ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
1944年 ドーバー海峡近く
真夜中、1機の輸送機が飛んでいた。その機内には二人の女性が座っていた。一人はドイツ軍将校服を着た赤髪の女性と旧日本海軍士官用第二種軍装着を着た眼帯をしたポニーテールの女性であった。
「最近ネウロイの様子がおかしいな。襲撃の数が前に比べて減ってきている」
「確かにそうね・・・・何かの前触れかしら・・・・そういえば美緒。今日は宮藤さんとリーネさん頑張っていたわね。」
「ああ、あの二人はまだ実戦に慣れていないのにネウロイを1機撃破したんだ。あの二人がどこまで成長するかが楽しみだな」
「ふふ・・・もう、美緒ったら・・・・・もうすぐ基地に着くわね・・・・・あら?」
「ん?どうしたミーナ?」
「いいえ、あそこにエイラさんとサーニャさんがいるわ・・・迎えに来てくれたみたいね」
と、窓の外を見てみると月明かりの下、二人のウィッチが飛んでいた。一人はスオムス空軍のエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉。もう一人はオラーシャ帝国陸軍のアレクサンドラ・ウラジミ―ロヴナ・リトヴャクことサーニャ・Ⅴ・リトヴャク中尉であった。
「サーニャ、エイラ、出迎えご苦労・・・・ん?どうしたサーニャ?」
坂本少佐はサーニャの異変に気付き、サーニャに訊いた。
「3時方向下にネウロイの反応がこちらに向かって浮上してきます」
「何っ!?」
坂本とミーナがその方向を見ると、厚い雲の下から黒く、そして血のように赤いラインをした物体5機が金切り声とともに現れた。
「ネウロイ!?」
「私たちがネウロイを引き離します」
「隊長たちはその間に退避してくれ」
と二人はネウロイを輸送機から遠ざけるため迎撃に向かう。サーニャは目標のネウロイにフリーガーハマーを撃つ、相方のエイラもMG42機関銃を撃ちまくった。ネウロイ5機はのうち1機はサーニャの放ったフリーガーハマーのロケット弾が命中しコアごと砕け散ったが残り4機は二人に襲い掛かる。
も~しつこいな~」
「エイラ、サーニャ。もうすぐ援軍が来る。それまで耐えてくれ」
「!? 美緒あそこ!!」
「なんだミーナ?・・・・・なんだあれは!?」
二人が上の空を見た。それは・・・
「あれは、石の扉か?」
そう、彼女たちが目にしたのは石組みでできた扉だった。
「扉が開いたわ!」
上空に浮かぶ石の扉は突如開き、そこからは見たこともない赤い丸の国籍マークをした暗緑色の戦闘機が激しい轟音と共に飛び出てきたのだった。
「あれは戦闘機!? なんであんなところから戦闘機が!?」
「あの国籍マークは・・・・どこの国のだ?・・・・・」
疾風視点
「くっ・・・なんだ?・・・・何が起きやがった!?」
確か俺はベルリン近くで空戦をしていたはずだ。そしてその最中に翼の機関砲が暴発し、高度も下がり始め、仲間と最期の別れをして、死を覚悟して墜落したと思った。だが気が付いたら別の場所に居て、周りを見ていると真っ暗だったが月が出ているので夜だとすぐに分かった。そして今自分が飛んでいるところも・・・・
「おいおいおい・・・・ここってドーバー海峡じゃないか!なんでこんな場所にいるんだ!?」
ばかな!?ありえない!!俺が基地からベルリン近くまで1200キロ以上飛んでいた。しかも機銃が暴発した時、残りの燃料を見たが、どう考えてもドーバー海峡までたどり着けない。しかも空戦していた時はまだ朝の9時あたりだ、だが今はどう見ても夜。正直言ってそんな長時間飛べるはずがない。
「どうなってるんだよ・・・・・ん?」
ふっと、外から何かの気配がして、そこを見たら信じられないものが目に移った。
「・・・・・人が空を飛んでいる・・・・・」
俺の目に移ったのは、足に何かの機械を装着し機関銃を持ち、空を飛ぶ少女の姿があった。しかも少女は何かと戦っている。その何かとは黒い謎の物体であった。
「なんだあれはナチスが条約を無視して作った新兵器か? いや、でもあの形はアメリカのB24に似ているし、残りの奴らもF7Fタイガーキャットにそっくりだ。どうなってるんだよ・・・・・まあよくわかんねえけど人を襲ってるんならたたじゃ置かないぞ!!」
と俺は愛機である紫電31型改、通称紫電改改1型のスロットルを全開にした。
一方エイラたちは、いきなり現れた戦闘機に驚きはしたがすぐに意識を変えネウロイとの交戦に戻った。1機、また1機と次々とネウロイを落としていき残りのネウロイッチもビームを放ち、応戦してくる。
エイラ視点
あの戦闘機、現れた時はびっくりしたけど、すぐにネウロイとの戦いに集中してサーニャたちを守らないと思い戦いに戻った。ネウロイがビームを放ってくるが私には当たらない。なぜなら私には未来予知があるんだ・・・・ほんの少し先だけど・・・・・ネウロイのビームを次々と避け、最後のネウロイを撃墜した。
「ふ~終わったか・・・・」
と、私は固有魔法を解除した・・・・・・・・が解除した直後、急に悪寒がした。するとサーニャが無線で
「エイラ!!後ろに新たなネウロイが!!」
無線でサーニャに言われ振り返ると、すぐ後ろに2機のネウロイが現れた。
「しまったっ!!」
急なことに対処できずシールドを張ろうにも間に合わない
「サーニャ・・・・・・・ごめん」
私は死を覚悟した。だがネウロイのビームは私にあたることはなかった。なぜならネウロイがビームを放つ前に真上から機銃の弾が降り注ぎネウロイははじけ飛んだ。そして私の真正面をさっきの戦闘機が急降下して飛び去って行く。
「あの戦闘機助けてくれたのか?」
私は助かったと安心したがその後、戦闘機の無線から聞こえた。
「大丈夫か?その少し聞いてもいいか?あの黒い物体は何だ?ナチスの新兵器かなんかか?
コックピットの中を見てみると、どうやら操縦者は扶桑人らしい。だがそのあと聞いた彼の内容に私は耳を疑った。
「えっ? ナチス?あれはネウロイだぞ。なに言ってんだお前?」
ネウロイを知らない?子供でも知っている常識だぞ。ネウロイを知らないという扶桑人パイロットに私は困惑した。
「ネウロイ?・・・・・・ネウロイだかマキロンだか知らないけど。あれは敵と認識していいんだな」
「え? あ、ああ。 でもコアを破壊しないと倒せない。お前が今撃ったところにコアがあったからそこを撃てばいいんだ」
「さっきの所というと・・・・・あそこか!!」
確かに黒い物体に撃ち込んだところに赤い結晶体みたいなのが見えていたな。あそこを破壊すれば倒せるってわけか・・・・
「よぉーし!!343空501戦闘隊「抜刀隊」隊長 疾風村正参る!!」
と、疾風の機体は一気に上昇し、ネウロイに向かって急降下攻撃をした。20ミリ機関砲4問(1問は破損して使用不能)と機首の13ミリ機銃2丁という大火力がネウロイに叩き込まれ、瞬く間に2機のネウロイはコアを破壊され砕け散った。
「戦果!!敵新型機ことネウロイ2機撃墜!!」
(すごい・・・・1射撃で2機も落すなんて)
普通、ウィッチの使う武器以外でネウロイを倒せるのは難しいのに・・・・
「エイラ!!」
「サーニャ!!」
「エイラ、大丈夫怪我はない?」
「うん、大丈夫。あの戦闘機が助けてくれたんだ」
「エイラ、サーニャ。無事か?」
「はい、私もエイラも無事です。」
「そうか・・・よかった」
二人が無事なのを確認した坂本は、続いて正体不明機に無線で呼びかけた。
「そこの所属不明機に告ぐ。お前の名と所属部隊を言え」
「(ん?輸送機?あの国籍マークはドイツ連邦の鉄十字ににているけど・・・・)こちら日本国海軍343空501戦闘隊所属の疾風村正大尉だ。・・・・・それともう燃料が無くなりそうだ。どこか着陸できることはないか?」
「(日本国?聞いたことがない国だな・・・・国籍は扶桑のものと似ているが・・・)あと、○○キロ先に基地がある行けそうか?」
「○○キロか・・・・ギリギリだな・・・・・了解した。基地までの誘導をお願いする。(さ~て、どうなる事やら)」
こうして彼の異世界戦記は物語は始まったのである。
次回「事情聴取と異世界」
感想ドンドン送ってくださいね待てま~す。