お昼ごはんを食べ終わった後に私と天使は特にすることもなかったのでしばらく町でブラブラしてから帰ることになったした。ビルの間に立つ花屋さんで花をみたり、行きつけのアクセサリー屋さんでアクセサリーを買ったりした。そこのアクセサリー屋さんで色々なアクセサリーをみているとふと目にした新作のピアスをみて、すごく欲しいのがあったので迷わず購入した。自分でも欲しいものをみつけてしまうとついつい買ってしまうのが私の悪いくせだった。だけど買いたいものがあったらつい買ってしまうのは人間の性分だと思うので仕方がない。ちなみに買ったピアスは金と銀の星が二つくっついている感じのピアスだった。私はそれを手のひらの上において観察し、そして小さな紙袋の中に戻した。天使もそれを珍しそうにみつめながら
「すごくきれいだね。」
と目を輝かせながら言った。
「僕達の住む世界にはこういうのはあまりないけど、物を美しく表現するのはとてもいいね。」
「え?天使達の世界にはこういうのないの?」
「うん。あんまりないかな。でもこのピアスっていうのはなかなかいいセンスだよ。人間はこうして何年も前から物を作り、その技術は進化していき、この「今」に至るまでとなった。人間のことはあまり好きではないけど、このピアスは好き。」
そして
「君のこともね。」
と後付けに天使は言った。む、なんか最後後付けされた?と少し不満に思いつつ私はニコリと笑いながら
「ありがとう。」
と天使に言った。でも私は思う。天使は人間のことはあまり好きになれないといいつつも、本当は好きなんじゃないかということを。だけどそれをうまく言葉に表せない。...いや、認めたくないだけかもしれない。けれど、そんな天使が少しおかしい。まるで駄々をこねる小さな子供のように、頬を赤らめながらそんなことをいうのだ。だけどそこが天使の憎めないとこであり、私の好きなところだった。なんだか心の底からなにか温かいものがこみ上げてくるように天使の言葉が不思議に伝わってくるような気がした。私もこんな風に他人を好きになれるだろうか。そんなことを考えていると天使が
「ねぇ、つけてみてよ。」
と言ってきた。私は言われたことに少し動揺しながら
「え、今つけるの?」
と聞くと天使は
「君がつけているとこをみてみたいな。」
と言った。フム、どうしようか。私は家に帰ったあとにつけたいんだけど。なんて思い悩んだ。でも天使がいつもより倍目を輝かせながらこちらをみるので私は答えを率直に言おうかと思ったがこれじゃあどうしても言葉に詰まってしまう。どうしたものか。けどせっかく買ったんだし、今つけてみてもいいかもしれない、という考えが私の頭の中でそう結論づけたのでつけてみることにした。私と天使はとりあえずピアスをつけるために鏡がある場所へ移動することにした。私と天使は着くまでの間何もしゃべらずにただ黙々と歩いた。そして着いたあと、私は天使の前で鏡をみながら両手を器用に動かしながら耳の穴にはめた。私はもう一度両耳にはまっているか確かめた後、天使のほうにふりむいた。天使は目を輝かせながら私のほうをみて、
「なんだか星が輝いてみえるよ。今にもキラキラ光ってしまいそうだね。」
とつぶやくように言った。私も鏡をみて自分の両方の耳たぶに触れながら
「本当だ。今にも輝きそう。」
とつぶやいた。耳につけれた星のピアスはキラキラと光を反射しながら光っていた。それを左右交互に代わる代わるみていたら自分もなんだか星と一緒になれた気がした。天使も私の耳たぶに触れたりまた近くからその観察するようにみつめていた。あまりにもみてくるので、私は恥ずかしくなり
「ねぇ、もういいでしょ。」
と止めた。天使はみることに集中しすぎたのかハッとなり、
「あ、ゴメンよ。」
と私から離れていった。途中私の怒った顔がおもしろかったのかニヤニヤしていたけど、私は素知らぬフリをした。結局ピアスはこのままつけていくことにした。いちいちはずすのもめんどうくさかったし。このままつけていくのも悪くないかな、と思ったからだ。両耳につけられたピアスは歩くたびにキラリと光り、私の心を少し明るく照らしてくれる。その度に私は憂鬱な気分になるのだった。
昔私が中学に入学して間もない頃、クラスでは陰湿なイジメがあった。標的となっていたのは眼鏡をかけた少し地味な感じの女子だった。その子は本が好きなのか昼休みになるとよく図書館に行っていた。教室にいるときも大抵本を読んでいた。誰とも会話せず本を読む姿はまさに「孤独」の二文字だった。いや、会話しなかたんじゃなくて、人と話すことが苦手で、きっとクラスにあまり溶け込めなかったんじゃないかと思う。けれどそれがあまり面白くなかったのかある日の休み時間その子が日直当番で授業にかかれた黒板の文字を消していると、男子の一人がその子の机の中に置いてあったか小説をこっそり抜き取り黒いペンで落書きをした。表紙だけでは飽きたらず一枚一枚ページをめくり黒いペンで書き足していった。そしてそれを閉じまた元の机の中に戻していき、自分の席に戻っていった。偶然その現場を通りかかった私は一瞬「え?」と思って目をみはった。
(今、あの子の本になにか書いていた?)
とあの子の机をちらっとみながらいましがた自分の席に戻っていった男子のほうをみると、ニヤニヤとなにか笑いながらあの子の机をチラチラみながら楽しそうにしゃべっていた。その目はまるで他人をバカにするような視線で、私は一瞬嫌な胸騒ぎを覚えた。するとしばらくしてから日直の仕事を終えたあの子が自分の席に戻ってきた。あの子はまたいつもどうり自分の席に座り机の中にいれてあった小説をとりだした。だが自分の読みかけの小説を取り出し手にした途端あの子の表情が固まった。本をもつ両手もふるふると小刻みに震え、黒い少し魅惑的な奥二重も明らかになにか動揺している感じだった。口元もキュッとし、しばらく小説の表紙をみつめたあとページをパラリとめくり始めた。私は女の子に気付かれないように次の数学の小テストの勉強をしながらチラチラと観察した。ページをめくり始めてもその子の表情はあまり変わらなかった。ページをめくる動作が、私にはなぜか恐ろしく見えた。