ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「虹の音」
作戦会議から数時間後、俺は自分の部屋にいた。因みにアイはベットでぐっすり寝ている。俺はその姿を見て微笑んだ。すると・・・・
コンコン
誰かがノックする。誰だろうこの時間に?すると
「疾風。いるか?入るぞ~」
「ああ、エイラかいいぞ」
俺がそう言うとエイラがはいってくる
「アイ寝ちゃったカ?」
「ああ、この通りぐっすりと寝てるぞ」
「そっか・・・・なあ話があるんだけど、いいカ?」
「話?いいけど…まぁ、座れや」
ベッドの上をぽんぽんと叩き、エイラは俺の隣に座る
「あんがと。で、話なんだけどさ」
「うん」
「シールド張る練習、手伝ってくれないカ?」
「…お前、あきらめてなかったのか?」
「だって…考えてもみろよ!宮藤がサーニャを取っちゃうかもしれないダロー!」
と、すごい真剣な目で俺に言う。あまりの真剣さに血の涙が出てるのは言わないでおこう
「取る取られるって…お前らそういう関係じゃないだろ」
「じゃあ俺は、アイがバルクホルン大尉と一緒にローマに出かけてもいいのカ?」
「いや。義姉さんと一緒なら問題ないだろ?姪と伯母だし・・・・・・」
「じゃあ、クルピンスキーだったら?」
「・・・・・・緊急事態だな」
「ダロ?ちょっとオーバだけどな・・・・・」
「まぁ、練習の手伝いをするのに異論はないけど、具体的にどんな練習をするんだ?」
「ソウダナ……私を撃ってくレ」
「…………はい?」
エイラのいきなりの言葉に俺が驚くと・・・・
「う、う~ん・・・・お父さん?お母さん?」
アイが眠たい目をこすり起きてしまった。
「ああ、ごめんアイ。起こしちゃったカ?」
「ううん・・・・・お父さんとお母さん何やってるの?」
「あ、いや・・・ちょっとした小話をな。なあエイラ?」
「ああ、そうだな」
と、互いに笑う。するとアイは・・・・
「これがバカップルってやつですか?」
といきなりすごいことを言った
「ア、アイ!?」
「どこでそんな言葉覚えたんだ!?」
「?え、え~と・・・・・クルピンスキーお姉ちゃんに教えてもらったの」
と、アイがそう言うとアイは寝ぼけて気づいていなかったが二人の髪の毛が少し逆立ち真っ赤な怒りのオーラを発していた
「あ、あの偽伯爵アイに変な事教えやがっテ・・・・・#」
「あいつ・・・・・今度会ったら制裁だな#」
と、怒気を含めてそう呟くのだった
ペテルブルグ502基地
「う”ぅ・・・・」
「どうしたんですかクルピンスキー?」
「ああ、先生・・・・・ちょっと寒気が・・・・・風邪かな?」
「あなたが風邪なんて引くわけないでしょ?どうせどこかのウィッチに恨まれることしたんでしょ?」
「まさか~僕は女の子に好かれることはあるけど、恨まれることはしてないよ~」
「はぁ・・・・あなたいつか誰かに刺されるわよ・・・・それよりも疾風大尉についていったアイちゃんは大丈夫かしら?」
「大丈夫でしょ。501にはエイラ君や疾風君がいるんだからさ」
「それもそうね・・・」
と、そんな話がされていたそうな・・・・。
「お母さん。本当に大丈夫?」
「……危なくないか?」
「このほうが本気で練習できる」
「そりゃ・・・・確かにそうだけど…」
基地上空。中佐に飛行許可をもらい、シールドの特訓中だ 俺が防御対象で、攻撃役の攻撃をエイラが防ぐ。というもので、その攻撃役が、
「ではお母さーん!!いくよー!!」
数十メートル向こうで元気良く手を振っている我が娘アイである。足をネウロイユニット化させて空を飛び、手先もネウロイ化し、いつでもビームが撃てる体勢だ。シールドの特訓をするんだ、と言ったらすぐに、手伝わせて欲しいと言ってきたので連れてきた。因みに交代制で午後はペリーヌとリーネがやる予定だ。
「(……訓練とはいえ、娘に撃たれるのはいい気分じゃないな)」
「ドンとこーいアイ!!」
エイラがそう言うとアイは頷き手を前に出してビームを出す。赤い光線はまっすぐこっちに向かってくる。そして当たる直前にエイラがシールドを張り俺を守るっという予定なのだが・・・・エイラは全弾・・・・いや。全ビームを回避した。無論俺も・・・・
「さすがだな、エイラ!」
「いつも通りダナ、疾風!」
と、場の雰囲気にのまれて思わずハイタッチしようとした瞬間
「お父さん!お母さん!避けちゃ特訓にならないでしょ!!」
「「……サーセン」」
アイに本気で叱られました。てか、アイ怒ると滅茶苦茶怖い・・・・・・
一方、基地のテラスでは
「うわぁ~、あんなの私にもできないよ…」
「その才能が仇になるとわな」
「まさに悲劇ね・・・・」
と、バルクホルン、ハルトマン、エミリアの三人が3人の特訓を見ていた。そしてその特訓を見ながら三人は
「三人とも本当親子みたいだね?ねえトゥルーデ伯母さん?」
「ああ・・・・てっ!ちょっとハルトマン!!」
「にゃははは・・・・・て、あれ?エミリア?それで何してるの?」
「ん?ああ、前にスマホにマリ〇ゲームのアプリを保存していたのを思い出してね、で、今プレイしてるの・・・・・あっ死んだ・・・クソ!クッ〇めっ!!」
「ねえ、ミリア。それ後で私にもやらしてくれない?」
「ええ、このステージ終わってからでいい?」
「お前ら!ちゃんと三人の特訓を見てやれ!!」
バルクホルンたちがテラスで見ている中、エイラたちの特訓は続く。
「今度は、真面目にね!」
そういってから、アイはもう一度ビームを放つ。しかし二人は癖なのかシールドを張らずまた回避してしまう。そして疾風とエイラはハイタッチするするとアイは黙ってしまう・・・・
「・・・・・・」
「ア、アイ?」
「ドウシタンダ?」
いつもと何かが違う。なんか黒いオーラに二人は何か感じアイにそう訊くがアイは無言で手からビームを放つ。
「無言で乱射してきたぞ!?」
「さっきより威力上がってないカ!?」
二人はびっくりするがアイは無言でビームを乱射する
「ア、アイ!?落ち着けって!」
「そうだぞ!?落ち着けよ!?」
二人はそう言うが・・・・・二つのビームが二人の頬を掠る。
「ひっ!?・・・・もしかしてアイ・・・怒ってる?」
「い、今のはやばかったゾ!?」
と、二人が冷や汗をかくとアイは怖いくらいの無言でビームを放つ
「乱射の次は極太かよ!?ア、アイ!わ、悪かった!!お父さんが悪かったって!!」
「うわぁ!?ア、アイ!?や、やめてくレ!お母さんも謝るからっ!!」
と、その後、ペリーヌたちが来るまでの午前中、地獄のような訓練が続くのだった。そして午後の特訓もエイラはシールドを張れずに訓練は終わってしまうのであった。自分の部屋に入ると、ソファーにコートがかけられているのが目に入った
「これって…」
「エイラの、コートでしょ?成層圏は、寒いから」
エイラがそのコートを手に取り呟いたら、クローゼットをあさっているサーニャが話しかけてきた。
「そっか!そういやこれも久しぶりだな!」
と、エイラは嬉しそうに言う。そのコートを最後に来たのはガリア501が解散し疾風が502に行くまでの間着ていたものだ。あれからいろいろ経つんだなっとエイラは思っていた。
「それで、どうだった?」
「え?」
「疾風さんとアイちゃん。そしてペリーヌさんの特訓」
「な、なんだ…知ってたのか」
エイラは秘密にしていたつもりだったのだが午前あんな騒ぎになっていたためさすがのサーニャもエイラが特訓をしていたことに気付いたのだ。
「上手くできた?」
と、サーニャはわずかに期待の混じった、何の疑いもない純粋な目でエイラに聞いたがエイラはその顔を見ることができず。乾いた笑いをし
「ムリ・・・・駄目だった」
「・・・・そう」
少し残念な顔をするサーニャ。するとエイラはサーニャの首に掛けられていたマフラーの他に彼女の腕には、いくつかのマフラーが握られていたのに気づいた。
「あれ?マフラーそんなに持ってくのカ?」
「ああこれ?エイラと私と、芳佳ちゃんの分よ」
「宮藤!?」
「うん。芳佳ちゃん扶桑から何も用意しないで来ちゃったから貸してあげようと思って」
できれば聞きたくない単語が彼女の耳に入る。その時、エイラの胸の中に何か黒い淀みのような渦巻いてくるそれは嫉妬と苛立ちそして自分がシールドを出せない虚しさの入り混じった感情だった。
「エイラも、張れるようになるといいね…シールド」
「ムリだよ…」
「え…?」
「やっぱり、慣れないことはするモンじゃないナ」
「エイラ、諦めるの?」
「…できないことを、いくらがんばったって、仕方ないじゃないか…」
「できないからって、諦めちゃだめ!…諦めちゃうから、できないのよ…」
と、サーニャは自分なりに彼女を励ましたつもりだった。しかし今のエイラにとってはその言葉は心に刺さりそして耐えがたい言葉でもあった。そして彼女は耐えられなくなり涙を押し殺したような声で
「じゃあ最初からできる宮藤に守ってもらえばいいだろ!!」
と、感情任せにサーニャに行ってしまった。その時エイラは後悔した。しかし一度口にした言葉は取り戻せずそしてその感情を抑えられなかった。
「エイラのバカ!」
「サーニャの分からず屋!」
サーニャの言葉にエイラも向きになって言い返してしまった。するとエイラの目の前に買い物の時、疾風に無理を言って買ってきてもらって、サーニャにプレゼントしたあの枕だった。そしてエイラはその攻撃だけは予測し回避することもできず顔に当たった。
「・・・・」
「・・・・」
しばらくのその場は沈黙の間となり、そしてサーニャは涙を浮かべて部屋を出て行ってしまった。
「あ……」
追いかけたかったでもできなかった。自分が好きな女の子であるサーニャの目に浮かんだ涙が忘れられなくて・・・・・
「サーニャ・・・・」
エイラはただ一人、涙を浮かべてそう呟くしかできなかった・・・・・
その夜。サーニャはただ一人水浴びをしていた・・・・月の光がただ無言で彼女を照らし水の流れる音が彼女の耳にささやいていた。すると・・・・
「サーニャお姉ちゃん・・・・」
「アイちゃん?」
と、サーニャは振り向くとそこにはアイがいた。
「どうしたの?こんな夜中に?」
「お散歩。月が奇麗だから・・・・」
「そう・・・・」
「サーニャお姉ちゃん…何かあったの?」
「え?」
「なんか、元気、ない」
とそう言いアイは足を水につける。因みにアイにとって疾風は父、エイラは母。バルクホルンとアウロラは伯母。そしてサーニャのことは姉として慕っていて、いつもサーニャのことを「お姉ちゃん」っと呼んでいた。すると・・・・・
「サーニャアアアアン!!」
「「っ!?」」
と、何者かがくるくると回転し水に思いっきり水に飛び込み水しぶきをあげる
「は、ハルトマンさん?」
「飛び込み技術80点・・・・・」
「いったぁ~…てアイちゃん。なんで80点?」
「着地失敗したから・・・・」
と、水に飛び込んできたのはハルトマンだった・・・・そしてその後、サーニャは二人に自分の悩みを話した。
「にゃはは、そんなことがあったんだ」
「笑い事じゃありません…」
「ねえ、サーニャお姉ちゃんは、お母さんと、飛びたいの?」
「私は…」
「もしかしたら、お母さんにどうして欲しいのかっ言ってないんですか?」
「あ…」
確かにアイの言う通りそうだ。自分はただ励ますだけで彼女に自分がどうして欲しいのか一言もちゃんと告げていなかったのだった。
「サーニャンは優しいからね・・・・ねえアイちゃん」
「うん」
「私は・・・・」
「で、サーニャンはどうしたいの?」
「私・・・」
「任務じゃ仕方ないか・・・・・」
ハルトマンがそう言うと。サーニャは複雑そうな顔をするのだった。そして一方エイラはしばらく部屋で考え事をしていたが眠れず気晴らしに廊下を歩いていた。
「(なんであんなこと言っちゃったのかな・・・)」
先ほどサーニャに言った言葉にエイラは後悔していた。すると誰かにぶつかる。そのぶつかった相手は
「エイラ?」
疾風だった。するとエイラの目がだんだんと涙でたまって来た。
「え、エイラ?どうしたんだよ!?」
疾風が慌てて言うとエイラは疾風の胸に顔を埋め涙を流した。
「・・・・・」
「疾風・・・・・ぐすっ・・・疾風ぇ~!!」
「どうしたんだよ・・・・・何かあったのか話してみろよ、俺にできることなら協力する」
疾風はエイラに優しくそう言うとエイラはサーニャと喧嘩したことを話した。
「なるほど・・・・・そう言うことがあったのか・・・・・で、エイラ。なんでサーニャが怒ったかわかるか?」
「…私が、すぐに諦めたから」
「う~ん・・・・ちょっと違うかな?」
「え?」
疾風にそう言われエイラは顔をあげる
「思い出せ。サーニャはお前にどうして欲しいとか言ったか?」
「あ…」
エイラは先ほどサーニャが言った言葉を思い出しそして気づいた。
「サーニャはなお前がすぐに諦めたから怒ったんじゃない。宮藤に守ってもらえと言われたから怒ったんだ。サーニャは本当はお前に守って欲しかったんじゃないのか?」
疾風にそう言われエイラは気づいた。そう彼女はただ単に自分を励まそうとした。なのに私は・・・・エイラは改めて自分の言った言葉に後悔した。
「エイラ・・・・エイラにとって、サーニャはどんな存在なんだ?」
「サーニャは・・・・・・サーニャは・・・・私の大切な親友だっ!」
「本当か?」
「ああ!私にとってかけがえのない大切な親友だっ!だから私がサーニャを守らなきゃいけないんだっ!」
と、エイラが疾風に言うと疾風はふっと笑い。
「いつものエイラに戻ったな。それでこそエイラだ」
と、疾風はそう言うとエイラは涙を拭いて
「ありがとな疾風。私の相談に乗ってくれて。私もう一度頑張ってみる!」
そう言い、エイラは自室へと駆け出した。すると疾風が呼び止めた
「それとエイラ」
「ん?なんだ?」
と、エイラは後ろを振り向き、そして疾風は不敵な笑みでこう言った。
「『手が届くうちに手を伸ばせ』。俺から言えることはそれだけだ!」
と、疾風がそう言うとエイラは笑顔で頷いて部屋に戻るのであった。
作戦決行まであと2日・・・・・