交錯する世界   作:奇稲田姫

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長らくお待たせいたしました!

続きが出来上がりました!

今回は姫なりのギャグと呼べるかどうか分からないギャグ回です←(笑)




Side A 暁の水平線へ 第8話

……雨だ。

 

それも結構雨脚は強めの。

 

私は執務室の机に肘をつきながら窓の外をぼんやりと眺めていた。

 

今朝出撃した艦隊は夕方にならないと帰ってこないし、かと言ってこの雨の中何かをしようとは思はない。

 

指揮は球磨に一任しているから、私の仕事は主に書類仕事。別にサボっているというわけでもなく、ただ、私より球磨の方が艦娘の扱いは上手い、それだけの理由だ。

知識の少ない者に指揮を任せるより知識の多い者が指揮を執った方が戦果が期待できるのは目に見えている。

 

…………勘違いしないでもらいたいが、指揮なら私も執れる。

 

書類仕事とはいえ、どうせ工廠や入渠ドッグの備品の申請書や資材管理の報告書に目を通してサインをするだけの仕事なので、真面目に取り組めば午前中には終わるのだ。

 

そのおかげでやることがなくなってしまった訳で、静まり返った執務室には窓に雨粒が当たる音と、時計の秒針が刻む規則正しい無機質な音が響いていた。

 

「はぁ…………」

 

不意に漏らした溜息の僅かな声でさえ執務室内に反響するほどだ。

 

「なにこの切ない感じ」

 

そう呟いた声も部屋中に響き渡る。

 

それから自分の手を開いて……閉じて……また開いて…………それからフッと笑みを零す。

 

「人体実験、か」

 

あの日……私が金剛を居酒屋に誘った日、ストッパーが外れた金剛が口に出した単語だ。

 

「確かにね。見ようによっては……かもしれないけど」

 

私にとっては……今の私にとっては生死を分かつ重要な儀式の様なものだ。

 

とは言え、金剛さんも金剛さんだなぁ。

 

あの程度で取り乱すなんて。

 

私は窓を叩く雨の音と時計の刻む規則的な音を断ち切るように執務椅子をカタンと引いた。

 

大きく上に伸びをかまし、眠気に襲われて欠伸を漏らす。

 

球磨の後継者。

 

私としては正直に育てる気はサラサラなかったのだが、状況が変わり、()()()()()()()()()()()のだ。

 

先の大規模作戦…………本土強襲による防衛戦と主力艦隊撃破作戦。

 

球磨はその突出した指揮能力と状況判断能力を評価され、主に主力艦隊撃破作戦に参加していた。

それも、他の鎮守府の長門や陸奥、ドイツのビスマルクを差し置いて連合艦隊における旗艦の役を任され、こちらの被害を最小限に止めた上で完全勝利を達成したのだ。

 

そんな高練度の艦を大本営(お偉いさん)達が黙って見ているわけがなかったわけだ。

 

突然、大本営(お偉いさん)達が球磨に少佐の階級を与えたいと訳の分からんことを抜かしてきやがったのだ。

 

少佐と言ったら私の階級の一つ下。

下手をすれば鎮守府の運営を任されてもおかしくない階級だ。

それは困ると文句を返したら、

 

安心しろ、鎮守府の移動はない。

 

と返答してきたのだ。

 

分かってないな。

問題はそこじゃないのに。

 

階級が与えられるということは……

 

 

 

 

 

 

出撃が容易に出来なくなる、という事に等しい。

 

 

 

 

 

 

 

要約すれば戦艦や空母の立場が無くなることを避けたい、との事だった。

 

 

 

もっと簡単に言うなら、邪魔。

 

 

 

それと球磨に階級が与えられることになんの関係があるのか。

 

立場?

そんなの練度を向上させてあげれば軽巡の球磨よりも活躍の幅は広がるはずだ。

それをしていないのは他の鎮守府の提督の勝手だろう。

私は球磨の合意のもと、練度をカンストさせた。

 

と言うよりも、私は反対したのだ。

 

練度と言うのは俗に言う経験値の意味に等しく、これが高いほど艦娘としての経験値も高いという意味になる。

 

通常は練度を向上させたい艦を艦隊に編成し、出撃させることで戦果に応じた経験値が与えられる。

それを何度も積み重ねることによって練度の向上を図っていくのが普通だ。

それに、いくら練度といっても無尽蔵に増えていくわけでもなく、ある一定の練度に達すると、それ以上はいくら出撃しようと練度の向上はストップしてしまう。

要は練度の上限値。

その状態のことを「練度がカンストする」と表現し、数値的に表現するなら練度150と言うものだった。

 

しかし、練度の上限値と言ってもそう簡単にポンポンなれるものでもなく、ましてや練度が100を超えることですら並大抵の出撃回数では到底及ばない程の出撃をこなさなければならないのだ。

 

練度が100に到達すること無く艦娘としての生涯に幕を降ろさざるを得なくなった艦など珍しくもなんともない。

 

そして、仮にも練度がカンストしたとしてもそれまでの度重なる連戦と出撃回数によって身も心もボロボロになってしまうこともあるらしい。

 

だとしても、空母や戦艦のタフな精神力であれば耐えることは比較的困難ではないのだが、重巡を始めとした巡洋艦や駆逐艦の子供たちにとっては酷な事だ。

 

それでも、

 

それを全て理解した上で、

 

「……テートク。球磨は…………テートクの力になりたいんだクマ!そのために必要なら何だってこなしてみせるクマ!だから!」

 

そう言い張る球磨の、彼女にしては珍しい気迫に圧倒されてしまった。

それで、今に至る。

 

当然球磨も何かと理由をくっつけて返事は保留にしているのだが…………。

 

流石にそろそろネタ切れも近い。

 

正直、ここまで執拗いとは思わなかった。

 

だから私は球磨に変わる新たな指揮艦の育成と艦隊の火力底上げのため、大本営に戦艦の配属を要請した。

 

もちろん……球磨もそれには了承済み。

 

まぁ、うちの鎮守府にも任せられそうな艦はいるにはいるのだが…………1番候補として可能性のある多摩には早々に却下され、2番の候補だった大鳳は、実力、状況判断能力、先頭に立って艦隊を引っ張っていけるカリスマ性、どれをとっても申し分ないのだが、如何せん真面目過ぎるため全部自分で何とかしようとしそうなので心配性の私は様子見の選択肢を取った。次に龍田。正直彼女には第一艦隊で主力となるよりは天龍と一緒に遠征艦隊で天龍のサポートを行ってほしいため除外。あとは…………あ、翔鶴。翔鶴は筋はいいんだけどまだまだ経験不足。

 

以上のことから戦力強化を口実にして大本営に戦艦をねだったのだ。

 

するとどうだ。

 

思いもよらぬ金の卵がやって来たじゃないか。

 

「ま、とは言ってもこの先どうなるかわかんないけどね~。さぁ~てと、こんな日はウジウジ部屋の中に篭ってないで散歩でも行きますか~。雨の中~」

 

そんなことを言いながら私は執務室のドアに手をかけた。

 

刹那。

 

 

バン!!!!!!

 

 

「ンガッ!!!?」

 

 

「おおきに司令官!ちょっくら隠れさせて…………ん?司令官留守かいな。丁度ええ。ほな、隠れさせて~なっと…………」

 

いきなり扉が勢いよく押し開けられたと思ったらそのまま扉と壁に挟まれる形になってしまった。

そこに一人の少女が、全力疾走してきたのであろう息を切らせながら突入してきた。

 

黒髪のショートヘアに関西出身を彷彿とさせる口調。

 

その制服から陽炎型だろう、姉妹の中で3番目の黒潮が部屋へ入ってくる。

 

「何処にしよか…………デスクの下なら…………あ」

 

そう言いながらゆっくりと開けた扉を閉めようと扉を動かした黒潮と鼻をぶつけて若干鼻血が流れている私の目が合った。

 

私は両手をバンザイの状態で精一杯の笑顔を浮かべてみせる。

 

「あ、あの~司令官?そ、そんな所で何しとるん?」

 

「く~ろ~し~お~?雨の日だっていうのにや~けに元気じゃない?」

 

「いやぁ~これは~その~…………」

 

「言い訳なら句読点を含めて50字以内でまとめなさい?」

 

「今日は雨や言うて、陽炎が暴れだしてな?嵐の提案でかくれんぼすることになったんや。やから、隠れさせて?」

 

「…………なぜ暴れだしたし!?」

 

「そんなもんうちは知らん!てなわけで隠れる場所の提供よろしゅう♪」

 

「黒潮?あなたは大事なことを忘れているわ。」

 

「なんや司令官うちは隠れる場所探すんで忙し……い"!?」

 

「……執務室に入る時はノックをしろと言っているわよねぇ?えぇ?黒潮?」

 

私の中で精一杯の笑み。

 

ただし、ドスの効いた。

 

「あぁ、いや、だからあれは急いでて…………そ、そもそもまさか扉の目の前にいるなんて思わへんし……。」

 

「あれ?まさかの責任転嫁?」

 

「いやいや、そういう意味じゃ……」

 

私のドスの聞かせた表情に黒潮はペタンと尻餅をついた状態で後退りをする。

 

「問・答・無・用!」

 

グリグリグリグリグリグリグリグリ。

 

「ん"に"ゃぁぁぁぁあ"あ"あ"!!!!」

 

両手をで拳を作り、それで黒潮の頭を挟むようにしてグリグリと捻る。

 

…………要はあれだ、グリグリとか梅干しとか言うお仕置きの大定番を御見舞しているわけだ。

 

「全く。黒潮のおかげで眼鏡が割れちゃったじゃない」

 

「それはごめんて。とは言っても本気でグリグリすることないやんか~。あぁ~頭が~……」

 

「ま、眼鏡は替えがあるからいいんだけどさ~。何度も言ってるけど、執務室(ここ)はちゃんとノックしてよ?仕事以外でも」

 

「分かっとるよ~」

 

「分かればいいのよ。さてと、やっと暇から脱出できそうね♪手始めに鎮守府の館内でかくれんぼなんぞしてる馬鹿どもを…………」

 

「!?ちょ、ちょい待ち!ま、まさか!」

 

「執務室は必ず入室時にノックをする。それと鎮守府の館内で…………」

 

黒潮の顔から血の気が引いていく。

 

「…………騒がない」

 

「説教の覚悟をしておきなさい黒潮」

 

とそう言ってふたたび黒潮によって閉められた扉に手をかけたその時、

 

 

 

 

「ここかぁ!!!」

 

 

バァァァァン!!!!!

 

 

 

「へブッ!!」

 

 

 

「あ…………や、やりおった」

 

私は再び扉と壁によってサンドウィッチ状態となったのだった。

 

「ん?お、黒潮見つけた!…………どうした?そんな顔を真っ青にして?」

 

「あ、嵐…………悪いことは言わへん……今すぐ全力で逃げ────」

 

 

 

バタン!!!!!

 

 

 

「うおっ!?え!?扉がひとりでに閉まっ…………た?ひっ!?」

 

「随分と楽しそうじゃな~い?嵐ィ?私も混ざっていいかな~?だ~いじょうぶ。鬼は私がやってあげるからぁ~」

 

私が指をパキパキと鳴らしながらゆっくりと近づいたことで、嵐も黒潮同様後ろにペタンと尻餅をついてしまった。

 

「ちょ、ちょっと待てよ!だ、だって、まさか扉の前にいるとは思わないじゃんか!」

 

「ハハハ、なるほど、扉の前にいやがった私が悪いと言いたいのね?」

 

「ひっ!」

 

「でもね嵐ィ。ここはなんの部屋ですかァ?」

 

「し、執務室じゃ…………あ」

 

「そうだよね?ノックをするって約束があるよねェ!それでもまだ私が悪いとでも?」

 

「い、いやぁ…………」

 

「じゃあ、悪いのは誰?」

 

「…………私?」

 

「御!名!答!!!」

 

グリグリグリグリグリグリ。

 

「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!」

 

その叫びは雨の音に掻き消されることなく、鎮守府一帯に木霊して行った。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、嵐!?しっかりせぇ!」

 

「わ……割れる……」

 

「さて、残りの連中を取っ捕まえてきてお説教タイムね♪2人はこの部屋から出ないでね♪万が一、私が帰ってきた時にいなかったら………………」

 

そんな私の言葉に無言のまま2人が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

コンコン。

 

執務室にノックの音が響き渡る。

 

「どうぞ~」

 

私がそう答えるとカチャリとノブを回す音とともに頭をポリポリと掻きながら球磨が入室してきた。

 

「あぁ~、第一艦隊帰投したクマ~…………って、これ、どういう状況なんだクマ?」

 

「球磨。おかえり~。どういう状況も何も見ての通りよ?鎮守府内で騒いでた馬鹿どもにお説教してる所よ」

 

「あぁ、それで陽炎型が勢揃いして全員正座してるクマね。まぁ、それはいいクマ。でも、なんでそこに多摩もいるクマ?」

 

「多摩には陽炎と不知火をはじめとするこのやんちゃ姉妹の確保をお願いしたのよ」

 

「お昼寝中にたたき起こされたんだにゃ~……」

 

多摩は、デスクに足を組んで腰掛けている真昼の後ろで執務用の椅子に座って、クルクル回りながらため息をついていた。

 

「た、多摩さんを出すなんて卑怯よ!」

 

「不知火も陽炎と同意見です」

 

「しゃらっぷ!!だいたい、アンタ達が抵抗しなければ済んだ話なのよ!」

 

「うっ……」

 

「……」

 

 

 

 

 

そんな様子に球磨は再び頭をポリポリと掻きながら横を抜け、出撃の報告書を多摩の前に置いた。

 

「フフン。今は多摩が提督にゃ。出撃の方はどうだったんだにゃ?」

 

「ん~、特にこれといって報告事項はないクマよ」

 

「にゃ~、つまんないにゃ~。もっと提督らしいことしたいにゃ~」

 

「ま、球磨が指揮を執ったんだクマ。当然の戦果クマよ」

 

「だ~からつまんないんだにゃ~……」

 

多摩は執務椅子の背もたれにドッと体を預けると天井を向いた。

 

「ま、別に今日は今日で面白かったにゃ」

 

「…………多摩の所に行ったクマ?」

 

球磨の一言に多摩はスッと顔から笑みを引っ込めた。

 

「それが…………多摩の前に木曾の所に行ったみたいなんだにゃ~。球磨、後継者は期待できると思うにゃ~」

 

「……」

 

球磨は無言のまま僅かに眉を寄せてからくるりと踵を返した。

 

説教中の横を抜けて執務室を出る。

 

部屋に戻ろうと階段の方に体を向けた瞬間。

 

「?」

 

ほんの一瞬。

時間にして1秒にも満たない僅かな時間。

 

自分の隣を白い影が通り過ぎたような気がした。

 

「?」

 

振り向いても当然の如く誰もいない。

あるのは夕日によってオレンジ色に染まった鎮守府の廊下だけだった。

 

「……気のせい、クマ?」

 

ほんの一瞬の出来事だ、何かの見間違いだろう。

 

球磨は特に気にすることなく執務室を後にするのだった。

 

 




長らくお待たせいたしました!
姫です♪

艦これサイド 第8話の後書きコーナーです♪

やっと……やっと書けましたよ!

長かった……泣

キャストのみんなに支えられて書くことが出来ました~泣


とは言っても、
書けたことが嬉しすぎて誤字とか脱字とか確認してないので、もし見つけたらお知らせくださいな♪

後、なんか矛盾してない?って所もあったらよろしくお願いしますね←(笑)

それから、会話文の書き方を直しました。
台本形式からノーマルに←
以上

久々に真昼ちゃんの登場ですね♪

あ、ついでに
この鎮守府には陽炎型は全員いるので
真昼の陽炎型捕獲&お仕置き大作戦は………………書くかどうか未定です←

もし、書いてほしいって人がいたら教えてくださいな♪

とはいえ、かなり話はあらん方向に傾いているような気がしますよね~♪

はてさて、二つの世界の接点はどこなのでしょうか←(笑)

こんなこと言ってて、隠せてなかったらすごく恥ずかしいww

けど、頑張ります♪



てなわけで、後書きでした♪

コラボとかは常時バッチコイ状態なので、良かったらお願いします(><)
シリアス系(本編)でも、ほのぼの系(オフショット)でもどちらでもバッチコイっす♪

よろしくお願いしま~す♪
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