交錯する世界   作:奇稲田姫

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突撃、隣の子孫様の中編になります
やっぱり思いのほか長くなってしまったので三部構成になりました



おそらくこの特別編3だけが東方との絡みになると思います。

団長回なのでご了承


では本編どうぞ


交錯する世界 特別編3(団長、子孫に会いに行く) 中編

にゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

澄み渡る青い空。

この自然のすがすがしい空気のなか。

 

私の全力の絶叫がこだましていった。

 

 

 

待って待って待って待って待って!!!!!高い高い高い高い高い~!!!!!

 

 

 

 

射命丸(しゃめいまる) (あや)にお姫様抱っこをされる形で大空へ飛び立った私は、あまりの高さに下を見た瞬間涙目になりながら思わず文に抱き着いてしまった。そのせいで文がバランスを崩す。

 

「うわわっと、ちょっと櫛名さん危ないですっていきなり!?そんな動かれたら落してしまいますよ!」

 

「落としたら許さない落としたら許さない落としたら許さない~」

 

「ちょちょちょ、そんな強く抱き着かないで、ください!バランスが!」

 

そんな文の必死な懇願も恐怖によって目をぎゅっと閉じながら必死に抱き着く私の耳には届くことなく、無情にも私たちはバランスを崩して地面に墜落していってしまう。

運よく……というか、下で軽やかに木々の枝の上をぴょんぴょんと渡ってついてきていた犬走(いぬばしり) (もみじ)に受け止められていなければ二人とも地面にたたきつけられて大惨事になっていたところだった。

 

「大丈夫ですかお二人とも。文さんも珍しいですね、墜落するなんて」

 

「はぁ、はぁ、そ、走馬灯が見えました…………」

 

「怖かった~……グスッ……グスン」

 

「高いところが苦手なら言ってくださればよかったですのに」

 

「ご、ごめん…………い、いつもは平気なのよ、いつもは。今日はなんか勝手が違うというか……」

 

「そうなんですね。何か理由があるんでしょうか……」

 

そんなことを言いながら椛は私と文をゆっくりと地面に下ろして、ん~と声を上げた。

 

「はぁ、助かりました椛……」

 

「いえいえ。それよりもちょうど守矢神社近辺に着きましたよ。運よく」

 

「ふぇ……ほんと?」

 

椛の言葉に目じりにたまった涙を手の甲で拭いながら顔を上げると、見上げるほどの急勾配に作られた長い石段が坂の上に向かって伸びておりその頂上には赤い鳥居があるのが確認できた。となると、例の守矢神社というのはこの場所で間違いはなさそう。椛もそう言っていることだし。

にしても……。

 

「階段……多くない?」

 

ここにきてもなお体を酷使しなければ(階段を上らなければ)ならないのか。

私は小さくうめき声を上げながらため息をついた。

 

「まぁ、普段の私たちは階段なんて使わずとも空を飛んでいけば済む話ですし」

 

「私達白狼天狗は翼がないので飛べはしませんが2、3回ジャンプすれば登り切れますから」

 

そんな二人の回答を聞いた私は、無意識のうちに舌打ちをしていた。

 

「そうだったわね。ここはそういう連中ばっかだった」

 

「幻想郷のことご存じだったんですか?」

 

「私がここにきてから今までの一連の流れを思い返してみればある程度の想像はつくってものよ」

 

「そんなものなのでしょうか」

 

「んん、そんなもんじゃない?そんなことより、はぁ、正直今めっちゃ気が滅入っているけど仕方ない登るか、この石段」

 

よいしょ、なんて言いながらゆっくりと立ち上がってスカートについた土を軽く払い、覚悟を決めて石段の上にある鳥居に視線を向けた。

改めてみるとあそこまで、長い。

そう思っただけでも覚悟が揺れ動いてしまうのでもうさっさと登ることにしよう。

 

あの上に……。

 

「二人とも案内ありがとう」

 

「いえいえそんなお礼を言っていただけるようなことはなにも何も」

 

「そうですよ。これはお詫びでもあるんですから。無礼を働いてしまったことの」

 

「そんなの気にしなくていいって言ってるのに、まぁいいわ。とにかく助かった。あとは何とかするよ」

 

「はい。それでは私と椛はここで引き返させていただきます。あっと、それから櫛名さん」

 

「ん?なに?」

 

一通りお礼の言葉を言いあっていざ別れとなったその去り際に、おもむろに文が私の耳元に顔を近づけて小さな声でこそりとささやいた。

 

「櫛名さん、さっきのあなたを見ているので大丈夫だとは思うんですけど、一応お伝えさせていただきます。早苗さんは確かに最近ことあるごとに『妖怪退治』と称していろいろな妖怪に手あたり次第弾幕勝負をしていますが…………その実力は本物です。お気をつけて」

 

何かしら因縁をつけてケンカ!?何それ、ヤクザよりタチ悪いんじゃない!?

何がどうなったらそうなるのかしら!?

 

ま、その辺は本人から聞いてみるのがいいか。

 

どんな理由であれ理由もなく人に迷惑をかけるのはよくないわ。

それがたとえ神であっても。

 

「忠告ありがと。気を付けとくわ」

 

そう返すと文は若干心配そうな表情をしたが、大丈夫だと言いながらそのおでこにデコピンをしてあげる。

おでこをはじかれた文は渋い顔で額を抑えながら椛と一緒に引き上げていった。

 

それを見送り、改めて目の前にそびえる大量の石段を見上げて、大きくため息をついてから最初の一段目に足をのせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石段をひぃひぃ言いながら登ること数十分。

 

ようやくゴール地点の鳥居の目の前まで到達した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、しんどっ!!はぁ、はぁ、何段あんのよこれ!はぁ~……」

 

鳥居まであと数段のところで最後の休憩。

もう何段登ってきたかわからないが両足の太ももは疲労でパンパンになってしまっている。

それでも少し休憩をとるだけで疲労がほとんど回復できるのは、やはり今までずっと素戔嗚尊(あいつ)の神力を間近で浴び続けた結果なのだろうか。

全く…………。

 

思わず物思いにふけってしまいそうになるのをぐっとこらえて椅子代わりにして座っていた石段から立ち上がりおしりについた土を払うと、「よし」と気合を入れなおして鳥居のほうへ視線を向けた。

 

そこから数段の階段を登りきると巨大な鳥居の下にたどり着く。

軽く周囲へ視線をめぐらすと、鳥居の正面に神社の本堂がありそこそこ広めの境内には鳥居から神社に向けてまっすぐに石畳が伸びていた。

 

「なんだ結構静かなところじゃない。さっきヤクザみたいなことをしてる巫女がいるって聞いたからなんかこうもっと『ズモモモモ…』って感じの雰囲気なのかと思ってたけど、普通の境内ね」

 

いい天気なのも相まって景色としてはかなり良いほうに入るのではないだろうか。

有無を言わさずにつれてこられたためスマホなどの電子機器類は持ってこれなかったが、もしもう一度来る機会があればぜひ写真の一枚くらいとりたいくらいではある。

 

「ん~いい天気にいい景色。さて、それで、噂の巫女はどこかしら」

 

そんな感じで鳥居のところから正面の本堂に向けて周囲をきょろきょろしながら何気なく歩いていくと、ちょうど鳥居と本堂の中間あたりで呼び止められた。

…………それも、上から。

 

「すみません。あの、この守矢神社に御用でしょうか?参拝の方ですか?」

 

「…………」

 

声のしたほうへ視線を向けた私は思わず『マジか……』と小さく声を漏らしてしまった。

 

白い巫女装束に青いスカート、そして緑色のロングヘアにカエルの顔をしたアクセサリーを付けている少女が右手にお祓い棒を携えながら()()()()()()()()

雰囲気からしても清楚系というほうがしっくりくるタイプの少女だった。

 

「いや、そうじゃないんだけど……」

 

「そうなのですか?では、なぜ…………って、あなた」

 

会話をしながら少女は私の前にふわりと降り立ち、まっすぐな視線を向けてくる。

なんか真面目そうな子だなぁ……。

そんなことをのんきに考えているとその彼女がいきなり私のことをびしっと指さしたかと思うとすがすがしいほど目をキラッキラさせながら突拍子もないことを言い出した。

 

 

 

 

 

「あなたのその雰囲気!人間ではありませんね!でしたらこれも妖怪退治の一環、弾幕勝負をしましょう!」

 

 

 

 

 

「はぁ?」

 

 

 

 

 

おかげで聞いていた私も気の抜けた声を出してしまった。

 

それより、『弾幕勝負』?

いったい何なんだろう。

 

「いやいや待って、いきなりの急展開で頭がついていかない…………んにゃあ!!!?

 

私の制止もむなしく唐突に目の前の少女から無数のエネルギー弾?が私に向かって放たれた。

しかも厄介なのはいきなりの不意打ち気味に放たれたことだけでもなく、『無数』と表現したように数がかなり多い。

私はあわてて真横へ向けて某ゲームの緊急回避のごとく思い切り地面にダイブするかのような格好で飛び込んだ。

受け身など取れるはずもなくヘッドスライディングのような恰好で体を投げ出す。

おかげで口の中に思い切り砂が入り込んでしまい盛大にむせこんでしまう。

 

「げほっげほ、ぺっぺっ……あぁんもう何なのよ!」

 

いきなりの仕打ちに抗議の声を上げようと少女のほうに視線を向けると再び空中に浮きあがった少女の近くに二つの光球が出現した。

 

 

「スペルカード宣言。―奇跡「客星の明るすぎる夜」―」

 

 

「ちょちょちょ!!待ってってば!!」

 

なんかやばいと思った私は服についた土を払うことすら放棄して一目散にその場から避難していく。

その直感はどうやら正解だったようで、次の瞬間には二つの光球から大量のレーザーが射出されそのすべてが私めがけて雨のように降り注いで来た。

 

足がもつれて若干転びそうになりながらもどうにかレーザーの射線上から逃げ続け、ついでに飛んでくる小さい光弾もすんでのところでよけ続けながら状況の整理を試みる…………っと危ない!む、胸がなくてよかった……でも、す、素直に喜べない。

そんなことよりも……

 

「(なんでこんな状況になってるわけ!?別に私はケンカしに来たわけじゃ……ん?)」

 

そこまで考えた瞬間、先ほど文が言っていたことが脳裏によみがえってきた。

 

 

 

 

 

 

『早苗さんは最近ことあるごとに『妖怪退治』と称していろいろな妖怪に手あたり次第弾幕勝負を仕掛けています』

 

 

 

 

 

 

「(『妖怪退治』、『弾幕勝負』…………『ヤクザっぽい理由でケンカ』…………ま、まさか……)」

 

先ほど彼女が言っていた言葉と今の状況、そしてこの神社にいる巫女姿の少女と文が言っていたことを総括して考えると、あまり信じたくはないが一つの答えが浮かんでくる。

思わず空中で次の攻撃の準備をしているであろう巫女服の少女を見上げて頭が痛くなるのを感じながら口元を引きつらせながら苦笑を浮かべた。

 

 

 

 

 

「(この娘かぁ~…………)」

 

 

 

 

 

かくして私は目的の人物『東風谷早苗』と相対することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきのスペルカード、よく避けきりましたね」

 

「お褒めいただきどうも。客人に向かっていきなりってのはちょっとマナーがなってないんじゃないかしら?」

 

「安心してください。ここでは常識に囚われてはいけないのです!次、行きますよー!スペルカード宣言!―秘術「グレイソーマタージ」―!!!」

 

そういって何かの技名?を高らかに宣言すると彼女の周囲に再び無数の光弾が出現しそれがそれぞれ星の形を形成しながら私のほうへまるで流れ星かのような挙動で落下してくる。

さっきの短い会話でどうにか態勢の立て直しには成功したがここからどうやって反撃をしていくのが正解か、逃げながら軽く周囲を見渡しておいたが近くに木の枝とかの棒状で武器になりそうなものは見当たらない。かといって肉弾戦はあまり得意じゃないし。

あれやこれや思考をめぐらせて迎撃手段を模索しつつ少女から放たれる光弾の軌道をできるだけ細かく分析していく。

ん?

あれ?

さっきはいきなりだったから思い切り派手に回避行動はとっていたけれど…………冷静に球を見れば意外と隙間もあるのかしら?

だとしたらよけるのは大丈b…………んわっと!!?

 

『意外といけそう』なんて考えて一瞬だけ気が緩んだ瞬間に正面からだけでなく左右からも飛来してくる星型の弾にぶつかりそうになってあわててその場から一歩後ろに飛びのいた。

 

「だめだめ油断大敵、慢心はダメ絶対!」

 

範囲的に攻撃をしてくる相手には……。

 

「(一点に集中してはいけない、常に視野を広く保って、動体視力をフル活用して……)」

 

その昔素戔嗚尊(旦那)に連れられていろいろな戦に参加した際間近で聞き続けてきた言葉を思い出しながら実践していく。

あの時は櫛に変えられて髪に差し込まれた状態で聞いていただけに実際に同じ状況で戦闘することになるとは微塵も思っていなかったが、こうなってしまってはやるしかない。

いつもはこのタイプの戦闘はほとんどしてこなかったため経験はほとんどない見様見真似だが、何とかなることを祈りたい。

 

再び星形の光弾が神社の境内の上空を埋め尽くさんとする勢いで展開されそのすべてが私めがけて降り注いでくる。

 

右に左に細かくステップを刻みながら光弾を一つ一つ確実に避け、最後に自分と術者の少女との距離が最短となったタイミングで正面から飛んでくる光弾を一か八か回し蹴りで打ち消すとそのまま即座に地面を蹴って彼女の目の前まで一気に距離を詰めた。

そして彼女みたいに飛び道具中心に攻撃パターンを組むタイプは総じて接近戦を苦手としていることが多い。絶対とは言い切れないが、今の彼女みたいに私が肉薄した瞬間驚きと焦りの表情を浮かべるのであればおそらくあっているだろう。

まずは一撃、と思い右手のこぶしをぐっと握りしめる。

 

「え、え!?」

 

そのまま地面にたたき落そうと拳を振り上げた瞬間、おもむろに少女がぎゅっと目をつむりながら声を上げた。

 

「ス、ストップです!!わ、私の負けです!!」

 

突然の負け宣言に私はそのまま動作を止めるのだった。

拳を振り下ろすのを無理やり止めたためあと1秒でも止めるのが遅かったら私のこぶしはがっつり彼女を捉えていたことだろう。目と鼻の数センチ手前のところでぴたりと止まった。

 

「…………」

 

「…………は?負け?」

 

それからわずかな静寂が私と彼女の間に流れる。

彼女の目の前までジャンプしたことで空中にいる私に空を飛ぶ力はないので物理法則に従って境内に落下した。

 

「わ、わわ、だ、大丈夫ですか!?」

 

落下の拍子に背中を打ったがほんの数秒の時間がたったころにはすでに痛みもなくなっていた。

上半身だけを起こして頭を搔く。

それから間もなくして先の少女も空中から降りて駆け寄ってきてくれた。

ともあれとりあえず例の『弾幕勝負』とやらは一区切りということか。

では、私も本題を切り出そう。

 

「うん~、痛みはもうないから大丈夫よ。ありがと。あ、そうそう、あなたに聞きたいことがあったのよ!」

 

「私に、ですか?」

 

「そう。あなた、名前教えてもらえる?私は、一応外から連れてこられた……あー櫛名っていうの」

 

きょとんとしながら少女が小首をかしげ、それから何かを察したのか一度咳払いをしてからえへんと胸を張った。

 

「櫛名さんですか。外からいらしたのですね。わかりました。私の名前は東風谷(こちや) 早苗(さなえ)って言います。こう見えてこの守矢神社の巫女をやっているんです。櫛名さんもぜひ私たちの守矢を信仰してみませんか?」

 

「宗教に関しては間にあってる…………けど、あぁ、やっぱりあなたが早苗って子だったのね」

 

予想通りの回答を聞いて私は再び境内で大の字になるように寝転んで空に視線を向けた。

 

「?あれ、私のことご存じだったのですか?」

 

「まぁ、ちょっとした事情があってね……」

 

「事情ですか?」

 

「そう、ちょっとだけお説教しに来た感じ」

 

「へ!?お説教ですか!?」

 

うん、そんな反応にもなるわよね。

 

「お説教って言っても大したことじゃないわよ。やんちゃしすぎだから少し自嘲しなさいってだけだから」

 

「それはなんで櫛名さんが?」

 

八雲(やくも) (ゆかり)って妖怪に頼まれたの。よっと、あとはあなたを鍛えてあげてって言われた」

 

いきなり現れて何言ってるんだと思われているかとは思うが、連れてこられた理由をそのまま伝えるとこの表現にしかならないので私にはどうしようも…。

再び上半身を起こし、いろいろと改めて思い返してみて頭を抱えたくなってしまう。

 

「紫様からですか。唐突ですね」

 

「私もそう思う。ごめんなさい、いきなり押しかけられてこんなこと言われるのもわけわからないわよね?」

 

「いや、確かにそうなんですけど。紫様(あの人)が意味のないことをするとは…………ん~」

 

早苗はそこまで言うと気まずそうに言葉を濁した。

あ、早苗ですらはっきり言いきらないということは八雲 紫の信用度というのはそのくらいなのだろう。

だったらさっさと目的を達成して帰るに限る。

一に説教、二に鍛錬、三に子孫の顔見て帰る、以上。

さっき対峙した感じからすると二の鍛錬はいらなそうだな、うん。…………本当か?

 

「まぁ、それはもうこの際いいとして。聞くところによるとあんた『妖怪退治』と称してあっちこっち手を出してるって聞いたんだけど。それは本当?」

 

「それは当然ですよ。私は守矢の巫女です。幻想郷の巫女は妖怪退治をしなければいけないのです。それからまだまだ幻想郷のことも知らなければいけませんし、そのためには弾幕勝負が手っ取り早いので」

 

なぜか誇らしげに胸を張る早苗であったが、なるほどこれは。

 

「(建前つくって嬉々としてやってるパターン。自分のことしか見えていないって感じね……)あなたのその主張はわかったけど、ほどほどにしなさいよ」

 

そういうと早苗が頭の上にはてなマークを浮かべながら首を傾げた。

 

「あなたは神様から信託を受け取る巫女なんでしょ?その巫女が自分の都合のためにあっちこっちでケンカ吹っ掛けていたら、それをはたから見たらみんなどう感じると思う?信仰、集まると思う?」

 

その言葉に「うっ……」と言葉を詰まらせる早苗。

私はため息をつきながらゆっくりと立ち上がり早苗と正面から向き合って視線を合わせた。

…………あれ?早苗って私よりも背が高い?

さっきはちょっと距離があったから身長のことは気が付かなかったけど、こうして近づくとわかる。

なんかちょっと複雑な気分になりながら言葉を続けた。

 

「本当ならあなたに信託を渡す神のほうがあなたに注意しなければいけないんだけどね、何やってんのかしら全く……」

 

「あう……お、おっしゃる通りです……」

 

「わかってくれればいいのよ」

 

「はい……確かに今まで自分のことで頭がいっぱいになってました……」

 

「そんな落ち込むことないって。失敗は誰にでもあるんだからさ。ね?」

 

さっきとは打って変わってしょんぼりと肩を落としてしまった早苗の肩をポンポンとたたきながら微笑みかける。

 

さてと、早苗に対するお説教はこれでおしまい。

お次は……

 

「さて、もう一つの用事なんだけど~。この神社に祀られている神様は今ご在宅かな~?」

 

極力今の感情を殺しながら最大限の笑顔で早苗に問いかけた。

 

祭神の方(神奈子様と諏訪子様)ですか?そうですね、今日は多分社のほうにいると思いますのでお呼びしましょうか?」

 

「えぇ、お願い。()()()が来てるって伝えてくれる?」

 

「わかりました。では少々お待ちください。今呼んできますね」

 

そう言い残すと早苗はにこっと笑顔を見せて本堂のほうへかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

境内で早苗と櫛名が会話をしているのとほぼ同時刻。

本堂の引き戸の隙間から黄色くつばの広い帽子をかぶった小柄な少女が一人、早苗と櫛名(2人)の様子を覗き見ながら顔を青ざめさせていた。

 

「あ、あうぁ…………か、神奈子に知らせないと~~」

 

そうつぶやくと引き戸をゆっくりと閉めるとその足で本堂の奥へ走り去っていった。

 

 

 

 

 

「神奈子~~!!!かなこ~~~~!!!大変だよぅ~!!」

 

 

 

 

 

果たして2柱の運命やいかに、後編へ続く……。




次回いよいよご対面となります

前編ではこの話は前後編といいましたが、前中後編の三部構成になりました。
思いのほか長くなりすぎてしまいまして……

ここに謝罪いたします
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