ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
宮部は体育座りをしながら俯いていた
脳裏には以前の戦いでの憎悪の声、
「(こんな私が戦闘隊長・・・・いえ、ウィッチとして戦う資格なんて・・・・・・)」
今までの自分の戦いにその資格がないと思っていた
「いっそ・・・・このまま・・・・・」
そう小さくつぶやいたとき、暗い空間の中、甲高く響く音が響いた
その音は次第に近づいてくる
その音には聞き覚えがあった。そしてその音は彼女の前でピタッと止まる
宮部は音の止まった方へ顔を上げた。
そこには誰かが立っていた。だが暗闇で顔がはっきりと見えない
すると月明かりが周りを照らし、その人物を優しく照らした
「ここにいたんですか宮部さん」
「少佐・・・・」
立っていたのは、欧州で突如現れ活躍し数週間前に扶桑に来国し、今現在この防衛チーム「NAC」通称「ガーディアンウィッチーズ」の隊長をしている疾風だった
「隣いいか?」
疾風の言葉に宮部はうなずき。疾風は座る
「どうした?みんな心配していたぞ?副隊長がいないって・・・特に宮藤がこの頃、お前の元気がないって言っていたぞ?」
「宮藤さんが・・・・・」
「ああ・・・・それに確かに君の表情はどこか暗いと思っていてな…悩みがあるなら聞きますよ?」
小さく微笑む彼に宮部はしばらく下を向く。そして弱弱しく顔を上げ
「少佐・・・・一緒にどこか遠くへ逃げませんか?」
「逃げるって…どこに?」
「どこへでも・・・ネウロイも…戦争も・・・憎悪と憎しみのない世界から‥・・・この世界から・・・」
「っ!?」
その言葉に疾風は少し驚いた表情を見せる
「それは…心中のお誘いかな?」
「ふふっ・・・それもいいかも・・・・いいえ、嘘です。そんな気があるならここまで生きていませんし・・・・それに少佐にはもう恋人がいるんですよね・・・・」
少し寂しそうに笑う宮部。
「少佐・・・・なんで私たちは戦争なんてしているのでしょう…何でネウロイは私たちの
「大尉・・・・・」
「いえ・・・・私にそんな資格ないですよね・・・・・だって私はいつも逃げてましたから・・・・・」
「逃げた?」
「はい…乱戦を嫌い、敵に一撃を加えた後すぐに部下と一緒に戦線を離脱してました・・・・私は怖いんです・・・死ぬのが…仲間が傷つくのが・・・・だからいつも私だけの部隊だけ、もしくは私だけ無傷で帰ってきました。みんなが被弾し・・・死んでいく中で私は…逃げてたんです・・・だからもう逃げたくない…この部隊では仲間を死なせないため逃げない・・・て」
「でも。私はいつも死んだ仲間の声が聞こえるんです‥‥「なんで自分だけ生きているんだ」「なんで逃げたんだ」と・・・・・いつもその声が聞こえるんです」
「・・・・・」
「ごめんなさい・・・・軽蔑しますよね?私のような卑怯者が副隊長だなんて・・・・ふさわしくないですよね?」
俯きそう独白する宮部に疾風は
「俺も昔似たようなもんだったよ・・・・」
「え?」
疾風の言葉に宮部は顔を上げる
「俺は501に入る前までは多くの敵と戦っていた。仲間と一緒にな・・・だが・・・その戦いの中で俺は多くの戦友を失った・・・・」
「もっと俺に力があれば…もっとうまく指揮ができれば・・・・あいつらを死なせずに済んだのに…そう思った」
「隊長・・・・」
悲しそうな表情をする疾風。疾風は元の世界で多くの部下を失った。特に最初の戦いでは敵戦闘機を多く撃墜することができたが、多くの仲間を失うこととなった。それ以降彼は仲間を死なせないと心に決めていた。
しかし、それでもあの戦争で多くの仲間を失った
その仲間一人一人、疾風は一度も忘れたことがない
そして宮部と同じ、殺した敵兵や仲間のことを考えると眠れないことがあった
「きっと・・・・俺の死んだ仲間も俺を恨んでいるのかもしれないな・・・・・」
「隊長・・・・」
宮部は疾風のその悲しそうな表情に何も言えなかった。だが同時にわからないことがあった。彼は501で戦う前はどこで戦っていたのだろうか?
彼の経歴は謎が多いのは軍部内では有名な話だ
一説ではこの世界の人間ではないとの噂もあった
「すまない…だけどこれだけは言える。宮部さん。君は卑怯者じゃないよ・・・・」
「ですが・・・・」
「過去は変えることはできない…でも未来を作ることはできる。もう仲間を死なせないというのなら、これからそういう戦いをすればいいんだ」
「ウィッチに不可能はない・・・・・坂本先輩ならそう言いそうですね」
「はは…そうだな。でも俺はこう思うよ」
一呼吸入れて疾風はこう言った
「ウィッチも決して神様ではないということだ。どんなに頑張っても救えない命もあれば届かない想いだってある・・・・何かを守るながら…犠牲を払わずに敵に勝つことは難しい・・・でも俺たちはそれをしなければならない‥‥大切なのは、最後まで諦めないことだよ」
「最後まで・・・・諦めない」
そう小さくつぶやく宮部に疾風は
「それに君が副隊長にふさわしくないだなんて誰も思っていないと思うぞ?」
「え?」
「少なくとも俺はそう思うぞ?」
「ですが・・・・最近みんなよそよそしいんです」
「よそよそしい?」
「はい。何か避けられているような…たぶん、やはり私のような者が副隊長だなんて・・・・」
「避けられ・・・・あ~そういうことか」
「え?隊長?何か知っているのですか?」
「まあ、心当たりがな・・・・まあともかく。宮部大尉!」
「え?あ、はい!」
突然階級で呼ばれ宮部はいつもの軍人の癖で直立不動の姿勢を取る
「今夜のパトロールの当番は?」
「え?‥・・・えっと確か鈴仙少尉のはずですが・・・・」
「実は彼女には諸事情があってな。代わりに俺と宮部大尉。君が行くことになった」
「・・・・・はへ?」
突然の言葉に目を丸くする。
「それに地面でこう悩んでも仕方がない。ここは一度空飛べば気分転換にもなるぞ」
「いや、しかし・・・・」
「ここでふさぎ込んでも何も解決にはならないだろ?どうしても無理なら俺一人でも行くけど。どうする?」
「いえ!隊長だけ生かせるわけにはいきません。ご同行します」
「わかった。40秒でしたくしな」
「え?」
「いやなんでもない(このネタわからないか・・・・まあ無理もないか)。準備でき次第行くぞ」
「あ、はい!」
こうして疾風と宮部は夜間パトロールに出ることになったのだった