ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
白玉楼・・・・そこは扶桑の東京にある大きな屋敷であり、その屋敷は戦国時代から続く名家、西行寺家の住む屋敷であり、扶桑の皇室を守る近衛師団の優秀なウィッチを数々と送り出してきた名門でもあった
そしてその屋敷の中、今でお茶を飲むピンク髪のミディアムヘアーに水色と白を基調としたフリフリっぽいロリィタ風の着物を着た女性がいた。
彼女の名は西行寺幽々子。この白玉楼の現当主である
「ふぅ・・・・あと一時間後くらいですか」
そう言うと、「失礼します」と女の子の声がするのと同時に襖があけられ、そこから銀色・白色の髪をボブカットにし、黒いリボンを付け二本の刀を持った少女が入ってきた。
彼女の名は魂魄妖夢。扶桑近衛師団の予備役であり、今は白玉楼の庭師兼西行寺幽々子の警護役を務めている
そして彼女は幽々子の前のお茶を置く
「幽々子様・・・・改まってお聞きしたいことが」
「まあ、何かしら。改まって」
「実は今日はお客人が来るという話でして」
「ええ。そうね。おもてなしの料理はできているのかしら?」
そう言いながら幽々子は妖夢のそばにあるお茶菓子を見る。すると妖夢は
「そのことで訊きたいことがあるのです……幽々子様?私に何か隠していることがありますよね?それも二つも・・・・・正直におっしゃってくだされば怒ったりしませんから」
「・・・・あ」
お茶菓子に手を伸ばそうとした幽々子に妖夢はお茶菓子の入った容器を引き彼女から遠ざけると彼女は物欲しそうな顔をする
「幽々子様?」
「え?」
「まず一つは・・・・・・・食べちゃったんですよね?私の作ったお客様の料理」
「ええっと・・・その」
顔を( ̄△ ̄)な状態にする妖夢に幽々子は苦笑いをすると
「はぁ・・・食べたいのであれば言ってくださればいいじゃないですか」
「シュン・・・・・」
「はぁ・・・お客様をおもてなす料理をまさか全部食べてしまわれるなんて・・・・」
御客をもてなすために作った料理を幽々子が全部食べてしまったことに呆れたように言う妖夢に幽々子は
「全部?妖夢~いくら私が大食だからってさすがに全部は・・・・・」
「でも、つまみ食いはしたんですよね?」
「う~~だし巻き卵とテンプラだけ・・・・」
「食べているんじゃないですか・・・・・はぁ・・・・まあ料理についてはそう言うことにしておきますが問題なのが二つ目です。幽々子様…そのお客人とは最近噂になっている扶桑防衛隊の人ですよね?そして目的は近衛師団所属の人を派遣するという話ですよね?しかも名簿には私の名前があったとか?」
「あら?なんのことでしょう?」
「とぼけないでください綿月師団長から聞きましたよ。私に何も相談もなく勝手に決められては困ります」
「あらあら、おしゃべりですわね彼女も」
「やっぱりですか・・・・」
「あら?もしかして・・・・」
「はい。鎌をかけました。あの人が喋るわけないじゃないですか」
と、目を細め、幽々子にそう言う妖夢に幽々子は涼しげな顔でセンスを仰ぐ
「それで幽々子様。その件に関してですが私はお断りしたいと思います。私には幽々子様の護衛及び剣の稽古。なによりこの屋敷での仕事がありますゆえ」
「ここの仕事・・・・ね」
そう言う妖夢に幽々子は扇子で口を隠し目を細め
「それはただの言い訳に過ぎないわよ。妖夢」
「・・・・・・」
「はっきり言ってここにいて修行をしても近衛師団に戻ってもあなたは強くなれないわよ。それはあなたが一番よく知っているはずでしょ?」
「・・・・・・」
「ここにいてもあなたが憧れたあなたの祖父を超えることなんて一生ないわ」
冷たい言葉が彼女に降りかかる。妖夢はもともと近衛師団に所属するウィッチであった。だが剣の腕と飛行技術はそこそこよかったものの、ウィッチとしての実力が未熟であり、皇族を守るエリート部隊の近衛ウィッチには向かないとして本来は退役されるところだったところを幽々子に拾われ。その後予備役扱いとしてこの白玉楼の庭師及び幽々子の護衛として働いていた。
そしてその中で彼女は剣の修業をつづけた、剣の修業をすればいつかはウィッチとしての実力が付くと確信していた。何より彼女はかつてここ白玉楼の庭師であり剣術師範であった祖父のあこがれもあってか剣の修業をしていたのだ。
幽々子にそう言われた妖夢はその言葉がショックだったのか涙を浮かべ
「幽々子様・・・・私・・・あれから修業したんですよ?近衛師団を追い出されてたあの日から・・・・ずっと・・・・なのに・・・・なのにまだ及ばないんですか?」
そう言う彼女に幽々子は表情を変えずにこう言った
「無理ね・・・・近衛師団ならいざ知らず。あなたは他のウィッチにはまるで及ばない・・・・いいえ、それどころか小型のネウロイにも勝てることもできないわ。今のあなたではここにいても弱いままよ。妖夢この話はあなたにとっても大切なことなのよ」
そう言い、彼女は涙ぐむ妖夢を見て
「あなたに足りないのは経験・・・・戦って学ぶことよ。近衛師団にいてもここにいてもそれを学ぶことはできないわ。妖夢。ここや私のことは他の者に任せてあなたは『ガーディアンウィッチーズ』に行くのよ」
「・・・・」
「今のあなたにはあそこがぴったりと思うわ。日ごろの成果を試す
そう言い彼女は扇子をパッっと開き
「道は険しいけど楽しいと思うわよ。己を試す場、戦い勝利する実感、そして互いに高め合い友情を深める仲間たち・・・・その三つが与えられるなんてなかなかないことなのよ?」
「で、ですが。私は幽々子様の・・・・」
「妖夢は庭師であり剣術指南役でしょ?でもここにいてもいなくても大して変わらないわ。それにこう言うのもなんだけど、別に私は妖夢がいなくても何も不自由はしていないし守ってもらうほど私の腕は衰えていなくてよ」
「そこまで言わなくてもいいじゃないですか・・・自覚はありましたけど酷いですよぉ~~」
幽々子にはっきりとものを言われ涙ぐんでしまう妖夢に彼女はふふと笑い
「ふふふ・・・本当にいじり甲斐のある子ね。これだから近くに置いているのよ。たまには暇をつぶしが必要なのよ」
「そんなことで揶揄わないでくださいよ・・・・」
「ふふふ…ごめんなさいね。でも私が言いたいことはそれだけよ・・・・・それでどうするの?残るのなら疾風少佐に断っていつものように平和に過ごすだけ。行くのであれば次会った時のあなたの成長を楽しむだけ・・・それだけよ」
「幽々子様・・・・・」
「さあ、妖夢はどうしたいの?」
優しく促す幽々子に妖夢は考える。そして
「ここにいても何にも進歩はしない・・・・・それに私の今までの剣術は白玉楼を…幽々子様を・・・・扶桑を守るための物。ならば・・・・」
「・・・・」
そう言うと妖夢は顔を上げ決心した顔をし
「ならば、ガーディアンウィッチーズに入隊し、今よりも強くなって幽々子様を本気で守れるようになります!」
と、そう言うと幽々子はパシンっと扇子を閉じ笑顔になる
「それは楽しみね。それじゃあ話は決まりね。後数分で隊長さんが来ると思うから支度をしなさい」
「あ、お待ちください幽々子様」
「ん?何妖夢?」
と、そう言い立ち上がろうとする幽々子に彼女は呼び止めた。そして彼女は
「最後に一つだけお願いがあるのです」
「あら、何かしら?」
幽々子がそう言うと妖夢はあるお願いをするのであった。
果たして妖夢の言ったお願いとは・・・・・