ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「STRIKE WITCHES 2 〜笑顔の魔法〜」

挿入歌「Sweet duet」

ED「虹の音」


第56話「Sweet duet」

翌日、連合空軍によるタワー型ネウロイの攻撃が始まった。彼らもウィッチたちの活躍で戦果が撮れなかったので焦っていたからだ。そしてまず最初の攻撃はフォルゴーレ戦闘機の機銃掃射に重巡洋艦ザラとポーラが艦砲射撃をし、最後にブリタニアのランカスター爆撃機がアップ・キープ爆弾でネウロイを攻撃していた。しかしタワー型ネウロイの体の一部を破壊することはできたが、進行を防ぐことはできず、逆に返り討ちに会い壊滅状態となった。そしてとうとう俺たちの出番となったのだ。

 

格納庫

 

「ふふ~ん、似合ってるじゃないか、ルッキーニ」

 

シャーリーは赤いコートと黄色のマフラーを着たルッキーニを見て嬉しそうに言うだが、ルッキーニはというと

 

「暑いよ~…」

 

分厚いコートを着ていたためか暑がっていた。

 

「我慢だルッキーニ、成層圏は無茶苦茶寒いんだぞ?」

 

「うっ、寒いのやだ~」

 

「ははは、じゃあこれも付けてっと」

 

と、シャーリーはルッキーニに耳当てをする。一方、宮藤の方はというと 

 

「バルクホルンさんのコート、ちょっと大きい」

 

「無いよりはマシでしょ?」

 

と少しぶかぶかのコートを気ながらそう言うまあ、義姉さんとは身長差が10センチ近くあれば、そうだろうな。すると宮藤は俺の方を見ると

 

「あれ?そう言えば疾風さん。その服って・・・・・」

 

「ああこれか?極寒の世界に行くんだ。さすがにあの服だとね・・・」

 

今俺が来ていたのはこの世界に着ていたあの飛行服だ。さすがに我慢強い俺でも高度2万以上はさすがにきついからな。因みに俺の飛行服は夏は涼しく冬は暖かい構造になっている。隣を見るとエミリアもssの黒服姿ではなく分厚い冬コートを着ていた。

すると、義姉さんが机を見ると

 

「ん?何だコレは?」

 

机の上に、お茶の入ったカップとポットが置かれている。匂いがいつもと違う

 

「ジンジャーティーを作ってみました。体が温まりますよ。お砂糖たっぷり入れたから飲みやすいと思いますよ」

 

「ふむ。いただこう」

 

そういって、みんな紅茶を口に運ぶが、 みんな少し渋い顔をする

 

「まじ~…」

 

「いや、それでもなかなか……ウグッ」

 

「「お代わり~♪」」

 

「あ、後から来る…」

 

「だが、薬だと思えば、どうということは無い」

 

「…お茶は飲みやすいのが一番ですよ」

 

と、みんな反応はそれぞれだったが、エミリアとミーナさんには好評だった。

 

「(なんでお前がサーニャのマフラーしてんダヨ…)」

 

その中でエイラはジンジャーティーを飲みながら宮藤の方をじっと見ていた。結局二人ともあのことがあってから、仲直りの話を切り出すこともできずそして時間となりウィッチたち全員が滑走路に集まる。そして滑走路に巨大な魔方陣が浮かび上がりウィッチ12人ウィザードが1人、計13人が、三段ピラミッドの形になっている。後は空へと上がるだけだ。因みに今回の作戦の内容は数分前ブリーフィングルームで坂本少佐に説明されたその内容とは

 

「作戦はまず、5人からなる第一打上げ班による通常動力によって高度1万まで上昇。限界高度1万までの到達後、第一打上げ班は直ちに離脱。そして第二打上げ班は速やかにロケットブースターを点火。宮藤、サーニャの突撃班を高度2万まで打ち上げる。そして宮藤、サーニャ両名はブースターに点火。ネウロイのコアがある。33333mまで上がりさらに上昇。そして弾道飛行に移行。コア破壊へ向かう」

 

という作戦内容だった。しかし高度三万の世界は-70℃の極寒の世界。宇宙の入り口でもあるがそれと同時に魔法がなければ一瞬にして死に至る死の空間だ。行けて無事に帰れる保証はない。

 

「出撃します!」

 

「了解!!」

 

そして作戦開始のカウントダウンが始まった。そしてカウントゼロと同時に13人が高度3万まで上昇をし始めた。それはまるでロケットのようだった。そして段々出力を上げていく第一打ち上げ班。高度は順調に上がり、間も無く1万にさしかかろうとしていた。サーニャは魔導針を展開し、ネウロイのコアの位置を探ろうとす。フリーガーハマーで一撃で倒すには敵の正確な位置を把握しなければいけないからだ。そして第二班がロケットブースタでさらに上昇し高度2万を目指す。その班の中にはエイラと疾風そしてエミリアも加わっていた。

 

「時間ですわ!!」

 

高度2万に差し掛かった時ペリーヌの合図で宮藤とサーニャのロケットブースターが点火されて未知の空間である高度3万へと向かう。その中、エイラはじっとサーニャを見ていた。第二打ち上げ班であるエイラが、彼女についていけるのはここまで エイラはだんだん遠ざかっていく親友をひたすら見ていた。その時だ。サーニャがエイラの方を振り向き目が合う。そしてエイラは夜、疾風に言われたことを思い出した。

 

『手が届くうちに手を伸ばせ』

 

「はっ!?」

 

エイラはその瞬間目を見開き、そして・・・・

 

「・・・・・嫌だ!」

 

その声を聞いてみんなが驚きそして

 

「私が…私が……サーニャを守るっ!!」

 

そう言いエイラは弱まりかけたブースターに再び点火し、サーニャの所へと追いつこうと急上昇する

 

「何してるのエイラ!!」

 

「サーニャ言ったじゃないか!諦めるからできないんだって!私は諦めたくないんだ!私がサーニャを守るんだぁー!!!」

 

そう言い彼女は魔法力を絞って上昇しようとするがだんだんと離されていく。しかし誰かが自分を持ち上げる感覚がした。エイラは下を見ると

 

「疾風!エミリア!」

 

そこにはエイラを肩車をした疾風とその下で彼を肩車するエミリアの姿があった

 

「俺たちがサーニャのところまで送る!よし!エミリア!まだ出せるか!?」

 

「ええ!ドイツ武装親衛隊をなめないでちょうだい!! 」

 

「よし!なら二段ロケットだぁ!」

 

そう言い二人は魔法力をロケットブースターに集中させ一気に加速する。そしてサーニャたちのすぐそばまで近づく。すると二人のロケットの火が消え始めてきた

 

「く・・・・ここまでか・・・・宮藤!」

 

「はい!エイラさん、行きましょう!」

 

そう言い宮藤はエイラの手を取り、サーニャのところまで運んだ。そしてエイラはサーニャの手を握り、エイラはサーニャのところにたどり着いたのだった。

 

「芳佳ちゃん!!」

 

「無茶よ!魔法力が持ちませんわ!帰れなくなりますわよ!!」

 

リーネが驚きペリーヌもそう言うが

 

「…私が、エイラを連れて帰ります」

 

「え?」

 

「必ず連れて帰ります!」

 

と、サーニャが無線でそう答える。

 

「む、無茶苦茶ですわ…」

 

「行っけー!サーニャ!エイラ!」

 

そして二人は互いをしっかり支え合い高度三万を目指すのだった。

 

 

挿入歌「Sweet duet」

 

 

そして、エイラをサーニャの元に送り届けた宮藤、疾風、エミリアは、二人の行く末を見守りゆっくりと降下していくのだった。そしてそれを見たエイラは

 

「(疾風・・・・エミリア・・・・宮藤・・・・・ありがと)」

 

そう心の中で三人にお礼を言うエイラ。そして二人はたわタワー型ネウロイのコアがある高度3万にたどり着いた。そこは何もない未知で不思議な空間。そして二人はタワー型ネウロイを発見し、そして向こう側も二人に気付きその先端部分が割れて展開し、ビームを放つ。しかしそのビームが二人に当たることはなかった。なぜならエイラがシールドを張ったからだ。この瞬間。エイラは、実戦ではじめてシールドを使った。小さくも大きくも無いそのシールドは、なにものにも破られない強力なシールド。愛する人を、大切な人を守りたい。エイラのその強い思いがシールドを強固なものにしていたのだ。

そして、ネウロイはビームを撃ち尽くすとサーニャはその瞬間を見逃さずフリーガーハマーで攻撃。そしてその弾丸はコアに命中しタワー型ネウロイは爆散する。しかしその瞬間その爆風でサーニャの体は吹き飛ばされそうになるこのままだと宇宙空間へと頬りだされてしまう。しかし寸前のところへエイラが彼女の手を握った

 

「(離さない・・・・絶対に離さない!)」

 

そう言い聞かせエイラは彼女を引き寄せシールドで爆風から彼女を守った。そして爆風が収まるとそこには撃破したネウロイの破片が散らばり、流れ星の光のごとく光り輝いていた。するとエイラはサーニャに何かを語るが音のない真空空間のため声が聞こえない。そこでエイラはサーニャの肩に手を当て少し抱き寄せお互いの額を当てる

 

「聞こえるか?」

 

骨伝導によって声の振動ができ、エイラの声が聞こえた。

 

「…うん」

 

「ゴメンナ…」

 

「…ううん、私も。見て、エイラ。オラーシャよ」

 

「うん…」

 

二人の視線の先には、広大な土地を有するサーニャの祖国オラーシャがあった

 

「ウラルの山に、手が届きそう…」

 

そういって、サーニャは片手を前へと伸ばす。ウラル山脈の向こう側。東オラーシャのどこかに、サーニャの両親が居るするとサーニャは

 

「このまま、あの山の向こうまで飛んでいこうか…」

 

と、サーニャはそう言うとエイラは驚いた顔をしたが何の迷いもなくこう答える

 

「いいよ……サーニャと一緒なら、私はどこへだって行ける」

 

エイラの頬を一筋の涙が伝う。それを見たサーニャは首を横に振りそしてエイラを抱きしめ

 

「…嘘……ごめんね。だって今の私たちには帰るところがあるもの」

 

「ああ……会わなきゃいけない奴もいる」

 

「うん・・・」

 

「あいつが、誰かを守りたいって言う気持ちが、ちょっとだけ、分かった気がするよ」

 

と、二人は涙をこらえてはお互いをしっかりと支えあい、サーニャはブースターに再び点火。そしてそのまま地上へと帰るのであった。

 

 

 

 

そしてその夜、エイラは命令違反と独断行動の罰により3日間の謹慎処分が言い渡されていて今、謹慎部屋っといっても普通の個室の中にただ一人ベットで寝っ転がっていた。面会人はいない。ミーナさんが疾風やアイ、そしてサーニャはエイラとの接触は避けるようにと言われているからであった。しかし謹慎処分命令を受けたエイラは後悔などしていなかった。その顔は清々しい顔をしていたのだ。すると・・・

 

『エイラ、起きているか?』

 

「は、疾風!?」

 

急にドアの向こうから疾風の声が聞こえエイラはドアを開けようとしたが

 

『開けるなよ……悪いこととは分かってるんだが…どうしても会いたくてな』

 

と、言われてエイラはドアノブから手を放す。するとドアの向こうから疾風の声が聞こえ二人はドアに背をむけ寄りかかりドア越しで会話する形になった。

 

「アイは?」

 

『大丈夫だ。俺の部屋でぐっすり寝ている。今日のアイ。結構エイラのこと心配していたみたいだからな』

 

「そ、そうか・・・・」

 

エイラは自分のことを心配するアイの姿がすぐに目に浮かんだ。

 

『なあ、エイラ。言いたいことが、一つだけあるんだ」

 

「なんだ?」

 

と、エイラは訊くが疾風は一息入れてそしてこう言った。

 

『愛している・・・・・・エイラ』

 

「っ!?///」

 

その言葉を聞いてエイラは顔を赤くしそして目を見開く

 

「ど、どうしたんだよ突然そんな///」

 

『俺、ようやくわかったんだよ。お前が遠くの空へと行った時、本当はお前を失うんじゃないかって怖かったんだ・・・だから戻って来た時、俺は心の底から嬉しかった・・・・だから俺はお前を失いかけて改めて分かったよ…俺にとってエイラは、自分が思っている以上に、大切な存在なんだって』

 

「///」

 

エイラは疾風の独白を黙って聞いていた。

 

『だからエイラ。もう一度言わせてくれ………愛してるエイラ』

 

と、疾風がそう言うとエイラはにこって笑って

 

「ああ・・・・私も愛してるゾ・・・・疾風」

 

ドア越しで顔は見えなかったが二人は互いがどんな表情をしているかわかった。するとエイラはふふっと笑い

 

「てか、ドア越しに言う台詞か、それ?///」

 

『ハハッ、俺たちらしいだろ?』

 

「ふふ・・・・それもそうだナ」

 

と互いは笑いあう。夜空に輝く月が優しく二人を照らして見守っていたのだった。

 

 




本当にこの話は何度見ても泣けました。まさに伝説といってもいい話です。

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