ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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ここで少し疾風の過去編を書きたいと思います。


第27話「鉄の竜騎兵(前編)」

「そういえばアイちゃん」

 

「なんですか?ひかりさん」

 

「アイちゃんって、ネウロイなんだよね?」

 

夜、502のみんなで食事をしているときに、ひかりが思い出したようにアイに訊く。

 

「はい。ネウロイに作られたネウロイっていう意味ならそうですけど。」

 

「その姿って、誰かの姿をまねしているの?」

 

そういうと、みんなアイの方を見る。確かにアイはあの黒いネウロイだ。だから今の姿は誰かの姿をコピーしたのかっとひかりは聞き、みんな興味津々にみる

 

「いえ、素ですよ?」

 

「えっ!素?」

 

「はい。簡単に説明しますと、私の場合、ネウロイの体を人間の姿に変換しただけで、別に誰かの体をコピーしてこの姿になったわけではありません」

 

「じゃあ、あの時のネウロイ・・・・ジブリールもか?」

 

「はい。ジブリールさんも人間の体に変換するとあれです」

 

「それはほかのネウロイにもできる芸当なのか?」

 

「いいえ、ラルさん。人間体に変換できるネウロイはごくわずかです。7割以上のネウロイは人間体になることはできません。できたとしたらそれはすごい能力を持ったネウロイでないとできないのです。」

 

「そうか・・・・それなら人間に化けスパイ行動をされることはないな・・・・」

 

「へ~アイ。他にはないのか?」

 

と、みんなはいろいろとアイに質問をした。

 

「じゃあ、洗脳等はできる?」

 

「洗脳は無理です。ただ人の記憶を覗く力を応用し、いろいろすることはできます」

 

「いろいろってどんな?」

 

「人の記憶を、映像にしてほかの人たちに見せることはできます」

 

「見せるって、映画みたいにか?」

 

「はい。こんな感じです」

 

アイが目を瞑る。そしてアイの体が光ると、その光が部屋を包む。直後、部屋の様子が一変した

 

「ウェ!?」

 

「これ…空の上?」

 

「すごい…」

 

「どうやったの?」

 

エイラとサーニャが驚き、ロスマンはアイにどうやったのかと聞く。

 

「壁、床、天井を同時に映像を投影する。前にブリタニアの穏健派ネウロイが巣でやったことの応用しました」

 

そうこれは宮藤と疾風があの人型ネウロイの巣に入った時と同じ状況だった。

 

「試しに、誰かの記憶を流しますか?」

 

と、アイはそういうと・・・・

 

「面白そうだな。誰の記憶にする?」

 

と、ラル少佐は面白そうに言う

 

「はぁーい!僕。疾風君の記憶が見てみたいな~!」

 

と、クルピンスキーが手を挙げてそういう

 

「お、いいなそれ!」

 

「ちょっと待って!何で俺!?」

 

「だって、疾風君って向こうの世界の話しぜんぜんしてくれないし」

 

「たしかにたしかに少し興味がありますね」

 

と、クルピンスキーの発言に菅野やサーシャがそういう。

 

「わかりました・・・・・あの・・・・お父さんい良いですか?」

 

「・・・・・はぁ~。まあ、いいよ。で、どうするんだ?」

 

「ちょっとおでこを貸してください」

 

「ん?こうか?」

 

そういうと愛は俺の額に手を置くそして・・・・あたり一面光るのだった。

すると周りの景色は南国の島のような場所に代わっていた。

 

「ここって・・・・もしかしてxxx島か?」

 

「ここってどこなんでしょう?」

 

「ここは、お父さんが13歳の時の記憶・・・ほらあそこに」

 

アイがそういって指さした場所には・・・

 

「疾風・・・・」

 

身長は今より低く、顔もどこか幼いが、紛れもなく疾風本人だった。そしてその風景をみんなは黙ってみているのだった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    13歳の疾風side

 

あれは俺が右目を負傷し一時陸戦隊の兵員だった時のことだった…

 

太平洋のとある島。まだナチスの力が強かった時のことだった。

 

「みんな聞け!!師団命令を伝える!!。我が軍は300キロある海岸にて待機中の駆逐艦を目指して撤退する!!なお重火器は捨てる!!」

 

全員が撤退準備の中俺は、三〇矢サイダーを飲みながら隣の兵に言う。

 

「まあ、そんなに慌てる必要はないよ。どこに行こうが敵のど真ん中にいることには変わりないんだからな。」

 

「それはいいんだけどさ、少尉。お前右目の方は大丈夫なのか?聞けば貫通したって聞いたけど」

 

「まあ、多少はぼやけるが、なんてことはないよ。回復したらまた空の戦いだ」

 

そう言う会話をしていた。

 

「目標!左前方二万三千!!敵砲兵陣地!!」

 

するとその先で陸軍砲兵隊の連中が本土から持ってきたカノン砲の仰角を上げていた。

 

「おい、おい、陸軍の奴ら何をする気だ?まさか撃つ気じゃ・・・・・」

 

「せっかく日本から持ってきた野戦重カノン砲だ。せめて1発くらい敵陣に撃ち込みたいんだろ?」

 

そう話していると砲兵の奴らはカノン砲の弾と装薬を詰めた。

 

「撃ち方よぉーい!!!」

 

「って!あのバカ!!どうなっても知らないぞ!!」

 

「撃てぇぇ!!」

 

ドオォォォォン!!

 

砲兵将校の号令でカノン砲は敵の砲兵陣地に向かって火を噴いた。

 

「「あ~あ・・・・・・やちゃった・・・・・」」

 

そしてカノン砲の砲弾ははるか先に着弾した。…‥これはまずい・・・・

 

「すぐに避難するぞ!もうじきお返しが千発以上来る!!」

 

「そうだな!」

 

俺たち二人はすぐそばに会った蛸壺(塹壕)に入った。

 

「おい、疾風少尉テッパチを忘れとるぞ」

 

「おっといけね」

 

そう言うと疾風は外に出て急いで鉄帽を取り塹壕に戻り被った。

すると遠くから雷のような爆音が聞こえ、そして「ひゅるる」という音がこちらに近づいてきた。

 

「きた!来たぞ~」

 

俺がそう言った瞬間ものすごい爆音と振動が響いた。敵の砲弾が飛んできたのだ。それも1発や2発じゃない何十発も落ちてきたのだ。俺はこの蛸壺に砲弾が落ちてこないことを祈った。

すると急に静になった。どうやら終わったらしい

 

「どうやら終わったみたいだな」

 

「だな」

 

そう言い俺は蛸壺から顔を出し外の様子を見た。その光景は何もなくただ穴だらけになった無残な跡だった。

 

「あ~あ・・・・すっかりやられちゃって・・・・・」

 

すると何か俺の頭にぶつかった。

 

「いでぇ!!」

 

俺は蛸壺の底へ落ちた

 

「ど、どうしたんですか少尉」

 

「だ、誰だよ!俺の頭の上はしてったのは!」

 

頭をさすりながら俺は歩兵と共に蛸壺から出て、頭の上を走っていった正体を探した。

 

「あっ!少尉あそこ!」

 

歩兵が指をさす方を見ると、そこには側車が木にぶつかっていた。操縦士も乗っている

 

「敵の砲撃の中を側車で走るやつがあるか!」

 

「いや、たぶん走っている最中に弾が降り始めたんじゃないですか?」

 

歩兵が操縦士の顔を覗き込む

 

「うっ・・うう・・・・」

 

「少尉。大丈夫です。こいつ爆風でのびているだけですよ」

 

「あほ!爆風でのびて死ぬ奴だってたくさんいるんだぞ!!」

 

そう言い俺たち二人は操縦車をバイクから降ろした

 

「ほらしゃんとしろ!」

 

「うっ・・・・お母さん・・・」

 

「はぁ?お母さん?」

 

操縦士の言葉に歩兵が首をかしげる。俺は操縦士からテッパチとゴーグルを外す。

 

「お、女!?」

 

「ああ、女だな」

 

金髪でツインテールが特徴の少女だった。

すると少女が目を覚ました

 

「あ…れ…ここは・・・」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「あ、はい・・・・あっ!あ、あの!第28独立・・・第28独立野戦重砲連隊と第4海軍陸戦隊の連隊司令部はどこでしょうか!」

 

「ん?連隊司令部?・・・連隊司令部ならここだけど・・・・」

 

すると少女は花を咲かせるがごとく笑顔になり

 

「ここですか!」

 

「うん。さっきまではここにあったんだけどな・・・見ろ影も形もなくなっちまったよ」

 

彼女が見たのは砲弾で穴だらけになった大地だった。

 

「そ、そんな・・・・」

 

「そんなもこんなも見たとうりだよ」

 

俺がそう言うと少女は慌てて

 

「こ、困ります!!」

 

「困りますって言われてもな~」

 

俺が困ってると、歩兵が

 

「お前さん・・・どこから来たんだ?」

 

「は、はい!わ、私はカラケチル基地から伝令としてやってきました!!」

 

確かそこって・・・・

 

「カラケチルって・・・・百キロ南の総司令部がある基地か」

 

「は、はい!司令部から全軍この島から撤退せよとの命令を受けてやってきました!!」

 

「・・・・連隊はたった今撤退したとこだよ」

 

「そ、そうですか・・・・では他の基地にも伝令に行ってきます!」

 

「へ?お前さん。こことカラケチル以外の基地は100キロ西の方だぞ!?」

 

「それに伝令に行くとしてもこの側車はもう無理だ。穴だらけだし、エンジンも焼けている。」

 

「お前無線機はないのか?」

 

「歩兵さん。そんなのあったら私が伝令なんかにきませんよ」

 

「あ、そうだな・・・」

 

「君。俺たちと一緒に撤退しろ!」

 

「少尉の言うとうりだ。そうしろ」

 

「私は伝令に行きます!あと少し疲れたので少し寝ます」

 

そう言ってその子は寝てしまった。

 

「あれま、寝ちゃったよ。」

 

「よっぽど疲れていたんですね。この子ひと眠りしたらまた伝令に行くんでしょうか?」

 

「真面目な奴だな」

 

「自転車でもあれば貸せるんですけどね」

 

「馬鹿コケ。まともに走れる車が一台だってあるかよ。先の砲撃でみんな吹っ飛んだ」

 

そう言い疾風は側車のエンジンをかけるが側車はうんともすんとも言わない。

 

「あの砲兵将校は1発撃って死んだんだから満足ですけどね」

 

「馬鹿か!巻き添え喰らった奴らはたまらんぞ!!」

 

「たまらないって言っても戦争ですから文句も言えないですよ」

 

「馬鹿者!たまらないものはどこまで行ってもたまらないんだよ!!」

 

「す、すみません・・・・・・・あの子どうします?置いてくんですか?」

 

そう言い二人は少女の方を見る・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして少女の目が覚めた。

 

「目が覚めたか?」

 

少女は声の方へ顔を向けると飯盒でコメを炊く疾風の姿があった。

 

「ごはんを炊いといたぞ。これを食べて元気をつけろ」

 

そう言い疾風は少女に飯盒を渡した。

 

「今ここにいるのは俺たちだけだ。他の奴らは撤退した。」

 

話を聞きながら少女は飯盒のふたを開けた

 

「うわぁ!白ご飯だ!いただきます」

 

そう言い少女は元気にご飯を食べた

 

「あなたはどうして残ってるんですか?」

 

「側車には隣に乗って機銃を撃つ奴が必要だろうが」

 

「側車ッてあれは壊れて・・・」

 

と少女は側車を見ると、そこには新品同様に直っている側車があった。

 

「あ・・・・側車が直ってる」

 

少女は側車に駆け寄り状態を見る。

 

「自動車整備中隊の奴らが交代する前にそこらに会った単車や自動車の部品を集めて直してくれたんだ」

 

「へ~すごいわ・・・・」

 

少女は興奮しながら言う。

 

「機銃は機関銃中隊が置いていった99式軽機関銃をもらった。しかもハーレーや陸王の部品もついていてガソリンも満タンだ。故障はしないよ」

 

「なんという人なんですか?その直してくれた人は」

 

「別にそんなのいいじゃないか。じゃあ、行きますか」

 

そう言い疾風は側車の舟に乗る

 

「え・・・・自分一人で大丈夫です。あなたには関係ありません」

 

「心配するな。こう見えて俺は戦闘のプロだ。軽機も擲弾筒も何でも扱えるし車にも少々乗れるし飯も炊けるよ」

 

「分かりましたではいきましょうか・・」

 

止めても無駄だとわかると少女は側車に乗りエンジンをかけようとするすると疾風は・・・

 

「1発だ。1発でかかる」

 

そう言う疾風に疑問を感じつつ少女はエンジンをかけるすると・・・・

 

ブロロロロ-

 

「1発でかかった!」

 

疾風の言ったとうり1発でエンジンが作動した。

 

「ところでお前の名前なんて言うんだ」

 

「鈴乃木 凜1等兵です」

 

「俺は疾風村正少尉だ」

 

「え!?少尉!」

 

「ここでは堅苦しいのは抜きだよ」

 

「わ、分かりました少尉ではいきます!」

 

「応!」

 

そう言い側車は走り出し目的地である100キロ西にある基地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          続く

 

 

 


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