翼のない天使   作:クッキーガール

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私と天使は朝食を食べながら今日のことについて話し合った。そしてその結果今日は汽車に乗って町の図書館まででかけに行こう、ということになった。

天使は「どんなところか楽しみだなあ。」

とワクワクしながら朝食をほおばっていた。

私は「人間が暮らしている町に行くのは初めて?」

と問うと

「何度かみたことはあるけれど、今回が初めてかな。」

と答えた。なんだか少し意外だった。昔から天使はどこにでもいそうな予感がしていた、という妄想じみたことを思っていたので、その天使の答えがとても新鮮に感じた。

「なんか少し意外だね。」

「何が?」

「天使って世界のあちらこちらにいて、私達のこと監視しているんじゃないかとか思っていたけど。」

「まさか。ていうかそれまた人間が勝手に作りだした想像物ってやつ?本当におもしろいね人間って。」

「いや、私が勝手に考えただけだから。」

「それでもおもしろいよ。」

「そう?」

「うん、君が作りだすものはおもしろいよ。」

そういいスプーンでスープを飲んだ。私の何がおもしろいんだろう?そう自分で思いながらトーストをかじった。少しだけ自分の中で考えてみた。だけどあまり自分について考えたことがなかったので、結局わからないままになった。相手のことは分かるのに、どうして自分については何も分からないのだろう。そう考えながらまたトーストをかじった。 

 

朝食を食べ終え、身支度を整えた後、私と天使は家をでた。途中近所のボロアパートに住んでいるおばさんとすれ違いざまあいさつを交わした。今日の天気は晴れで、昨日少し天気が悪くて心配していたのだが、絶好のお出かけ日和だったので安心した。私は雨が嫌いだ。雨は私の心を暗くする。自分が今みているこの世界もモノクロにみえるようで嫌だった。はぁ。いっそのことずっと天気がこんな感じでいてほしいな、と思った。さびれかけた電柱、畑の野菜をもくもくと収穫している中年の夫婦、誰も住んでいないであろうポツンと立っている小屋。それらすべてが私のいま(現在)の世界。平凡でなにもない世界。つまらない世界...。ハァ、とため息をつきながらそんなことを考えていると、天使がひらひらと私の横で舞い降りながら、

「ねぇ、今つまらないことを考えていたでしょ?」

と尋ねてきた。

「何で分かるの?」

と聞くと

「顔にそうかいてあるもん。」

と言った。やっぱ自覚がなくても顔にでちゃうもんなんだな。と、思わず苦笑した。

「そんなにつまらない顔してると、いいことなんて全然ないよ。」

「そうだね。でもずっと田舎に住んでみるとそんなことも考えちゃうんだよ。天使もここに住んでみればわかるよ。」

「う~ん...。僕は君とは全然違うし。まぁでもその気持ちわからなくもないよ。だけどね、いくらつまらないからといってなにか変わるわけでもないし、この暮らしがすごい気にいっている人もいるんだ。ちなみに僕はこういう所は好きだよ平和だし、自然はきれいだし、食べ物だっておいしいし。」

「そうかな...。」

「まぁ考え方も人それぞれだからね。駅にはそろそろ着くかい?」

「うん。もう少し歩いていったら。」

私は少し天使がうらやましい気持ちになった。私だって産まれてからずっとこの田舎が嫌いだったわけではない。小さい頃はよく友達と学校の近くで遊んだり、ゲーム機などを持ってきて当時はやっていたゲームをやったりもした。夏になれば川に泳ぎに行き、冬がくれば雪だるまを作ったり雪合戦などをして遊んだりしたものだ。だけど時が経つにつれそんな遊びもしなくなった。人間には成長というものがある。時が経つということはあまりにも残酷なものだ。せめてあの頃と同じ気持ちのままでいれば、こんなことを考えずにすんだだろうか。少し自嘲気味にそんなことを思った。

 

ああ、今日はとてもいい天気だなぁ。自分のこの嫌な気持ちも今の天気ぐらいにスッキリすればいいのに。

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