交錯する世界   作:奇稲田姫

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ども、姫です。

「金剛さんが行く」の第2弾です←

今回のゲストさんは鎮守府のNo.2の多摩さんですw


そして、若干のスランプに突入しつつある姫です…………(泣)

どうぞ……です←


Side A 暁の水平線へ 第7話

監視室-メインルーム-

 

多摩:多摩は話すことなんかなにも無いのににゃ。

 

金剛:ワタシがあるんデスヨ。

 

多摩:…………。

 

ワタシの一言に多摩がキッとこちらを睨んだ。

 

その威圧するような視線に、後ずさりしそうになる足を辛うじて止める。

 

金剛:勘違いされても困るネ。()()()()()()から知りたいのではありマセン。むしろ、()()()()()からこそ、聞く義務があると思うのデス。そこの所ドウ思いマスカ?

 

しばしの間お互いの視線がぶつかり合う。

 

しかし、それを断ち切ったのは多摩の方だった。

 

多摩:…………確かにそうかもしれないにゃ~。

 

金剛:……(ふぅ……心臓に悪いデ~ス……)

 

ワタシは小さく胸を撫で下ろしながら多摩の答えに耳を傾ける。

 

多摩は椅子に座り直すとくるりと1回転してからこちらを向いた。

 

多摩:それで?多摩に何を期待してるのかにゃ~?

 

…………器用に椅子の上で正座をしていた事に一瞬笑いが込み上げてきたがなんとか堪え、本題に話を戻す。

 

金剛:…………単刀直入に聞きマス。提督の事について教えてクダサイ!

 

多摩:明るく元気でポジティブな女の子、以上だにゃ。多摩もこう見えて暇じゃないんだにゃ~。そんな事を聞くために来たんだったら他を当たることだにゃ~。多分聞く人によっては意見が様々かもしれないにゃ~。赤城や加賀とかは怖いって言うかもしれないし、駆逐艦の娘たちはお姉ちゃんみたいって言うかもしれないにゃ~。

 

確かにワタシの提督に対する第一印象は「親しみやすそう」だったか……。

いやいや、今はそれどころじゃないデスヨ。

 

金剛:ち、違いマス!ワタシが言いたいことは()()じゃないデース!

 

多摩:じゃあ、何なんだにゃ?

 

金剛:提督の体の事デスヨ!

 

多摩:あぁ、そっちだったかにゃ?申し訳ないにゃ。

 

そう言ってフッと目を伏せる多摩。

 

多摩:うちの提督はあぁ見えて意外と体弱いんだにゃ~。季節の変わり目とか特に弱くてにゃ~。す~ぐ体調を崩すんだにゃ。全く、体調管理は基本中の基本なのににゃ~。

 

なるほど、提督は体が弱いのデスカ。

 

金剛:…………。

 

多摩:?何かおかしな事でも言ったかにゃ?

 

金剛:…………イヤ……そうじゃないネ。

 

……彼女。

分かってて話をズラしてる……。

 

ワタシがここに来た目的を完全に理解した上で論点をズラしてるネ。

 

多摩:そう?だったらいいにゃ~。もう用がないなら多摩は本来の仕事に戻るにゃよ。

 

溜息をつきながら多摩が椅子を回転させて視線をワタシから監視モニタに移す。

 

金剛:…………木曾から話を聞きマシタ。提督が以前深海棲艦のヲ級を…………っ!?(ガタン)

 

 

 

…………。

ほんの一瞬の出来事だった。

そのせいで思考の整理が追いつかない。

 

 

 

ワタシは今…………鬼気とした形相の多摩に座っていた椅子ごと押し倒されていた。

 

 

 

多摩:………っ!!!それ以上…………喋ったら…………!

 

金剛:た、多摩…………サン?

 

多摩:っ!?

 

その一言で我に戻った多摩が私の上から降りる。

 

多摩:……申し訳ないにゃ、つい反射的に……。

 

金剛:多摩サンはこういう話になると感情的になるんデスネ。

 

多摩:流石に今のは忘れてほしいにゃ~。

 

多摩がフイッと顔をモニターの方に戻した。

 

金剛:こんなの忘れようにも忘れられないデ~ス。

 

多摩:それならそれでもいいけどにゃ~。じゃあ、帰ってほしいにゃ。

 

金剛:いや、この流れから何でそうなるんデスカ。私はまだ答えてもらってない事がありますヨ!!

 

私は若干眉を潜めながら言う。

 

しかし、多摩は振り向きもしないままかろうじて聞き取れるくらいの声量で答えを出した。

 

多摩:だから最初に言った通りにゃよ。…………()()()()()()()なんて……何も無もないのにゃ。

 

金剛:……どういう意味デスカ?

 

反射的にそう聞き返すと、返ってきたのは多摩がこぼしたため息の音だった。

 

多摩:それも言わなきゃダメなのかにゃ~?こんな事も考えられないようじゃ、ホントに第1艦隊の旗艦は任せられないにゃ~。さっきも言ったけど、金剛さんは確かに行動力もあって、指揮能力も十分にある。他の艦からの信頼性、士気の上げ方も知っているにゃ。それは、この数日を見てればわかるにゃよ。でも…………、思考力の「深さ」が足りない、と多摩は思うのにゃ~。思い立って行動に起こすことは大事だにゃ~。だけど、そこにどんな理由が存在するんだにゃ?

 

金剛:それは……。

 

ワタシは思わず言葉につまらせた。

 

多摩:もっと言うならこんな事を知ったところで、どうするつもりなのかにゃ~?………………と、そう聞くと恐らく金剛さんは『提督の力になりたい』と言うんだろうけど、じゃあ、力になってどうするつもりなのかにゃ?

 

金剛:………………。

 

『知ってどうするつもりなのか?』その問にムッと来たワタシは反論をしようとするが、すぐに無理矢理黙らざるを得なくなる。

 

 

ワタシは……知りたい。

知って……考えて……提督の力に少しでもいいからなりたい。

 

 

そして……………提督を支えたい。

 

 

これがワタシの…………

 

 

多摩:ついでに言うと、提督の支えはもう5人で満席だにゃ。もし、支え柱希望ならほかを当たって欲しいにゃ~。

 

金剛:…………どうして、ワタシの考えが…………?

 

多摩:どうしてって聞かれても。これが思考の「深さ」の違いだにゃ。もし、本当に『知っているから聞く義務がある』っていう理由だけでここに来たんなら、もうこれ以上この問題に関わる事は…………オススメしないにゃ。

 

そう言葉を締めた多摩は、座ったまま上に大きく伸びをした。

 

多摩:別にこの問題に関与していないからと言って死ぬわけじゃないにゃ~。今まで通り楽しくテンション高いポジティブキャラでいてくれれば鎮守府がもっと明るくなるにゃ~。そうすれば多摩の仕事も右肩「下がり」。お昼寝の時間がいっぱい。だ~れも不自由しないWin-Winな鎮守府の出来上がりにゃ~。

 

金剛:…………多摩サン。

 

ワタシはつぶやくように言葉を漏らすと、下唇を噛んだ。

 

何も言い返せない……。

 

そんな自分が…………惨めで、憎くて……そして、この上なく悔しかった。

 

そんなワタシをチラリと横目で流し見た多摩が僅かに声色を変える。

 

 

多摩:…………。「物事」の本質…………全ての事象には「意味」が存在してるんだにゃ~。それを考えてみることにゃ~。どうせこの鎮守府でそこまで考えられる艦なんか片手で数えられる程度しかいないんにゃから。

 

金剛:……例えば?

 

多摩:例えば…………まぁ、球磨は出来るにゃ~。しかも球磨に関しては無意識で出来ちゃってるからタチが悪いにゃよ~。多分参考にはならないにゃ~。

 

金剛:後は?

 

多摩:後は~、球磨程じゃないけど、第1艦隊の大鳳と翔鶴、それから多摩に遠征部隊の龍田位だにゃ~。でも、翔鶴はまだまだって感じだけど大鳳と龍田はなかなかのもんにゃ~。考え方のベクトルは少し違うけどにゃ~。

 

金剛:………………また来るネ。

 

多摩:あ、最後に一つ多摩からいいかにゃ~?

 

金剛:なんデスカ?

 

扉の前で取っ手に掛けた手を止める。

 

刹那の沈黙がメインルームに流れ、多摩が静かに言った。

 

多摩:…………あの日の事謝りたいんだにゃ。

 

金剛:あの日の事?

 

多摩:そうにゃ、金剛さんがあの地下室に来た日のことにゃ。…………流石に言いすぎたのにゃ。あそこまで言うつもりは……無かったのにゃ。本当に申し訳ないにゃ…………。

 

金剛:……気にしてないデスヨ♪

 

ワタシは予想外の言葉に小さく笑みを浮かべながら、一気に扉を手前に引っ張った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金剛さんが部屋を出ていき、残されたのは多摩だけ。

 

メインルームに1人でいること自体珍しいことでもなく、むしろこれが日常だ。

 

それが、今日の室内の空気はいつも違う。

 

多分彼女が来たことによる空気の流れ方が変わったのか。

 

多摩:思考の「深さ」…………多摩もあんまり人の事を言えた義理でもないのににゃ~。それに…………。

 

提督のやつ……こうなることがわかった上で金剛さんに色々喋ったな。

 

確か、第1艦隊の旗艦に金剛さんを推薦したのは提督だったっけ?球磨の後継者として提督が推薦したのであれば文句は無いが、正直なところ考え方が短絡的すぎると感じていた。これならまだ、そのまま大鳳を旗艦におくべきだと思っていた……………………けど、今日彼女と直接話をして感じたことが1つ。

 

多摩:多分本人も気づいてないんだろうにゃ~。

 

金剛さん…………

 

 

 

 

 

何処か球磨に似てる。

 

特に、

 

 

 

()()()()()()()()()()()ところが。

 

 

 

 

 

多摩:恐らく提督もこれに気づいてるんだろうにゃ~。

 

いやぁ、無意識って怖いにゃ~。

 

そもそも、だ。

金剛さんはさっき…………多摩が反射的に押し倒した時『木曾に聞いた』と言った。

 

確かに木曾もこのことを理解している一人ではあるが、多摩や球磨と違って多くの事を知っている訳では無い…………むしろ姉妹の中では1番情報が少ない艦と言ってもいい。

……あまり本人には言えないが。

 

着任したのが1番遅かった木曾は要するに「途中参加」みたいなものだ。

 

とは言え、今日鎮守府に居た姉妹は多摩と木曾の2人だけだったが、普通に考えたらあの日の事を聞きたいならその場にいた当事者の4人(球磨、多摩、北上、大井)のうち誰かに話を聞きに行こうとするはずだ。

 

なぜなら、木曾はあの時、地下室ではなく()()にいたのだから。

 

それなのに、何故か彼女は一番最初に多摩の所ではなく()()()()()()に行った。

 

本人に聞けばどうせ『順番』だとか『あの日の印象が強すぎた』とか言うんだろうけど。

無意識で出来るやつほど面倒なものは無い。

 

多摩:でも、出来る時と出来ない時があるみたいだけどにゃ~。

 

因みに、さっき金剛さんがこの部屋に入室した時からずっと多摩は起きてたんだにゃ~。

 

そもそも、熟睡なんかしてたら「すぅ……すぅ……」なんてわざわざ口に出したりしないにゃw

 

 

まぁ、また来るって言ってたし、多摩は寝るにゃ~♪

 

おやすみにゃ~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監視塔を後にしたワタシ。

 

提督の事は聞き出すことは出来なかったが、その代わり、物凄く精神力を使った。

 

それに加え、更に考えなければいけないことが山積みになった気分だ。

例えるなら…………置き場所も繋がりも分からないパズルのピースを大量に追加されたような。

 

金剛:考え方……デスカ。コレでも色々考えてはいるつもりだったのですケド。

 

なるほどな、と思った。

 

言い換えれば短絡的って事デスカ。

何となく、語調やトーンの感じから責められている感じはしなかった。

 

もう1度多摩が言っていたことを思い出す。

 

金剛:『物事の本質、全ての事象には意味がある』デスカ。なんというか………………テンプレート言ってるみたいでなんか引っかかりマスネ。

 

何でアレをテンプレートだと思ったのデショウ?

まぁ、いいデスガ。

 

とは言え、この後はどうしよう。

 

正直なところ多摩に言われた事が図星過ぎてため息しか出ない。

 

ワタシはこの事を知って…………どうしたかったのか。

 

思えばこの行動理由ですら「思いつき」だった。

 

そんな時だ。

監視塔から本館までの道を歩いているさなか、丁度資材保管庫の前あたりか。

前方から見知った顔が走ってくるのが見えた。

 

比叡:あ、いたいた、金剛お姉さま~♪

 

金剛:……ん?比叡デスカ?

 

比叡:何処行ってたんですか?探してたんですよ~?

 

金剛:Why?

 

比叡:だって、なんか今日のお姉さま元気が無かったので。榛名と霧島に言ってお茶会しようって事になったのですけど。なかなかお姉様が見つからなかったので心配してたんですよ~。もう支度は済んでるんですよ。外なので早めに行きましょう。

 

金剛:おっと、それは済まないネ~。ちょっと、私用で多摩の所に行ってただけヨ~。

 

比叡:多摩さんのところですか?

 

金剛:そうデスガ、何かおかしいデスカ?

 

比叡:いや、なんか多摩さんっていつもマイペースで昼寝ばかりしてるイメージなので、何しに行ったのかなと思いまして。

 

比叡の一言を聞いた瞬間、脳内に多摩の一言が再びフラッシュバックしてきた。

 

『「物事」の本質……全ての事象には「意味」が存在しているんだにゃ~。それを考えてみることにゃ~。』

 

仮にこれがテンプレートだとしても、今確かに…………一つのピースが繋がりかけた。

 

……気がした。

 

金剛:彼女もいつも昼寝ばかりって訳じゃないと思いますヨ~。

 

比叡:そうなんですか?

 

金剛:まぁ、そんなことはいいヨ♪今日は色々と頭を使ったカラ紅茶でも飲んでリラックスしたいネ~♪

 

ワタシはんん~っと上に思い切り伸びをし、いつも通りを振る舞う。

 

その間を僅かに湿り気を帯びた風が通り抜ける。

 

金剛:ん?なんか一雨来そうデスネ~。比叡、部屋の中に場所を変更デ~ス♪

 

比叡:え?でも、空は晴れてますよ?

 

金剛:イイカライイカラ♪

 

比叡:え!?お、お姉さま!?そんな、押さないで……。

 

金剛:ほらほら♪行きマスヨ~♪

 

そんなやりとりを交わしながらワタシは比叡を押しつつ霧島達に合流するために戦艦寮に戻るのだった。

 

 

 




艦これサイド 第7話 後書き

まず初めにここまで読んでくれてありがとーございます♪

今回はですね~
視点は金剛さん、相手は多摩さんですw
最近提督出てません…………真昼ちゃんごめんね(泣)

とりあえずこちらをひと段落させておきたい感はありますね………………戦艦少女サイドとの兼ね合いもありますし。


一応この話の大まかな流れでも確認しておきましょう♪




艦これ世界と戦艦少女世界では初めは完全な平行状態にありました。

しかし、とある出来事がどちらかの世界で起りました。
そのせいで完全な平行線となっていた二つの世界はほんの僅かに傾きが生じたのです。

傾きが生じたと言うことはその二つの世界はもはや「平行状態」ではなくなったということ。

じゃあ…………どういう事なのか。



というお話です←(笑)

その他にもこれから重要になっていく設定とか姫は喋りたくて喋りたくて今うずうずしまくってます←(笑)
ネタバレになるのでしないですけど←

もしかしたらどこかでポロッと言ってしまうかも←
その時は聞かなかったことにしてください←

あ、文中に出てくる『思考力の「深さ」』とは、ある意味洞察力に近いもので、それに考える事がプラスされてるって考えてくれればいいです。
(姫の語彙力の問題で適語が思いつかなかったのです……)

以上
最近後書きを書くのが楽しくなってきた姫が贈る後書きでした←w
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