しばらくして私と天使は本屋「新月堂」を後にした。本を購入した後も今月新しくでた新刊や漫画などをあれこれ立ち読みをしているとお昼の12時を過ぎた頃だった。私は町のレストランで昼ごはんを食べることにし、天使もまた「お昼ごはんどんなのかな~?楽しみ~♪」といいながら私の前をパタパタと飛んだ。ただ天使は私以外の人には見えないので、なるべくめだたない席に座らないといけないのだが。レストランの中に入り、早速空いている席はないか調べた。だがお昼時ということもあったので中は少し人でいっぱいだった。私は仕方なく禁煙席の一番前に座ることにした。天使も私の前に座った。座るとほどなくして店員さんが水とお絞り袋をもってきて
「ご注文がお決まりになりましたら、ボタンを押してお呼びください。」
と私の腕のすぐ近くにあるボタンを手で指しながら言いスタスタと歩いていった。とりあえず何にしようかな、と思いながらメニュー表を開いてみた。和食、洋食、中華のさまざまな料理をみながらどれもとても捨てがたいな。と考えていると天使も横からのぞきこんで
「うわ~、美味しそうだね。」
と言い目を輝かせながら言った。当然目立ちやすい席なので私は天使とは一言もしゃべらなかった。いやしゃべれなかった、と言っていいだろう。けれどそれでも天使は私に決して文句は言わなかった。私はそれが少し嬉しかった。そしてあれこれ考えてから洋食のエビとカニのクリームグラタン(サラダ+スープ付き+梅サイダー)にすることにした。天使にも何か食べさせてあげようと、食後にデザートのショートケーキと紅茶を頼んだ。
「これは天使のだよ」
と目配せをすると天使はとてもうれしそうにクルッと一回転してみせた。しばらく待ってからグラタンのセットがやってきた、らジュウッというこんがり焼いたチーズのにおいがとてもおいしそうだった。私は早速スプーンで頂くことにした。口にいれるとチーズの味とカニのやわらかい食感が口全体に広がった。
「おいしい。」
と思わず口がほころんだ。なんだかとても温かい気持ちになった。その食べる様子を天使はうらやましそうにみつめていた。私は食べれない天使が少しかわいそうになり誰にもみつからないように隣の席にグラタンを半分のせた小皿を置いた。そして私は天使に
「食べてもいいよ。」
と目配せをした。すると天使の表情がパアッと明るくなりヒュ~と風の如く速さでグラタンの皿の前にきて、フー、フーと冷ましながら食べた。とてもおいしそうに食べていた。私はその様子をみて今日天使とここに来てよかったと感じた。そしてしばらく黙々と食事を続けた。