ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「Ignite」

ED「Los! Los! Los! 」



第46話「時には昔の話を1」

「落ち着いたか?二人とも?」

 

「え、ええ・・・・」

 

「な、ナントカナ・・・・・」

 

あの後エミリアとエイラはしばらく互いの言葉をぶつけ合い、今コーヒーを飲んで互いに落ち着いていた。

 

「まあ、ユーティライネン中尉の話を聞いて、この世界で半年何をしてたかは分かったわ・・・・それにしてもあなたこの半年で恋人・・・いや奥さん?が出来ただけではなく子供をもうけるとはね…‥人生何が起きるかわからないわね」

 

と、エミリアはそうジト目で俺を見る。

 

「あははは・・・・・ところでエミリア」

 

「なんだ疾風?」

 

苦笑していた疾風がいきなり真剣な目に変わりエミリアはじっと疾風を見る。

 

「お前・・・・いつこの世界に来たお前の口ぶりからして結構経ってるように聞こえたが?」

 

俺がそう言うと、エミリアはコーヒーを飲む。そして・・・・

 

「私がここに来た日は2020年・・・あんたが戦死して3年後よ」

 

「・・・・やっぱり俺は死んだことになってるのか」

 

「ええ、あなたが行方不明になってあんたの部下たちが半年間必死に探していたらしいわよ。」

 

「そうか・・・・・戦争は?どうなったんだ?」

 

俺がそう言うとエミリアは少し眉間のシワを寄せた。その様子をウィッチたちは静かに見ている。いや、話には入れ込むすきがないのだ

 

「第三次大戦はあんたら連合軍の勝利。ナチスは崩壊して総統は蒸発して行方不明になったわ。まあ、バルジの大敗からナチスが政権を立て直すのは無理。わが祖国が敗戦するのは目に見えてたけどね・・・」

 

その言葉に空間は少し重い空気になってしまう。さすがのエミリアもちょっとやりすぎたか…というような顔をする。すると・・・

 

「あ、あの・・・・」

 

と、宮藤が手をあげる

 

「ん?なんだ宮藤」

 

俺がそう訊くと

 

「二人は恋人なんですか?」

 

「「ぶっ!!」」

 

いきなりの言葉に俺とエミリアが噴出してしまう。それとエイラも。

宮藤!?お前、人の話聞いてたのか!?

 

「なに!?ほんとか疾風!」

 

エイラも話に乗んな!てか怖い。何か後ろで黒いオーラが見える

 

「違う!違う!俺とエミリアはそんな関係じゃないよ!」

 

「でも名前呼びじゃん。・・・・・・あれ?疾風って苗字だよね?下の名前ってなんだっけ?」

 

「何を言ってるんだハルトマン!自分の仲間の名もしらんのか!?村正だ村正!」

 

「ほ~疾風って村正って名前だったんだ・・・・」

 

「村正といえば妖刀村正を思い出すがそれからきているのか?」

 

おいおい・・・話がズレてきてるぞ。

 

「・・・・で、疾風。そいつとは恋人関係なのか?」

 

エイラが俺を睨んでそう言う。

 

「いや、俺とエミリアには恋愛沙汰なんて一度もないよ」

 

「彼の言うとおりよ。私たちは互いに敵同士であり殺しあった仲だそんなんで恋愛感情などみじんもないわよ。まあ、茶飲み友達ではあるがな。だからそこんところは安心しろユーティライネン中尉。」

 

エミリアはコーヒーを飲みながらそう言う

 

「なら・・・・いいんだ」

 

その言葉を聞いてエイラは納得してくれたのか椅子に座る。

 

「そう言えば、ハルトマンさん?」

 

「「ん?なに?」」

 

リーネがそう言うと二人のハルトマンが反応する

 

「あ、えっっと・・・エミリアさんの方です」

 

「言いにくいならエミリアでいいわよ。で、何かしら?」

 

「先ほどエミリアさんは疾風さんと殺しあったって言ってましたけど・・・・」

 

「ええ、そう言ったわよ」

 

「なんで殺しあったんですか?疾風さんやハル・・・・エミリアさんの世界にはネウロイがいないって聞いたんですが・・・・」

 

「ええ、いないわよ。ただし、私たちの世界は人同士が殺しあう世界だったのよ」

 

「そう言えば前に疾風が言っていたな・・・・」

 

「ええ、そして我がナチスドイツ・・・・こっちの世界であるカールスラントは世界征服の野望をかなえるため世界各国に宣戦布告。まさに世界大戦となったわ」

 

「せ、世界征服・・・・カールスラントが・・・・」

 

エミリアの言葉にカールスラント出身のウィッチが信じられないような顔をする

 

「…‥で、お前と疾風の出会いは?」

 

「疾風と初めて出会ったのはアジアの南洋上空よ。その頃ナチスアジア部隊はポートモレスビーに拠点を置いてそこからアジアを征服する予定だったけどね~そこで連合軍の基地を爆撃するために多数の爆撃隊が出撃したわ。私はその時の護衛を務めて・・・・・」

 

と、エミリアはそう話を続けるが・・・・

 

「うじゅ~難しすぎてわかんないー!」

 

と、ルッキーニが声をあげる。まあ、12歳のルッキーニには難しい話だろうし理解しにくいだろう。まあ、しなくてもいい話なんだがな。すると・・・・

 

「じゃあ、見ますお父さんの記憶?」

 

と、今まで黙っていたアイが手をあげてそう言う

 

「そう言えば、アイは人の記憶を映像にして相手に見せることができるんだっけな・・・・」

 

「それならアイちゃん見せてくれる?なっ!疾風もいいだろう?」

 

シャーリーが俺に訊く。

 

「まあ、…・隠すものじゃないが・・・エミリアお前は?」

 

「私はかまわないわよ。でもあまり面白い話じゃないし良いものでもわよ。それでもいい?」

 

「もちろん!」

 

「あたしも見たーい!」

 

と、ハルトマンとルッキーニがはしゃぎながらそう言う

 

「(こいつら…良いものじゃない、の意味を取り違えてると思う 面白くないって意味じゃなくて、残酷って意味なんじゃ・・・・・)」

 

エイラが内心そう呟いていた。

 

「わかりました・・・それでは見せます。」

 

そう言いアイは疾風の額に手を触れるとあたり一面光に包まれるのであった。そして光が収まるとどこかの基地らしき場所が投影される

 

「あの・・・あれって?」

 

「当時、連合軍がアジアに置いていた、南の最前線基地、ラバウル。そしてあそこが日本陸海軍の基地。」

 

と、アイが指さした場所には無数の戦闘機や爆撃機があった。その中、一機の零戦の下で昼寝をする若い飛行兵士がいた。

 

「あ、あれってもしかして疾風さん?」

 

と宮藤はそう言い俺は頷く。そう言えばあの時ゼロ戦の下でよく寝てたな・・・・そう言えば初代501「抜刀隊」もここで編成されたんだっけな・・・・・

 

「ああ、」

 

「可愛い寝顔ですね~」

 

「ぐ、なんで私は写真機を持ってこなかったんだ・・・・・」

 

「トゥルーデ。鼻血・・・・・」

 

そんなことを話しながら見てると・・・・・

 

『おい、疾風少尉。起きろ!』

 

と、一人の女性兵士がやってきて疾風を揺り起こす。そして映像に写っている疾風は瞼を開いて・・・

 

『・・・・・ん?なんだ杉田か…どうかしたのか?』

 

「あの人は?」

 

宮藤がそう訊くと疾風が答えた

 

「杉田清美曹長…俺の副官であり戦友だよ」

 

そう言うとウィッチたちは再び疾風の世界で起こった出来事の映像を黙って見るのだった。

 

『なんだよじゃないよ。士官は至急集まるようにって司令が言っているわよ』

 

『司令が?わかったすぐに行く。杉田』

 

『あいよいつでも総員飛べるように準備しとくわよ』

 

『頼む』

 

そう言い幼い疾風は基地へと走っていくのだった。そして指令室には5人の搭乗員パイロットたちが集結していた。どれも戦闘隊長格の人間だ。そして司令から呼び出された理由を聞かされた疾風は

 

「・・・・・爆撃機を迎撃せよですか?」

 

疾風がそう言うと司令官らしき将校が頷く

 

「うむ。先ほど電探で無数の反応がしてな底で偵察機を出したところ重爆撃機と護衛の戦闘機がこっちに向かってきている。そこで君たち戦闘機隊は至急に飛び出てこれを撃退してほしいのだ。やれるか?」

 

「敵の今の所在地は?」

 

一人の女性戦闘機乗りがそう訊く

 

「鴛渕中尉。情報では今敵はポートモレスビーから飛び立ち中間のの距離まで来ている。・・・・で、出撃してもらうのは三つの戦闘機部隊。401「維新隊」403「奇兵隊」そして疾風少尉率いる501「抜刀隊」の中から搭乗員を選ぶのもとする。以上!」

 

『はっ!』

 

司令の言葉を聞いて三人は敬礼をして指令室を後にし出撃準備をし始める。そして一人残された司令は

 

「諸君健闘を祈る・・・・・」

 

そう呟くのだった。

 

 

 

「災難ですね隊長」

 

「ああそうだな杉田。・・・・まさか52型が修理中で使用不能で旧式の22型で出撃するとはな。まっ、21型で飛ぶよりはましか・・・・」

 

疾風はため息をつきながら、零式艦上戦闘機22型に乗る。実は疾風が乗るはずだった52型は修理中のため使用不能で残っていたのは予備機として残っていた22型だったのだ。

 

「でも機首はアメリカ軍のAN/M212・7ミリ機銃。20㎜は1号式20ミリですがドラム式からベルト式に変わって何よりも防弾版がついてます」

 

「焼き鍔程度だがな・・・・まあいいだろう。それじゃあ杉田曹長。行きますか」

 

「はいっ!」

 

そして疾風を含む47機の零戦が出撃する。そしてしばらく飛んでいると

 

『疾風少尉!景気づけに音楽でもかけるか?一応全機に超小型ボイスつけているわよ?』

 

無線からこの迎撃隊の隊長になった鴛淵中尉の声が聞こえる。疾風はその補佐だ。

 

「そうだな・・・・お願いできますか?中尉!」

 

『任せておきな。で、何をかけるんだい?』

 

「では、ワーグナーで頼む!」

 

疾風がそう言うと、鴛渕はフフッっと笑い

 

『あいよ!では黙示録と行きますか。全機高度を上げ日を背中にして飛べ!』

 

「了解!」

 

そして全機が攻撃態勢の飛行隊形になり、そして・・・

 

「よぉーし!音楽をかけろ!」

 

鴛渕の言葉に一人の搭乗員がスマホから音楽を流すそれを飛行機に取り付けた小型スピーカーが受信し盛大に音楽が鳴るその曲は「ワルキューレの騎行」だった。それはまさに地獄の黙示録のあの場面だった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、疾風たちが出撃する数時間前、ナチス航空基地で25機の爆撃機が出動準備にかかっていた。そしてその中護衛戦闘機bf109k型の前に一人の女性軍人がいたその人物とはエミリア・ハルトマンだった。彼女は当時欧州の最前線からアジア部隊の援護をするため派遣されてきたのである。そして彼女は部下の護衛戦闘機隊にこう言った。

 

「さて護衛戦闘機隊諸君。我々は戦争…いや、戦争のような代物の始まりだ。これから我々は敵である連合軍の最前線基地を爆撃する爆撃隊の護衛が任務だ。無論、敵とて無抵抗なわけではない。必ずや迎撃しに戦闘機を派遣するだろう。」

 

彼女がそう言うとナチスのパイロットたちがざわめきだす

 

「おそらく迎撃を出してくるのは日本(ヤーパン)のゼロファイターだ。なぜなら他の連合軍の国の連中は他にいる友軍の動きを止めるのがやっとの状態だからな。お前たちはゼロの機動力と破壊力を恐れているみたいだがゼロファイターがどうした!こっちには我が帝国の誇るメッサーシュミットがある!連中など我がメッサーに返り討ちにされるであろう!そして島国の連中に思い知らせ!我が帝国の恐怖をな!!」

 

『 Heil!!』

 

「さて、戦友諸君。戦争の時間だ」

 

エミリアの言葉に戦闘機パイロットはナチス式敬礼をし、そしてその後、爆弾を抱えた爆撃機とともに大空へと飛び立つ

 

 

 

 

そして現在・・・・

 

「鴛渕中尉!敵爆撃機を発見!」

 

疾風の言葉に中隊長の鴛淵が見ると雲の下にちらりちらりと動く機影が見えたしかもその機体にはハーケンクロイツのマークがしるされていた。それを確認した疾風と鴛淵は

 

「全機!敵爆撃機を発見。これを迎撃せよ!全組、攻撃!攻撃!攻撃!」

 

中隊長の命令で全零戦が急降下し爆撃機隊へと突入を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

                             続く

 


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