ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第31話「姉と妹」

あれから翌日、502に思わぬ人物がやってきた。その人物とは雁淵の姉であり、本来ここに配属されるはずだった雁淵孝美だった。というか、あいつに姉がいたのはさすがにびっくりした。

なぜ彼女がここにいるかというと彼女曰く「扶桑で治癒魔法が高いウィッチ」のおかげで戦線復帰できたということっだ。おそらく宮藤のことだろう。あいつ元気にしてるかな・・・・

まあ、それはさておき、ここで一つ問題が起きた。

 

「お姉ちゃん!」

 

ひかりは基地から出て滑走路に着陸した姉のところに向かって走る。

 

「お姉ちゃん! 私頑張ったよ! お姉ちゃんと一緒に飛ぶために頑張ったんだよ!お姉ちゃん。元気になったんだね。」

 

感動の再会に嬉しそうに言うひかりだったが・・・・・

 

「ひかり。」

 

「お、お姉ちゃん・・・?」

 

ひかりのことに気付いたのか後ろを振り向く孝美。だがその顔は彼女の知る優しい笑顔ではなくどこか冷たい表情だった。

 

「どうしてあなたがここに居るの?」

 

孝美はそう冷たく言う。

 

「え?」

 

「あなたの本来の任地はカウハバ基地だったはず。それが何故ここに居るの?」

 

「そ、それは・・・。」

 

「ひかり。ここはあなたが居ていい場所ではないわ。」

 

「お姉ちゃん・・・。で、でも! 私、扶桑に居た時より強くなったんだよ! チドリだってちゃんと乗れるようになったんだよ!」

 

「誰もそんなこと聞いてないわ。すぐに荷物をまとめてカウハバに行きなさい。これは正式な辞令よ。」

 

「そんな!」

 

ひかりはそう言うが孝美はひかりに振り向きもせずそのまま格納へと向かってしまいひかりはそれを見て悲しい顔をするのだった。

 

「・・・・お姉ちゃん」

 

 

 

 

格納庫で孝美は自分のユニットであったチドリを見ていたすると・・・・

 

「孝美! やっと来たな。待たせやがって、コノヤロウ。」

 

そこには疾風も含め502のみんながいた。

 

「相変わらずのようね、菅野さん。」

 

「ふん。そうそう変わるかよ。けど、お前の妹はなかなかやるようになったと思うぜ。」

 

菅野はそう言うと孝美は顔を背け悲しそうな顔をする。その姿を疾風は見逃さなかった。

 

「・・・・・・」

 

「どうしたんですか。疾風さん」

 

「・・・・・いや、何でもない」

 

二パが疾風の心配そうな顔に気付き聞くが疾風は笑顔でそう言う。

 

「本日を以って、502統合戦闘航空団に着任しました。雁淵孝美中尉です。リバウ以来ですね、ラル少佐。」

 

「ああ、久しぶりだな・・・・」

 

「…あのそういえば少佐。この人は・・・」

 

孝美は疾風のことに気付いたのか首をかしげてそう聞く

 

「ああ、そういえば紹介していなかったな。こいつは元501戦闘航空団に所属していた。ウィッチ・・・・いや世界初のウィザードの疾風大尉だ」

 

「初めまして、雁淵中尉。俺は502統合戦闘航空団に所属している。疾風村正大尉です。」

 

「あなたが、疾風大尉ですか。噂はかねがねより聞いています」

 

「俺もあなたのことは妹のひかり軍曹から聞いています。」

 

疾風はそう言うと孝美はまた深刻そうな心配そうな顔をするのだった。

 

「・・・・・・・中尉?」

 

「あっ。いえ、なんでもありません大尉」

 

「・・・・・そうですか」

 

その後、疾風は孝美に軽い挨拶を終えた後、疾風は滑走路を歩いた。行く理由はなかったが、何となく行きたいと思ってたからだ。そして疾風は孝美のあの時の顔を思い出す。

 

「(あの顔・・・・・前にも一度見たことがあったけな・・・・)」

 

そう思いながらただ、一人歩く疾風だった。

 

 

 

 

 

あれから翌日、ひかりの元気がない。今まで姉に会いたいっと言っていたひかりが今は元気がなく、その夜なんかは故郷の料理である皿うどんだったんだがひかりはあまり食事をとらずそのまま食堂を出てってしまった。いったいどうしたんだろうか・・・・

俺は食事をした後、いつもの通り夜の散歩に出かけていた。今外は少し暖かい。着任されたばかりのころは結構寒かったのにな・・・・・そんなことを考えながら俺は歩く。ちなみにアイは二パたちとサウナに行っている。基地で一番長い塔みたいなところを通りかけたとき、塔から人影が見えた。その人影の正体は雁淵だった。魔法力を生かし塔をよじ登っていた。そして雁淵がてっぺんまで登るとその下で人影が見える。

 

「あれは・・・・・孝美中尉」

 

そう、ひかりの姉である孝美が妹のいる塔にやってきたのだった。

 

 

 

 

一方そのころサウナ室ではクルピンスキー、サーシャ、下原、ジョゼ、二パ、菅野。そしてアイがいた。ちなみに今アイは菅野の膝の上にちょこんと乗っている。

 

「何かちょっとおかしいんだよな。」

 

「何が?」

 

「ひかりのこと。どうも孝美さんを避けてるみたいなんだけど・・・。」

 

「言われてみれば。仲の良い姉妹だって聞いてましたけど・・・。」

 

「それにひかりお姉ちゃん。最近元気がないです」

 

と、二パと下原、アイは雁淵姉妹のことで心配そうに言う。

 

「久々に会って緊張してるのかな?」

 

「そっかなー? それならいいんだけど・・・。作戦も近いし。」

 

「そのことですが・・・ひかりさんにはカウハバへの転属命令が出ているようです。」

 

「え・・・・えええー!!」

 

サーシャの言葉に下原、二パ、ジョゼが驚く

 

「待ってよ! どうしてひかりが居なくなっちゃうのさ!?」

 

「そもそも今の状況がイレギュラーであって、カウハバ基地が本来の配属先なんですよ。」

 

「でも、次の作戦はすごく重要なんでしょ? 二人一緒に戦うってのは駄目なの?」

 

「マンシュタイン元帥直々の命令です。残念ですが私たちにはどうすることもできません・・・・」

 

「そんな・・・・・」

 

「寂しいです・・・・・」

 

その言葉に二パとアイは悲しい顔をする。

 

「私、ひかりさんが居なくなるのはイヤだな・・・。」

 

「でも、これで良かったのかも・・・。」

 

「え、なんで下原さん」

 

「でも、確かに定ちゃんの言う通り、接触魔眼はすごく危険だから、命令通りカウハバに行った方が・・・。」

 

「えーっ? ジョゼさんまで・・・。」

 

「直ちゃんはどう思ってんの?」

 

すると今まで黙っていたクルピンスキーが口を開く

 

「え? 俺? なんで?」

 

「だって、ずっと言ってたじゃない。『俺は孝美と一緒に戦うんだ』って、さ。」

 

クルピンスキーの言葉に皆、菅野に注目する。菅野は膝に載っているアイの頭をなでながら

 

「わからね・・・・・・だが、はっきりしてることは・・・戦場に必要なのは強え方だってことだ。」

 

と、真剣な顔をしてそういうのだった。

 

 

 

 

 

 

一方。また先ほどの塔広場ではひかりが、今までやってきた塔登りをしていた。そしてやっとの思いで頂上に着くと・・・・・

 

「ひかり」

 

「!?」

 

橋の下から声が聞こえひかりが下を見るとそこには姉である孝美が塔を歩いて登ってきた。ひかりがひかりがやっと登った塔を、難なく登ってくる

 

「・・・・・お姉ちゃん」

 

「こんな無駄なことをしていないで早くカウハバ行きの準備をしなさい。」

 

そう冷たい視線でそういうがひかりは・・・・

 

「無駄じゃないよ!」

 

「!?」

 

「私、少しでもお姉ちゃんに近づきたくて、ずっと頑張ってきた。502の皆にも、最初は全然認めてもらえなかったけど、でも頑張って頑張って、今は仲間って言ってくれてる!」

 

「それにね、私接触魔眼が使えるようになったんだよ! 魔眼で菅野さんたちと一緒にいっぱいネウロイを倒したんだよ!」

 

「全部知ってるわ!それでも、あなたはここに居てはいけない。」

 

鋭い目線でそういうと孝美は塔から降りるのだった。

 

「お姉ちゃん・・・。」

 

 

 

 

孝美が自室に戻ろうとしたとき、柱の陰でその話を聞いていたものがいた。

 

「‥…ラル少佐」

 

「大事な妹を危険な目に遭わせたくないのだと、はっきり言ってしまえばいいじゃないか。」

 

「妹をこの最前線から引き離す。それがマンシュタイン元帥との取引か?」

 

「知っていたんですか?」

 

「ああ・・・・それと盗み聞きとは感心しないな疾風大尉」

 

ラル少佐がそう言うと壁の裏から疾風が出てきた

 

「いつからそこにいた?」

 

「ひかりが塔をよじり上っているところからです」

 

「そうか・・・・まあ、それはいい。孝美中尉。お前の妹には正式な辞令が出ているなら、何故そこまであいつを追い込もうとする?」

 

 

「だってあの子は・・・、ひかりは絶対に諦めない子だから・・・。こうでもしないと・・・・・本当は・・・本当はあの子を力いっぱい抱きしめたい。抱きしめて、強くなったねって褒めてあげたい。けど・・・それなのに私は、ひかりを傷つけることしか・・・」

 

誰よりも大切な妹だから、危険な目に遭わせたくない。だから危険な最前線であるここには置いておけない。そして次に起こるグレゴーリ攻略は今までとは違う過酷な戦い。そんな戦いから遠ざけるため、彼女はわざと冷たい態度を取っていたのだ。たとえ嫌われても、恨まれても大切な家族のためなら・・・・・

 

「・・・姉妹揃って不器用なことだ。」

 

「なるほど、そういうことですか・・・」

 

その時、疾風は思い出した。そう、かつて疾風が10歳の時、義理の母である北郷華琳や空戦の師匠である逸見かおりについに戦場に出るといったとき同じ顔をされたことを・・・・

もし、姉さんが生きていたら、同じことをしたのだろうか・・・・・だが今姉がいない俺にはそれはわからない。そう思うとひかりはまだ恵まれている。そう思った。

 

そして翌日。グレゴーリ攻略のための偵察部隊が全滅した。その部隊を全滅させたネウロイとはこの前の補給輸送団の護衛任務の時、クルピンスキーが撃破したあのネウロイだった。

そして出撃しようとした寸前そこへひかりが現れ、自分も戦うと言い出す。出撃に反対する孝美。一歩も引かない二人にラル少佐はある提案をした。

それはひかり、孝美のどちらかが最初にネウロイのコアを探知することができたらどんな手を使ってでも502に置く、しかし負けたものはカウハバに行くことになり、二人ともその勝負を受けた。

そしてネウロイは撃墜でき勝負の結果は・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僅かな差でひかりの姉、孝美の勝利に終わったのであった・・・・・

 

 

 

 

 

                    次回「大きく羽ばたけ」   




今日はここまでです。なんか、今日は疾風のセリフが少なかったです。さて次回はブレイブウィッチーズ編最終回です。次回も更新頑張って書きたいと思います。

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