艦これ×鋼鉄の咆哮~力の重さ、強さの意味~   作:東部雲

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少し間隔が長くなってしまいましたが、2話分の編集が終わったので投稿します。

それはそうと、最近見たネットの記事に『最上発見』のタイトルがありました。
今まで海底に眠っていた彼女達が次第に見付かりつつある現在があるのも、有志を集め自前の資金で活動して来られた故ポール・アレン氏と、その遺志を継がれた同志の方達のお陰です。今後の新たな発見にも期待したいですね。

あと夏イベですが紆余曲折を経てE-1を甲作戦で突破しました。主要となる戦力の半分を投じ、資源も想定を超えて消費してしまったので次の海域攻略は断念しましたが、未だ突破できていなかった南方第3海域攻略に自信が持てました。それだけ戦艦仏棲姫が堅かったと言えますね、時雨の魚雷カットインでギリギリでしたから。

前書きだけで長々と書きたいこと書いてしまいましたが、ここからは本編です。ではどうぞ。


第3話 邂逅

 

 

 諏訪達第一遊撃戦隊がMI攻略作戦鎮守府連合撤退支援部隊と接触した頃。

 

 その母船である艦娘待機船『海洋丸』では、二人の鎮守府の指揮官もまた、その通信を聞いていた。

 

 

「ウィルキア王国? それに近衛艦隊だと? どういうことだ」

 

 一遊戦の旗艦である諏訪から届いた通信の内容に、疑惑の言葉を発したのは純白の海軍士官服を着た佐世保第2鎮守府の提督、岩井 (さとる)大佐だった。

 

 

「解りません。少なくとも日本国防海軍にそんな部隊名は存在しないはずです」

 

 それに答えるのは同じく佐世保の所属で、インカムを装着した軽巡洋艦大淀だ。

 

 

「なら、何故本隊が撤退した方角からあの部隊が姿を現した?」

 

 撤退支援部隊は知る由もないが、諏訪達は彼らの丁度西の方角で本隊が通り過ぎた後突然出現した。

 

 そして諏訪が目覚めてからようやく撤退支援部隊を確認して、諏訪が攻撃隊を送り込んだだけのことだった。

 

 

「大淀、回線を開いてくれ。俺が話をしてみる」

 

 大淀に頼んだ人物は横須賀第7鎮守府の提督、蕪木翔少佐だ。

 

 提督に任命されて日が浅いものの着任してから活躍が著しいため、その能力を評価されて今回のMI攻略作戦に召集されていた。

 

 大淀は自分の上司に視線を向けると、岩井は頷いて応えた。

 

 

「了解しました、こちらをどうぞ」

 

 大淀からオンラインのインカムを受け取り、頭に装着して呼び掛けた。

 

 

「こちら艦娘待機船『海洋丸』。日本国防海軍横須賀第7鎮守府の蕪木だ。先程貴艦の名乗りを聞いたが、改めて官姓名を明らかにされたし」

 

『ウィルキア王国海軍近衛第1艦隊所属、第一遊撃戦隊旗艦、諏訪型重装航空護衛艦一番艦諏訪です』

 

「まずは、我々の艦隊の救援に駆け付けてくれたことに感謝したい。

ついては急遽貴艦と話をしたい。艦娘待機船への乗船を許可するので、応じてもらえないか?」

 

 蕪木の呼び掛けに応えて再び名乗る諏訪に、会談を要求する。

 

 

『……解りました。但し、こちらも艦娘を一人同伴させます。宜しいですか?』

 

「了解した。現場の艦娘の一人に案内させる。こちらからは以上、オーヴァ」

 

 蕪木は通信を終了して、次の通信先を大淀に頼んだ。

 

 

「次は現場にいる横須賀第7鎮守府の金剛に繋いでくれ」

 

 そう言うと大淀が通信先を設定して「どうぞ」と言い、蕪木は自分の部下の艦娘に呼び掛ける。

 

 

「金剛、聴こえるか?」

 

『聴こえてマスヨ、なんですかテートク?』

 

「護衛艦諏訪と名乗る艦娘を海洋丸に招待するから、ここまで連れてきてくれないか?」

 

『了解シタネ!』

 

「向こうは艦娘を一人同伴することを希望すると思う、そいつも一緒にな。以上だ」

 

 それを最後に金剛と通信を終えて、蕪木は自分の上官である岩井に向き直った。

 

 

「大佐、彼女達との交渉は俺に任せてもらえますか?」

 

「……内容は我が艦隊の護衛要請か?」

 

 岩井は疑問系で尋ねるが、半ば以上は確信を持っていた。

 

 

「はい。先のAL・MI攻略に失敗した本隊の撤退を支援するため、後方待機だった俺の艦隊6名と岩井大佐の12名が防衛に当たりました。

残念ながら敵艦隊の新型機に対抗しきれず、俺の艦隊は飛龍達二航戦と足柄、不知火が大破の損害を受けました」

 

「私の艦隊も似たようなものだ。12名の内、半数が傷物にされている。先の二百を超える増援と同じ規模で襲撃されたら、次は持たないだろうな」

 

「俺も同じ意見です。ですから、」

 

「我々を救援に駆け付けたあの部隊に、本土まで護衛を頼むと言うことだな?」

 

 蕪木の後の言葉を引き継いだ岩井に、頷く。

 

 とは言え本当なら、突然現れた国籍不明の部隊にいきなり護衛を頼むなど、岩井としては不安があった。

 

 

「しかし、大丈夫なのかね?我々を助けたとは言え、相手は聞いたことのないような国籍の部隊だ」

 

「充分承知してます。ですが、我々を攻撃するつもりなら深海凄艦と一緒にやれば良い筈です。

それにわざわざ通信で救援に来たと言う必要もない筈でしょうから」

 

 蕪木の意見に岩井はしばし考え始めた。

 このまま何も手を打たなければ部隊は全滅だ。だがここから敵の勢力圏を離脱するにせよ、取れる手段はほぼ無いに等しい。制空権の確保には空母機動部隊が必要だが、先に撤退した主力部隊は横須賀第3鎮守府の祥鳳が健在だが他の空母は軒並み大破している。彼女はそちらの防空を指揮しているため、こちらを支援することは困難だろう。

 撤退支援部隊も被害は深刻だった。防空を担った岩井の赤城と加賀一航戦、蕪木の飛龍と蒼龍二航戦は例外なく大破に追い込まれて戦力には数えられない。その他の水上戦力も打撃を受け、まともに戦闘が可能なのは岩井の摩耶を含めた6名、蕪木の金剛と比叡の合わせて8名のみ。とても戦闘が継続できる状態ではなく、自艦隊のみであれば全滅は必死だろう。

 

 一方で突如現れた国籍不明の艦娘、開幕で敵艦隊を強襲して撤退に追い込んだ艦載機の性能は、敵の新型機に対して一騎当千の活躍を見せた。艦載機であの性能、しかもまだ諏訪達の実力は未知数だ。蕪木の言う通り、敵対の意思があるなら同時に殲滅できたはず。少なくとも彼女達に敵意はないかもしれない。

 

 そして蕪木は金剛達を接触に向かわせた。第7鎮守府のドロップ艦として向かい入れる事が出来るかもと判断した行動だろう。どうみても曰く付きな艦娘ばかりだが、それを受け入れたのは蕪木にとって初めてではないだろう。

 現に蕪木の第7鎮守府には、既に曰く付きの艦娘が3名在籍している(・・・・・・・・・・・・・・・・)。それも提督候補生だった頃からの縁で、それが関係して蕪木はある高官からは有望株と評され、ある高官からは妬まれている。周囲を取り巻いてる環境は複雑だが、根本的な原因は彼を提督に誘った人物にもあるため、過去に何度も便宜が計らわれてきた。今回にしても同様だろう、悪いようにはなるまい。

 

 そこまで思考を纏め、やがて決断した。

 

 

「良いだろう、君の判断に任せる。彼女達を受け入れることでこれから大変になるだろうが、困ったときは私も力になろう。好きにやりたまえ」

 

「ありがとうごさいます……」

 

 感謝の言葉を述べて蕪木は敬礼した。

 

 だが彼の表情には、僅かに陰りがあるのをその場に居るものは誰も気付くことはなかった。

 

 

 

          ◇◇◇

 

 

 蕪木が自分の部下である艦娘、金剛型戦艦一番艦金剛に案内を頼んで通信を終えた頃、諏訪は会談の為に一遊戦の面々と相談していた。

 

 

「……というわけだから、一緒に来てくれるかしら」

 

 相談の内容は諏訪が会談に出向く際に同伴することだった。

 

 恐らく相手からは本土までの護衛を要請して来ることは、諏訪にも予想の範囲だった。

 だが相手が同盟国である日本の艦隊とは言え、国家間の政治的な判断が必要になるかもしれないため、艦娘一人の同伴を認めさせたのである。

 

 そしてその同伴する艦娘が、

 

 

「解りました、諏訪さんに従います。それに私も少し、気になることもありますからね」

 

 三原に決まった。それにその言葉には諏訪も同じ意見だった。

 

 気になることと言えばあの異形の存在だ。明らかに艦娘とは違う意匠の艤装、更には艦娘に敵対行動を取っていた。

 

 それを抜きにしても今自分達は余りにも状況が把握出来ていない、早急に情報を集める必要が有るだろう。

 

 

「Hey、You達! ちょっとイイデスカ?」

 

 声がした方へ振り向くと、巫女装束のような格好をした艦娘二人がこちらに近寄ってきていた。

 

 

「貴女方は?」

 

「自己紹介が遅れたネ! 日本国防海軍横須賀第7鎮守府に所属してる高速戦艦コンゴウクラスのネームシップ、金剛ネ!」

 

「同じく、横須賀第7鎮守府に所属する金剛型二番艦比叡です!」

 

 それぞれ順番に金剛、比叡と名乗った二人に諏訪達も自己紹介する。

 

 

「私は諏訪型重装航空護衛艦一番艦諏訪です」

 

「ボクは軽諏訪型強襲駆逐艦影縫だよ」

 

「兵装試験双胴巡洋艦三原です」

 

「わたくしは改諏訪型重装戦艦十勝ですわ」

 

 自己紹介の内容は金剛達にとっては聞いたことのない単語ばかりで、顔を見合わせるが今は気にしないことにした。

 

 

「提督からEscortするように言われてるネ! 取り敢えず、付いてきてくださいネー!」

 

「解りました。影縫、十勝。あなた達はここで待機して、三原は私と一緒に」

 

 

 

          ◇◇◇

 

 

 諏訪と三原は、金剛に案内された艦娘待機船『海洋丸』に乗船した。艤装はタラップを上がる時に収納した。

 

 原理はよくわかっていないが、三原曰く"魂から出し入れする"らしい。

 

 今諏訪と三原は艦娘待機船の通路を歩いていた。

 

 そこそこ良質な客船だったらしく、内装は中々豪華だ。

 だが、今歩いてる通路に面する部屋の扉からはか細い呻き声も聞こえ、僅かだが血の臭いも漂っている。

 

 

「着いたネ」

 

 金剛も船内の様子に眉を寄せており、暗い表情を浮かべながら諏訪達を案内した部屋に招き入れる。

 

 

「……来たか。ここまで案内御苦労だった、金剛」

 

 部屋の奥から労いの言葉をかけたのは純白の海軍服に同じ色の制帽を被った青年で、

その近くには堅物な印象の中年暗いの男性。こちらも同じ服装のようだ。

 

 

「我々からの会談の要求に応じてくれたことに感謝したい。

俺の名前は蕪木翔。日本国防海軍に所属する将校で、階級は少佐。横須賀第7鎮守府で提督をしている」

 

「階級は少佐なのに提督?」

 

 諏訪は告げられた内容に疑問を抱いた。

 

 普通なら艦隊司令ともなると大佐ぐらいが常で、少佐で艦隊司令などかつて自分が戦った大戦でも聞いたことがなかった。

 

 

「色々な事情があってな、俺ぐらいの階級でも適性検査を通過すれば提督にはなれるんだ」

 

 蕪木は肩を竦めながら言う。

 

 

「ゆっくり話したいがいつ追撃があるか分からないから、手短に言わせてもらう。

今日本は、いや世界は人類共通の敵による脅威に晒されている。

その敵を俺達はこう呼んでいる、深海より現れる謎の艦艇群、深海棲艦と」

 

「深海凄艦……」

 

 諏訪は自分が先程発艦させた攻撃隊で、撃退した勢力の名前を認識するように呟いた。

 

 

「諏訪。恐らくだが、ここは君の居た世界とは世界線が異なる世界だ。

少なくとも、我々が知る限りウィルキア王国は実在しない」

 

 諏訪は告げられた現実に目を大きく見開いた。

 

(ウィルキア王国が存在しない……!?)

 

 つまりそれは、ウィルキアへの帰還が果たせないということを意味していた。

 同時に、かつて諏訪を指揮していたシュルツ達に二度と会えないことも。

 

 

「そう、ですか……」

 

 それでも諏訪は気を取り直した。

 

 今は現状の打開が最優先だ。

 

 この世界が自分達がいた所とは別の世界線とは言え、それでも同盟国である

 日本艦隊の救援に駆け付けたのだ。なら、最後まで責任を持たなければならない。

 

 

「私から提案があります、アドミラル蕪木」

 

 そして話を切り出す。自分達の今後に関わる重大なことを。

 

 

「私達第一遊撃戦隊が、あなた方日本艦隊を本土まで護衛します。その代わり、我々は日本への帰属を希望します」

 

 




第4話も編集が終わってますので、明日投稿します。

オリキャラでタイタニック(WW1)を出したいけど出したいけどどうしよう?

  • 良いんじゃない?
  • ふっざけるな!
  • 追加でブリタニック(姉妹船)もオナシャス
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