ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
EⅮ「Starear」
今日は短めです
疾風とエイラが恋人となって数日後、疾風たちは朝、基地の周りを散歩した。
湖の水は太陽に反射されていてキラキラ輝いている
「とってもきれいだな疾風」
「ああそうだな。」
恋人ととなっても、やっぱり二人の仕草は少しぎこちない。だが前に比べれば素直になっている現に今二人は手をつなぎながら基地に近くにある湖のほとりを歩いていた。
その二人の様子を窓から遠目で見ている者がいた
「・・・・・」
「どうした。アウロラ大尉。妹に彼氏ができて嬉しくないのか?」
ラルとエイラの姉であるアウロラが、二人の様子を見ていた。
「いや、嬉しいさ。けど、イッルも独り立ちしたと思うと少し寂しくてな・・・いつも姉ちゃん、姉ちゃんと言ってはいつも私のそばを離れなかったイッルがな・・・」
「なるほどな。しかし、大尉それと同時に家族も増えるんじゃないか?」
「ふふっ・・・確かにな。あのボウズはいずれ婿に迎えるつもりだよ。私もあのボウズに会ってあいつならイッルを幸せにできると確信したしな。」
そう言い手に持っていたウォッカを飲むアウロラ、その表情はどことな嬉しそうな顔だった。
「結婚式を行う際は私も招待してくれ」
「もちろんだよ少佐・・・・・」
そんな話をしていたのだった。
一方疾風たちは森林浴を楽しみながら歩いている。
「なあ、疾風肩車してくれないか?」
「え?なんで」
「別に理由はないんだけどさ、ちょっと肩車してほしいかな~って」
「お前な~いい年こいて肩車ってなんだよ」
「む~年は関係ないじゃないか!いいから肩車!」
「しょうがないな~(むくれるエイラもかわいいな~)ほらっ!」
「え?きゃっ!」
そう言い俺はエイラを肩車する。
「どうだ?エイラ」
「うん。よく見える!」
エイラはご機嫌に言う。
しばらく森を歩き続ける二人、誰か見ればまるで新婚夫婦のようだ。
「なあ、疾風」
「ん?なんだエイラ?」
「本当にこの世界にとどまってよかったのか?向こうの世界に未練とか・・・」
と、エイラが心配そうにいる。確かにエイラに言われたとうり疾風はもともとこの世界の住人ではない。もしかしたら元の世界にやり残したことがあるんじゃないかっとエイラは思ったのだ。
「う~ん。そうだな・・・・・あそこの世界の日本国大尉である疾風村正の役目は終わったと思ってるよ。だから未練とかそう言うのはないな。それに今はエイラという大切な存在がいるからな」
疾風はエイラを肩車しながら言う。エイラには顔が見えないがおそらく笑っているのだろう。
「////」
エイラは顔を赤くしうつむいてしまう。
「エイラどうかしたのか?」
疾風はそのことに気付かずエイラに訊く。
「ふぁ!な、何でもない!何でもないんだな!」
「?・・・・まあ、いいけど・・・そろそろ戻ろうか」
「そ、そうだな。そろそろ朝食だしな・・・・!?っ疾風!!」
エイラが叫び疾風は顔を上に向けエイラの顔を見る。
そこには青ざめた顔をしたエイラがいた
「なんだよエイラ。幽霊でも見たような顔をして」
「ああああ、あそこ!あそこ見て」
エイラはある方向を指さす。
「あそこ・・・・なっ!」
疾風はエイラの指さす方向へ目を向けるとそこには 黒い人影、だけど熊や動物ではない。
疾風とエイラは遠くに見える人影をよーく見るとそこには白銀のサイドテールで黒いワンピースを着た5歳くらいの少女が歩いていた。
このペテルブルグには近くに街はあるが最前線の為住民は全員避難していて基地の関係者以外誰もいないはずなのだ。
「女の子!?なんでこんなところに」
「とにかく追うぞエイラ」
「おう!」
疾風はエイラを下ろしその少女の後を追うと、丁度少女が倒れた直後に疾風が少女の下に辿り着く。様子を見ると気絶しているらしい。
「なんでこんなところに・・・・」
「疾風、考えるのは後だ。このままだとこの子が風邪をひくかもしれない。ひとまず基地に連れてって保護しよう」
「そうだな」
一先ずこのままにはしておけない。疾風は少女を抱き上げると、基地に向かった。
「あ、疾風さんエイラさん・・・・てどうしたんですかその子?」
基地の入り口に雁渕と菅野とニパがいた。
「もしかして街から攫ってきたのか?」
管野は冗談交じりに言う
「でも菅野、住民はみんな避難しているから誰もいないはずだよ」
「そうですよ管野さん。・・・・てその子は誰なんですか?もしかして菅野さんお言う通りさらっ・・・・・」
「んなわけあるか!エイラと散歩していたら森の中でこの子が倒れていたんだよ。」
「え、それは大変じゃないですか!すぐに保護しないと・・・でも勝手に基地にいれるのも・・・・」
雁渕が慌てていると・・・・
「話は聞いたわ」
「あ、先生!」
いつの間にいたのかロスマン曹長がいた。
「疾風さん。すぐにこの子を医務室に、それと菅野さんたちは暖かい毛布を。すべての責任は私がとりますので急いでください」
「は、はい!」
ロスマンの指示で疾風たちはすぐに行動をした。
因みにこの話はすぐラル隊長の耳に入りその少女については
『保護者が見つかるまで発見者である二人が面倒見るように』ということだった。
しばらくしてその子の治療をしていた下原とジョゼットが出てきた
「どうです下原さんジョゼットさん。あの子の様子は・・・」
疾風は医務室で様子を見ていた下原たちに訊いた
「まだ目が覚めません。けど・・・なんで森の中にあんな少女が・・・・」
「それは俺にもわからない・・・・」
「もしかして、ネウロイが人に化けてるんじゃないか?」
そばにいた管野がそう言う
「それはたぶんない。もしそうだったら、サーニャがネウロイのコアを探知しているはずだ・・・」
「なるほどそっか・・・」
「そうだな・・・・なあ、下原。あの子の様子見てもいいカ?」
「ええ、かまいませんよエイラさん」
そう言い俺とエイラはその子が眠る医務室に入った。
「この子・・・目を覚ますかな疾風・・・」
エイラが心配そうに寝ている子を見ている
「覚ますよ。絶対にな・・・・」
俺がそう言うとエイラはその子のそばにしゃがみ、その髪を優しくなでた。
(もしも・・・この子の親がいなくて一人ぼっちだったら・・・・ずっとこの時代を一人で・・・)
そう思うとエイラはその子を優しく抱きしめた。
「明日は目が覚めるといいな・・・・」
この時エイラや疾風は気付いていなかった。
エイラが少女の耳元で囁いたのと同時にその少女が微笑んだということを・・・・
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