ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「Over Sky 」
過激派ネウロイの刺客である赤眼の悪魔、グリームアイズを疾風は傷だらけになりながらも奥の手の二刀流で何とか倒した。しかしその瞬間、疾風は魔法力も気力も失い海へと落下するのであった。そしてあれから数時間後、みんなは基地に戻り傷の手当をしてもらっていた。だがその中、疾風はすぐに緊急搬送された。今、この基地の女医であるアレッシアさんと、医学の心得がある宮藤とハルトマンが治療を行っている
「・・・・・・」
医務室前の廊下で、エイラはここ数時間ずっと待っていた。アイもそこにいたのだが、ずっと待ち続けて気疲れしたのか今バルクホルンの部屋で寝ていている。すると、医務室のドアが開き、アレッシアさんが出てきた。それを見たエイラはすぐに彼女のもとに行き
「疾風の容体は!?」
そう言うとアレッシアさんは
「一応は大丈夫、宮藤軍曹とハルトマン中尉の手伝いのおかげよ。でも、まだ油断はできないわ」
アレッシアさんの言葉を聞いてエイラの顔は不安が募った。そこまでひどいのかっと・・・・するとアレッシアさんが手を、ポンとエイラの肩に置いた。
「こういうときこそ、そばに居てあげなさい」
それだけ言って、廊下突き当りの洗面所へ向かった。そしてエイラはすぐさま中へ入る。すると中には宮藤とハルトマンが椅子に座っていた
「エイラ?」
「エイラさん・・・・」
二人が言う中エイラは疾風が寝ているベットへ静かに近づく
「・・・・・疾風は?」
「寝てるよ。今はとりあえず安定してる」
「後は点滴と、疾風さん本人の回復力次第です」
「二人とも、ありがとう」
エイラは深く礼をし、感謝の言葉を述べる
「お礼ならアレッシアさんに言ってよ。私たち二人だけじゃ、何もできなかった」
「でもアレッシアさんは、二人のおかげだと言ってたゾ」
「私たちは、お手伝いをしただけですよ」
と、二人は笑ってそういうが、その笑顔の後ろには疲労の色が見え隠れしていた。
「そう言えばアイちゃんは?」
「寝てる。あいつずっと疾風のことを心配し続けて気疲れしちゃって・・・・だから今バルクホルン大尉が運んで一緒にいるよ」
「そうですか・・・・・」
エイラはそう言うと視線を疾風へと移す。規則正しい寝息を立て、眠っている。確かに、一見見れば一応は安定しているようだ。すると疾風の顔が、ほんのわずかにゆがむ
「あ・・・」
「疾風さん……?」
「疾風?」
エイラはほんの少しの期待を込め、疾風のほうへ身を乗り出す・・・・しかし
「……ゴボォァッ!」
「ひっ…!」
疾風の口から鮮血が溢れた。溢れた血は、身を乗り出していたエイラの服にかかり、水色の軍服を真っ赤に染めた。そして疾風は目を見開き、苦しそうに咳き込む。息を吸おうとするが喉に血が詰まっているのかうまくいかない。それを見た宮藤とハルトマンは
「宮藤っ!」
「はい!」
腰を抜かしたエイラが呆然としている間に、二人はすばやく反応し、まずハルトマンが疾風を横向きにし、喉に溜まった血を吐き出させ、気道を確保する。そして宮藤は治癒魔法を使い、必死に治療する。しかし、なぜか効果がない。何もできないエイラはただその様子を見ているしかなかった。すると宮藤が顔をあげて
「は、ハルトマンさん!」
「わかってる!肺から出血してる…止血しないと……疾風が死んじゃう!」
「っ!?」
二人の言葉を聞いてエイラは凍りついた二人の慌てようからして、冗談ではないことがはっきりわかる。不意に突きつけられた恋人の死、ウィッチといえどまだ若いエイラには残酷な現実だ。以前も、エイラはウォーロック戦の時、彼の死に直面したことがあるがあの時は今のように、本人が苦しむ姿を見たわけではない。
愛しの人がもがき苦しみ、命の灯火が消えかけているところを目の当りにして、エイラは全身の血の気が引き、周りの音が段々遠くなるのを感じ、そして目には大粒の涙が浮かび頬を伝って床へ落ちる。
「は・・・・疾風・・・・・」
今にも泣きだしそうなエイラを見てハルトマンは
「エイラ!座り込んで泣いている暇があるならアレッシアさん呼んで来て!」
と、そう言う。エイラはその言葉を理解していた。しかし体が言うことを聞かない。疾風の血で汚れた服と手を見つめ、恐怖と不安で震えることしかできない。すると今度は宮藤が
「エイラさん!しっかりしてください!疾風さんを死なせたいんですか!?」
「!?」
宮藤のその言葉にエイラは目を見開いた。
「今ここから離れられるのはエイラしかいないの。だからアレッシアさんをすぐに呼んできて!」
「……ぁぁ……ああ!」
ハルトマンのその言葉にエイラは恐怖と不安を振り払い、足を震わせながら立ち上がりそして駆け出した。そして先ほどアレッシアさんがいた洗面所の方へ半ば転がるようにして入り、涙声でアレッシアさんを呼ぶ。そしてアレッシアさんはエイラの表情がただ事じゃないと知ると急いで疾風のいる診療室へと走るのであった。
そしてアレッシアさんが診療室に入って数時間後、部屋の前では501のメンバーと、マルセイユそしてアイが不安そうに見守っていた。
「お父さん・・・・・・」
と、アイはギュっとぬいぐるみを抱きそしてその目には涙が少し溜まっていた。すると松葉杖を持ったエミリアがポンとアイの頭を触り
「大丈夫よ・・・・・あいつがそう簡単に死ぬはずがない・・・・・・」
と、そう言うが、彼女も不安そうに見る。エイラは椅子に座り先ほどのことがあってか不安に顔を下に向ける
「疾風・・・・・・」
「エイラ・・・・」
サーニャが励ますように手を握ると硬く閉ざされていた扉が、ようやく開かれた。みんながそのほうへ顔を向けるとその中からは、ゴム手袋と処置衣を血で汚したアレッシアさんと、ハルトマンの肩を借りて歩いている宮藤だった 。するとミーナさんが立ち上がり
「アレッシアさん、疾風さんの容態は!?」
「肺からの出血は止まりました。容態は比較的安定しています、が…」
「…が、何なんだよ…疾風に何があったんだよ!」
「エイラ…」
「お母さん…」
エイラがそう言う中、サーニャが落ち着かせる。するとアレッシアさんは深刻そうな顔をし
「……出血量が多すぎて、輸血が必要です」
「輸血?」
「ハルトマン、お前、○○型だったよな?使えるんじゃ?」
と、バルクホルンがそう言う。因みにウィッチたちの血液型が不明なのであえて○○を使用しています
「私も、そう思ったんだけど…」
と、ハルトマンがそう言い、顔を背ける。ストアレッシアさんは
「彼の血液は○○型なのよ・・・・・・」
「そんな・・・・」
「輸血できなかったら、どうなるんだ……」
「…………言わせないでください」
その言葉にみんな黙り込んでしまう。今現在501のウィッチに疾風と同じ血液型の女性はいなかった。整備士の人に訊いて回るっというのも手だがそれだと間に合わない。
「輸血の機材はあるのに……」
とアレッシアさんが悲しそうに言いみんなの顔がどんどん暗くなる。すると
「私の血ならどうだ?使えないのか?」
と、マルセイユが腕まくりをし、前に出てきた。
「マルセイユ大尉?」
「機材はあるんだろ?ここはイチかバチか調べてくれ」
「・・・・・わかりました。ではこっちに来てください」
アレッシアさんにそう言われマルセイユは頷きついていく。そして数分後、奇跡が起きた。なんとマルセイユの血液は疾風と同じだったのだ。すぐさま輸血作業が始まりマルセイユの腕と、俺の腕は、間に機材を挟んでカテーテルで繋がれていた。
「奇跡です。まさか同じ血液型だなんて…」
「とにかく……良かった」
「……ああ」
と、ミーナさんたちが落ち着く中が横になっているベッドを挟んで、マルセイユとエイラが座っていた
「……あんたが居てくれてよかったよ、大尉」
「ああ、味方を見捨てるわけには行かないからな。まったく……自信家より先に死んでどうするんだ」
「////」
エイラはカテーテルの繋がってないほうの手を握る
「彼のことが…好きなんだな」
「ああ…本人に面向かってはなかなか言えないけど、愛してる…///」
「青春か…彼とはどこで知り合ったんだ?」
「あ、えっと、その…」
マルセイユに言われてエイラは困惑する彼が異世界人だということは疾風から口止めされている。どうすればいいのか困る。しかし・・・・
「・・・・・・あとで疾風に怒られるかもしれないけど・・・・仕方がない・・・アイ」
「はい、お母さん・・・・・」
と、エイラがそう言うと診療室の入り口にアイが入って来たのであった。
そして疾風が海に墜落してから翌日の夕方・・・・・
「ん・・・・・・・」
疾風の目がゆっくりと開く。
「ここは・・・・・・」
あれ?ここは・・・・・・病室か?俺は確かマルタ島上空にいたはずだけど・・・・・そう思って俺はあたりを見ると俺がまず最初に見えたのは見慣れたかをが俺の顔を覗き込んでいた。
「・・・・私が誰だかわかるか?」
と、涙をため柔らかい笑みを浮かべて、優しい声で問いかける最愛の人の顔であった。そして俺は微笑み
「・・・・ああ・・・・わかるよエイラ・・・・」
俺がそう言うとエイラは大粒の涙を流し俺に抱き着く
「怖かったんだぞ疾風・・・・・・お前を失ったかと思うと・・・・・・」
「ごめんな・・・」
俺はそう言いエイラにそう言う。俺は体を起こそうとするが体がかなり痛い・・・やっぱあの技の影響だな。
「立てるか?」
「いや・・・・ちょっとな」
俺がそう言うとエイラは肩を貸して俺は立ち上がる。すると、病室のドアが開く。
「あ・・・・」
入って来たのはマルセイユだった。その腕にはガーゼが張られていた。
「大尉……帰ったと思ってましたよ」
「…ここに残らなきゃいけなくなったからな」
「え?」
「血、だよ。大尉の血を疾風に輸血したんだ」
そうか・・・だから彼女の腕にガーゼが張られていたのか・・・・
「……ありがとう」
「・・・・・いや、ただ見過ごせなかっただけだ」
とそっぽを向いてしまう。あれ?いつもと様子が違う・・・・・・・・もしかして。俺はふっと部屋の隅にいたアイを見る
「アイ・・・・もしかして大尉に見せたのか、俺の記憶を?」
俺がそう訊くとアイは頷く…なるほどそうか
「あ、あの・・・・お父さん・・・・」
「ん?ああ、大丈夫だよ。怒っていない。いずれは話そうと思ってたんだ・・・・・・・」
俺はアイに優しくそう言うと俺はマルセイユの方へ顔を向け頭を下げる
「…大尉、あなたにはひどいことを言ってしまった。・・・・・本当に申し訳ない」
「…いや、私も調子に乗りすぎた……お前がああ言った理由も、今なら分かる」
「いや・・・・あなたは他の自信家とは違う。ただ単に無邪気でお転婆ってだけのごく普通の女の子だよ」
「そうか・・・・そう言ってくれると助かる・・・・・」
と、そう言い互いに笑いあう。すると・・・・
「あっ!疾風さん。よかった~目を覚ましたんだ!」
「おっ!ほんとだ!」
と、そこへ宮藤たちが入ってきたのであった。そしてその後、宮藤やアレッシアさんに治療され俺はだいぶ回復した。だが怪我が怪我なので、まだ安静にしているように言われる。まあ、あの技使って死ななかったんだからまあ、それで良しとするか・・・・・俺がそう思っていると
「疾風・・・・・・一つ訊いてもいいか?」
と、そばにいた坂本さんが俺に質問をする
「なんですか?」
「あの、悪魔型を倒した二刀流の技はなんだ?それに刀も光っていたが?」
と、坂本さんがそう言うとみんなも俺を見て興味津々に見る。・・・・・誤魔化しは聞かないな・・・・俺ははハァーとため息をつき
「・・・・あの技は左右の剣による連続16回攻撃を相手にたたきつける俺の二刀流の大技であり禁断の技である『スター・バースト・ストリーム』っという技だ。それとあの剣が光ったのは、あの技は自身の闘気や精神力なんかの気を刀に集め攻撃する。だからあの時刀が光ったんだ・・・・」
本当の名前は『星光爆流連撃』という小難しい名前なのだが、俺の場合、習った技は大体英語名にしている。なぜかというと義母さんが『あなたに私の剣を教えるつもりはない。ただ盗むのは勝手よ。だから技名もあなたの考えた名にしなさい』といわれ、今の状態にある。
「そうか・・・・・・・ん?疾風、今、禁断の技って言ったか?」
「ああ・・・・二刀流剣技は文字通りすご技であり、最強の技・・・・・しかしそれなりのリスクもある」
「リスク?じゃあ、疾風さん。あなたが倒れたのはまさか・・・!?」
「ええ、あの二刀流技はさっきも言った通り闘気や精神力を極限まで高め放つ必殺技、しかし裏を返せば自身の精神力や気力を大幅に下がり下手をすると命を削り下手をすれば死ぬ可能性の高い危険な技・・・だからこれを教えた師匠にはよほどのことがない限り使うなっと言われましたよ・・・・・だが、あの時、あの技を使わなければあの窮地を脱出することができなかった・・・・・・ああでもしなければ大切な家族を守ることができなかった・・・・」
『・・・・・』
と俺は苦しそうにそう言いぎゅっと布団を握りしめる。すると誰かが俺を抱きしめる。それはエイラだった
「疾風。助けてくれてありがと・・・・でも、もうあんな無茶はやめてくれ・・・・・私たちを助けるために疾風が死ぬは嫌だ・・・・」
「エイラ・・・・」
「そうですよ!疾風さん!私たちを守るためとはいえ、もうあんな危ないことはやめてください!」
「宮藤・・・・」
俺はエイラや宮藤の言葉に驚くとミーナさんが
「エイラさんや宮藤さんの言う通りです疾風さん。私たちは家族なのよ。誰一人もかけてはいけないわ・・・・・・・疾風さん。ですから今後、二刀流は使わないでちょうだい。あなたが死んでしまったら悲しむ人がいます。もう私のように大切な人を失って悲しむ人は見たくないですから・・・・・いいですね?」
そうか・・・そう言えばミーナさんは昔・・・・
「・・・わかりました」
ミーナさんの言葉に俺は頷くのであった。
そしてその後の夜、みんなは各自の部屋に戻り今部屋にいるのは俺とエイラとアイだけであった。まあ、アイはすぐに疲れて寝ちゃっているけど・・・・
「心配かけすぎちまったみたいだな・・・・」
「そうだな・・・・・どうだ?体の具合?」
「ああ、宮藤やアレッシアさんのおかげでだいぶ良くなったよ・・・・」
「そうか・・・・よかった・・・」
と、そう言いエイラはリンゴの皮をむく。するとエイラは向いたリンゴを俺に向け
「はい、疾風あ~ん」
「エイラ・・・自分で取れるから・・・」
「いいじゃないか。アイも寝てるし・・・二人っきりの時ぐらい///」
「・・・・///」
ま、たまにはこういうのもいいかな?
「ほら、あ~ん」
「あ、あ・・・・・ん」
俺は差し出されたリンゴを口にする。恥ずかしいがそれと同時にそれとなく嬉しく幸せな気持ちだった。
「美味いか?」
「ああ・・・美味いよ」
「じゃあ、もう一つ行くか?///」
「・・・・お願いします///」
と、俺たちはしばらくリンゴ状態が続くのであった。そして・・・・・
「どうエミリア?ばっちし撮れている?」
「ああ・・・・ばっちしこのスマホで取れてるぞ。ハルトマン。シャーリー」
「へ~その板便利だな~電話や撮影機にもなるなんて異世界の未来恐るべしだな。なあ分解してもいいか?」
「だめに決まってるだろ?これ結構高いんだぞ。それにしてもあの二人見せつけるね~まさにラブラブのバカップルね」
「「そだね~」」
と、ドアの隙間からこっそりとウサギとダックスフンドとミサゴにしっかりと録画されていたのであったのだった・・・・・