ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第217話「麗央の試練!命懸けの猛特訓!後編」

「いたた・・・・・」

 

小さな小川についた麗央は手で水をすくうだが、川の水は冷たく擦り傷だらけの麗央の体に激しく染みた

 

「私・・・・あのネウロイに勝てるのかな・・・・」

 

救った水で顔を洗う麗央はそう呟く

 

「この前のネウロイとは違って技だけじゃなくて私自身も確実に強くならないといけないし・・・・・私に何が足りないんだろう」

 

岩に座り川の流れる音を聞きながら考える麗央。前の土星型とは違い相手は弱点を撃たなければ撃破できない強力な相手、いかに燕返しを覚えたとしても、弱点を撃たなければ意味がない

そのためには自信が確実に強くなるしかない。

だがどうやったら強くなれる?自分に何が足りない?

麗央は考えていると・・・・・・

 

「お前が何もできないのは・・・お前自身が何もわかっていないからだ小娘」

 

「っ!?」

 

突如背後から声がし、麗央は驚き立ち上がり構えると

 

「そう怖がるな・・・・弱く見えるぞ?」

 

そこに立っていたのは扶桑人とは違う金髪碧眼で疾風と似た黒づくめの女性が立っていた

 

「あなたは‥…確か。クリス…キーラ」

 

麗央が彼女の名を言う。その女性はかつてクリスキーラと名乗っていた工作員だった。そして現在は疾風の協力者である

 

「どうした?仲間の仇を取るため、あのネウロイを倒す特訓でもしていたんじゃないのか?」

 

少し冷やかすような口ぶりに麗央は目を細め

 

「あ…あなたには関係ありません!!」

 

「そうか?・・・・じゃあ、次もお前を助ける羽目になるな・・・・仕方がない」

 

「なんだと!?」

 

キーラの言葉に麗央は彼女を睨み声を上げるとキーラは

 

「当たり前だ・・・・・それと話が変わるが、軍用車に真正面からぶつかりに行くなど・・・・馬鹿としか言いようがないな」

 

「あれは奴と正面から向かって挑む覚悟を得るための特訓です!逃げたら意味がないんです!!」

 

呆れるキーラの発言に麗央はそう言うとキーラは

 

「やれやれ・・・・馬鹿らしいな!」

 

「なっ!?」

 

「わざわざ死に行くような覚悟は捨てた方がいい・・・・・そんなもの戦場じゃ邪魔なだけだ・・・・教えてやるルーキー(新米)。殺し合いに根性や覚悟なんて概念は無価値だ・・・・そんなものにすがる奴らの結末は・・・・・″死“があるだけだ・・・・ま、死ぬのはお前の勝手だがな」

 

「何だと!」

 

キーラの発言に麗央は手を動かそうとした瞬間にキーラは黒い杖のようなものを麗央の首に突きつける

 

「ほら見ろ・・・・死ぬなんてほんの一瞬だ」

 

無表情ながらも鷲のように鋭い目で麗央を見る

 

「(は…速い。昨日もそうだけど、動きに無駄がない・・・・・)」

 

あまりの速さに驚く中、キーラは続けた

 

「言っておくがお前は勘違いしている。死を恐れずに進んだら・・・本当に死ぬことになるぞ?・・・・貴様はそれでいいのか?」

 

「え?」

 

「殺し合いというのは常に弱肉強食だ。・・・・そこにあるのは強者が生き残り弱者は死ぬ。そして生き残ったやつが勝者という結果だけだ。・・・・・つまり殺し合いにおいて勝敗は文字通り″生″か″死″だ。要は生き残れば勝ちということだ。普通ではな・・・・・だが」

 

キーラは麗央に突きつけた杖を下ろすと

 

「守るものは・・・・これ以上にさらに難しい。″必ず勝ち、必ず無事に戻る″ことが求められる。お前のところの隊長はここに来るまで傷だらけにながらも大切な者たちを守りながら戦い続け、そして今もなお戦い続けている」

 

「・・・・・・」

 

「お前たちみたいな奴にとって大事なことは、生きて居場所に帰ることのはずだ。なら、無理した戦い方なんてできるはずがない・・・・違うか?」

 

「・・・・・・・」

 

「殺し合いに勝ちたければ″生″にしがみつけ。守りたい者の前に帰りたければ″生″にしがみつけ」

 

「どうしてあなたはそれを私に言うんですか?」

 

麗央はキーラに訊くと

 

「それは自分で考えるんだね。そこまでお人良しじゃないんだ・・・・ただお前に必要なのは覚悟や根性なんかの感情論なんかじゃない。もっと現実的で堅実的な・・・・・そんな戦い方だ」

 

「堅実的?」

 

「そうだ。君は別の相手に合わせた戦い方をする必要なんてない。君の戦いやすい戦い方があるだろウィッチ?そもそもお前たちウィッチはどうやって戦う?」

 

「・・・・・・あ!」

 

キーラの言葉に麗央はないか思い出した。自分が何なのか?

 

「どうやら見つけたみたいだな・・・・つまりそう言うことだ」

 

そう言いキーラは背を向け去ろうとすると

 

「あ!待ってください!どこに行くんですか!?」

 

麗央が呼び止めるとキーラは立ち止まり

 

「生憎、私には君のように帰る故郷もなければ居場所もない・・・・あるのは」

 

そう言いキーラは振り返ると

 

「残された宿命だけさ・・・・・」

 

そう寂しそうに笑うと、森の奥へと消えていったのだった

 

「宿命・・・・・本当にあの人はいったい?・・・・でもわかった。私の戦い方が・・・・わかった!!」

 

そう言うと麗央は大急ぎで疾風の元に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

ジープに寄りかかって待っていた疾風は麗央が駆け寄ってくるのを見た。

そして麗央は立ち止まり

 

「隊長!あの!もう一度お願いします!」

 

「それは構わないけど・・・どうした?何か気づいたのか?」

 

疾風がそう訊くと麗央は頷き

 

「はい!でもその前に確認したいことがあります!これって真正面から向かえればいいんですよね?」

 

そう訊くと疾風は

 

「ああ・・・・こちらに向かってさえすれば何も問題はない。これに向かってさえ来ればあのネウロイを倒すのは簡単なはずだ。手段は問わないなんでもいい」

 

「なら・・・・お願いしますっ!!」

 

そう言い麗央は構える

 

「じゃあ・・・・いくぞ」

 

そう言い疾風はジープに乗りそして麗央に向かっていく。そして麗央は

 

「(あの時・・・・相手の弱点への攻撃…真正面から戦うことにこだわっていた…だから私はあの時キーラさんの攻撃を真似してしまっていた・・・・でも!こんな突進してくる相手に真正面からぶつかり合うなんて・・・・よく考えたら馬鹿げてた)」

 

車は迫る中、麗央は構え、そして勢いよく前に踏み込んだ。

そしてそのまま、ジープの上を難なく飛び越える。そう彼女はウィッチ。しかも航空ウィッチであり空で戦うのが主流。だから麗央は飛んだ。そして麗央はジープを飛び越え着地する

 

「(私たちは空中戦が基本で得意なんだ。だからぎりぎりにひきつけて飛び敵を上から攻撃すればいい。それで済む話だったんだ)」

 

麗央は敵の攻略法が分かる。するとジープが止まり疾風が車を降りて麗央を見る

 

「・・・・・」

 

無表情に彼女見る疾風に麗央は

 

「(あれ?この方法、まずかったのかな?)」

 

自分のこの方法に何かまずいところがあったのか麗央が疑問に思うと

 

「それでいい・・・・・」

 

「え?」

 

「ああ言う戦法を使う相手にはまず真正面から挑まないことだ。相手の弱点が分かってるとはいえ真正面から挑むのは無謀だ。わざわざ敵の土俵で戦わなくていい。だから飛び越えればいい。あんな自分をさしに来る木の杭に挑む必要はない。恐ろしい相手が向かってくるなら挑まずに飛び越えればいいそして自分に合った戦法を使えばいいだけの話だ・・・・・かつての俺もそうだった」

 

疾風はかつて爆撃機の攻撃訓練の中真正面から向かう特訓をするために麗央と同じ木の杭の特訓をしたことがあった。だが彼の師である逸見かおりに指摘され麗央と同じくジープ特訓をやらされ、麗央と同じ答えを見つけさらに敵の上空から急降下して攻撃する戦法を見出した

 

「麗央・・・・見事な跳躍…いや飛翔だったぞ」

 

「・・・・はいっ!!」

 

疾風の言葉に麗央は元気いっぱいに応えるのだった。そして特訓を終えた麗央は疾風とともにジープに乗り宮藤診療所に戻るのだったが・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「麗央さんの怪我が増えてますけど何をしているんですか疾風さん!!」

 

「す・・・すまない」

 

芳佳にめちゃくちゃ怒られたのは言うまでもない・・・・・


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