ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「ブックマークア・ヘッド」
バルクホルン視点
「・・・・・・・くっ!」
眼下に広がるのは、忘れようにも忘れない。炎に包まれる祖国、そしてそれを焼き払う謎の生命体ネウロイ
「っあああああああああああああああああ!!!!」
怒りのまま機銃を乱射する。ネウロイが反撃をしてもシールドで防ぎネウロイの装甲を削っていく。そして装甲の隙間からコアが見えてきた。
「うああああああああああ!!!」
バルクホルンはコアにめがけて銃弾を叩き込む。コアが破壊されネウロイは白い破片となって飛び散って落ちた。
だがその下には、一人で泣いている女子がいた。
「クリスッ!!」ガバッ
飛び起きて目に入ったのは、自分の寝室だった。
「ゆ・・・め・・か・・・・なんで今頃あの夢を・・・・・」
疾風視点
そこは病院の中だった。その中に担架に運び込まれた女性と、涙を流す4歳くらいの男の子の姿があった。
「ひっぐ、グス、なんで、なんで、お姉ちゃんがこんな目にあうの?・・・・・う、ぐすん お姉ちゃんは正義の味方なのに、悪い奴と戦う正義のヒーローなのに。うっう・・・・」
「ばかね・・・正義という言葉はね、やたらと口に出すものじゃないのよ。自分の心に大切に強く秘めておくことが大切なのよ・・・・・疾風・・・強く・・・・そして心優しい子に育ってね・・お姉ちゃん・・ずっ・・と・・見守って・・いるから・・・ね・・・・・・」
「お姉ちゃん?・・・お姉ちゃん!? お姉ちゃん!! うぁぁぁぁーん!!」
「・・・・・・・・嫌な夢だ・・・・・」
そういい俺は体を起こした。
「ひどい汗だな・・・・・・」
といい俺は外の景色を見た・・・・・・・
食堂
俺は風呂に入った後食堂に向かった。
「あ、疾風さんおはようございます」
「おう、おはよう。朝食ご苦労さん宮藤」
俺はカウンター挟んで二人に話しかける。
「そうだ疾風さん。知っています?カウハバ基地が迷子になった子供のために出動したんだそうですよ」
「すごいですね!!たった一人のために動くなんて!」
「ほう・・・そりゃすごいな。まあ、軍隊は国を護る事と、人命救助も任務の内だからな」
俺の元いた部隊も、遭難者や迷子が出たときはよく出撃したっけな・・・・・
「へぇ・・・そうなんですか・・・やっぱり、一人を助けられないとみんなを助けるなんてなんて無理ですよね!」
「そうだね」
「・・・・・・・・・」
「? どうしたんですか疾風さん?」
「えっ?いや何でもない・・・」
みんなを守る、か・・・・
確かに大切なことだが・・・・・・
「みんなを助ける‥‥そんなの夢物語だ」
「!?」
突然隣から声が聞こえた。その言葉は俺が思っていたことを言っているように聞こえた。
「バルクホルン大尉?」
「すまん・・・・独り言だ」
「・・・・・・・・・」
その後しばらくして501全員が食堂へ集まってきた。俺も食事を受け取って適当な席に向かった。
「疾風~ここ空いているよ~」
「お! サンキューなハルトマン」
ハルトマンに勧められた席に腰を掛ける。
ハルトマン か‥‥なんかあいつを思い出すな。名前と顔は違うけど・・・・あいつ今頃何してるんだろうな。
ん?そういえばエイラとサーニャの姿が見えないな・・・・如何やらや夜間哨戒明けでまだ眠ってるようだな。
「おはよう、元気がないわねトゥルーデ」
「・・・・そんなことはない」
「でも、手が止まってるぞ」
「そうだね~食事だけはしっかりとるのにね~」
「・・・・・・」モグモグ
「・・・・・・・・」
バルクホルンは無言のままスプーンを動かし始めた。
ミーナ中佐とハルトマンは困ったような笑顔を浮かべていた。
「おかわりー!!」
「あ、はーい!!」
宮藤がルッキーニにお代わりのボールを持って走ってきた。
「・・・・・・」
「あの・・・お口に合わなかったですか?」
「・・・・・・」ガタッ
「あ・・・・」
何も言わずバルクホルン大尉は席を立って行ってしまった。
「・・・・・・・」
正直俺はバルクホルン大尉とはあまり交流がない。けどなんとなくだが大尉は何か思い詰めているように見えた。
「いけね、ごはんが冷めちまう。」
そういい俺は朝食を食べた。
食べてる最中、ペリーヌと宮藤がなんか言い争ってるな・・・・・
「どうしたんだ?二人とも」
「あ、疾風さん。なんか納豆が、お口にあわないみたいで・・・」
「当たり前でしょ!こんな腐った豆なんてたべられませんわ!!」
「あ~なるほどな」
確かに初めて納豆を見る人にはきついかもな、特に外国人ならなおさらだ・・・・よーし
「何ならいい方法がある」
「「?」」
そう言って俺は厨房に向かいあるものを持ってきて、それをかけた
「あれ?臭いが・・・・」
「疾風大尉、なにをかけたんですか?」
「ん?あぁ、これをかけたんだよ」
そういい俺は納豆にかけたものを見せた。
「え、これってごま油?」
「あぁ ごま油は臭いが納豆より強いから納豆のあの匂いが消えるんだよ。ごま油がない時はオリーブオイルでも可!」
「そ、そうなんですの・・・・・でもこのネバネバはやっぱり駄目ですわ!」
「なるほど・・・・・宮藤、卵はあるか?」
「え? あ、はい。あります」
「ペリーヌ中尉ちょっとその納豆を借りますよ」
といいおれは納豆を持って厨房に入ったそして卵であるものを作った
「ほい、お待ちどうさん」
「これは・・・・オムレツですか?」
「あぁ、俺特製の納豆入りオムレツだ。まあ、食ってみなよ」
「え?あ、はい・・・・・・・・・・あら?ネバネバしませんし、それに美味しいですわ」
「納豆は加熱するとネバネバが消えるんだよ。これで大丈夫か?」
「え、ええ ありがとうございます大尉」
「どういたしまして。それじゃ俺はこれで宮藤、ごちそうさん。ごはん美味かったぜ」
「あ、はい!!あ、あと疾風さん」
「ん?なんだ?」
「あの、ありがとうございました。それにしてもすごいですね。私あんな方法があるなんてちっとも知りませんでしたよ。」
「おれ、結構、海外派遣とか多かったからな。だから日本料理・・・・いや、こっちじゃ扶桑か、まあその人の口に合うよういろいろ工夫してたら自然にってな」
「そうなんですか・・・・」
「ま、そうことだ」
そういい俺は食堂を後にした。
あれからしばらくした後、俺は自分のストライカーの調子を見に格納庫に向かった。
「おぉ!疾風大尉!!」
「ちーす、整備員、俺のストライカーどうなってるんだ?」
話しかけてきたのは俺の機体が、ストライカーユニットに変形したと報告してきた。赤いバンダナをした無精ひげの整備員だった。
「おう、ばっちしよ。いつでも快調に飛べるぜ! あ!それとお前の機体がユニットに変形した後なんだけどよ、こんなのがついてたんだよ。」
と言って整備員はあるものを見せる
「これって・・・三式十三㎜機銃じゃないか!!」
それは俺の紫電改の機首についていた。三式一三㎜機銃だった(日本海軍がアメリカのⅯ2重機関銃をコピーした物)。
しかしこの機銃は少し変わっていた。銃床がついて照準器がついている。見た感じルッキーニが使っているⅯ1919A6型のでっかい版みたいだな・・・・
「そういう名前なのか‥‥まあ、重いが結構命中率はいいみたいだぞ。出撃の時はこれを使ってくれ」
「ああ、ありがたく使わせてもらうよ」
「おう!!またなんかあったら相談してくれ大尉」
「ああ、そん時は頼むわ」
といい、俺はユニットを軽く点検してその場を後にした
廊下を歩いているとそこに宮藤がモップを手に掃除をしていた。へえ、感心だな・・・・・あそこのペリーヌが…‥てっやばっ
「ふう~[べちょ]ん?」
モップを後ろに向けたら何か当たる音がした。振り返ってみると。
「やあ・・・・宮藤・・・・できればモップをどけてくれると助かるんだが」
そこにはペリーヌさんと濡れたモップを被った疾風さんがいた。
「え!疾風さん!! えっと、あの…ごめんなさい!!」
「いいよ、いいよ。大丈夫だから。それと掃除をするときは周りに注意しろよ。危うくペリーヌにモップが当たるとこだったんだぞ」
「え!そうだったんですか!大丈夫ですかペリーヌさん?」
「そのセリフ、そのまま疾風大尉に送りますわよ。」
「あはは・・・大丈夫だよ。じゃあ宮藤、これからは気をつけて行動するように」
「あ、はい・・・・・」
そういい俺はその場を後にしようとしたが何かの視線を感じた。その先にはバルクホルン大尉とハルトマンがいた。そして宮藤と目が合った途端その場から離れた。あのときのバルクホルン大尉の目は‥‥‥
「・・・・まあ、考えてもしょうがないか‥‥」
「疾風大尉・・・」
「ん?」
「先ほどは庇ってくれてありがとうございました。宮藤さんも次からは気を付けてくださいね」
と、ペリーヌはその場を後にした。
「あ、あの疾風さん。本当にごめんなさい。私失敗ばかりして・・・」
「気にすることはないさ。人は失敗する生き物だからな。大切なことはそこから何かを学ぶってのが大事なんだよ」
「そうなんですか・・・・疾風さん。疾風さんは何で軍隊にはいったのですか・・・?
「・・・・・・姉さんの意思を受け継ぐためだよ」
「お姉さんの?」
「ああ、姉さんは軍人でな、その姉さんの守りたかったものを継ぎたいと思って軍に志願したんだよ」
「そうだったんですか・・・・」
「宮藤は何で軍に入ったんだ?」
「・・・・・私は最初戦争が嫌いでした。お父さんを奪った戦争が嫌いでした・・・・でも私は決めたんです。傷ついた人、病気な人、沢山な人のために私の力を役立てたいそう思って私はウィッチーズに入ったんです」
「・・・・・・・そうか・・・・宮藤は強いな・・・・」
「そんな!私強くなんかありません。」
「いいや強いよ、精神で比べると俺よりもな・・・・」
「・・・・・・そうだ、疾風さんのお姉さんは元気にしてるんですか?」
「・・・・・・・・」
「疾風さん?」
「・・・・・・死んじゃったよ。戦争の最中、俺が4歳の時にな」
「!? 疾風さんのお姉さんも・・・・戦争で・・・・でも疾風さんの世界にはネウロイがいなかったんでしょ?」
「ああ・・・・いない・・・・けど、人類の共通する敵がいない世界は人間同士が戦争する世界だったんだ。・・・」
「え?」
「戦争の火種はいくつもある。宗教や資源、土地なんかだ・・・・少し昔は平和だったんだけどな・・・・」
「・・・・・・・・辛くはなかったんですか?」
「辛くないと言えば嘘となるな・・・・俺は戦争や人殺しなんてしたくもないし、やりたくもない。だけどね宮藤、一般人と軍人の違いはこの軍服を着ているってことなんだ・・・・国や大切なものを守るため、血で汚れる。それが俺たち軍人だと俺は思っている」
「・・・・・・・」
「・・・・・暗い話をしたな。今の話忘れてくれ・・・・・」
といい俺はこの場を去った・・・・
「・・・・・・疾風さん・・・・・」
続く
次回「姉と弟(後編)」