ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED2「吹雪」
明朝、724本土防衛隊NAC(ガーディアンウィッチーズ)基地がある無人島の砂浜で鳳麗央は普段はランニングなどで使用する青い短パンと黄色のパーカー姿で潮干狩りをしていた。そしてバケツに入った貝を見て
「まだこれだけか……もうちょっとほしいな」
そう言い熊手を手に砂をかき分ける
「あっさりー、しじみー、はーまぐーりさーん・・・。」
意味も分からない歌を歌いながら、潮干狩りをしていると・・・・・
「何してるんですか鳳さん?」
「あ、虹野さん」
と、そこへゆりかが、のぞき込むように麗央の後ろにしゃがんで立っていた。
ゆりかは麗央のそばにあるバケツを見る
「貝を集めてどうするんですか?」
「うん。おみそ汁の具にできないかな~ってみんなの・・・・」
「みんなって…この基地、100人以上いますよ?これじゃ足りないよ?」
「そうなんだよね‥‥それにこのバケツじゃ・・・・」
そう言うと二人は小さなバケツに入っているアサリやシジミなどの貝を見るとゆりかは
「じゃあ、私も手伝います!」
「え?いいの?」
「仲間じゃないですか~それに貝のおみそ汁、美味しそうじゃないですか♪あ、あとそのバケツじゃ足りないからドラム缶持ってきます。よーし!ゆりかファイおー!」
「ありがとう虹野さん」
「ゆりかでいいよ」
「じゃあ、私も麗央でいいよゆりかさん」
と、二人はその後、仲良く潮干狩りをしていた。そしていつの間にかドラム缶いっぱいに貝が集まっていたのだった。
「これだけあれば十分だね」
「そうだね・・・・・・そういえばみんなまだ寝ているのかな?」
ゆりかがそう言うと麗央は
「えっと…確か、因幡さんが夜間紹介に出て、宮辺大尉が夜間中のレーダーの見張り。犬走さんは‥‥多分寝ていると思います」
「隊長は?」
「それが‥…今日は横須賀のウィッチ訓練所の講師に呼ばれているみたいです」
「そう言えば隊長。非番の日には学校の教官をしているよね?疲れないのかな?」
「わからない。いつも平気な顔しているけど・・・・・・」
そう言い麗央は海の向こうに見える横須賀の大地を見るのであった。
・若本徹子視点
俺は若本徹子、扶桑皇国海軍遣欧艦隊機動部隊所属のウィッチで階級は中尉だ。
そして現在ではここ、横須賀海軍ウィッチ訓練場の教官をしている。
本来ならば若手の育成ではなく欧州で戦うはずだったのだが、同期である美緒が魔法の上りを迎えそして特命で欧州へ行ってしまったためその穴埋めとしてここにいる。
そして今、俺は実技訓練の指導を終えて、とあるところにいた。それはウィッチの戦法や座学を教える。教室であった。
その教室では多数のウィッチ訓練生が座って授業を聞いていた。そしてその授業の教鞭をとっていたのは・・・・・
「で、あるから。ネウロイの戦いにおいてまず必要なのはチームワークであり・・・・・・」
女性を中心とするウィッチの中では珍しく男性が講座をしていた。
そう彼が、突如現れた世界で初めて男性で魔法力を持ち欧州で活躍し一躍有名となった疾風村正という少年だ。
彼はかつて美緒が所属していた連合軍第501統合戦闘航空団のウィッチ…いや男性だからウィザードか。
今は新たに扶桑で設立された第724本土防衛隊NACの隊長を務めているが、非番の時だけ時々ここにやってきて生徒たちに講座をしている。
背は普通の男性と比べて少し低く、顔が小さく幼めで体は華奢だ。どっから見ても少女といってもおかしくはない……だが男だ。
初めて会った時、雰囲気的に俺みたいな男勝りな少女だと思っていた・・・・・だが男だった
女装させたらとても似合ってかわいいだろうが・・・・・・だが男だ。
今日はネウロイの襲撃がなく平和だ。近くでセミの鳴く声がかすかに聞こえる・・・・・・だが…こいつは男だ
話は戻すが。この疾風という少年。出身は扶桑だと言われてはいるがどうも不明な点が多すぎる。最初に魔法力があったなら、なぜ今まで話題にならなかったのだろうか?そして出身を聞かれても扶桑という言葉に僅かながら戸惑っているときがある。
本当に彼は扶桑人なのか疑ってしまう。以前に美緒にも聞いたが、なんかごまかされた。あいつは嘘をつくのが下手すぎるからすぐに何か隠していることは分かった。だが、彼を見る分悪い奴ではないことは分かる。
最初にあったとき剣道の試合をし、互いに剣を交えてわかった。あいつの剣筋には邪気がなく清らかな雰囲気がした。
剣を教えてくれた北郷先生曰く『剣術というものは正直なものだ。心に疚しい所があれば、それが気の濁りとなって表れる』と・・・・
そして俺は彼が生徒たちに教えている言葉を聞いていた
「優しさを失わないでくれ。弱いものを労り、互いに助け合い、どこの国の人やたとえ違う世界の人とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが、何百回裏切られようと」
疾風は黒板に書いた後、これを読み上げた。生徒たちにとってはチンプンカンプンな内容でしかなかったが俺は少し興味を抱いた。すると・・・
「教官。それはいったいどういうことでしょうか?」
と、生徒の一人が質問をすると疾風は
「誰かに優しくすること。口で言うのは簡単だが、実際に行動に起こしてそれを継続して出来る人はなかなかいない」
疾風は少しだけ表情を緩めると、生徒たちに投げかけた
「例えば、何か困っている人を見ることがあったら、どうする?」
「もちろん助けます!」
「うん。そうだ。誰かを助けることは大切にすることだ。その心は絶対に忘れてはいけない。しかし・・・・」
そう言い疾風は生徒たちを見回した後、少し声のトーンを下げた。
「でも残念ながら、人が皆が心優しいとは限らない。いつの時代でも、人を大切にしない人がいる。自分勝手な人がいます。思いやりのない人がいます。互いに解り合おうともせず、すれ違い、罵り合い、揚句関係を修復出来なくなることだってある」
疾風の言葉に皆は顔を見合わせる。
「人の心はそれぞれ違うし、考えることだって違う。だけど……だからこそ、互いに強いところも弱いところも認め合い、互いに良いところも悪いところも認め合うことが大事だ。仲間になるのに年齢とか種族とか、もっと言えば身分なんかも関係ない。時には喧嘩したっていいんだ。友達同士で喧嘩して分かることだってあるのだから。互いを思い、互いに助け合い、互いを理解すること。皆がお互いを思い合って助け合って生きている。それを忘れないでくれ」
と、言うと生徒が
「それはネウロイに対してもですか?」
と訊くと皆はその生徒を見てそして疾風を見る。疾風は頷き
「そうだ。みんなの知っている今までのネウロイは町を襲撃するものばかりだと思っているようだが、中には人間と仲良くなりたい。友達になりたいという個体も存在する。ネウロイも人間も同じだ良いやつもいれば悪い奴もいる。ただ自分とは異なる存在だからって、すぐに敵と決めつけないでほしい」
疾風はそういうと生徒たちは疾風の言葉に皆は黙る。生徒たちはちゃんと全て理解出来てはいないかもしれない。最初の内はそれでもいいかもしれないが、いつかこれらの言葉の意味を理解してくれるウィッチになって欲しいとおそらくあいつは思っているだろう。
かくいう俺も
「優しさを失わないでくれ、か‥‥俺もまだまだ学ぶことが多いな」
俺は正直に奴の言うことに感心した。そしてこれ以上邪魔はしちゃいけないかと思い俺は静かに教室を出るのであった。
大本営海軍部技術省
ここは各社のウィッチたちのストライカーユニットや武器が保管されている部署であり新兵器を開発する部署でもある。
その技術省の事務室で、その主任であり、海軍技術中将であり、そして新部隊NACことガーディアンウィッチーズの上官である茅場晶彦は肩をたたいていた
「やれやれ・・・・ここにきて鉛筆と図面や書類をやるとはな・・・・・パソコンが主流だったあの世界が懐かしい・・・・それにしても量子物理学者であった私がストライカーユニットなどの開発にかかわるなんて当時としては夢にも思わなかったろうな・・・・・まあ、おかげで魔法力を利用した技術を学ぶことができたそれは宮藤博士に感謝しないとな」
と、ボヤく。そしてしばらく。書類作業をしていると、部下らしき人物が入ってきた
「河城にとり海軍技術中尉入ります!」
「入りたまえ」
茅場がそう言うとドアから小柄でウェーブのかかった外ハネが特徴的な青髪の少女が入ってきた。
彼女の名は河城にとり。ウィッチでありながら技術開発部に所属している少女であり年齢は15歳。趣味は発明であり、欧州のウルスラ・ハルトマン同様の兵器開発に携わり、一部の技術者には『西のウルスラに東のにとり』と言われるほどである
「あの~茅場中将。今回私に何か御用ですか?」
にとりは茅場になぜ自分が呼ばれたのか聞くと茅場は
「うん。実は君に勤務してもらいたいところがある」
「え!?つ、つまり転属命令ですか!?私この職場が・・・・・」
「黙って聞きたまえ。君はNAC・・・・・ガーディアンウィッチーズのことは知っているな?」
「はい・・・・・・え?つまり」
「君は察しがいいな。そうだ君には724本土防空隊NACにある兵器開発部の主任に着任してほしいのだ。今回現れたネウロイの巣やそしてネウロイは以前扶桑海事変で現れたのよりも強力な個体だ。それこそ欧州にいたネウロイより強い可能性があるとNACの隊長である疾風少佐の進言があった。それに体躯するための新兵器が必要不可欠となってな。そこでその兵器開発部の主任として君が適任と私は考えたのだが、どうだね、にとり君。引き受けてくれないか?」
茅場がそう訊くとにとりは目を輝かせた
「やります!ぜひやらせてください!!」
「君ならそう言うと思ったよ。ではにとり君。がんばりたまえ。君の発明や兵器はきっとこの戦いで発揮されるであろう」
「はい!がんばります!ところで中将。例の依頼していたユニットが完成しました」
「ほう?もっとかかると思っていたがずいぶんと速いな?」
「はい。カールスラント技術省のウルスラ中尉の参考書があったので、予定より早く完成しました。あとテスト飛行も完了しました」
「それで成果は?」
「テストパイロットを務めてくれた高山少佐からは『今までのユニットより足が速く、そして機動性も零式戦闘脚並み』と報告を受けてます。無論欧州での例の事件の反省も考え速度にリミッターと警報アラーム機能を付けています」
「さすがだ。それでいくつ出来ているのかね?」
「改良型合わせて8機です」
「そうか‥‥ご苦労だったにとり君」
「はい!では失礼します!」
そう言いにとりは元気にそう言い部屋を出た。そして茅場はにとりの渡したストライカーユニットの資料を見ていた。
そのストライカーユニットの名は
『噴流式魔導エンジン搭載ストライカー。略符号J7アロー1号。《特殊戦闘脚橘花》』
と書かれていた
感想や指摘など大歓迎です。次回も頑張って書こうと思います。