ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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大変お待たせ致しました。次話投稿です。


OP「STRIKE WITCHES 2 〜笑顔の魔法〜」

EⅮ「戦線のリアリズム」


第47話「時には昔の話を2」

疾風たちが爆撃機に攻撃をかける少し前、ナチス爆撃隊はbf109戦闘機の護衛を連れて爆撃ポイントに向かっていた。今回の彼らの任務はラバウルにある敵航空基地の壊滅だ。

 

「機長。まもなく爆撃ポイントに入ります。それにしても静かですね」

 

「そうだな。まあ、敵が飛んでこないのはいいことだ」

 

「そうですね。まあ、来たとしても相手は島国のサルどもが作った小回りが効くだけで被弾すればすぐに燃え上がるポンコツ戦闘機。対してこちらには頑丈で武装の多い爆撃機に我が空軍が誇るメッサーシュミット戦闘機。墜とされる心配はありません」

 

「ああ、それに今日の護衛戦闘機隊には我がナチスの精鋭隊の武装親衛隊。その中で『漆黒の悪魔』と恐れられているエミリア・ハルトマン中尉だ。ヤーパンの連中が来ても彼女の腕で全滅させられるだろうな」

 

「そうですねヤーパンや連合軍が無様に自分たちの航空基地が破壊されるのを見て悔しいがるのが目に見えてきましたよ」

 

副機長の言葉に機内の兵士たちが笑う。すると・・・・

 

「ん?どうしたんだ?」

 

機長が副機長の行動を不審がって聞くと

 

「いえ・・・・どこからか音楽が聞こえるんですよ」

 

「音楽?」

 

「はい。ワーグナーの曲です」

 

「はぁ?なんだ?ヘリコプターの大群でも来るってか?。お前は映画の見すぎだ」

 

「いえ、本当に聞こえてくるんですよ」

 

副機長がそう言い、機長は耳を澄ます。するとエンジン音に混ざり確かにワーグナーの曲が聞こえるしかもその音はどんどん大きくなってきていた。すると・・・・

 

ボォン!!!

 

彼らの乗る爆撃機が突如、爆散するのだった。それを見た護衛戦闘隊は

 

「先頭の爆撃機が撃墜されたぁ!」

 

「上空に敵機急降下っ!!!くそっ!太陽を背にしていたのか!」

 

護衛戦闘機隊や爆撃機隊が慌てていると、エミリアが無線で

 

「落ち着けまずは爆撃機隊!敵戦闘機は私たち護衛に任せろ!そのまま進めぇ!!そして我ら戦闘機隊は交戦に入れ!ヤーパンの戦闘機を一機も還すなぁ!!」

 

『Jawohl(了解)!!!』

 

エミリアの指示で戦闘機隊は爆撃機を襲った零戦隊に突撃をするのだった。

 

「よし!敵爆撃機。一機撃墜!」

 

「鴛淵中隊長!bf109こちらに接近!」

 

「散って交戦!疾風お前は敵の爆撃機の進撃を食い止めろォ!!!」

 

「了解!疾風一番!敵爆撃機を迎撃す!『抜刀隊』!続けぇー!」

 

『おおっー!!』

 

 

中隊長である彼女の指示で各自交戦に入り、疾風率いる10機が敵爆撃機へと向かう。そして今まで穏やかだったその空は一瞬にして地獄と化した。機銃があたり一面降り注ぎ、飛行機が火を噴き堕ちてゆく。ナチスの護衛戦闘機隊は爆撃機の援護に行こうにも零戦団のせいでなかなか行けない

そして疾風は敵爆撃機を攻撃するため高度を上げ、そして急降下して爆撃機隊へと突っ込む。これは第二次世界大戦のエースパイロット菅野直の得意戦技「前上方背面垂直攻撃」だった。そして疾風は引き金を引き爆撃機を撃墜していく

 

「くそっ!なんだあの戦闘機は!?は、速すぎる!」

 

「早すぎて当たらない!ぐわぁ!被弾した!お、堕ちる!!メーデー!メーデー!!」

 

「足が!?足がぁー!!!」

 

爆撃機も疾風が率いる戦闘機隊によってどんどん落ちていく

 

「機長!すでに半数以上がやられています!このままじゃ全滅してしまいます!」

 

「くそっ~黄色いサルどもめ!!仕方がない!作戦中止!全機爆弾を捨てて離脱せよぉ!」

 

爆撃隊の隊長の命令により爆撃機隊は積んでいた陸上爆弾を捨てて身軽になり急いで離脱しようとした。

 

「逃がすなっ!」

 

と、疾風が爆弾を捨てて逃げようとする爆撃機を追おうとしたが、

 

『ぐわぁ!だ、誰かっ!』

 

『くそっ!振り切れない!!』

 

「ん?」

 

急に無線から列機である杉田と入隊したばかりの新兵である中澤の声が聞こえ疾風はあたりを見渡す。すると3時方向下のあたりで2機の零戦が一機のbf109に追われていた。その二機の零戦は疾風の列機であった。疾風はその姿を見て爆撃機の追撃を止め、仲間を助けるためbf109に向かって急降下しそして機銃を撃つ。そしてbf109はこちらに気付きすかさず避けて疾風の所へと向かっていくのだった。

 

 

 

エミリア視点

 

爆撃機を護衛しつつ私たち護衛戦闘機隊は優雅に飛んでいた。ほかのパイロットたちは笑いながらそして余裕な顔で飛んでいた。無線から聞こえる会話は相手は日本人だからこの任務は簡単にできる。日本の戦闘機は弱いそんな声が聞こえた。ただ私は上空を警戒しながら飛んだ。先ほど私は出撃前に日本人恐るるに足らずといったがそれは本心ではない。私は知っている日本軍の零戦の機動力と攻撃力を。確かに速度は我がbf109のほうが勝っているし武装も互角だ。ただ連中は小回りが利きすぎる下手に深追いすると捻り込まれて撃墜される。日本人は屈強な戦士だ。私は幼い頃読んだ侍や武士道の本を読んでから日本のことが好きになり、日本のことを研究していた。そして願わくば日本に行き、侍と戦いたい。そう思っていた。だがそんなことが今叶うとはあの時、思いもしなかったな・・・・

 

「・・・・・ん?」

 

しばらく飛んで、爆撃ポイントに近づいた時、音楽が聞こえ始めた。曲は私の好きな「ワルキューレの騎行」だった。

 

「おい。誰だ音楽を流しているのは?」

 

私は無線で部下にそう訊いたが

 

「いえ、自分たちではありません。恐らく爆撃隊が景気に流しているんでしょう?」

 

と部下の言葉に最初はそうだと思ったら、それは違った。音楽は上から聞こえてくる。私は上を見ると太陽のせいであまりよく見えないが黒い点が近づいてくるのがわかった。それを見て私は無線で爆撃機隊に知らせようとしたが・・・・

 

ドガァーン!

 

まったくの奇襲だった。先頭にいた爆撃機が爆散した。そしてその中一気の緑色の戦闘機が急降下した。そう零戦だ。

 

 

「落ち着けまずは爆撃機隊!敵戦闘機は私たち護衛に任せろ!そのまま進めぇ!!そして我ら戦闘機隊は交戦に入れ!ヤーパンの戦闘機を一機も還すなぁ!!」

 

私は部下にそう命じ、私は爆撃機を護衛するため、敵戦闘機へと向かうそして最初の機銃連射をし、最初の一機を撃墜する。そしてまた一機と私はまた零戦を撃墜する。こう言ってはなんだが、私の腕にかかればまるで七面鳥を撃ち落すのと同じだ。すると・・・・・

 

『爆撃隊壊滅!さ・・・作戦中止だ!全機爆弾を捨てて離脱せよぉ!!』

 

「な、なにっ!?」

 

馬鹿な・・・・私は無線で聞こえた知らせを聞いて驚いた。うちの重爆撃隊はアメリカのB17並みの頑丈さとB29並みの武装をしている。それが壊滅だと!?私は爆撃機の方へ顔を向けるといくつかの爆撃機が火を噴いて堕ちてゆき、生き残った爆撃機が爆弾を捨てて離脱しようとしていた。

 

「くそ・・・・・作戦失敗か・・・・なら少しでもここで敵を潰す!」

 

私は作戦失敗の悔しさから、私は敵の戦闘機を一機でも多く撃墜することに決めた。すると後ろから2機の零戦がやってきて機銃を撃ってくる。だが弾丸は私の機体に当たらない。二機のうち一機は警戒して撃ってきているようだが、そこで私は気づいた。このうちの一機が戦場を飛び出て間もない新兵(ヒヨコ)だということがとなると簡単に墜とせる・・・・・

 

「ふっ・・・・素人が」

 

私はそうほくそ笑むと、操縦桿を握り左旋回しそのゼロ戦の背後を取る。追われる側が追う側になったのだ。そして機銃を二機の零戦に向けて撃ち始める。だが向こうは必死になって避けるが私はぴたりと二機に喰らい付く。

 

「ふ・・・・逃げても無駄よ。死神からは決して逃げられないわ・・・・」

 

そして私は二機のうち一機に照準を合わせ引き金を引こうとするが・・・・・

 

ダダダダダっ!!!

 

「っ!?」

 

急に後ろから機銃の音がする後ろを振り返ると一機の零戦が急降下しながら機銃掃射してくる。私は速度を落としそのゼロ戦の真下につく体制をとったのだった。そしてそのゼロ戦は左旋回をし始め巴戦に持ち込もうとしていた

 

「ふっ・・・・一騎打ちを申し込まれるなんてね・・・・・・その勝負受けようじゃない」

 

そう言い私はその零戦の背後を取るために巴戦に加わったのだった。

 

 

そして疾風の乗る零戦とエミリアハルトマンの乗るbf109はまるで犬同士が尻尾を追いかけ合うようにぐるぐると回る。そう、ドッグファイト(格闘戦)だ。疾風は得意の左旋回を利用しながらエミリアの乗るbf109の背後を取ろうとする。そして激しい旋回の中、その旋回に強烈なGがかかる。血管が圧迫され心臓や目玉。そして内臓を抉り出されるような痛みが二人を襲う。

 

「ぐっ・・・・」

 

「くっ・・・・」

 

二人は痛みに耐えながら相手の背後を取ろうと必死になる。普通の人ならあまりの痛さに失神してもおかしくはないのだが、この二人はもはや気力だけで耐えていたのだった。この時二人は激痛に耐えながらも互いの粘り強さに感心していた。そして12周旋回し続けていると、エミリアはあることに気付く

 

「っ!?まずい!海面だっ!!」

 

海面がどんどん彼女の前に迫ってくるとエミリアはすかさず旋回を止め急上昇した。だが疾風はこの機を逃さなかった。疾風も急上昇をしてすかさずエミリアの背後を取った。そして疾風は後方に敵がいないことを確認した後、機首の12・7ミリ機銃を200発撃つ。そしてその銃弾の一つが風防ガラスを割りエミリアの腹を撃ち抜く

 

「うっ!!・・・・・」

 

負傷したエミリアだが、幸いにも急所は外れていたため、まだ意識があった。

 

「くそっ・・・・やるなあの日本人。これが侍というやつか?」

 

エミリアはそう呟きながら後ろの零戦を見る。零戦はいまだに機銃を撃つがエミリアのbf109はなかなか火を噴かなかった。なぜなら大戦時のbf109とは違いこのbf109は少し大きめに作られ後ろには防弾版がついていて12・7ミリなら角度によっては防げるようになっていた。だがエミリアはこの時、自分の機体が墜とされるのは時間の問題だと確信した。

 

「ならばせめて私を撃ち落とすパイロットの顔でも見るか・・・・・」

 

エミリアはそう言い、bf109の速度を落とすのだった。

 

一方疾風は

 

「なかなか落ちない・・・・それにさっきの巴戦もそうだがあのbf109のパイロット言い腕をしている・・・」

 

そう、bf109は本来格闘戦が得意な機体ではない。そのbf109を自在に操り格闘戦ができるパイロットの腕に疾風は感心していた。すると急に前にいるbf109が減速し始めたのだった。

 

「な、なんだ!?」

 

急な原則に疾風は驚き、そして彼の乗るゼロ戦はbf109の前に出てしまう。疾風は撃たれると思い身をかがませた。だが・・・・

 

「・・・・・あれ?」

 

かがませていた疾風だがいっこうに攻撃がない。疾風は身体をあげて後ろのほうを見るそこには穴だらけになりながらも空を飛ぶbf109の姿があった。攻撃する気配がないのを知った疾風は零戦を減速させてbf109と横並びになる形についた。そして疾風は敵のコックピットを見るとそこには金髪の年上の女性がいた

 

「お、女っ!?」

 

疾風がさっきまで一騎打ちをしていた相手が女のを知って驚いた。確かに疾風のところにも女性士官がいる。かくいう疾風の義理の母である北郷華琳も海軍将校だ。だが今まで戦った凄腕の相手が女性だというのに疾風は驚いた。コックピットをよく見るとその女性パイロットは腹に怪我をしていた。服が赤黒く染まっている。この時、疾風は自分の撃った弾丸で血を流している人間をこの時初めて見た。そして疾風は戸惑った。

 

「(どうする・・・・ここで見逃すべきか・・・・・いや、先ほどの腕からして彼女は脅威だ。ここで見逃せばまた多くの仲間が殺される・・・・・)」

 

疾風は殺すか否か迷う。だが彼女は敵だ。迷うべきではなかった。そこで疾風は風防をあけてその女性パイロットに手信号を送りそしてまた減速しbf109の背後を取り機銃を12・7ミリから20㎜に切り替えそして、照準をコックピットではなくエンジンに狙いをつけるのであった。

 

 

一方、エミリアは、零戦の搭乗員の姿を見るべく速度を落とした。そしてゼロ戦はエミリアの前に出る形になっていた。この時彼女は引き金を引こうとしたがすぐにやめた。なぜなら先ほどの戦いで銃弾を使い果たしてしまったのだ。そしてしばらくして零戦はエミリアと並ぶ形で飛ぶ。そしてそのコックピットからゼロ戦のパイロットの姿を見た。

 

「…‥子供?」

 

エミリアを追い詰めた零戦のパイロットはまだ幼い顔をした少年であった。しばらく並行飛行をしていたがその時その少年パイロットは手を振り始めた。それは手信号だった。

 

「(『コレカラ、アナタノ機体ヲ破壊スル。スグニ脱出セヨ』・・・・)」

 

エミリアが手信号を読み取ると少年こと疾風の乗る零戦はすぐに後ろに回る。これはすぐに撃ってくるエミリアはそう感じ取り、脱出しようと準備した時

 

ドドドドっ!!

 

後方から発砲音が聞こえる。しかもそれは12・7ミリではなく20ミリ機関砲の音だった。そして20ミリの一発がエンジンに命中しエンジンから火が出る。それを見てエミリアはbf109から飛び降り、しばらく落下する地パラシュートが開くのだった。エミリアはパラシュート降下の中、自分を落とした零戦を見る。その零戦には尾翼に白い雷マークがあったのだった。エミリアはその零戦を姿が見えなくなるまで見続けるのだった・・・・・

 

そして疾風はまだ燃料に余裕があったため、疾風は新たな敵機を探していた。そして探している中、疾風はさっきの空中戦のことを思い出していた。

 

「あのドイツ兵・・・良い腕してたな・・・・もう一度会えるだろうか」

 

そんなことを呟いていると二時方向下に敵編隊を発見した。

 

「いた・・・」

 

疾風は急降下して敵機に一撃を浴びせるため機銃の引き金を引く。だがこの時、疾風はその機体に近づいた時に気が付くそれは戦闘機ではないことに

 

「こ、これはJu87スツーカかっ!?」

 

そう疾風がつっこんだのは戦闘機ではなく。ドイツの急降下爆撃機であるju87スツーカであった。スツーカ爆撃機の搭乗員は後部機銃で疾風の機体を撃墜しようと機銃を撃つ。そして・・・・

 

パリンッ!!

 

零戦の風防ガラスが割れる音とともに疾風の視界は真っ赤に染まった。そう、スツーカ爆撃機の編隊が放った機銃のうち一発の7・92ミリ弾が疾風の左目の上の部分を貫通したのだ。疾風はその衝撃で座席に押し付けられてその瞬間体に激痛が走り、彼の乗る零戦はそのまま墜ちていくのだった。

 

 

 

 

疾風視点

 

 

「(・・・・墜ちる・・・・・機体がどんどん墜ちていく・・・・それに目の前が真っ赤だ・・・・俺は…ここまでなのか・・・・)」

 

俺はもはやこれまでかと思い死を覚悟した。そして俺はゆっくりと瞼を閉じて自分の最後を待った

 

『起きなさい・・・・・・起きなさい村正・・・』

 

誰だ?誰の声だ?女性の声だが・・・・・どことなく懐かしい声だ・・・・もしかして・・・・いや間違いない・・・死んだ姉さんの声だ。

 

「はは・・・・この声は姉さんか・・・・・どうやら迎えが来たんだな・・・」

 

俺がそう呟くと・・・・

 

『いい加減に目を開げて機首をあげなさい!村正っ!!』

 

と、姉さんの怒鳴り声が聞こえ、俺は目をカッと目を見開くすると目の前に海面が迫っていた。そして俺は操縦かんを握り必死に機首を上げようとした。傷の痛みがするがそんなことも気にせず俺は渾身の力で引っ張る。そして俺の機体は海面すれすれのところで機首が上がり海面に突っ込むのを防ぐことができた。そして俺は今の状況を確認した。

 

「そうだ・・・・目をやられているんだ・・・・・・左手が動かない・・・・・左足もか・・・」

 

そのせいか、上手くバランスが取れず、ふらついた状態になっていた。こんな状態で基地に帰れるのか・・・・それに今自分がどこにいるかもわからない・・・・そう思っていると

 

『村正。進路が右にずれているわ。左に修正しなさい。そしてそのまま、西に向かいなさい。眠ってはだめよ』

 

再び姉さんの声が聞こえる。その声は厳しくも優しい声だった

 

「姉さん・・・・・まだ、こっちに行くなって言うのかよ・・・・・」

 

『ええ、そうよ。あなたはまだ死んではだめよ。あなたの人生はまだこれからなのよ。ここで死んではだめ。こっちに来たらぶん殴ってでも追い返すわ。私より長生きして幸せにならなければ絶対に許さないからね村正・・・』

 

「はは・・・・厳しいや姉さんは・・・・わかったよ姉さん・・・」

 

俺はそう言うが、もう姉さんの声は聞こえなかった。そして俺は姉さんに言われた通り西に向けて飛んだ。すると胸ポケットから何かが落ちる。俺はそれを拾うとそれは虎の絵が描かれた金属版だ。これは飛行学校を卒業した時教官である逸見先生に貰ったものだ。そして俺は逸見先生が言った言葉を思い出す。

 

「虎は千里を行き千里を帰るっか・・・・・逸見先生・・・・」

 

俺はその金属板をぎゅっと握る。俺は死なない。死ぬもんか。俺はまだ死ぬわけにはいかない。俺はそう決心し、操縦桿をを握り西へ向かう。しばらく飛んでいると空も夕方になっていて、赤い夕陽に包まれ俺は目の前にあるものを見た

 

「・・・・・・ラバウルだ!」

 

俺の目の前に見えたのはラバウルにある火山、タブルブル火山(日本名は花吹山)が見えた。俺は零戦の脚を出しそして緊急着陸のことを考えて火災防止のため火災防止スイッチを切る。気絶しそうな痛みに耐えながら俺はフラップを目いっぱい下ろし、スロットルを絞り、慎重に飛行場に降りてゆく。

 

「そのまま・・・・・そのまま・・・・」

 

俺がそう呟く。そして着陸の振動とともに俺は速度ブレーキをかけて減速する。そして俺の零戦はゆっくりと止まったのだった。そしてすぐに俺の部下である杉田が俺の方へ駆け寄り風防ガラスを開ける

 

 

「小隊長っ!?大丈夫ですか!!」

 

「少尉!」

 

「はは・・・帰って来たぜ・・・・」

 

俺は笑いながら、杉田達にそう言う。そして俺は杉田や鴛淵中尉の肩を借りてコックピットに降りると。

 

「状況報告・・・・・をします・・・指揮所は・・・・司令官はどこですか?」

 

俺がそう言うと司令官がやってくる

 

「疾風少尉!」

 

俺は司令官を見る敬礼し、意識がもうろうとしている中、報告をした

 

「た・・・・ただ今帰りました。ヒトヒトサンマル・・・・南洋の上空にて…敵爆撃隊と・・・・」

 

「も、もうわかった!早く医務室に行け!早く医務室に行きなさい!」

 

司令官が慌ててそして心配した声を聞いて俺は安心したのか腰が抜けて倒れてしまう。そしてその後は担架に運ばれ、その後、俺はけがを治すため前線を離れ本土の横須賀病院で入院することになり、その半年後怪我が治った疾風はまた戦場を飛ぶのだった。

 

そしてその後流れた映像は怪我が治り欧州へ派遣された疾風がまたエミリアハルトマンと再び出会いも戦う姿。そしてとある酒場で偶然に出会い、意気投合して茶飲み友達になる姿。そして再び空で激しい空中戦が映し出しされた。無数にいる爆撃機が敵の軍事工場や基地を爆撃する映像、、そして疾風がこの世界に来る直前の映像が流れそして映像が消えてあたりが明るくなり元の部屋に戻る

 

『・・・・・・』

 

「これが私と疾風との出会い…そしてこれが私たちの世界で起こった出来事よ」

 

映像が終わると周りは何も言えない状態だった。初めて見る人間同士の戦争。もしネウロイがいなければ自分の世界もそうなっていただろうっとみんなそう感じていた。中には顔を青ざめているものもいた

 

「言ったでしょ?いいものじゃないって・・・・でもま、戦争が残酷なのはいいことよ」

 

「な、なにっ!?」

 

エミリアの言葉にバルクホルンが怒って襟をつかむ

 

「貴様っ!今なんて言った!?お前はあの残虐な光景が良いっというのか!?」

 

「ええ・・そうよ。戦争が残酷で悲惨なことを知ってれば戦争なんてものを好きになる人間や起こそうとするバカ共が増えずに済むわ」

 

「・・・・・・」

 

そう言い、エミリアはバルクホルンにそう言うと、部屋を出るのだった。そしてしばらく暗い雰囲気が部屋に残るのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      次回「ジェットストライカー」

 

 




はい。やっと書き終えました。。
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