交錯する世界   作:奇稲田姫

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やっと戦艦少女サイドの2話です……

やっと書けたよ…


Side B 宵月の水平線へ 第2話

朔夜:……っ!

 

メリーからの初撃を右手の艤装で受けた俺は間髪入れずに左手の砲塔でカウンターを撃つ。

 

3基6門の主砲が同時に火を噴く。

 

メリーもこの砲撃を艤装で受け、こちらに向かってニヤリと口角を上げた。

 

多少衝撃も模擬されているとはいえ、手錠の外れている状態のメリーには効果無しと考えても過言ではなさそうだ。

 

メリー:さぁ~て、やっちゃおうか?クク、腕がなるね!!!

 

そんなセリフと同時にメリーが口角を一気に釣り上げた。

 

主砲が再び炸裂する。

 

艦隊少女の彼女と違って、素が生身の人間である俺には衝撃による負担の蓄積が長期戦になった時響いてくるため、防御ではなく回避を選んだ。

 

しかし、この回避はただ砲弾を避ける回避じゃない…………攻めの回避だ!

 

朔夜:フッ!

 

俺は主機の回転数を急上昇させると、一気に距離を詰めていく。

 

朔夜:…………。

 

メリー:ククク、司令官ならそう来ると思っていたよ!!

 

しかし、その行動を読んでいたのかメリーランドがすぐさま()退()()主砲をこちらに向ける。

 

朔夜:何っ!?

 

メリー:残念でした♪私が何でもかんでも突っ込むだけの低脳馬鹿だと思ったら大違いなのよ!!

 

予想外のメリーの行動に若干の動揺が走る。

 

こちらが突っ込んだら戦闘狂のメリーは同じように突っ込んでくるだろうと思っていた俺は、メリーに零距離射撃をお見舞いする予定が狂ってしまった。

 

ちくしょう、戦闘狂のくせに中破すると性格だけじゃなく頭も切れるようになるとか厄介すぎるだろ!

 

メリー:アハハ!無様な司令官ww

 

狂気を含んだ笑を見せながらメリーが立て続けにトリガーを引いた。

複数の砲弾が僅かな時間差で放たれる。

 

朔夜:ちっ!

 

俺は突進にすべて使っていた運動量を水面に向かって砲撃することによって相殺し、急停止をかけると、その場を横っ飛びに飛び退いた。

 

直後、さっきまでいた場所に複数の水柱が舞い上がった。

 

朔夜:…………うわっ。中破状態であの火力か。

 

自分から勝負を吹っかけたはいいものの、やはり純粋な戦艦と生身の人間+αでは差があるか。

 

……そんなことを呑気に考えている暇はなさそうだ。

 

朔夜:…………。

 

俺は飛来する弾丸の一つ目を避け、左手に持った艤装のトリガーを2回引く。そして、残り二つの弾丸にビリヤードの如く砲弾をぶつけ、進路を強制変更させた。

そのお陰で、二つの弾丸は俺がいる地点から全く異なる地点へ着弾して行った。

 

……砲弾ずらし(ビリヤード)は集中力を使うのであまり使いたくはなかったが、この際しょうがない。

 

メリー:へぇ、あんな芸当も出来るのね♪

 

朔夜:まぁな。小細工は案外得意な方でな。

 

メリー:でも、それでいつまで持ちこたえられる?

 

朔夜:持ちこたえる?馬鹿言え。

 

俺は最初にメリーがやって見せたように、ニヤリと口角を上げる。

 

メリー:何?

 

俺の一言に苛立ちを感じたのか、メリーが眉を寄せた。

 

朔夜:…………防戦一方じゃ性に合わねぇ。今度はこっちから攻めるぜ。文句はねぇな?

 

メリー:アハハ♪何を言ってるの?

 

メリーが嘲笑する。

だがそんなことは気にしない。

メリーと俺との間には距離がある…………が、こんな程度では誤差の範囲内だ。

 

朔夜:…………(ヒュン)

 

メリー:え!?嘘!消えた!?

 

その表現はある意味では正しく、またある意味では…………間違いだ。

単純に視認速度を一瞬で超えた、ただそれだけの事だ。

 

朔夜:……メリー、確かに戦うことは必要だ。強さを求められることもこの先多くなってくる。

 

メリー:っ!?い、いつの間に私の背後に!?

 

俺はメリーの背中に左手に持った艤装の砲口を押し当てる。

 

朔夜:だけどな。一つだけ忠告しておく。この鎮守府における火力最強『メリーランド』!強さのベクトルを見誤るな!………………っと、まぁ、少し格好をつけて言ったが、そういう事だ。てなわけで、これから絶対に無茶はするんじゃねぇぞ。

 

メリー:っ……!

 

朔夜:俺の勝ちだ。

 

そう呟くように言うと、左手のトリガーを一気に引いた。

 

メリー:うぁっ……!

 

いくら使用しているのが演習弾で戦艦の装甲を持っているとしても、流石に零距離射撃では効果はほとんど働かないだろう。

 

背中に受けた零射の衝撃で前のめりに崩れ落ちるメリー。その背中を見ながら金色に揺れる左目の光。

 

左の視界が金から通常に戻るのを感じながら、俺は一つ息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

朔夜:さてと。

 

俺はヒュンと艤装を解除し、水面上でうつ伏せになって目を回しているメリーをプールから引っ張り上げると壁際の椅子の上に仰向けに寝かせた。

ついでにその隣に腰掛け、大きく息を吸った。

 

やはりこの力は只者じゃないのは分かるが、むやみに行使するものでもないな。

 

体がすごく重い…………。

 

朔夜:はあ、疲れた。寿命が縮まった感じだ……。

 

?:全くです。司令官。

 

?:そうだよ。お姉ちゃん相手に無茶しすぎだよ。

 

椅子に腰掛けて息切れを起こしているそんな俺の元に新たな声が二つ降ってくる。

 

朔夜:なんだ……はあ……いたんなら止めてくれりゃ良かったのに……。そうすりゃこんな疲れずに済んだんだけど?

 

?:私の目には2人で遊んでるようにしか見えなかったので。

 

?:あんな楽しそうなお姉ちゃんはなかなか見れないからw

 

朔夜:その「楽しそうなお姉ちゃん」の相手をする方の身にもなってほしいんだけど?

 

俺は膝に肘を付きながらジッと二人のうち水色の髪の方に視線を向けた。

 

?:そう?司令官もまんざらじゃないような顔してるけど?

 

朔夜:そんなことはないぜ。そんなことは……。

 

彼女にそんなことを言われ、否定はしつつもだんだんと自信がなくなってきた俺は自分の手を頬に当てる。

特に変わった様子がなことに安堵した。

 

?:……司令官。鏡、見ますか?

 

朔夜:鏡?

 

だから、金髪の女性の方から手鏡を手渡された時は何のことかと思ったのだったが……。

それを見た瞬間納得がいってしまった。

 

そこには、おそらくうれしさからだろう、表情が崩れてにやけ切った自分の姿が映し出された。

 

?:流石に今の自身の状況が理解できましたか?

 

朔夜:……フフ、フフフ、あぁ、無意識って怖いな♪

 

?:怖い……というより気持ち悪いです。

 

グサッ!

 

朔夜:……おい、ちょっとストレートすぎないか?

 

?:え?だって、終わってからずっとニヤニヤしてたし……さすがに表情に出すとキモいかな~♪

 

それがとどめとなり、俺はがっくりと肩を落とした。

 

朔夜:…はぁ、俺はもうだめだ……生きていく自信が無ぇ……。

 

度重なる暴言に俺のガラスのハートは………悲しきかな。

 

?:はぁ、しゃっきりとしてください。……あら?

 

金髪の女性がため息をつくのと同時くらいのタイミングで、演習場にビスマルクが入ってくる。

 

ビスマルク:おい、アドミラル!出撃の指令が届いてるんだが………あぁ、コロラドにウェストバージニアもいたのか。探す手間が省けたな。

 

朔夜:おぉ、ビスマルク。確か今日はあれか、日本深海基地(2-4)の近くに新たに発見された……あぁ、なんだっけ?

 

ビスマルク:深海基地の中心地帯だ。わすれるな。

 

朔夜:そうそれそれ。でどうだった?

 

ビスマルク:特にこれと言って変わったことはなかったが、まぁ、流石は基地の中心地といったところか、今までの敵とは段違いに強かったくらいか。いや、そうではなくてだな。本部(うえ)から指令が届いているぞ?

 

コロラド:私たちを探していたということは、私たちにも関係しますか?

 

そう言って、金髪の方の女性……コロラド級戦艦のネームシップ「コロラド」が腕を組む。

 

ウェスト:私は結構最近着任したばかりだけど?

 

続いて青い髪の女性……コロラド級戦艦4番艦「ウェストバージニア」もなぜか姉と同じポーズをとった。

 

ビスマルク:あぁ、なんでも新規着任艦の練度向上を目的としているようでな。コロラドは万が一の事態のために備えての編成みたいだ。ただ……。

 

ビスマルクが、持っていた1枚の指令書を見ながら若干眉を寄せた。

 

朔夜:ちょっとそれ見せて?

 

ビスマルク:わかった。

 

朔夜:……。

 

俺は本部(うえ)からの指令書をビスマルクから受け取り、一通り目を通す。

 

書いてあることは今ビスマルクが言ったとおりのことが書いてあるが、その反面読み終えた後ビスマルクが眉を寄せた意味もよくわかる内容だった。

 

出撃海域は鎮守府から南下していったところにあるマラッカ海峡、鎮守府方少し距離はあるが練度の向上を図るにはこの上なく適した海域ではある。最近まではビスマルクに単艦で出撃してもらい、ボーキサイトの回収をしてもらっていた海域でもある。………さすがに俺の胃に穴が開きそうだったのでやめさせたが。見たところ練度が低めの艦が5隻に高練度のコロラド計6隻での出撃……と書いてあった。

 

これだけ聞けば不思議な点は無いように見える。

 

そもそも、本部(うえ)からの指令なんてものはそうそうないのでこれだって結構久々の指令書だったりするのだが。

 

朔夜:ん~。確かに本部(うえ)の連中はやれここを攻略しろとかやれここを防衛しろとか結構無茶ぶりかましてきてくれたけどさ、艦隊の編成まで指定してくるのは珍しいな。

 

コロラド:ふむ。私は執務のことはあまりよくわかっていませんが……編成を指定してくるのがそんなに珍しいのですか?

 

コロラドが指令書をのぞき込みながら言う。

 

………おい、前かがみになるんじゃない!

何故なら座っている俺の視線の位置はちょうどコロラドの………!

 

ビスマルク:ジーー。

 

朔夜:…!?ゴ、ゴホン。あぁ、それはな……。

 

ビスマルク:普通指令書というのは主に新たに発見された海域の調査や大規模な深海艦隊の進行の迎撃作戦の指示が主な内容でな、実際書いてある内容は発見された新海域や進行中敵艦隊のわかっている情報と成功時の報酬、というふうに編成に関して指示があることは極稀なのだ。

 

ウェスト:へぇ~。

 

朔夜:それに、大規模作戦や新海域発見でもないのに練度向上の指令が来るなんて思ってなかったしな。そもそも練度向上なんてものは各鎮守府が独自で行うものだし、本部(うえ)はいったい何を考えているんだか。

 

俺はため息をつきながら指令書をひらひらとさせた。

その拍子に紙が指から不意に離れる。

地面に落ちた指令書を拾いつつ続ける。

 

ビスマルク:……。

 

朔夜:おっと、悪い。とは言っても出撃は………あ、明日ぁ!!!?

 

猶予は三日後くらいだろうなと鷹を括っていた俺は指令書の出撃日時を見た瞬間大声を上げてしまった。

 

朔夜:はぁ!本部(うえ)は馬鹿なのか!?そんな届いて次の日出撃なんて……。ビスマルク!そういえばこの前着任した空母が二人いたろ?

 

ビスマルク:あぁ、いたな。

 

朔夜:あいつらと……そうだ、金剛と比叡も最近だよな?ちょっと指令室に呼んでおいて~。コロラドとウェストバージニアも指令室な。

 

ビスマルク:了解した。

 

ビスマルクはそう言い残して演習場を出ていった。

 

コロラド:了解しました。ついでにメリーも回収しておきます。よっと。司令官も()()()が落ち着き次第でいいので、よろしくお願いしますね。

 

朔夜:……。

 

ウェスト:腕?

 

コロラド:気にしなくていいですよ。それよりも私たちはとりあえず医務室に寝かしてから指令室に向かいますね。

 

コロラドも俺の隣で目を回しているメリーランドを抱きかかえるとウェストバージニアを連れて演習場を出ていった。

 

演習場に残された俺は一人でため息をつくのだった。

 

赤目での艤装展開はたまにやっていたし、これならそもそもの反動がそれほどないが、今回使用したのはそれのさらに上位能力。赤目から金色に光る目にシフトアップさせることでそれに呼応して艤装の能力が赤目の時よりも桁違いに上昇させる代わりに、体への反動も赤目の時とは比べ物にならないほど大きくさせるというものだ。簡単に言うならば艤装のリミッター解除みたいなものか。

 

最後のほんの数秒使用しただけでかなり腕への負担がかかっていたのが分かる。

 

……未だに艤装を握っていた両腕の感覚が戻らない。

 

うまく隠して勘づかれないようにしていたつもりだったんだけど。

 

コロラドには気づかれてたか。

おそらく、ビスマルクも気づいていたんだろうな~。

 

あ~ぁ。

これは後で説教コースかね~。

 

そんなことを考えながら、俺は天井を見上げるのだった。




さて、戦艦少女サイドですが……

メリーランドのスキルとセリフを見た瞬間、このシーンが頭の中に思い浮かんだので書きましたwww


結構ゲームでもメリーさんは姫の艦隊でもビスマルクに次ぐエース枠になってますね←

スキル「Fighting Mary」
めちゃくちゃ面白いスキルだと思うwww

因みに姫はメリーの手錠が外れた中破絵すごくいいと思っています!←(笑)


そして最後に…………

両サイドの時間軸は一応頑張って合わせました←

…………文字通り平行して進めるってすごくきついということが身に染みて分かった瞬間だったよ……←

以上
Side B の後書きでしたw
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