ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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誤字脱字や日本語がおかしいところが多くあったので直しました。 

OP「アシタノツバサ」

ED「No More Time Machine」



第29話「ハッピーバースデー」

1945年2月21日

 

年を開けてから2か月がたち、俺はエイラとアイと一緒に基地の周りを散歩していた。

エイラとサーニャは明日、休暇を終えてスオムスに戻ってしまうらしい。つまりエイラといられるのはあと1日ってことだ。

 

「なあ、疾風、脇腹の傷はもう大丈夫か?」

 

「ああ、ジョゼやアイのおかげでもう大丈夫だ。心配ない」

 

そう、俺はこの前負傷した。理由は数日前、輸送船団の護衛の時、俺はクルピンスキーの補佐として出撃し他は、ひかり、二パ、菅野の計5人で任務に向かった。その時、輸送船団がネウロイの襲撃にあい俺たちは輸送船を守るため奮戦。結果は撃破したのだが、砕けたネウロイ破片がクルピンスキーに当たりそうになり俺は彼女を庇い負傷した。クルピンスキーは腕や足の軽いねん挫の軽傷で済んだのだったが、俺は脇腹に破片が刺さり出血多量で危うく死ぬところだったが、ジョゼやアイのおかげで一命は取りとめ、2週間後回復したのだった。ちなみにアイは軽い治癒能力があるのが分かった時は驚いた。

 

「・・・でも疾風、もうあんな無茶なことは止めろとナ。お前にもしものことがあったら・・・・私・・・」

 

「そうですよ。お父さん」

 

二人は心配そうなまなざしで俺を見る。

 

「エイラ、アイ・・・・・分かったなるべく無茶はしないよ」

 

「ほんとだからナ!約束だぞ!!」

 

「ああ、約束だ」

 

と俺はエイラの頭をなでる。エイラは顔を赤くして少し照れる

 

「お父さん。私も」

 

「ごめんごめん。」

 

疾風はそう言い、今度はアイの頭をなでるのであった。

 

「お父さんの手、暖かくて気持ちいいです♪」

 

そう言い、3人は散歩を楽しむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく502のキッチン

 

「~♪」

 

フリフリのついた黒いエプロンを身に付け、サーニャが鍋をかき回している 。鍋の中身はオラーシャ料理のボルシチ。おいしそうな匂いをしている。下原は野菜を切ってサラダを作りジョゼはボルシチなどの料理の味見(つまみ食い)をしていた。

壁にかけられたカレンダーを見ると今日の日付に赤丸が付けられている 。実はその日付はエイラの誕生日だ ボルシチのほかにも、いろんな料理などもある

 

「うん、おいしい。ジョゼさんはこの味どう思いますか?」

 

「どれ?・・・・・うん!とても美味しいです!」

 

スープをすくい、味見する。そしてジョゼにも味見をしてもらう。結果はどうやらうまくできたようだ。

 

(メインの料理ももう少しでできる。後はケーキだけ)

 

そのケーキも、スポンジはすでに焼きあがっており、クリームや果物ででトッピングすれば終わりだ。

 

「あれ?あれって疾風さんとエイラさんですよね」

 

「あっ!本当だ」

 

3人が一通り料理を終えるとコンロの火を止め、エプロンの腰紐をほどく。そしてサーニャたちは窓の外を見る。そこには散歩を終え、帰ってくる疾風、アイ、エイラの三人がいた。その様子はまさに親子みたいだった。

 

「あ、エイラ、疾風さんに抱きついた」

 

「アイちゃんもですね~」

 

「アイちゃんのコート姿可愛いですね~抱き着いてモフモフしたいです」

 

下原、サーニャ、ジョゼは窓の外にいる3人の姿を見てほほ笑んでいた。窓越しなので声や音は聞こえない。けれども、3人はとても楽しそうに見えた

 

『エイラ、アイ。そんなに抱き着くなよ。ちょっと息苦しい///』

 

『暖かい……』

 

『お父さんの体暖かいです~』

 

『二人とも・・・人の話を聞け……というか、動けないんだが』

 

『別にいいじゃん……ホワー』

 

『♪~』

 

『まったく……しょうがないな///』ギュッ

 

『『~♪』』

 

(みたいな会話してるんだろうなぁ……)

 

サーニャはその姿を見てどう会話していたのか想像していた。

 

「いいですね~ちょっとうらやましいです」

 

「私もだよ定ちゃん。」

 

「(私も、あんな恋、してみたいな……)」

 

純粋にうらやましいと感じていた3人。男性との接触が極端に少ないウィッチ生活だが、きっといつか…… 素敵な人と出会える。そんなことを考えていたのだった。

 

 

 

 

 

 

しばらくして暖炉に薪がくべられ、赤々とした炎を燃やし、部屋を暖めている食堂でエイラの誕生日を祝って、みんなでテーブルを囲み楽しく談笑していた。パーティー料理はみんなの胃の中に納まり、テーブルの上には食後のコーヒーやお茶が置かれていた。そしてアイは満腹なのか椅子の上に座ったままぐっすりと寝ていた。そのアイを見たロスマンは彼女に温かい毛布を掛ける。

 

「寝ちゃったようだな」

 

「ええ、疲れてたみたいですね」

 

「でも、アイちゃん楽しそうな顔をして寝ていますね。」

 

「そうだな」

 

「・・・むにゃ・・・・もう食べれません・・・・」

 

みんなはアイの姿を見てほほ笑み。エイラはその姿を見ながらコーヒーを飲む。因みにエイラのマグカップが新しくなっている。今日、疾風がプレゼントしたものだ。

 

「♪」

 

プレゼントをもらったエイラは実にうれしそうだった。疾風はその姿を見て嬉しそうにほほ笑む。すると・・・・

 

「あ、降ってきたな」

 

窓の外では雪がわずかに降っていた。空模様からして、これから強くなるだろう

 

「もう二月も終わりなのに…」

 

「寒いのには慣れてるだろう?」

 

「そうだけど、そろそろ暖かくなってもいいのに、って話」

 

「ああ……まぁ、な」

 

俺はどちらかというと秋みたいな少し肌寒い感じな気候が好きなのだ。

 

「ナァ疾風。今まで聞きそびれてたんだけどサ」

 

「ん?どうした?」

 

飲み終わって空になったカップを置きながらエイラが話しかけてきた

 

「お前の誕生日はいつナンダ?」

 

「誕生日?」

 

「そういえば、話した事なかったですね」

 

「ダロ?知っておきたくてさ」

 

誕生日か……そういえば言っていなかったな・・・・確か俺の誕生日って・・・・・

 

「確か・・・・10月7日だったな・・・・だから今年で16歳だよ。」

 

「私と同い年…」

 

「ああ、そうだったのか」

 

今の今まで知らんかったぜ・・・・てっきり年上だと思ってたよ。

 

「反応薄いな~、恋人と同い年って意外と重要なことだよ?」

 

と、二パがそう言う。

 

「そんなものか?」

 

疾風が不思議そうに首を傾げていると

 

「わかってないな~疾風君は。同い年の恋なんてロマンティックとは思わないのかい?」

 

「あら?あなたにしては良いこと言うじゃないの。クルピンスキー中尉」

 

「僕だってたまには言うよ先生」

 

あの二人、仲悪そうに見えて結構仲がいいんだな・・・・

 

「あっ。疾風さん。これどうぞ」

 

「ん?二パ。これは何だ?」

 

と、二パがみんなに配ったのは・・・・・・黒って感じの液体が入っていた。なんだろうこれ?

 

「オッ!これは…」

 

「…サルミアッキの匂い…?」

 

「え?……ホントだ、塩化アンモニウムの匂い」

 

匂いというか臭いというか… なんか言葉にはしにくい匂いだ。

 

「そう!サルミアッキを細かく砕いて炭酸水に溶かしたジュースだよ」

 

「二パ、これどこで買ったんダ?ニパ?」

 

こっちはなぜか目を輝かせている。もしかして好きなのか?これ? でもほかのみんなは少し遠慮しているみたいだ。

 

「手作りだよ。炭酸水も本場のものだ」

 

「ほほぅ・・・・お主やるな~」

 

「いえいえ。お代官様こそ」

 

「……」

 

炭酸水に本場とかあるのか?どうでもいいけど

 

「まぁまぁ飲みなよ。ひかりもどうぞ」

 

「ありがと二パさん」

 

俺とサーニャ、エイラ、ヒカリの前にも、同じジュースが差し出される

 

「どんな味かな?いただきます!」

 

「い、いただきます…」

 

ひかりは何の疑いもなく飲み、サーニャは恐る恐る飲む。

 

「飲むのは構わんが……ニパは飲まないのか?」

 

「私は、ちょっと、苦手でさ」

 

じゃあ、なんで出したの?それにほかのみんなも飲む雰囲気ないし・・・・みんあ。ちょっと引いた顔になってるし・・・・

 

「んぐっ……んぐっ……プハァ!///」

 

いい飲みっぷりだ…って、そうじゃなくて、あれ?エイラの顔、なんか赤くないか?

 

「…んぐ……!?///」

 

「さ、サーニャ?ど、どうした?」

 

「疾風さん!これお酒ですよ!」

 

「なに!?」

 

驚いて一口飲んでみる……うん、これは間違いなく酒だ !・・・・という!ことは!

 

「きゅ~」

 

向こうを見るとひかりが酔いつぶれていた。やっぱ酒だ…クルピンスキーは平気に飲んでいるけど

 

(なるほど・・・・・アルコール臭がアンモニア臭にかき消されていたのか…)

 

※注意:お酒は二十歳を過ぎてから飲みましょう。

 

「あははは・・・・やっちゃえバーサーカー~!!ヒック!」

 

「ゴッキュゴッキュプハァ!//////」

 

いつのまにかグラスがジョッキに変わって、豪快に一気飲みしているエイラがいた 。サーニャに至っては二口飲んでもはや性格が変わっていた。てか、バーサーカーって誰?

 

「は~や~て~///」

 

いきなりエイラが抱きついてきた顔がもうなんかトロ~ンとしてる。

 

「おい。エイラしっかりしろ!」

 

「ふにゃ~…えへへ~///」

 

・・・・だめだ。完全に酔ってフランフランになってる・・・・あれ?エイラって酒、強くなかったっけか?

 

「・・・・はぁ~・・・・すみません。俺、エイラをベットに送りますんで、アイのことを頼みます」

 

「わかりました。ではアイちゃんは私の部屋で寝かせますので」

 

俺はアイをロスマンさんに預けてベロンベロンになっているエイラの肩を担いでエイラの部屋へと向かう。

ちょっともたつきながらだが、やっとエイラの部屋の前に着いた。

 

「ほら、エイラ。ついたぞ。一人で行けるか?」

 

「うにゅ~~うにゃぁ~///」

 

「(ダメだこりゃ。仕方ない・・・)」

 

猫みたいな声で言うエイラに俺はため息をつき、足でドアを開け、中に入る。肘で電気のスイッチを押し壁際のベッドまでエイラを運ぶ。

 

「よっと」

 

一旦お姫様抱っこの状態に抱えなおしてから、俺はエイラをベッドの上に寝かせる

 

「ふぃぃ…」

 

エイラは横になるまでの間に寝てしまった

 

「zzz……疾風~アイ~サーニャ~大好きだ~」

 

「/////」

 

エイラの寝言に俺は顔を赤くする。それにしてもエイラの今の格好・・・酒が入ったせいで紅潮している顔に若干熱の入った寝息。そしてその服ははだけて白い素肌が見える。

 

「(なんか・・・・ドキドキするな・・・・)」

 

何かしてしまう前に部屋から出よう。電気を消し、ドアノブに手を掛けるが、

 

「ん?あれ?え?ドアが開かない?」

 

とドアノブを回し、押したり引いたりするが開かない。

 

「鍵はかけてないし、ノブは壊れてない…」

 

その時、ドアの向こうでなんかカギがかかる音が聞こえた気がした

 

「あ~……そうだ。ここの基地の部屋。自室禁固の時ように外から南京錠かけられるんだった……ん?」

 

するとドアの隙間から紙が出てきた。俺はそれを拾い、その紙には何か書かれていた。その内容は・・・

 

『疾風。いまこそ男を見せろ。グッドラック♪。byクルピンスキー伯爵』

 

と、書かれていた。・・・・・

 

(あの似非伯爵め#)

 

しばらく、どうしようかと立ち尽くしていたら・・・・・

 

「ヒック!は~や~て~!!」

 

「おろ!?」

 

いつの間にかベッドからできたエイラがまた俺の腰辺りにしがみついてきた

 

「え、ええ、え、エイラ!?寝たんじゃなかったのかぁ…!?」

 

「えへへ~にひ~…な~はやて~」

 

「にゃ、なんですか?え、えいらさん?」

 

まだ酔いが抜けないエイラが、この後とんでもないことを言う

 

「いっしょにねよ~よ~」

 

「!?///」

 

俺のズボンをぐいぐい引っ張りながら問題発言をした。あ、いやでもこの前もアイと一緒に川の字に寝たよな・・・・・て、そうじゃなくて!

 

「お、おい?酔ってるんだろう?まず水飲んで寝たほうが、」

 

「いっしょがい~い~」

 

駄々っ子のごとく俺のズボンをつかんで引っ張る。それも下に、下に引っ張る。やばい!脱げる!

 

「ちょ!///脱げるから!分かった!寝よう!いっしょに寝よう!うん!だから離せ!」

 

「えへへ~あんがとー///」

 

「……///」

 

エイラの無邪気な笑顔に思わず見惚れてしまう。なんかもう、何されてもいいような気がしてきた。

暗闇の中、エイラに引っ張られながらベッドにもぐる

 

「にひっ……あったかい……」

 

「ああ……そうだな……」

 

俺はエイラのぬくもりを感じていたしかし・・・・・

 

「む~」

 

なぜかエイラはむくれていた。あれ?何か気に障ることしたか?

 

「エ、エイラ?どうしたんだそんなむくれて?」

 

「疾風……なんで襲ってこないの?…」

 

と、ウルウルした目で俺の顔を覗き込む

 

「あ?おそ………はぁっ!?」

 

おいおい、いくら酔ってるからってそんな事言っちゃ…… というよりこの先、放送できるのか?

 

「疾風だって、男の子なんだし、こういうのは、人並みに、興味は、あるでしょ?」

 

そういって、自分の服の襟元に手を掛け、そしてボタンをはずし

 

「っ!?!?///」

 

胸の谷間を露出させた。北欧の雪国の出身のため肌が白くきれいだった。

 

「ニヒッ、疾風の顔真っ赤…♪」

 

「あ、あのなエイラ。そ、そそ、そういうことを軽はずみにやるんじゃなくてだなっ!///」

 

上を向き、エイラの胸元を視界から外す

 

「(……意外とデカかったな・・・・エイラってけっこう巨乳なんだな・・・・もしかして着やせするタイプなのかな・・・)」

 

「こんなことするのは、お前だけだぞ…」

 

「え?」

 

さっきまでの酔いが回って呂律が回っていない口調はどこへやら。かなりはっきりとした口調で話し始めた。そしてその眼は真剣なまなざしだった。

 

「わ、私は、疾風になら……」

 

「エイラ……」

 

エイラが俺の肩に手を当て、体を寄せる。顔をこちらに向け、目を瞑り、唇をわずかに尖らせる

 

「お、おい……」

 

「お願い・・・・・・何も言わないで……来て……///」

 

「エイラ・・・・////」

 

そして俺は・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、前回のサトゥルヌス祭と同じ大人のキスまでだった・・・・・

 

「ごめんな。エイラ・・・・俺が今できるといえばここまでなんだ。」

 

「……スゥ……スゥ……」

 

今俺の目の前で幸せそうな寝顔で寝るエイラがいた 。

 

「…………ハハッ」

 

俺はエイラの寝顔を見て微笑み、そしてその頭をやさしくなでる。

 

「………はぁ」

 

なぜだろう、今日はすごく疲れた。ネウロイやナチスの武装親衛隊と戦うより疲れた気がした。

 

(もういいや。このまま寝ちゃえっ・・・・と寝る前に)

 

「……」

 

「スゥ……スゥ……」

 

規則正しいリズムで寝息を立てるエイラに近づき

チュッ♪

軽くおでこにキスをした

 

「……ハッピーバースデー。エイラ」

 

定番の、「愛してる」、とかは、恥ずかしくて言えなかった。どこまでヘタレなんだよ俺は・・・・・・

 

 

 数分後

 

「スゥ……スゥ……ムニャ」

 

「……」

 

「……スゥ……スゥ…」

 

「……………………起きてるって気づけよバカ///」

 

実は酔ったふりをしてをこの前みたく疾風に期待していたエイラだったのだった。

 

 

 

 

 

あれから翌日。俺はラル少佐に呼び出された。もしかして昨日のこと聞かれるのか?そういう心配をしていたのだが・・・・

 

「疾風大尉はいります」

 

「入れ」

 

ラル少佐の声がし俺は部屋に入る。

 

「疾風・・・・急に呼び出してすまない。実はお前に転属命令があった。」

 

「転属ですか?」

 

「ああ。お前とアイには・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロマーニャにある504JFWに転属してもらうことになった」

 

 

 




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