交錯する世界   作:奇稲田姫

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そろそろ流石に戦艦少女サイドを進めます←(笑)


戦艦少女Side
Side B 宵月の水平線へ 第1話


執務室。

 

 

梅雨が明け、次第に天気も湿気でジメジメした気持ち悪い天気から日差しがギンギンに照りつけるカラッとした天気に変わり始める7月の初め。

 

そんな暑さがまるで嘘のように冷えた執務室で、俺は時計の秒針が進む規則的な音を聞きながら書類にペンを走らせていく。

 

ふと窓の外に目をやった。

 

今日も快晴。

雲一つ無い良い天気だ。

こんな天気なら木陰で昼寝でもしたら気持ちいいのだろうか………………暑いけど。

 

ま、こんな気温でも日陰なら涼しいだろ。

 

そんなことを考えながら、カタンと音を立てて椅子を引き大きく伸びをしてから立ち上がった…………

 

 

 

 

スパーーーン!!

 

 

 

 

 

……と同時に子気味良い音を響かせて横からハリセンで思いっきり叩かれた…………いや、殴られた。

 

そのおかげで立ち上がったと同時に再び机に突っ伏すハメになる。

 

朔夜:ぐはぁっ!!!!?

 

?:提督!またサボろうとしたな!!

 

朔夜:て、てめぇ…………じ、上官に向かって……何たる仕打ち……。

 

?:うるさい。提督が真面目に執務をすればいいだけの話だろ?

 

俺は叩かれた(殴られた)頭を抑えながら、机の前でツーンとしている少女に目をやった。

若干の赤みを帯びる茶色の髪は比較的長めで下ろせば肩のラインを超えそうではあるのだが、残念ながら彼女は後ろ髪を一つに束ね、ゴムで縛っていた。全体的に紺が基調のセーラー服を着ているのだが…………スカートがないのか本人の趣味なのか分からないが、スカートは履いていない。と言うより彼女の姉妹は全員そうだ。お陰で、下着なのかちゃんとした小さいブルマなのか分からない物が丸見え状態だった。

海上では頼りになるが、陸上では…………目のやり場に困る。

 

朔夜:ったくよ~。俺はいつでも真面目に執務してるだろうが。休憩は必要なんだよ休憩は。

 

?:そんなこと言ってサボる気だろ?

 

朔夜:…………お前は俺になんか恨みでもあるのか?

 

?:?いや、特にはないけど?

 

朔夜:……そう、素で即答されるとこっちが困るんだけどな。

 

そんなやり取りをしつつ痛みが引いてきた頭を上げて背もたれに背中を預ける。

 

朔夜:はぁあ、ま、今日は午前中サボったようなもんだからな~。

 

?:そうだぞ!全く!ビスマルクさんも来ないから大変だったんだぞ?

 

朔夜:あぁ、悪かったよ。そういや、暁。第六駆逐隊は今日遠征だろ?なんでお前は行かなかったんだよ。

 

俺はふと目の前の少女…………暁型1番艦「暁」に聞いた。

 

確か、昨日の予定だと今日は第六駆逐隊…………暁型の4人で遠征の任務が入っていたはずだけど。

 

暁:何よ?暁様が残ってちゃ悪い?

 

朔夜:別にそんなんじゃ。

 

暁:まぁ、良いけど。今日だけ変わってもらったんだよ。吹雪姉ちゃんに。だって提督が今日寝坊したせいでこの暁様が提督の代わりに執務をさせられてたんだかんな?レナウンさんとレパルスさんは提督を探しに行っちゃうし、絶対に他にも適任がいただろ!!なんで暁様なんだよ!

 

朔夜:…………いや、なんかすまん。

 

暁:それに、この暁様の姉妹は別に私がいないと何も出来ないほどやわじゃない!

 

暁はふんと得意げに鼻を鳴らすと自分の胸を叩いた。

 

朔夜:そうだったな。ま、特型の長女もついてるし大丈夫か。

 

俺は持っていたペンを机に転がす。

 

暁:そういうこと。だから提督の監視はこの暁様がレナウンさん達に頼まれてるってわけ♪

 

朔夜:お前…………嬉しそうだな。

 

暁:?嬉しそう…………って、ばーか。そんな事ないよ!誰が提督なんかと。

 

ほう。

そう来るか。

だったら、ちょっとからかってやるか。

 

朔夜:あ、そう。これが終わったら執務頑張った御褒美に甘味でも奢ろうかと思ったんだけど、要らないんならほかの3人にでも…………。

 

その一言で暁がぴくりと反応する。

 

暁:はっ…………ちょ、ちょっとそれは、卑怯…………。

 

朔夜:卑怯も何も俺は俺で傷ついたんだぜ?

 

暁:うぐぐ…………。

 

朔夜:(あぁ、困ってる困ってるw 今頃頭の中では本能とプライドが激しく言い争ってるんだろうなw)

 

ニヤニヤ。

 

暁:て、提督……なにニヤニヤしてるんだよ!

 

朔夜:は?ニヤニヤなんて……してねぇよw

 

暁:してるじゃんか!///

 

顔を真っ赤に高調させながら声を荒らげる暁。

 

朔夜:ま、んな事はいいんだ。予定だとそろそろ帰ってくるんだろう?そうしたら甘味処にでも行ってくるか~。暁は要らないみたいだし?

 

暁:うぐぐぐ……。

 

さてと、プライドと本能、強いのはどちらか。

ま、予想はついてるんだがな。

 

暁:…………ゎょ。

 

暁がボソリと何かを呟いた。

 

朔夜:ん?何かな?聞こえんな?

 

暁:うっ…………わ、悪かったって言ったの…………グスン

 

あ、やりすぎたかこりゃ。

俺はふぅっと息をつくと、暁の頭にポンと手を乗せた。

 

朔夜:俺も悪かったよ。泣かせるつもりはなかったんだ。もうすぐあいつらも帰ってくるし一緒に甘味処、行こう、な。

 

暁:グス…………うん。…………でも、執務…………。

 

朔夜:あぁ、それならもう終わってるぞ?ほらよ。

 

暁:…………うん……グスン。

 

声を押し殺して泣く暁の頭をポンポンと撫でる。

 

?:あの、司令官?いらっしゃいますか?

 

そんなことをしているうちに、遠征部隊の前に海域突破の出撃部隊の方が先に戻ってきたようだ。

 

執務室にノックの音が響いた。

 

朔夜:ん?あぁ、開いてるぜ。

 

?:失礼します。本日の戦果のご報告に伺いました………………のですが。

 

朔夜:ん。ご苦労さん。どうだった?

 

俺は提督椅子に座って暁の頭を撫でながら聞く形となってしまっていた。

 

?:………………。

 

朔夜:ん?どうした?レキ。なんか言い出しづらい事でも起こったのか?

 

?:あ、いえ、そういう訳では無いのですけど…………。これどういう状況なのですか?

 

言葉のとおり報告に来た女性は俺と暁のこの現状に若干苦笑いを浮かべた。

艦名はレキシントン級1番艦「レキシントン」。

全体的に白が基調の服をまとい、頭にこれまた白いベレー帽のような帽子を乗せた艦種は空母の艦隊少女だ。

 

朔夜:…………。

 

俺は1度暁を見た。

既に暁は泣き止んでいたが、なんと言うか満更でもないという表情をしていた。

 

朔夜:あぁ、ちょっと色々あってな。

 

おい、手を離すのと同時に微妙に寂しそうな表情をするな。

 

朔夜:まぁ、それより報告の方を聞こう。

 

レキ:あ、はい。そうですね。本日は司令官もご存知の通り、ジブラルタルの要塞突破の作戦、結果から言いますととりあえずは成功と言う結果です。ただ、敵の旗艦にダメージは与えたものの撃沈…………まで行くことができませんでした。恐らく後何回か出撃する必要があるかと。

 

朔夜:なるほど。まぁ、気長に行こうぜ。こっちの被害状況はどうだった?

 

レキ:はい。特にこれと言って被害が大きい艦は…………あ、そう言えばメリーさんが……。

 

朔夜:またあいつか……。

 

レキ:無茶をしたわけじゃないんですけど…………中破。それ以外は無かったですね。

 

朔夜:まぁ、メリーならいいか。…………あまりこういう立場で口にしていい言葉じゃないんだけどな。あいつの場合、手錠を外した方が強いし……。

 

はぁ、と俺はため息をついた。

無茶なことをしたわけじゃないのなら許すか。

 

メリー……ことコロラド級2番艦の「メリーランド」はあだ名が「Fighting Mary(戦闘好きのメリー)」と言われるほどの戦闘狂で、一応それでもビッグセブンの一角を担う戦艦だ。ただ、問題なのが普通にしていると深海軍だろうが味方だろうが誰彼構わず喧嘩をふっかけ始めるので通常時はそれを防ぐ意図もあり両手に手錠をかけて出撃させていた。流石に付け始めてからしばらくの間は大人しくはなったが、敵からの攻撃で被弾してしまうと両手にかかった手錠が外れてしまうことを知ってしまい、最近だと割と頻繁に命令無視しては被弾して手錠を壊しにかかってきやがるのだ。

 

正直、修復の度に付け直すのには苦労するので勘弁して欲しいのだが……。

 

レキ:でも、今回はメリーさんのおかげで旗艦Ν級に大ダメージを与えることが出来ました。…………本人はただ手錠を外したかっただけでしょうけど。

 

朔夜:結果的にはいい方向に転んだってことか。……はぁ、正直アイツには色々と言い尽くした感はあるんだよな……。後は何を伝えればいいんだ?

 

暁:メリーさんにってこと?

 

朔夜:だな。なんかいい案は無いものか~。

 

暁:じゃあ、無茶するなって。

 

朔夜:言った。

 

暁:命令は絶対……って。

 

朔夜:それも言った。

 

暁:無茶しすぎると帰ってこれないかも……って。

 

朔夜:それを最後に行ったのは確か昨日の…………。

 

暁:…………。

 

暁が黙った。

 

レキ:……まぁ、そうなりますよね。

 

朔夜:全く、改造前はあんなに大人しかったのに。俺はあんな娘に育てた覚えは一切無いんだがな~。反抗期か?

 

レキ:流石にそれは…………。

 

と、レキシントンが苦笑いを浮かべたのとほぼ同時。

 

ドガーーーーーン!!!!

 

暁:ひゃあっ!?

 

司令室の扉が思い切り開かれた…………と言うよりぶち抜かれた。

…………あのバカ。

 

俺は咄嗟に暁を腕で守り、ぶち破られた扉の方に目を向けた。

 

そこには1人の女性がいた。

 

全身黒が基調の防具のような装備に身を包み、僅かに紅いインナーを着た女性だ。

瞳の色は右目だけ金色にギラギラと光を灯し、それだけでも彼女が普通でないことがわかる。両手首には引きちぎられた鎖が申し訳程度に繋がっており、体の至るところに砲撃が被弾したあとが見られる。

 

?:アハハ!見てよ司令官!今回も枷外せたよ!いい加減入渠の度に枷をつけるのやめて欲しいんだけど?

 

朔夜:お前な……自分がなんで毎回毎回手錠なんかはめられてるか分かってないのか?

 

?:は?知るわけないでしょ?そんなことより手錠はもう要らないわ!だって戦場じゃ邪魔になるだけでなんにもならないじゃない!

 

朔夜:いいか?俺が手錠を付けさせてる理由はな、別にそういう事じゃねぇんだよ!

 

?:じゃあどういう事なのよ!

 

朔夜:確かにビッグセブンのお前はいい艦だし、うちでもエースの一角だ。だからこそ、お前はほかの艦の見本にならなきゃいけねぇ立場なんだよ!そんな奴が堂々と命令無視とか無茶して被弾してる姿とかこれから着任してくる新しい奴らに見せられると思うのか?どうなんだよ!メリーランド!

 

俺は彼女をキッと睨み、僅かに語調を強める。

当然こんな事で怯む様な簡単な奴ではないことは承知の上だ。

 

メリー:はぁ?何それ?説教のつもり?ククク、そんな下らない理由だったの?

 

その一言にさすがの俺でもプッツンいった。

 

朔夜:……あぁ、そうかよ!だったら…………その体に直接覚え込ませてやるよ!!

 

刹那。

左目の視界が揺れ、赤みを帯びる。

周りから見れば、左目からゆらりと炎のような光が現れたように見えているだろう。

いきなりの出来事に当然暁が反応した。

 

暁:て、提督……?

 

レキ:はぁ、大丈夫ですよ。暁さん。

 

と、僅かに肩を震わせる暁を抱きとめるような格好で頭を撫でて落ち着かせようとするレキシントン。

 

…………暁にはいきなりで悪い事をしたと思っているが、それ以上にそろそろコイツにはお灸を据える必要があると判断した。

 

メリー:え?何何?ww 私とやろうっていうの?ww このビッグセブン、メリーランドとw

 

朔夜:あぁ、俺が相手じゃ不満か?

 

メリー:いや別にw

 

朔夜:もう、お前に理解してもらうためには口で言ってダメだと判断した。俺が勝ったら今後一切命令無視とか無茶な突撃とか絶対にするな!わかったな!

 

メリー:ククク、いいわよ?もし、司令官が()()()()ねw

 

朔夜:その事忘れんなよ?レキ、ビスマルク達と遠征組がそろそろ帰ってくるだろうから、報告書の処理を頼めるか?

 

レキ:承りました。

 

朔夜:室内演習場は俺が今から使用する。もし使いたいやつが出てきたら伝えておいてくれ。

 

レキ:はぁ……。

 

レキシントンがついた溜息は暁にしか届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

室内演習場。

 

ここでは主に艦隊少女同士で模擬戦を行ったり、屋外では出来ないようなシュミレーションを使用した訓練などを行う施設で、中央にかなり大きめのプールが設置されている。その水は海水に最も近くなるように成分調整されており、実際の海水上での感覚と同じになるように作られていた。

 

そんな室内演習場のプールに、人影が2つあった。

 

朔夜:メリー!さっき言ったこと、覚えてるよな?

 

メリー:覚えているわ。あんたが勝ったらあんたのいうことを聞く、私が勝ったらもう手錠つけるのはやめてもらうから。

 

朔夜:あぁ、わかった。それから、使用するのは演習弾。制限時間は15分だ。

 

演習弾。

それは実弾が被弾した時の衝撃を極力再現され、にも関わらず体への負担やダメージが0と言う演習においてはこの上なく優秀な弾だ。ただ、実弾を忠実に再現しているので、当たった衝撃は実弾その物だったりもする。

 

メリー:アハハ、制限時間なんて要らないわよww 私が1発で終わらせてあげるからww

 

そうニヤニヤと笑を浮かべるメリー。

 

いや、こいつは自分の上官に向かって何を言ってるんだか。

…………いや、

 

メリー:ねぇ、早く始めようよ♪

 

…………分かってて言ってやがるな。

 

朔夜:あぁ、そうだな。夕張が作ってくれた俺用の主機も調子いいし………………行くぞ!艤装顕現(リアライズ)!!!!

 

そう叫んで、俺は両手に艤装を顕現させる。

 

自分の背丈ほどもある真っ黒な盾状の艤装。

その中心ラインには砲塔が縦に3つ、それが2列備わっており計6つの砲塔が片方の艤装についている。それが、両手分。

 

メリー:アハハ!いつ見てもカッコイイ艤装♪こっちも行くよ!!

 

そう言いながらメリーも自らの艤装を顕現させた。

 

 

そして、演習開幕の1発が放たれた。

 

 




どうも♪
ついに戦艦少女サイド始動しますw


まぁ、艦これサイド先に書いていたので関連する部分もちょっと盛り込んでみました♪

ちなみに、今回提督が顕現させた艤装…………気づく人はいるだろうか……。

ハイ、彼女の艤装です←(笑)

この時点で両サイドの繋がりがわかっちゃう人が出ちゃうかも…………。

こっちの提督はプロローグ部分で言っていた通り「()()()()()()」ので←(笑)

そんな訳で、戦艦少女サイド後書きでした♪
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