艦これ×鋼鉄の咆哮~力の重さ、強さの意味~   作:東部雲

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昨夜に続いての投稿です。

内容的には大筋は変わらないですが、細かいところは殆ど手直ししてあります。以前と同じな様で大分違うです。


第4話 険路、遥かなり

 

 諏訪が第一遊撃戦隊の日本への帰属を条件に、撤退支援部隊の本土まで護衛することを提案し、横須賀第7鎮守府の提督蕪木はその場に居た岩井の承諾を得て、了承した。

 

 そして現在、諏訪達第一遊撃戦隊は撤退支援部隊の艦娘待機船を囲うように輪形陣で西へ航行していた。

 

 

「十勝、シーホークで敵艦隊は捕捉できてる?」

 

『今のところは確認できませんわ、お姉様』

 

 無線で会話するのは輪形陣側面で展開する第一遊撃戦隊旗艦諏訪と、十勝だった。

 現在輪形陣は前後を影縫と三原、側面を諏訪と十勝が展開しており、諏訪は右側で十勝が左側に展開している。

 

 

「出来れば相手より先に捕捉したいところね、じゃないと作戦が成功しないから」

 

 先程交戦した深海凄艦は正規空母一隻と、それを護衛する二個水雷戦隊で編成されていたのは会談の交渉相手の蕪木から知らされていた。

 

 蕪木達日本艦隊はミッドウェー、彼らの言うMI島の攻略の際は本格的な機動部隊同士の空母決戦だったらしく、MI島と沖合いの機動部隊の攻撃で作戦は早期に失敗。

 

 作戦開始時に1000機近い敵機が確認されており、予想では700機前後が健在だと言う。

 

 他にも機動部隊の護衛や水上打撃部隊の存在も確認されているため、知能の高い個体も確認されている以上はこれらの戦力を投入して来る可能性は充分あり得た。

 

 それに対しこちらの戦力は第一遊撃戦隊の艦娘4名。日本艦隊は中・大破した艦娘が殆どでまともな対空火力を有していないため、諏訪達だけで敵が接近しないようにするしかない。

 

 そうした状況のなかで諏訪達が考えた作戦は至ってシンプルだった。

 

 近付かれる前に殲滅する。

 

 先ず水上打撃部隊を艦載機による索敵で捕捉し、影縫と三原が装備する特殊弾頭『グングニル』誘導魚雷で打撃を与える。そこからは砲雷撃戦でとどめをさす。

 

 機動部隊については艦娘待機船を優先的に狙って来ると予想されるため、諏訪は敵機動部隊の攻撃隊を捕捉すると同時に特殊弾頭『ゲイボルグ』ミサイルを発射。

 広範囲の爆発で敵機群に打撃を与え、撃ち漏らした敵機を十勝と迎撃。その後に第二次攻撃隊を発艦させる前に機動部隊を殲滅する。

 

 

『心配ないですわ。今はシーホークで広範囲を索敵してますし、お姉様の彩雲も発艦しています』

 

「そうね、っ! 来たわね……!」

 

 十勝に呟きを返した直後、偵察に出た彩雲から電文が送られてきた。

 

 その内容は、

 

────ワレ、テキキドウブタイヲハッケンセリ

 

 

 

          ◇◇◇

 

 諏訪が彩雲からの電文を受信した頃、影縫と三原もまた北から接近する敵水上打撃部隊をマーリンで捕捉していた。

 

 

『相手は戦艦を中核とした水上打撃部隊です! 一気に接近して打撃を与えます、影縫!?』

 

「オッケー、ボクに任せて!」

 

 前後に展開した二人が無線で交信してから、影縫が北に舵を切る。

 

 機関に配置する原子炉八型4基が全力で稼動させ第一戦速を経て61.5ktに達したとき、小柄な体を北から接近する深海凄艦の水上打撃部隊へと押し出していく。

 

 

「彼我の距離、約20km、マーリンとのデータリンク構築よし。諸元入力、グングニル発射用意」

 

 展開した立体型ディスプレイを確認してコンソールに指を走らせ、最大火力を適切な場所に投じる準備を進める。

 

 やがて敵艦隊との距離が5kmを切った時、効果範囲のあらゆる物体を壊滅させる暴力が解き放たれる。

 

 

「グングニル誘導魚雷、発射用意良し! 目標、敵水上打撃部隊! いっけえぇー!」

 

 凛とした気合いのこもった叫び声と共に、右腕の艤装側面のハッチが開く。続いて北欧の神槍の名を冠した魚雷が発射され、水上打撃部隊に向けて突き進む。

 

 水面下を走る魚雷と敵水上打撃部隊の距離が2kmを切ったとき、ようやく気付いた敵水上打撃部隊は回避行動を取るが、その頃には弾頭部分に取り付けられたソナーに捕捉されていた。

 

 弾頭のパッシブ・ソナーが敵艦の発する機関音を探知し、鋭角に舵を切りながら誘導される神槍は回避しようとする何隻かに直撃。

 

 直後、目が眩むような眩い閃光と凄まじい熱、衝撃波が膨張しながら発生し撒き散らされる。

 

 それに巻き込まれた戦艦以外の敵艦は装甲を貫通され、次いで襲ってくる爆風に吹き飛ばされた。

 水上打撃部隊の中核を成す戦艦ですらそれだけで大破相当の損傷を受ける。

 

 爆風が収まった頃には敵水上打撃部隊は壊乱状態に陥っていたが撤退するつもりはないらしく、影縫もまた残敵の掃討をするつもりでいた。

 

 

「君達も運が悪かったね。何せ君達が相手するのはかつて世界最強を誇った艦隊、それに所属する最速の駆逐艦なんだから」

 

 口元を歪めて獰猛な笑みを浮かべながら、海原の上で目の前の敵を見据えて呟いた。

 

 

 

          ◇◇◇

 

 影縫が敵水上打撃部隊と戦端を開いた頃、諏訪と十勝もまた飛来する敵機動部隊から発艦した攻撃隊を待ち構えていた。

 

 

「西の方角から現れた機動部隊が距離30kmの地点で攻撃隊が発艦、こちらに向かってきます。その数300以上!」

 

 現在、第一遊撃戦隊は輪形陣を解いて十勝が諏訪の護衛についていた。

 

 

「任せて。纏めて撃ち落としてみせるから」

 

 先程交戦した際に分かったことがある。

 

 どうやらこの世界の艦娘や深海凄艦は 電子装備を諏訪達と比較して旧式しか配備しておらず、更に艦載機はレシプロ機程度なようだ。

 諏訪の前級である伊勢型ならともかく、強力な艦砲と多数のミサイルで武装した諏訪にとって、ただの動く的に過ぎない。

 

 ディスプレイを正面に据えて、右肩の箱型発射機に納まったVLS8基のうち中央4基のハッチを開く。

 

 

「攻撃隊を距離5㎞で確認、正面の敵機群をα(アルファ)、左翼の敵機群をβ(ブラボー)と呼称します!

ゲイボルグミサイルをそれぞれの目標群に一発ずつ照準、斉射(サルヴォー)!」

 

 その瞬間、4基のVLSから噴射炎を放出しながら4発の特殊弾頭ミサイルが発射される。

 北欧に伝わる必殺の魔槍の名を冠したミサイルが、白煙の尾を引いて数㎞離れた二つの敵機群目指して飛翔していった。

 

 

 

          ◇◇◇

 

 深海凄艦の攻撃隊が艦娘待機船を目指して飛行している時に、諏訪の放ったミサイル群は攻撃隊のレーダーにも捕捉されていた。

 

 従来の艦載機より速い速度で接近する物体を最初、艦娘側の新型機と読んだ敵機群は密集陣形から散開して迎撃しようとするが、音速で飛来するミサイルはそれより先に陣形の中央へと到達する。

 

 その瞬間、ミサイルが起爆する。

 

 グングニルとほぼ同じ弾頭により引き起こされる爆発は、まず凄まじい威力の衝撃波が周囲の敵機を巻き込んで木っ端微塵にし、次いで襲いかかる爆風で吹き飛ばされる。

 

 その後に残った機体は母艦より発艦した300機余りの内、200機近い敵機が撃墜されて半分以下の100機程度まで減り、密集陣形を取っていた攻撃隊はゲイボルグの爆風でばらけていた。

 

 

 

          ◇◇◇

 

「ゲイボルグミサイルの起爆を確認! 敵の第一次攻撃隊は3分の2近くが撃墜を確認、残りの敵機が向かってきます!」

 

 十勝の報告を聞いて諏訪はある程度作戦通りに進行したことに安堵するが、気を緩めないように西の方角を睨む。

 

 

「ここまでは作戦通りね。十勝は主砲照準、弾種はキャニスターを装填して! 私はシースパローとスタンダードで迎撃するわ!」

 

「了解ですわ!主砲照準、キャニスター装填!」

 

 十勝が叫ぶと同時に、背負った艤装に配置する51cm45口径3連装砲3基9門が西の方角に砲身を向ける。

 

 その横で諏訪はゲイボルグのハッチを閉め、飛行甲板舷側の対空ミサイル8連装発射機6基を稼働させた。

 

 

「シーシパローを敵機群α、スタンダードを敵機群βに照準! 斉射(サルヴォー)!」

 

「全砲門、てーーーっ!!」

 

 その瞬間、諏訪の発射機6基から全46発分の白煙が尾を引いて飛翔する。

 

 十勝の主砲3基9門の第一斉射により砲門から炎が噴出して、発射の衝撃を緩和するため同時に、十勝は海面すれすれまで後ろに重心を傾けた。

 

 十勝の放った砲弾は彼方に見える半壊した第一攻撃隊へと向かっていった。

 

 

 

          ◇◇◇

 

 敵の第一次攻撃隊にとっての破滅の時は、ゲイボルグが攻撃隊を半壊させてすぐに訪れた。

 

 ゲイボルグと同じく音速で飛来するシースパローとスタンダードミサイルが生き残った攻撃隊のうち46機に着弾、木端微塵に吹き飛ばしていく。

 

 次いで十勝が放った12発の砲弾が敵機の直前で炸裂、撒き散らされた金属片は敵機の装甲を食い破ってズタズタにする。

 

 その頃には既に殆どが撃墜されて、僅かに残った敵機も諏訪と十勝の副砲やCIWSで撃墜された。

 

 

 

          ◇◇◇

 

 第一次攻撃隊が僅かな時間で全滅したことに気付いた敵機動部隊が、第二次攻撃隊を発艦させようとしていたときだった。

 

 

「攻撃隊の発艦はさせないよ?」

 

 敵機動部隊より北東の方角から魚雷群が水面下を走り接近する。

 

 それに気付いた護衛艦数隻が割り込み、魚雷がそれを直撃した。

 その直後、凄まじい威力の衝撃波と爆風が生じると護衛の敵艦は炎上して沈んだ。

 

 魚雷を投射したのは影縫と三原だ。

 

 諏訪と十勝が第一次攻撃隊を殲滅した頃、既に敵水上打撃部隊を撃滅して機動部隊に向かっていた。

 

 機動部隊を護衛する水雷戦隊は影縫と三原に突撃するが、上空を旋回するマーリンが転送する座標データを元にAGSから誘導砲弾が発射される。

 その砲弾は直前で角度を変えて敵艦に吸い込まれるように着弾、装甲を容易く貫通して大破または撃沈した。

 

 そこからは一方的な展開になった。

 

 水雷戦隊は鋭角に舵を切りながらソナーで誘導される魚雷を振り切れずに被弾するばかりか、影縫と三原の速力に追い付けない。

 

 戦闘の主導権は影縫と三原が握ったまま水雷戦隊を撃滅して、残る機動部隊もその後に来た諏訪と十勝が合流して殲滅した。

 

 

 

          ◇◇◇

 

 その戦況を艦娘待機船の甲板上から監視する者がいた。

 

 

「凄い……」

 

 掠れた声で呟くのは横須賀第7鎮守府から参加していた陽炎型駆逐艦二番艦不知火だ。今は中破して腕に包帯を巻いている。

 

 

「確かに、これは想像以上ね……」

 

 相槌を打つのは同じ横須賀第7鎮守府所属の重巡足柄だ。

 撤退戦の途中で大破したため戦闘から離脱したが、志願して不知火と監視の任務に就いていた。

 

 この二人はいまだ不確定要素の多い諏訪達第一遊撃戦隊の戦闘を監視して、たった今異常ともとれる戦闘能力を見せ付けられた。

 

 

「最初不知火達の救援に発艦させたという艦載機もそうですが、一人一人の戦闘能力が驚異的です」

 

 不知火の言葉に足柄は「確かにね」と呟きを返した。

 

 先ずあり得ないのは、一人一人の速力が40ktを上回っていることだ。

 重装戦艦十勝と名乗った艦娘は47kt、駆逐艦影縫に至っては60kt以上と観測された。

 

 現在日本の艦娘で最速と言われる駆逐艦島風でさえようやく40ktに到達する程度に対して、第一遊撃戦隊は全員がそれを凌駕していた。

 

 他にもあげるとするなら、搭載する兵器が余りに強力なこと。

 影縫がこの海域で使用した魚雷は広範囲に爆発が及ぶ程の破壊力で、一発で一個艦隊に打撃を与えるほどだ。

 

 更に諏訪の放った兵器は、敵の攻撃隊の中央でいきなり大爆発を起こして甚大な被害を与えた。

 十勝の9門ある主砲から放たれた三式弾と同等かそれ以上の効果を持った砲弾もそうだ。

 

 桁違いな速力、驚異的な威力を持つ兵器の数々、どれをとっても常識はずれ。それが第一遊撃戦隊に対して抱いた印象だが、

 

 

「でもこれなら、無事に本国に帰還できるかもしれないわね」

 

 少なくともそれは確かだった。彼女ら第一遊撃戦隊は正に一騎当千、戦闘能力だけなら信用するには充分と言えた。

 

 

「そうですね。……?」

 

 足柄の言葉に不知火が相槌を打ったときに、後ろから駆け寄ってくる足音に気付いた。

 

 

「先に撤退していた本隊より入電! 本土近海に大規模な敵水上打撃部隊が侵入したとのことです!」

 

 血相を変えて報告する佐世保第2鎮守府の駆逐艦白露が、最悪の事態が起きたことを告げた。

 

 




世代の違いを見せ付ける意味では同じ結果になりました。

あと、再編集以前にもやっていた次回予告を復活させます。


        ~次回予告~

艦娘待機船に敵艦隊を寄せ付けず、一方的に殲滅した諏訪達。
その圧倒的なチカラを見て誰もが呆気に取られていた頃、日本近海では深海棲艦の別働隊が奇襲を掛けていた。それに対応するは日本最古参にして最強と、国内の有力な艦娘達だった。

第6話 南西諸島邀撃戦


感想、高評価お待ちしていますm(__)m

オリキャラでタイタニック(WW1)を出したいけど出したいけどどうしよう?

  • 良いんじゃない?
  • ふっざけるな!
  • 追加でブリタニック(姉妹船)もオナシャス
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