天使と話しながらしばらく歩いていると、いかにも「おしゃれ」という感じの雑貨屋にたどり着いた。屋根はレンガ造りでできており、外装はというと白い壁に窓は木の十字ばりのガラスが細長い三角形になっていて、その二つの窓ガラスの上には西洋風のランプが上に飾られていた。ドアは白い木材でできており金製のドアノブがキラリと光っていた。おしゃれだが、どこか少し不思議な印象がある。そんな感じの店だった。私と天使は特に行くとこもなかったし、私自身行ったことのない店だったから思わず入ってみることにした。まず入った時店内をみた印象は「おしゃれだが多種多様な雑貨がある」という感じだった。中は広々としていて、頭上にはほのかな明かりを照らしだしているユリの形をしたランプがつけられていた。中に入ると真正面から左のほうをみるとさまざまな食器やコップ、家具などが並べられており、さまざまな国のものをモチーフに作ったとかかれていた。知っている国もあれば知らない国のものもあったが、どれもとてもセンスのいいものばかりだった。普段はあまりこういう雰囲気の店には入らないけれど、置いている家具とかがどれも自分好みだったから入って正解だったかもと少しだけ思った。天使も目を輝かせながら私の頭上でくるくる飛びながら周りの食器や家具を見渡していた。まるで、新しいゲームを買ってもらったときの子供のうれしそうな表情に似ていた。私にも、もう少しそんな表情ができればいいのに、と目を塞ぎがちにしながら思った。でもこれもそれも、全てはみんなあいつのせいだ…。いや、あいつのせいにしたかったのかもしれない。だがその考えも自分がまた陰湿になってしまうのであまり考えないことにした。それは天使もいるからという理由もあるのだけれど、一番の理由はせっかく素敵な店に来たのに、こういうことをまた考えてしまうと買い物気分も台無しになってしまうと考えたからだ。こういうとき自分にすごく嫌気がさすようで嫌だった。今もずっと私は変われないまま…。
「ねぇねぇきみ、このお皿すごくキレイじゃない?」
と少しボーッとしていたままの私に天使が勢いよく尋ねてきた。思わず現実に戻されハッとし、あまり目立たないように
「どうしたの?」
と聞くと天使は丸いなめらかな手でまっすぐにあるものを指した。それはガラスでてきていた皿だった。大きさは直径十センチメートルとやや小さめだがなめらかな丸みを帯びており、その左と右の周りには濃い赤色の桜の花びらがふっくらと浮き出ており、上と下辺りにも同じような桜の花びらが施されていた。決して華やかではなかったが、素朴であまり飾らない感じが逆にこのお皿の良さをひきたたせているように思えた。思わずそっと値段のプレートを確認すると私のお金じゃ到底届かないような金額だった。値段が高いほど価値のあるものとはまさにこのことをいうんだな、と思った。少しだけ指先で皿のふちを触るとなめらかな肌触りが伝わってきた。天使も私と同じように皿のふちを触った。そして触りながら
「なんだか君さっきから浮かない顔だね。どうしたの?」
とふいに聞いてきた。唐突に天使にそんことを聞かれたので私は少しドキリとした。いつもどうりの表情をしていたつもりだったのに自分の考えを見透かされたようで、とりとめのないような不安にかられたから。私は落ち着きながら、
「どうして?」
と尋ねると、天使は
「さっきちらりとだけ君の顔を見たら、少し表情がくもりがちだったからさ。あんまり楽しんでいなさそうだなって。」
と言った。私はやっぱり表情ででていたんだな、と確信した。こんな風にズバリと言われるのだから、私は自分の表情がそのままでてしまったことを心底恨んだが、天使に見透かされたうえ、あまりいい言い訳がみつからなかったので、素直に先程のことを話すことにした。自分の話を、天使はうんうんとうなずきながら熱心に聞いてくれた。