゃんみたいに飛んでみたいな」
「え?」
ぽつりと呟いたクリスちゃんの言葉に思わず反応する。
「私、病室に長いこといるから……。一度、一度でいいの、お姉ちゃんみたいに……大空を駆け回ってみたい。ウィッチになって空を飛んで そして、お姉ちゃんの役に立ちたいの」
「そうか・・・・義姉さんには相談したのかい?」
「ううん・・・きっとお姉ちゃん心配するから」
「なるほどな・・・・確かに義姉さんのことだから反対するだろうな」
義姉さんはいまだに妹を守れず入院生活をさせてしまったことを後悔している。その妹がウィッチなって自分と同じく空を飛びたいなんて聞いたらきっと反対をするのは目に見えていた。だがそれはクリスちゃんを心配しての行動だというのも予想がついた
「どうしよう。お兄ちゃん」
「う~ん・・・・・とにかく義姉さんたちが戻ってきたらクリスちゃんの思いを言ってみたらいいよ。説得できるかは保証できないが、俺も少しは手伝う」
「ありがとうお兄ちゃん」
一方、売店では・・・・
「遅いぞハルトマン!雑誌を読み終わるまでに何分かかっているんだ!」
「えー、だってあの雑誌、すごく面白くてさー」
「全く……何が『もう少しで読み終わる』だ!!」
パンを買ったバルクホルンがハルトマンにそう言う。パンとベーグルを買ったバルクホルンだったが、ハルトマンが雑誌を読むのに夢中になり結構時間がかかってしまったのだ
「あはは、ごめんごめん。疾風もお腹空かせてるもんね」
「帰ったら、疾風によーく謝っておけよ」
「はーい」
病院の階段を今度は怒られないよう少し急いで上り、部屋までたどり着いた。
「待たせたな、すまなかった」
「ごめんねー、遅くなっちゃった」
「おかえりお姉ちゃん」
「おかえり」
病室に戻ると疾風とクリスが笑顔でそう言う
「ちょうど焼きたてのベーグルがあったから買ってきたぞ」
「ありがとう義姉さん」
「……焼きたてだったのに、遅くなってしまい申し訳ない。もう昼ごはんの時間帯だな」
「いや。大丈夫だよ。むしろ姉さんに奢ってもらうだけでも感謝してるよ」
時計を見ると、時刻は既に昼の1時を回っていた。そして疾風がベーグルを食べている中、二人は
「いや~、トゥルーデのお説教が長くてねぇ~……」
「お前が長々と雑誌を読んでいたせいだろうが!!」
漫才のように言う二人にクリスは笑い出し
「やっぱり、お姉ちゃんもハルトマンさんも面白いね、お兄ちゃん」
「だろ?名コンビだからな」
笑顔で顔を見合わせる2人。それを見たバルクホルンは
「お、おほん!! ク、クリスと疾風は随分仲良くなったな」
「うん!」
「私たちがいない間に何かあったの?」
「まあ、いろいろと話しているうちにな」
笑顔で言う二人にバルクホルンはちょっとうらやましそうな表情をするとそれを見たハルトマンは
「あ~もしかしてトゥルーデ。弟に妹を取られちゃうって思ったでしょ?」
「そ、そんなことはないぞ!」
「大丈夫だよ。俺にはエイラがいるし」
「そうだよお姉ちゃん。私のお姉ちゃんは、お姉ちゃんだけだから」
「クリス……っ///」
幸せそうな表情を浮かべ、バルクホルンはクリスを抱きしめた。
「く、苦しいよ~、お姉ちゃん」
「し、しばらくこうしていてくれ……///」
と、それを見たハルトマンと疾風は微笑ましく見ていた。そして・・・
「あ・・・あの。お姉ちゃん」
「ん?どうしたんだクリス?」
クリスがチラッと疾風を見ると疾風は静かに頷く
「お姉ちゃん。実は相談があるの」
「相談?」
「うん。実は私、いつかお姉ちゃんみたいなウィッチになりたい!」
「!? ど、どうして?」
クリスの言葉にバルクホルンが驚くと
「私…退院したら、ウィッチになりたいの。ウィッチになってお姉ちゃんの役に立ちたい!!」
「クリス・・・・」
真剣な表情で言うクリスにしばし考えるバルクホルンだったが、彼女の返事は非情なものだった。
「……やめておけ」
「トゥルーデ……?」
「どうして!?」
「ネウロイとの戦いはとても危険なんだ。そんな戦いに、お前を晒すわけにはいかない」
「そ、それでも、私はウィッチになりたいの! お姉ちゃんの役に立ちたいの!!」
「ダメだったらダメだ!!」
「私が役立たずだって言いたいの!?」
「そんなことは言っていない、姉として心配なだけだ!」
疾風の予想通りに反対するバルクホルン。そしてクリスは
「お兄ちゃん・・・・」
と疾風を見ると疾風は
「落ち着けよ義姉さん」
「だが、疾風!」
「義姉さんが心配する気持ちは俺にもわかる。俺だってアイが戦場へ出るって言いだしたら。義姉さんと同じくきっと反対するよ。でもクリスちゃんの義姉さんの役に立ちたいって気持ちまで無下にすることもできない」
「疾風・・・・・」
「俺は兄になったばかりだから上の子の気持ちはよくはわからない。だが、弟…末っ子の気持ちはわかるつもりだ。弟の立場からこれだけは言える。クリスちゃんも、今まで義姉さんにお世話になってきたからこそ、その義姉さんの役に立ちたいと思うし、恩返しもしたいと思うんです。たとえ危ないだの、まだお前は心配だの言われてもだ」
「疾風・・・・・」
疾風はバルクホルンにそう言う。疾風もかつては姉がいた。そして疾風は姉の遺志を継ぐべく軍の道を選んだ。たとえ周囲に反対在れようとも自分の意志を貫きたかった。
今のクリスを見て疾風はかつての自分と重ねていたのだ
そして疾風はクリスちゃんの方へ顔を向き
「クリスちゃん・・・・・君は本当にウィッチになりたいのか?」
「お兄ちゃん?」
「ウィッチの道は険しい。もし空に上がって戦うことになったら怪我は避けられない。もしかしたら命を失うかもしれない。それだけの覚悟はクリスちゃん。君にはあるか?」
「お兄ちゃん・・・・・うん!危険なことは分かってる。でも、それを覚悟の上で私はウィッチになる!ウィッチになって今度は私がお姉ちゃんを助けたい!」
「クリス・・・・・」
クリスの強い意志を見たバルクホルン。そして疾風はバルクホルンに頭を下げ
「義姉さん。血の繋がっていない義理の弟である俺が言うのもおかしな話だと思う。だけど俺からも頼む。どうか、クリスちゃんの思いを無下にしないでくれ。たとえ危険な道でも・・・・」
「疾風・・・・・・」
バルクホルンは二人の真剣な言葉を聞き考え込む。そしてしばらく考えると・・・・・
「クリス・・・・・」
「うん」
「今のお前ではウィッチになるのは無理だそして退院してからもだ」
「お姉ちゃん・・・・・」
「だが、お前がそこまで決意したのなら、心配だがもうさっきのようにそこまで反対はしない。だが、条件がある」
「条件?」
「ああ。まず一つはしっかり体を直して退院する事。そして第二に魔法力検査をして合格したら必ずウィッチの訓練学校に入って基礎から整えることが大切だ。誰だって最初は、基本が肝心だ。ウィッチになりたいなら、基礎と技術をしっかりと学んでから、私のところに来い」
「お姉ちゃん・・・・・ありがとう!」
と、クリスはバルクホルンに抱き着いた。それを見たバルクホルンは顔を赤くする。そしてクリスは
「お兄ちゃんもありがとう」
「俺はただ一言言っただけだ。後はウィッチになれるかどうかはクリスチャンの頑張り次第だぞ」
「うん!」
そう言い。その後は4人で面会時間いっぱいまで話した。午後も5時になり、面会時間は終了となる。
「……っと、そろそろ面会時間は終了だね」
「そろそろおいとましようか」
「そうだな。……名残惜しいが」
そう言って、3人は席を立つ。
「またね、お姉ちゃん、ハルトマンさん、お兄ちゃん!」
「あぁ……それじゃあな、クリス。体に気をつけて、看護師さんの言うことをよく聞くんだぞ」
「まったね~」
「また来るからねクリスちゃん。今度はアイも連れてくるよ」
「うん!」
元気いっぱいに返事をするクリスちゃん。この会話を最後に、3人は病室を後にするのだった。
そして車で帰る途中、ハルトマンが運転する中、バルクホルンが
「疾風・・・・・すまなかった」
「え?」
「たぶん。お前がいなかったらきっと私はクリスと喧嘩をして、もしかしたら取り返しのつかないことになっていたかもしれない」
「礼を言われるようなことはしてないよ義姉さん。俺はただ単に自分の思ったこと言っただけだ」
「それでもだ。だけど驚いた。クリスが私の役に立ちたいからウィッチになりたいだなんて・・・・」
「でも。俺はなんとなくクリスちゃんの気持ちはわかるよ。この前義姉さんに話しただろ?俺にも姉さんがいたこと」
「ああ…そう言えば言ってたな」
「ガキの頃、俺は大きくなったらいつか姉さんの役になりたいと思っていた。そして姉さんを守れるぐらいに強くなりたいって・・・でもその夢が叶わなかった」
「疾風・・・・」
「だからさ。あの時のクリスちゃんを見て放っておくことができなかったんだよ」
「そうか…本当にいろいろとすまないな。だが私は認めたとはいえやはり心配だ」
「そうか・・・じゃあ、クリスちゃんが空に上がる前にこの戦争を終わらせよう。クリスちゃんが武器を持たずにアイと一緒に自由に空を飛べるようにね」
「そうか・・・・そうだな。疾風その時は」
「ああ。俺も姉さんと協力するよ。俺たちの代で終わらせよう」
「すまない疾風」
そう言いバルクホルンは疾風に礼を言うのだった
「ああ。そうだ。義姉さんたち。今日は遅いから。セダンに泊まってよ。グリュンネ少佐には俺が言っとくから」
「お~いいね」
「すまないな疾風」
「いいよ。ベーグル奢ってくれた礼だよ」
と、三人はセダン基地へと帰るのであった
そしてロンドンの病室では、クリスは先ほど病室で取った疾風とバルクホルンそしてっ自分の姉弟写真を見てほほ笑んだ
「お兄ちゃん・・・・・ありがとう。お姉ちゃん。私頑張るからね」
と嬉しそうに微笑んだ
余談だが彼女が後にとあるウィッチ防衛隊の隊長になるのはこれはまた別のお話に・・・・